2005年12月29日

渡辺朋幸氏という人

一生懸命時間を遣り繰りしているのですが、なかなか十分にBLOGへ時間を割くことができません。おそらく年内は今夜が最後のチャンスと思われますので、がんばって更新してみます(笑



【 データ 1 イーホームズ社藤田氏 】


【イーホームズ社 公式ホームページ】
http://www.ehomes.co.jp/SITE1PUB/sun/6/news/report70.html?t=1132554461326
http://www.ehomes.co.jp/SITE1PUB/sun/6/news/report60.html?t=1132554461327

上で述べられている内容のうち、重要と思われる点を以下のテーブルに要約します。
この内容はすべてイーホームズ社藤田東吾社長の証言である点をお含みおきください。藤田氏またはイーホームズ社社員は以下のように記憶し証言している、ということです(ただし括弧書き管理人注とした部分を除く)。


@ アトラス設計社渡辺朋幸代表の行動・発言

 ◇2005年10月18日 イーホームズ社へ電話。同社社員が受ける。
  ・ 「『北千住』の物件に構造的に疑義がある」と発言。
 (※管理人注 渡辺氏によればこれに先立つ10月14日の時点でイーホームズ社に電話していた。【読売新聞】http://www.yomiuri.co.jp/feature/fe5500/news/20051205i308.htm

 ◇10月21日 同社を訪れ、同社の構造担当部長と課長に会う。
  ・ 『北千住』の物件で具体的な偽造の箇所を指摘。
  ・ 「『北千住』物件に対し「計画変更確認」を行えばよい」と発言。→A
  ・ 2年半前の『グランドステージ稲城』も偽造であることを指摘。→B
  ・ 「『稲城』物件を公表しなければマスコミに通報する」と発言。

 (◇10月26日 イーホームズ社、国土交通省へメール通報)
 (◇11月10日 千葉県が姉歯建築設計事務所へ立入調査)
 (◇11月17日 国土交通省が偽装の事実を公表)

 ◇11月21日 渡辺氏イーホームズ社へ。藤田氏と初対面。
  ・ 「姉歯さんが偽造をしていたことを御社に伝えたのは私だということを知っていましたか?この経緯を公表しないのは良くなくはありませんか?」と発言。
  ・ 「偽造に関しては、今から約1年ほど前に、日本ERIで確認を下ろした物件の施工に際し、施工会社から設計内容がおかしいので構造設計の内容を調べてほしいと言う依頼があった。その結果、姉歯設計事務所が偽造をしていたことを知り、技術者として激しい怒りを覚えた。偽造について日本ERI社に対し指摘したにも関わらず公表されずに隠されてしまった。あの時に公表されていたらその後の被害は防げたはずだ。そして、近頃、イーホームズでも姉歯設計事務所が関与する物件がいくつかあると聞いたので気をつけられたし、と伝えた」と発言。
(※管理人注 約一年前の物件とは「港区赤羽根橋」のマンションのこと)

 ◇12月7日 国土交通省参考人質疑
  ・ 渡辺氏は日本ERI社鈴木氏を「とても意識」し「言動が不自然」だった。
(※管理人注 日本ERIが「港区赤羽根橋」物件を計画変更確認で処理したことに対し、渡辺氏は「(違法物件が建てられなくて)良かったと思った」と発言しています。この発言と、それ以前の渡辺氏の発言「日本ERIは事件を隠蔽した」との間には開きがありますから、それをもって藤田氏は「不自然」と感じたのではないかと思います)
(※管理人注 渡辺氏はまた、次のような答弁もしてしています。「一度目に気づいたのは、一年半前に港区(赤羽根橋)の物件で、私が意匠事務所(=千葉設計)さんから構造の監理を委託されました。そのときに、図面と計算書を見比べて発見しました。二度目に発見したのが、施工会社の志多組さんから、北千住の物件で鉄筋が少ないので調べてほしいと依頼を受けました。図面を見ておかしいと思ったので、計算書を取り寄せてもらうようにお願いして、そのとき、計算したのが姉歯さんだと聞いて、とても驚いた次第です」)

 ◇12月15日 藤田氏がアトラス設計へ渡辺氏を訪ねる。
  ・ 渡辺氏、上記の10月19日のA、Bが事実と認める。


A 藤田氏の疑惑

渡辺氏の目的は、イーホームズ社に「北千住」物件の計画変更確認をさせることだったのではないか。数日後の10月24日に国土交通省からイーホームズ社へ「予告なしで緊急立ち入り検査」が入っているが、もし違法な計画変更確認を行っていれば、そこで発覚し、イーホームズ社は「即刻指定取り消し、全ての資料も没収」されていたに違いない。
イーホームズ社(と姉歯秀次元建築士)を陥れ、偽装事件を発覚前から闇に葬ろうとするなんらかの力があったと思う・・・。


B 渡辺氏・志多組に関して(引用)

「渡辺氏の話などから、志多組は宮崎県の地場最大の中堅ゼネコンです。熊本の木村建設のように、宮崎の志多組というような関係で九州圏では競争が激しい関係だそうです。木村と姉歯氏の関係のように、志多組と渡辺氏という仕事の依頼を受ける関係のようなものです。」



イーホームズ社公式HP内における上記の藤田証言を読んで、私が最も興味を惹かれたのは渡辺氏の行動の不可解さでした。渡辺氏は本当に、藤田氏の疑うように、イーホームズ社を陥れるため、どこかから遣わされた使者だったのでしょうか?
もしそうだとすると、「『稲城』物件を公表しなければマスコミに通報する」と渡辺氏が発言したのはなぜでしょう。説明できません。この発言が示す事実は、素直に考えれば次の二点です。

 ◇1 渡辺氏は二年半前の「稲城」物件の偽装を知っていた。
 ◇2 渡辺氏は「稲城」物件の偽装の事実を公表したがっている。

◇1から、藤田氏は、渡辺氏が偽装関与組織(?)の一員であろう、という方向へ想像力を働かせたのでしょう。しかしその想像は、どう考えても◇2とは矛盾します。「闇の勢力」がもし存在するとして、彼らが事件を表沙汰にしたくないのであれば、「マスコミに公表」されて困るのは、ほかならぬ彼ら自身のはずだからです。

私はここから、今回の渡辺氏の行動は組織的な指示の下での行為でなく、渡辺氏自身の個人的な動機に基づくものだと考えました。
そもそも、「マスコミへ通報する」とは、バックのある人間が口にする言葉ではありません。ほかに誰も味方がいない人間が、最後の手段で言うセリフですからね。

では、渡辺氏の目的は事実の公表そのものだったのでしょうか。
けれども、そうすると今度は「『北千住』物件に対し「計画変更確認」を行えばよい」と示唆したことが理屈に合いません。もし渡辺氏が不正を憎む正義の設計士であるなら、なぜ日本ERIと同じ「隠蔽」であり「不正」であるはずの計画変更確認を勧めたのか・・・。
私はこの「理屈の合わなさ」自体からも、渡辺氏が個人で行動していることを確信したのですが(個人だからこそ、会話の中で態度が揺れてしまうということもありそうです)、とりあえずまだ、謎は謎としておきましょう。ただ、この藤田証言だけからでも、渡辺氏という人が複雑な動機を胸に秘めてイーホームズ社を訪れたのだろう、ということは推測できると思います。



【 データ 2 渡辺氏と志多組と・・・ 】


前項の藤田氏証言から、渡辺氏と志多組との間に結びつきがありそうだということがわかります。
では、渡辺氏や志多組と偽装事件とはどういう関係にあるのでしょう。それを次に整理してみたいと思います。


◇1996年頃  姉歯氏と木村建設が九州の鉄骨業者の紹介で知り合う。

◇1998年? 「グランドステージ池上」建築確認
  現時点で判明している最古の偽装物件であり、かつ、木村建設、ヒューザーの関わった偽装物件の中でも最古のもの。
  建築主=ヒューザー、設計者=下河辺建築設計研究所、構造設計=姉歯建築設計事務所、施工者=木村建設、建築確認=大田区。

◇2003年2月 「グランドステージ稲城」建築確認
  現時点で管理人の知り得た最古の志多組施工のヒューザー物件。偽装。
  建築主=ヒューザー、設計者=スペースワン建築研究所、 構造設計=姉歯建築設計事務所、施工者=志多組、建築確認=イーホームズ。

◇2003年12月 「グランドステージ川崎」施工
  建築主=ヒューザー、設計者=下河辺建築設計事務所、構造設計=アトラス設計(渡辺氏)、施工者=志多組、建築確認=?
  渡辺氏の構造設計で偽装はなし。

◇2004年1月 「港区赤羽根橋」のマンション建築確認
  渡辺氏がはじめて姉歯氏の偽装を知ったと公式に認めている物件。
  建築主=?、設計者=千葉設計、 構造設計=姉歯氏から渡辺氏へ変更、施工者=木村建設?、建築確認=日本ERI。
  当初この物件には、元請の千葉設計の下、アトラス設計(渡辺氏)が構造担当として関わっていた。が、途中で施主の意向、つまり工費を下げたいということから、総研・木村建設・平成設計の三者が千葉設計を訪れ、構造設計を姉歯氏に替えることとなった(渡辺氏は仕事を横取りされた格好)。
  出来上がった構造設計書を千葉設計は(千葉設計HPによれば「念のため」、報道によれば「ビルの総工費が約7族円から約3000万円も安くなったことを不審に思った」ため)、アトラス社渡辺氏に検証するよう依頼した。こうして渡辺氏は姉歯氏の計算書偽造を知る。
【千葉設計】http://www.chiba-aa.jp/kinkyu/kinkyu1207.htm
【読売新聞】http://www.yomiuri.co.jp/feature/fe5500/news/20051201i201.htm

◇2004年3月 「港区赤羽根橋」マンションに関し、千葉設計と渡辺氏が総研・木村建設・平成設計・姉歯氏と会議。偽装行為を追及。

◇2004年4月 「港区赤羽根橋」マンションに関し、日本ERIは「計算ミス」として計画変更確認処理。この時の構造設計書は渡辺氏の計算し直したものだった。渡辺氏は日本ERIに「姉歯氏がこれを他でやっていたら大変なことになりますよ」と伝えるも無視される。

◇2005年10月 「グランドステージ北千住」建築確認
  建築主=ヒューザー、設計者=スペースワン建築研究所、構造設計=姉歯建築設計事務所、施工者=未定、建築確認=イーホームズ。
  施工者は公式には未定のはずだが、志多組との情報がある。情報の出所は渡辺氏自身で、上記別テーブル内既述の通り、12月7日国会参考人質疑にて「施工会社の志多組さん」と答えている。



上記の内容に、前項で書いた藤田証言を加えてみます。つまり

 ◇3 木村建設と志多組は同じ九州の中堅ゼネコンでライバル関係であった
 ◇4 渡辺氏は(木村建設にとっての姉歯氏のように)志多組から仕事をもらう立場であった

ここまで整理すると、私には、渡辺氏の胸中が理解できる気がするのですが・・・どうでしょう?(笑


つまり、志多組と木村建設はライバル関係だったのです。それは当然、グランドステージシリーズで大当たりしたヒューザー物件受注競争においても、微妙な影を落としていたはずです。
実際には、大きく報道されている通り、ヒューザー物件の多くは木村建設が受注しています。
もう少し正確に言うと、1998年確認の「池上」物件以降、ヒューザー物件の多くに木村建設が関与するようになりました。名義貸し(元請けからの丸投げ)分を合わせると、その数はさらに増えます。おそらく30件を下ることはないでしょう。
一方の志多組は、「稲城」「川崎」「北千住」の3件しか(今のところ判明分では)、関与できていません。そして姉歯氏の関与した2件は偽装物件であり、渡辺氏の設計した「川崎」はシロでした。

志多組は、木村建設がなぜこれほど急成長できたのか、その経済設計の秘密を知っていたのでしょうか? あるいは、知ろうと努力し、もしそこに秘密の知恵があるなら学び(盗み)たいということも、もしかしたら考えたかもしれませんね。
まあ、それはどちらでもいいのですが、私が想像するには、おそらく志多組は、「稲城」偽装物件を施工した後で、お抱え構造設計士の渡辺氏に、姉歯並の「経済設計」はできないかと持ちかけたに違いないと思うのです。つまり、「稲城」を施工した体験で、木村建設の強さの秘密(の一端)が構造設計にあることに気づき、それが偽装とまで知ったかどうかはともかく、次の姉歯氏非関与「川崎」物件では、渡辺氏に同じレベルの「経済設計」を依頼(要求)した、のだと。
志多組が企業として木村建設に対抗してゆくつもりなら、それは当然のことのように思えます。
構造設計士の立場は弱く、競争は厳しいと聞きます。施工者からの要求があれば、渡辺氏も仕事を失うまいと必死になるでしょう。そうして姉歯式設計(「稲城」)を分析する中で、あるいは志多組の要求内容を分析する中で、彼は「稲城」の偽装に気づいたのではないでしょうか。

あるいは、もっと単純に考えるなら、志多組にとって初のヒューザー物件であった「稲城」の構造設計書を、志多組もまた千葉設計のように、渡辺氏に検証依頼したのかもしれません。実際、「北千住」の物件では、渡辺氏は志多組から依頼されて姉歯氏の設計書を見た、と証言しているのですから。


◇1で藤田氏が呈示した疑問、なぜ渡辺氏は「稲城」物件の偽造を知っていたか、の答えは、志多組にあると思います。
志多組経由で、彼は真実を知ったのでしょう。
もっとも、それがいつのことか、まではわかりません。もし、「稲城」の施工段階で志多組が渡辺氏に検証を依頼していたなら、彼は二年半前に知ったのでしょうし、「川崎」の設計段階で知ったのであれば、約二年前ということになります。


藤田氏は、「稲城」の偽装を知りつつこれまで黙っていた渡辺氏の「正義感」に疑問を呈していますが、おそらく志多組の意向もあったものと私は想像しています。千葉設計は真実を知ると総研や木村建設を呼び出して事実をはっきりさせましたが、「北千住」の件ではっきり真実を知ったはずの志多組が、これまで表立って動いた形跡は一切ありません・・・。
志多組は、「気づいても気づかないふりをする」道を選んだのだと思います。少なくとも、「北千住」ではそうでしたから、それ以前の「稲城」物件でも、もし気づいたとしてもなにもしないことを選んだだろう、と想像できるわけです。
志多組にとってはライバル会社、木村建設の「お抱え経済設計士」の不法行為。これを表沙汰にすることはいたずらに波風を立て、双方にとって害が多いと判断した、というような「大人の」(もしくは「裏社会」の)知恵が働いたような気がします。
とにかく、志多組は沈黙していたいらしいのですね。とすると、そういう施工者の下にいた渡辺氏も、また沈黙を余儀なくされたのではないか、とする推測は、それほど意外ではないでしょう。



【 渡辺氏 VS 姉歯氏 】 〜 構造設計界の死闘 〜


さて、このようにして「稲城」の偽装を知っていた渡辺氏ですが、一年半前の「港区赤羽根橋」のマンション物件で、またも姉歯氏とぶつかってしまうわけです。これはもう、渡辺氏が姉歯氏と同じく関東周辺で活躍する構造設計士であった以上、もはや避けようのない宿命だったのかもしれません。


「アトラス設計は2005年10月にまたも同じようなことを別の場所で遭遇することになり、今回の告発へ至った、と渡辺氏から聞いております。これがまた別の建築士であったら、たぶん今でも闇の中かも知れません。何かこのあたりにアトラス設計の運命のようなものを感じます。」
(【千葉設計】HPより http://www.chiba-aa.jp/kinkyu/kinkyu1207.htm


千葉設計の千葉氏は、これのさらに一年後の「北千住」物件について上記のように述べていますが、千葉設計が(志多組と違って)事態の黙殺に向かわなかったのは、渡辺氏にとって大いなる救いとなったはずです。

渡辺氏の気持ちになれば、姉歯氏を許せない思いが限界まできていたことでしょう。なにしろ姉歯氏は、「港区赤羽根橋」物件での渡辺氏の仕事を奪ったのですからね。それも、違法な計算書偽造という手口によって。


「姉歯設計事務所が偽造をしていたことを知り、技術者として激しい怒りを覚えた。偽造について日本ERI社に対し指摘したにも関わらず公表されずに隠されてしまった。あの時に公表されていたらその後の被害は防げたはずだ。」
(【イーホームズ】HPより 渡辺氏11月21日藤田氏に語る)


この怒りは、渡辺氏が姉歯氏と同じ構造専門の設計士であり、過去に仕事を奪われていた、という事実まで知って、はじめて正確に理解できるのだと思います。
藤田氏は、おそらくそれを知らないでいたのでしょう。だから、この怒りを清廉な技術者の正義の怒り、と解釈してしまった・・・。ゆえに、「計画変更確認を行えばよい」という発言が理解できないのです。
渡辺氏が、計画変更確認を示唆したのは当然のことです。「港区赤羽根橋」の物件では、ほかならぬ渡辺氏が、自らの設計で日本ERIから計画変更確認を受け、そのまま構造担当者の地位に返り咲いたのですから。

計画変更確認が違法であるとか不法である、ということは知識としては知っていたかもしれませんが、渡辺氏の頭の中では「悪いこと」ではなかったはずです。彼もそれによって恩恵を受けているのですからね。従って日本ERIが「港区赤羽根橋」の物件に関して計画変更確認を行ったことは、渡辺氏にとって「善いこと」なのです。
ではなぜ、彼は日本ERIを「隠蔽した」と責めるのか。
これももはや明確ではないでしょうか。
彼が許せないのは「港区赤羽根橋」以降の物件でも姉歯氏が偽造を続けていること、です。日本ERIが事態を公表してくれれば、姉歯氏は設計の仕事は続けられないはず・・・。そうすれば渡辺氏の仕事が奪われる危険もなかったでしょう。にもかかわらず姉歯氏は偽造計算書を書き続け、現に「北千住」の物件では志多組施工なのに姉歯氏が構造計算をしている!のです。

ここまで考えると「あの時に公表されていたらその後の被害は防げたはずだ」という渡辺氏の発言も、多義的に読めてくるから不思議です。「被害」を受けた人の中には、単に一般の住宅購入者だけでなく、彼自身もが含まれていたのかもしれません。
渡辺氏は抽象的に、住宅購入者の被害や正義の憤りを語っているつもりで、実は自身の被害や怒りを表現していたのではないでしょうか。



【 渡辺氏 VS 藤田氏 】 〜 合わない視線 〜


渡辺氏がイーホームズへ電話をかけ、数日後には単身乗り込んで事情を説明した・・・。この動機も、もう十分理解できることと思います。
志多組は、千葉設計と違って、事態を公開しないのです。千葉設計は、偽造であることを知ったのちは、構造担当をアトラス社へ戻してくれました。しかし志多組はそれをし(てくれ)ない。となれば、今後志多組系の仕事は大幅に減るかもしれません。・・・志多組は動かない。日本ERIも動いてくれない。ならば自分で動くしかないじゃないですか!

渡辺氏の告発は、こうした文脈の中でこそ、はじめて理解できると思います。
姉歯式(偽装)経済設計をこれ以上のさばらせておけば、渡辺氏の仕事は減る一方です。対抗するにはそれこそ計算書偽造に手を染めねばならないでしょう。しかしもちろん渡辺氏に、それだけはできないのです。
正しい設計をしている自分がなぜ冷遇され、偽造設計士が高級外車を二台も三台も乗り回しているのか・・・。
渡辺氏がイーホームズへ姉歯氏を告発した目的は、今後これ以上偽装設計をさせないこと、できれば姉歯氏の設計士生命を絶つこと・・・あたりにあったと思います。それが告発の動機なのです。

将来のため・・・。
日本の建築界の将来のため、構造設計士全体の将来のため、しかし実は我が身の将来のため、だったのだと思います。姉歯氏が不法な設計をやめるか、設計業界から足を洗うかすれば、おそらくそれで渡辺氏は満足だったのでしょう。けれどもそこには、すでに建てられてしまっている違法建築物に住まわされている住人達がどうなるか、という過去への視点はありませんでした。そしてこの点で、藤田氏と渡辺氏とは決定的に違っていたのです。

渡辺氏が当初、藤田氏(イーホームズ社)に期待していたのは、「北千住」物件を差し戻すこと、だったのではないでしょうか。確認機関であるイーホームズからNGが出れば、志多組は姉歯氏を使うことを諦め、渡辺氏に構造設計を依頼してくるかもしれません。私は、渡辺氏はその可能性は相当高いと踏んでいたように思います。
計画変更確認を示唆したのは、「港区赤羽根橋」物件と同様、自分が姉歯氏の後釜に座ることを念頭に置いていたからなのでしょう。そして「稲城物件を公表しろ」と迫ったのは、あくまで志多組や総研に対して公表せよと迫ったものと解釈できます。国に公表すれば自動的にマスコミにも公表されるわけですから、後半の「でなければマスコミに通報する」というのが辻褄が合いませんから。
つまり渡辺氏は、イーホームズ → 総研・志多組 のルートで、圧力をかけることを望んでいたのです。なんの圧力かって? 当然、もう姉歯氏を使わないようにという圧力です。

要するに渡辺氏は、千葉設計主導で行われた「港区赤羽根橋」会議の再現を期待していたのです。この会議で姉歯氏は偽装を認め、結果、姉歯氏が奪った仕事は渡辺氏の許へ戻ってきました。今回は志多組が動かないから、イーホームズ社に期待したのです。
けれどもイーホームズ藤田氏は、一介の設計事務所でもなければ、日本ERIや志多組のような「見て見ぬふりが大人の知恵」的な人物でもありませんでした。
藤田氏は渡辺氏抜きでヒューザー・平成設計などと会議をし、事実関係を確認した後は国へ通報してしまいます。

渡辺氏の目論見は大きく外れました(笑
姉歯氏の設計士生命を絶つことはできたかもしれませんが、直接的な利益はなにもありません。「北千住」物件は建築確認取り下げで、もはや変更確認どころでない騒ぎです。
長らく「横浜の設計会社」として匿名を希望し続けた千葉設計とは対照的に、渡辺氏のマスコミへの露出度の多さ・・・が、当初から私は気になっていましたが、それも、こう考えるとなんとなく見えてくるような気がします。
なにしろ渡辺氏は、イーホームズに「勇気ある告発」をした見返りがなにもなかったのですからね(笑
イーホームズが「大人の態度」を取っていれば得られたはずの「北千住」物件の代わりに、せめて社会的な名誉や賞賛を浴びたい・・・と、彼が考えたかどうかはわかりませんが、もしかしたら渡辺氏には、もはや目立つことで宣伝をする道しか残されていなかったのかもしれません。少なくとも、目立たぬことが利益に繋がると判断した千葉設計より追い詰められた立場なのは確かでしょう。
どうやら案外狭いらしい構造設計業界ですから、最初の告発者が渡辺氏だったことは関東周辺の業界内では早くから知られてしまい、その結果、志多組はじめ「大人の」業者達が彼を敬遠する素振りを見せた・・・ということも考えられます。



【 ま と め 】


このように、藤田氏を困惑させ悩ませた渡辺氏の一見不可解な行動・・・は、謎を解こうと周囲を調べるうちに、私には自然と解釈できてしまいました。
渡辺氏は、巨大な陰謀とは対極の位置にいる人物だと思います(笑
彼の視野は狭い。藤田氏よりなお狭いです。おそらく彼は純粋に、彼の目に見える範囲の人々の幸福を願うタイプなのでしょう。

イーホームズ社の関係者が拙文を目にすることがあるとも思えませんが、もしそういう機会があれば、どうぞ藤田社長には、以下のように伝えて欲しいと思います。
「少なくとも渡辺氏は『陰謀』の加担者ではありません。
 彼はあなた同様『純粋な』志を持つ人物と思われます。ただ、あなたよりもほんの少しだけ、視野が狭いか、もしくは見る方向が違っていた・・・かもしれませんが。
 だからこの件に関しては、どうかこれ以上つまらない疑心暗鬼にかかずらうことのありませんように。
 そして事件の再発防止のためには今後なにが必要か、また過去にはなにが必要だったのか、真摯かつ謙虚に熟考することの方を、どうぞよろしくお願いします。(せめて、御社の『悪くなかった』理由を探しだす情熱の1/10程度は、そちらへ割いてくださることを国民一同期待しております)」


さて、ここまで書くうちにとっくに夜が明け、午前中まで終わってしまいそうです(汗
九州の鉄骨業者に関しても書きたかったのですが、それは来年に回すほかないようで・・・。

どうぞ皆様、よいお年をお迎えください。
来年の日本に昇る朝日が、少しでも希望と喜びに満ちた光と感じられますように。



最後に、このエントリを書くのに複数の箇所で以下のサイトを参考にしましたので紹介します。
 【建築よろず相談__耐震強度偽装問題時系列】
  http://www.shou.co.jp/yorozu/naibu/gisou.htm
 【東急不動産・東急リバブル不買運動__耐震強度偽装問題、日本ERI、アトラス設計渡辺朋幸代表】http://rain.prohosting.com/~rain7/eri.htm
 【千葉設計__12月7日の衆院国土交通委「建築物耐震強度偽装問題」参考人質疑において、当社名が実名 にて発言されたことについて】http://www.chiba-aa.jp/kinkyu/kinkyu1207.htm


※関連エントリ

外部ファイル版【姉歯偽装物件時系列一覧
耐震強度偽装問題・・・資料編(12/21現在)


時系列で耐震強度偽装事件を見ると
姉歯秀次氏という人
偽装事件は小さな政府を大きくするか?
耐震強度偽装問題・・・意見・感想編
全裸で自殺・・・の謎 耐震強度偽装問題


posted by 水無月 at 11:48| Comment(2) | TrackBack(4) |   ◇耐震強度偽装問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年12月26日

時系列で耐震強度偽装事件を見ると

イーホームズ社のTOPIX】で知ったのですが【建築よろず相談】提供の【耐震強度偽装問題時系列】ページは良いですよ♪ 大変参考になります。特に偽装が発覚する今年秋口からの流れ・・・は、私自身も一度整理したいと思っていた内容でした。このページのお陰で再び徹夜の地獄は見ずに済みそうです(笑

というわけで話を少し戻しますが、先日、【姉歯偽装物件時系列一覧(12/21現在)T】、【同 U】を整理しました。これは当初予想もしていなかった「SeesaaBlogの一記事あたりの容量オーバー」という障壁のため、やむなく二つにわけてあります。が、一覧表示というのが私のもともとの計画でしたから、近々別の形でUPし直すことを考えています。
※UPしました → 外部ファイル版【姉歯偽装物件時系列一覧】 最新情報への更新もこちらで行っています。

それはともかく、時系列に整理したのはそれなりに目的があったからです。
以下、この時系列一覧表示から現時点で私の気づいたことをまとめておきます。



@ 「時間が経つに従って偽装がエスカレートしていった」は正しくない。

まず、私自身が12月9日の【偽装事件は小さな政府を大きくするか?】の中で「大まかに、過去の物件の方がマシで、偽装を重ねるに従い、姉歯氏の偽装が大胆に、なりふり構わ造ものへと変化している」と述べています。が、このエントリを書いた後で次々と明らかになった過去の物件の資料から、最初期のものであっても強度=0.32のグランドステージ赤羽(1999年5月27建築確認)のような物件があることがわかりましたので、訂正しておきます。

偽装設計士・姉歯氏はその偽装活動の当初から大胆な偽装を行っていたようです。



A ホテルと共同住宅(マンションなど)で偽装の度合いが異なることはない

ホテルの強度とマンションの強度・・・単純に平均を取ればホテルの方が確かに数値が高いのですが、一方では、パークホテル高山(強度=0.23)、エースイン松本(同 0.31)のような例もあります。
一般に、各部屋が細かく壁で仕切られているホテルの方が、開放部の多いマンションよりも強度を確保しやすい、ということを考慮すれば、ホテル物件での0.23(現時点での強度偽装ホテルの最低例)という数字はグランドステージ藤沢の0.15(共同住宅での最低)に匹敵する恐ろしい数字ではないでしょうか。



B 公の審査機関と民の審査機関で偽装の度合いが異なることはない

@と同様、これも私自身が【偽装事件は小さな政府を大きくするか?】の中で次のように述べていました。
「民間検査機関の審査する物件では、自治体検査の物件よりも大胆に(荒っぽく)偽装を行った、という可能性はありそうです」
しかしこの件に関しても、前述のグランドステージ赤羽(北区)、パークホテル高山(岐阜県)、エースイン松本(松本市)といった0.3台以下の物件を地方公共団体の検査機関が通している実例から、正しくないことがわかります。

そしてこのことは逆に、地方公共団体の検査機関とイーホームズや日本ERIに代表される民間検査機関とで検査能力に差はなかっただろう、ということを強く示唆するものです。もしイーホームズを無能とするならば、公の検査機関もまた無能・・・なのでしょう。
現在、国土交通省は地方公共団体の審査能力を調査する方針を固めたそうですが
http://www.asahi.com/special/051118/TKY200512240343.html
実に妥当な措置であろうと思いますね。

事件当初、建築確認業務を民間に開放したからこうなったのだ、というような論調がありましたが、それは正しくないばかりでなく、イーホームズ社が散々訴えているような、「悪意あるスケープゴート(=イーホームズ社)叩きだった」との主張に一定の信憑性が与えられるような気がします。

公の検査機関の無能さを如実に示す記事としてこれも挙げておきましょう。
このうち、東京都足立区、葛飾区、新宿区、大田区では各2件、中央区、文京区、品川区、豊島区、名古屋市は各1件と、計9自治体の13物件が、最終期限の26日までの報告は無理な見通しという。

 9自治体は、いずれも構造計算ソフトを持っておらず、自力で再計算できない。外部の専門家に発注しているが、足立区の場合、いまだに依頼先が見つからない状態。同区は「偽装物件が首都圏に集中しているためか、数社に頼んだが断られた」と説明。文京区も「当初、偽装は単純なものという認識しかなく、出遅れた」と話す。
(【読売新聞】http://www.yomiuri.co.jp/feature/fe5500/news/20051224i106.htm
ちょっと驚いてしまいましたが、自力で再計算できないのだそうです。
ソフトにも多種類あるそうですから、別の種類のソフトは持っているということかもしれませんが、記事中の「外部の専門家」は「数社」とある通り民間企業ということでしょうから、こうした事態そのものが公より民の方が優れている証拠と受け取れるような気がします。



C イーホームズ社の強弁

ところで、スケープゴートとして叩かれている(らしい)イーホームズ社も黙って叩かれているわけではなく、HP上にてリアルタイムで反撃しています(笑)。ネットがこれほど普及したからこそできることで、これ自体、私には非常に興味深いのですが、イーホームズ社提供の情報を鵜呑みにするのも危険なのです。
以下、そのことを述べます。

同社が2005年12月13に公開した【新たな偽造2物件についての質問、現段続での物件リスト等】ですが、ここで同社は【12月12日時点での偽装物件時系列一覧】を公開しています。実はこのページこそ、私が偽装物件時系列一覧リストを自分でUPしようと思ったきっかけでした。

この表の下部で同社は
約1年半前に日本ERI社が偽造を隠蔽せずに公表していたら、偽造グループの物件が弊社に申請がなされず、ほとんどは偽造として生じなかったことはずです。被害が広がったという点で、日本ERI社の責任は重大であると考えます。
と主張しています。しかし肝心の表を見ると、「日本ERI社が公表していたら防げたであろう物件」と左端に注釈つきでマークしてある矢印が、「グランドステージ稲城」を差しているのですね。つまり日本ERI社が偽装を公表していたらグランドステージ稲城以下の偽装物件の被害は防げたであろう、と読めます。グランドステージ稲城は、12月12日時点でイーホームズ社が扱った偽装物件の最古から二番目でした。最古の物件は(12日時点でも現在でも)グランドステージ千歳烏山ですが、なぜかグランドステージ千歳烏山は表中に記載されていません(笑
つまりイーホームズ社提供の表を見る限り、日本ERI社が社会正義にのっとって正しく行動していればイーホームズ社の偽装見逃しという失態は(ほとんど、でなく)すべて避けられたはずだ、と読めてしまいます。
では、グランドステージ稲城は本当に、日本ERI社が偽装をアトラス設計社渡辺氏に指摘されて知り得たはずの約一年半前の物件なのでしょうか?

私は12日の時点ですでに国土交通省提供の偽装物件一覧をローカルに取り込んでおり、時揃列ソートも飽きるほど繰り返していましたからすぐに気づいたのですが、グランドステージ稲城は約二年半前の物件、なのです。
実際には、日本ERI社が偽装を知り得た約一年半前の段続で、イーホームズ社は12日時点に判明しているだけで7件の偽装を見逃していた、のが事実です。
けれどもイーホームズ社提供の表を見ているだけでは、それには絶対に気づけません。なぜなら、時揃列と言いながら、ソートキーとなるはずの項目が「姉歯設計作成年」なるものとなっており、月日の省略された「平成○年」表示となっているからです。
姉歯氏の設計年をなぜイーホームズ社が把握できるのかも謎ですが(笑)、「建築確認日」が国土交通省公表のデータに明記されているにもかかわらずこれを示さず、あたかも7件の自社見逃しの事実を隠微するかのように「日本ERI社が公表していたら防げたであろう物件」の矢印を二年半前に持ってくる・・・イーホームズ社の態度は、どうなのでしょうね?(呆

単なる間違いでなく、目的を持った情報操作と看做されても仕方ないのではないか、と思いますよ?

12月26日現在、イーホームズ社は最新の【12月26日時点での偽装物件時系列一覧】を公表しています。
この中では、「日本ERI社が公表していたら防げたであろう物件」の開始矢印は、正しく一年半前に繰り下がっています。そのかわり
「そもそも認定プログラムが改ざんできないように大臣認定していたら全ての被害は生じなかった」
「行政が発見していたらこの後の被害は防げた物件」
「国土交通省が日本ERI業務停止時に行った精査で偽装を発見していたら被害の拡大を防げた物件」
という三つの注釈が、いわば三重にイーホームズ社の偽装見逃しを擁護する仕組みです(笑

しかしながら、「日本ERI社が偽装を一年半前に知り得たにもかかわらず公表しなかった」疑惑と、上記三つは別の性質の事柄だと私は思います。
日本ERI社の偽装隠しは、もしそれが事実なら立派な犯罪であり、当然に糾弾されねばならないでしょうが、「大臣認定プログラムの不備」「行政確認機関の不備」「国土交通省精査の不備」は、偽装の背景や拡大の要因ではあるでしょうが、それ自体は罪ではありません(罪を犯したのは姉歯氏などでしょう)。

つまり、行政の不作為や不備は、イーホームズ社の偽装見逃しと同様に問題である、ということであって、決してイーホームズ社の偽装見逃しを擁護する意味は持たないのです。

イーホームズ社は「そもそも構造計算認定プログラムが編集(改ざん)不可能な形での申請/審査のシステムで評価認定されていれば、この偽装事件が生じることはなかったのです」
http://www.ehomes.co.jp/SITE1PUB/sun/6/news/report82.html?t=1132554460715
と繰り返し訴えています。が、たとえそれが真実であったとしても、同社の「偽装見逃しという失態の責任」は消えません。
タイトルにつけたイーホームズ社の強弁、と私が感じるのは、あたかも自社の失態はすべて外部に要因がある、かのように同社が主張することです。その主張はやはり、責任逃れのように聞こえます。

イーホームズ社は(検査機関としては)無能であり、同じ程度にほかの民間検査機関も、行政も、公の検査機関も無能であった(とりわけ日本ERI社は無能であるばかりでなく悪質だった疑いがある)、というのが正確なところだろうと思います。
だからどうすればいいのか・・・。ここから先が、日本社会や政府が対応しなければならない問題でしょうね。

そしてもうひとつ、大事なこと。
この時系列一覧表を巡って私は、イーホームズ社は民間企業であり、同社の提供する情報は同社にとって都合の良い内容に限られている(時には都合よく脚色されているかもしれない)、という当たり前のことを強く意識しました。だからこそ、自前で時系列一覧表示を作成したのですけども。
イーホームズ社も当事者なのですから、必死に弁明すること自体は当然ですし、私はそれを批判するつもりもありません。むしろすべての当事者が、自己の正当性をアピールするためにネット上で情報合戦を繰り広げてくれたら、と望んでいます。
ただ、積極的に情報を公開しているイーホームズ社ですが、同社もまた、決して正義の味方ではないのです。情報提供には必ずその裏に目的があり、動機があります。
一覧表での情報操作などは、国交省の情報もあり見破るのは容易ですが、裏づけの取れない同社提供の情報については、真偽を確かめるのは至難の業です。

イーホームズ社提供の情報には同社に有利なように、とバイアスがかかっていることを、情報を受け取る際には常に意識すべきなのだと思いました。



D 「偽装の最初はホテルから」という姉歯氏証言は正しくない

最後に、姉歯氏の証言との矛盾点をまとめておきます。
姉歯氏は2005年12月14日の国会参考人質疑で「偽装の最初は1998年のグランドステージ池上。当初はホテルが中心だったが2003年ごろからはほとんどがマンションだった」と述べていますが、実際に彼の仕事ぶりを確かめてみると、証言とは逆に、偽装最初期の1999年にはほとんどがマンションだったことがわかります。

1999年は興味深い年ですね。この年はマンションがほとんどで、逆に2000年以降ホテル物件が急激に増えます。姉歯氏はまた「4、5年以上前、総合経営研究所のセミナーで講師をした」とも述べています。講師をした頃から、急にマンションの設計受注が増えたということになります。

姉歯証言についてはこの記事も記録しておきましょう。

耐震強度偽装事件で、姉歯秀次・元一級建築士(48)が偽装を始めたとされる1998年、木村建設(熊本県八代市、破産手続き中)の施工物件で姉歯元建築士が構造計算を担当したのは一件だけだった可能性の高いことが21日、分かった。

 姉歯元建築士は衆院国土交通委員会の証人喚問で、木村建設の篠塚明・元東京支店長(45)から鉄骨量を減らすよう指示されたと証言。「仕事の90%を木村建設から請け負っており、(仕事が)なくなると生活できないのでやむをえず(偽装を)やった」と話していたが、実際は木村建設系以外の物件も多かったとみられ、構造計算書偽造の動機をめぐる証言のほころびが明らかになった。
(【日経NET】http://sumai.nikkei.co.jp/special/gizo/index.cfm?i=2005122109975s8

この先はただの私の推測ですから信憑性はありませんが、もしかしたら姉歯氏は、原因と結果が彼自身にもうまく整理できないまま、発言しているのかもしれません。
彼が偽装をしたのは「木村建設から圧力を受けたため」。これが本人の弁。
しかし実際は「圧力を受け入れて偽装をしたからこそ、木村建設からの受注が増えた」。

強度偽装、計算書偽造、というテクニックは、少なくとも現時点での報道を見る限り、姉歯氏の独創的な発見だったと私は思っています。木村建設から無理難題を押し付けられ、苦し紛れに生み出した「コロンブスの卵」だったのでしょう。そのコロンブスの卵は、姉歯氏個人に多大な恩恵をもたらしたはずです。
木村建設からの受注増や、経済設計のできる設計士という賞賛、総研でのセミナー講師。そうして舞台はホテルへと広がってゆく・・・。

彼の偽装を見逃したり促したりした人々を追及するのももちろん大切なことですが、事件の原点となった姉歯氏という人は、やはりどこか特殊な人であったことも間違いないだろうと思います。
姉歯氏の生み出した「コロンブスの卵」的新発想が、木村建設や総合経営研究所を経由して別の設計士達に受け継がれていないことを祈るばかりです。



※関連エントリ

外部ファイル版【姉歯偽装物件時系列一覧
耐震強度偽装問題・・・資料編(12/21現在)
姉歯秀次氏という人
偽装事件は小さな政府を大きくするか?
耐震強度偽装問題・・・意見・感想編
全裸で自殺・・・の謎 耐震強度偽装問題
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2005年12月24日

姉歯偽装物件時系列一覧(12/21現在)U


姉歯偽装物件時系列一覧(12/21現在)T】からの続き。

 
建築確
認日*1
物件名 *2
建築主
 *3
設計
者 *4
施工者
 *5
建築確
認 *6
Qu/
Qun
 *7
46 03/09/06 GS 東向島 ヒューザ SSA 木村建設 イーホー 0.31
47 03/09/25 GS 川崎大師 ヒューザ スペワ 太平工業 イーホー 0.30
48 03/11/08 マルコもちづきH マルコも 平成 都市計画 イーホー
49 03/11/11 サンホテル大和郡山 総研BH 豊國一 豊國建設 日本ERI 0.47
50 03/11/28 京王プレッソ五反田 京王電鉄 平成 木村建設 イーホー
51 03/12/10 湊町中央ビル サン中央 姉歯 サン中央 イーホー 0.31
52 03/12/19 くれたけイン・浜名湖 喜良久 中村組 中村組 イーホー
53 03/12/22 GS 住吉 ヒューザ スペワ 木村建設 イーホー 0.37
54 04/01/07 初台2丁目マ シノケン シノ建 シノケン イーホー 0.78
55 04/01/10 GS 弁天橋 ヒューザ 森田 ヒューザ イーホー 0.41
56 04/01/20 船橋本町3丁目ビル サン中央 姉歯 サン中央 イーホー 0.39
57 04/03/05 東麻布1丁目マ シノケン アーキ シノケン イーホー 0.45
58 04/03/31 西早稲田3丁目マ シノケン シノ建 シノケン イーホー 0.43
59 04/04/01 芝浦2丁目マ シノケン シノ建 シノケン イーホー 0.44
60 04/04/30 GS 八丁堀 ヒューザ SSA 木村建設 イーホー 0.41
61 04/06/21 京王プレッソ茅場町 京王電鉄 木村建 木村建設 イーホー 0.26
62 04/06/22 芝大門2丁目マ シノケン シノ建 シノケン イーホー 0.26
63 04/06/24 GS 藤沢 ヒューザ 森田 木村建設 イーホー 0.15
64 04/08/06 ロセット喜多見 ハウ大興 井上企 勝村建設 イーホー 0.74
65 04/09/27 湊町2丁目中央ビル サン中央 姉歯 サン中央 イーホー 0.37
66 04/10/14 ビジネスホテル黒崎 菅原不 醇建築 木村建設 日本ERI 0.87
67 04/11/04 ホテル新永別館 新永セ 平成 木村建設 日本ERI 1.0〜
68 04/11/10 エクセリ浅草田原町 シンアイ 井上企 未定 台東区
69 04/12/27 セントレジアス船橋 ヒューザ スペワ 丸運建設 イーホー 0.39
70 05/01/24 ラ・ベルドゥーレ白井 東日本住 木村建 木村建設 イーホー 0.73
71 05/01/25 GS 船橋海神 ヒューザ 下河辺 木村建設 東日本住
72 05/03/26 奈良市三条本町SGホ 増富 平成 木村建設 イーホー
73 05/06/08 ビジネスホテル苅田 オオハシ KSM 木村建設 日本ERI
74 05/06/16 都筑佐江戸町マ エルクリ 田口 木村建設 ビューロ
75 05/07/06 セントラルH伊万里 武雄ボ 木村建 木村建設 日本ERI 0.85
76 05/07/19 GS 竹ノ塚 ヒューザ スペワ ヒューザ イーホー
77 05/07/25 GS 町田 ヒューザ SSA 未定 イーホー
78 05/08/25 TKアセットビル 不明 KSM 不明 イーホー
79 05/09/07 本厚木ホテル 厚木ホ KSM アトリ建 イーホー
80 05/10/06 GS 北千住 ヒューザ スペワ 未定 イーホー
81 不明 不明 不明 不明 不明 横浜市 1.0〜
82 不明 不明 不明 不明 不明 横浜市 1.0〜

   *1 すべて「西暦下二桁/月/日」表示。

   *2 建築確認時。現在の物件名は管理人の知り得た分のみ(現)と補足。(仮)は省略。
   略称は以下の通り。 GS=グランドステージ ダイナコ=ダイナコートエスタディオ H=ホテル
   SGホ=SGホテル マ=マンション 京王プレッソ=京王プレッソイン ヴィアイン新大阪ウ=
   ヴィアイン新大阪ウエスト パークホテル高山=(現)カントリーホテル高山 舞鶴SGホテル=
  (現)プラザホテル舞鶴 岡崎伝馬SGホテル=(現)岡崎サンホテル 伊勢崎大手町SGホ=(現)
   伊勢崎サンホテル 平塚・明石町SGホ=(現)パークイン平塚 峰山ビジネスホテル=(現)
   シティーホテル峰山 GS川口原町=(現)GS川口 SGホテル(前橋)=(現)グレースイン前橋
   三交イン桑名=(現)三交イン桑名駅前 エースイン大府=(現)アズイン大府 コニファーコ
   江古田=コニファーコート江古田=(現)ROSSET江古田 アルカン和田町駅前=アルカンシェル
   和田町駅前=(現)レジーナ和田町エスタシオン 羽村市駅前SGホ=(現)プラザイン羽村
   マルコもちづきH=(現)三交イン静岡 湊町中央ビル=(現)サン中央ホームNo.15 初台2丁目
   マ=(現)フォルトゥナ代々木初台 GS弁天橋=(現)コンアルマーディオ横濱鶴見 船橋本町
   3丁目ビル=(現)コルギーS船橋 東麻布1丁目マンション=(現)STAGE麻布 西早稲田
   3丁目マ=(現)スカイコート西早稲田 芝浦2丁目マ=(現)ドルチェ芝浦弐番館 GS八丁堀
   =(現)GS茅場町 芝大門2丁目マ=(現)STAGE大門 ビジネスホテル黒崎=(現)
   アルクイン黒崎 エクセリ浅草田原町=エクセリア浅草田原町 奈良市三条本町SGホ=(現)
   サンホテル奈良 TKアセットビル=(現)沼津TKアセットビル

   *3 *3-1…小俣組・システムプランニング (株)は省略。略称は以下の通り。
   世紀東急=世紀東急工業 ヒューザ=ヒューザー=(旧)ハウジングセンター 岡部マ=岡部
   マイカ工業所 JR西日DS=ジェイアール西日本デイリーサービスネット NVFサ=NVFサービス
   三菱UFJ=三菱UFJ信託銀行 東洋観光=東洋観光事業 オオハシ=(有)ホテルオオハシ
   アサヒプ=アサヒプランナーズ 半田電工=半田電化工業 JR=ジェイアール ヒサコー=
   ヒサコー観光求@名鉄不=名鉄不動産 フリ福井=フリックイン福井 グランビ=グランビル
   ハウ大興=ハウジング大興 マルコも=マルコもちづき 総研BH=総研ビー・エイチ企画
   サン中央=サン中央ホーム シノケン=(旧)シノハラ建設システム 菅原不=菅原不動産
   新永セ=新永センター 東日本住=東日本住宅 エルクリ=エルクリエイト 武雄ボ=虚雛Y
   ボーリングセンター 厚木ホ=旧木ホテル

   *4 (株)は省略。略称は以下の通り。 平成=平成設計
   世東ー=世紀東急工業活鼡煙囃z士事務所 下河辺=下河辺建築設計事務所
   木村建=木村建設 岡田=岡田建築設計 森田=森田設計事務所 豊國一=豊國建設活鼡
   建築士事務所 スペワ=スペースワン建築研究所 SSA=エスエスエー建築都市設計事務所
   姉歯=姉歯建築設計事務所 シノ建=シノケン=(旧)シノハラ建設システム 井上企=井上
   建築企画研究所 アーキ=アーキグラム 醇建築=醇建築・まちづくり研究所 KSM=
   KSM一級建築士事務所 田口=田口設計

   *5 *5-1…木村建設・進藤建設 *5-2…木村建設・鵜川興業 *5-3…窪田建設・丸山工務所
   *5-4…三交ホーム・豊國建設JV (株)は省略。支店は省略 略称は以下の通り。
   世紀東急=世紀東急工業 浅井工務=浅井工務店 沢田工務=沢田工務店 小野里工=
   小野里工業 シノケン=(旧)シノハラ建設システム 都市計画=都市計画工業 サン中央=
   サン中央ホーム アトリ建=アトリウム建設

   *6 (株)は省略。略称は以下の通り。 日建総=(財)日本建築総合試験所
   イーホー=イーホームズ UDI確=UDI確認検査 東日本住=東日本住宅評価センター 
   ビューロ=ビューロベリタス

   *7 赤字は0.5以下。未…調査中で未判明のもの。
   OK…木造建物でQu/Qunはなし。特定行政庁等が現地調査し耐震性に問題がないことを確認。
   中…中規模で損傷。 −…建築確認取り下げ。



※関連エントリ

外部ファイル版【姉歯偽装物件時系列一覧】 ← 最新情報への更新はこちらで行っています
時系列で耐震強度偽装事件を見ると
耐震強度偽装問題・・・資料編(12/21現在)
姉歯秀次氏という人
偽装事件は小さな政府を大きくするか?
耐震強度偽装問題・・・意見・感想編
全裸で自殺・・・の謎 耐震強度偽装問題
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姉歯偽装物件時系列一覧(12/21現在)T


国土交通省が公表している全偽装物件を建築確認日順に一覧整理してみました。

◇ 2005年12月21日現在(82件)
http://www.mlit.go.jp/kisha/kisha05/07/071222_3_.html

このエントリは今後も発表に従い、随時更新してゆく予定(あくまで)です。
(一挙に件数が増えた場合には新エントリを起こすかもしれません)
この時系列リストに対する管理人の感想は後日まとめるつもりです。
※最新版はこちら→外部ファイル版【姉歯偽装物件時系列一覧

背景色区分 : 黄=共同住宅 緑=ホテル 白=その他
 
建築確
認日*1
物件名 *2
建築主
 *3
設計
者 *4
施工者
 *5
建築確
認 *6
Qu/
Qun
 *7
1
99/01/26 アーバン武蔵小金井 世紀東急 世東ー 世紀東急 東京都 0.53
2
99/02/04 GS 江川 ヒューザ 下河辺 松村組 川崎市 0.57
3
99/05/27 GS 赤羽 ヒューザ 下河辺 松村組 北区 0.32
4
99/07/29 GS 鶴見 ヒューザ 下河辺 松村組 横浜市 0.62
5
99/09/30 ダイナコ 桜丘 岡部マ 平成 木村建設 渋谷区
6
99/10/06 ホテルセンピア 伊那米穀 木村建 木村建設 長野県 0.54
7
99/10/08 ダイナコ千代県庁口 岡部産業 岡田 木村建設 福岡市 0.56
8
99/11/24 グランドベイ横浜 ヒューザ 下河辺 東鉄工業 横浜市 0.63
9
00/05/01 サンホテル和歌山 不明 平成 *5-1 和歌山市 0.62
10 00/06/15 ヴィアイン新大阪ウ JR西日DS 平成 大林組 大阪市 0.73
11 00/09/05 パークホテル高山 金亀商事 平成 窪田建設 岐阜県 0.23
12 00/10/03 舞鶴SGホテル NVFサ 平成 鹿島建設 京都府
13 00/12/14 エースイン刈谷 三菱UFJ 平成 木村建設 愛知県 0.8
14 00/12/21 岡崎伝馬SGホテル 不明 平成 浅井工務 岡崎市
15 01/02/21 GS 町屋 ヒューザ 森田 東鉄工業 荒川区 0.72
16 01/02/23 プラザホテル三田 不明 平成 豊國建設 日建総
17 01/05/01 エースイン松本 東洋観光 平成 窪田建設 松本市 0.31
18 01/05/18 駒ヶ根プレモントH オオハシ 木村建 木村建設 長野県 0.52
19 01/08/13 伊勢崎大手町SGホ 不明 平成 *5-2 伊勢崎市
20 01/08/30 平塚・明石町SGホ アサヒプ 平成 *5-3 平塚市
21 01/09/10 峰山ビジネスホテル 京丹商事 豊國一 豊國建設 京都府
22 01/09/19 GS 川口原町 ヒューザ 森田 福田組 日本ERI 0.56
23 01/12/06 サンホテル鳥栖 岩崎実業 平成 木村建設 佐賀県 1.0〜
24 01/12/27 センターワンH半田 半田電工 平成 沢田工務 愛知県 0.64
25 02/01/23 SGホテル(前橋) 不明 平成 小野里工 前橋市 0.57
26 02/02/14 ヴィアイン姫路 JR 平成 大鉄工業 姫路市 0.58
27 02/03/26 岡崎第一Hイースト館 ヒサコー 平成 浅井工務 岡崎市
28 02/03/28 GS 下総中山 ヒューザ スペワ 太平工業 日本ERI 0.73
29 02/04/05 くれたけイン・掛川 不明 木村建 中村組 静岡県
30 02/08/06 GS 豊田 ヒューザ 森田 太平工業 日本ERI
31 02/08/07 名鉄イン刈谷 名鉄不 平成 木村建設 愛知県 0.46
32 02/09/12 三交イン桑名 三重交通 平成 *5-4 日本ERI 0.6
33 02/09/20 GS 千歳烏山 ヒューザ SSA 木村建設 イーホー 0.34
34 03/02/28 GS 稲城 ヒューザ スペワ 志多組 イーホー 0.33
35 03/03/13 GS 溝ノ口 ヒューザ 森田 太平工業 イーホー 0.39
36 03/03/25 エースイン大府 フリ福井 平成 浅井工務 愛知県 0.58
37 03/03/26 不明(一戸建て) 不明 姉歯 不明 イーホー
38 03/04/22 エクセルイン渋川 不明 平成 川村建設 群馬県 0.57
39 03/05/01 日本橋小網町マ グランビ シノ建 シノケン 中央区 0.63
40 03/05/19 プレッソイン池袋 京王電鉄 平成 木村建設 イーホー 0.78
41 03/05/20 コニファーコ江古田 ハウ大興 井上企 植木組 イーホー 1.0〜
42 03/06/17 不明(一戸建て) 不明 姉歯 不明 UDI確
43 03/08/05 不明(一戸建て) 不明 姉歯 不明 UDI確 OK
44 03/08/20 アルカン和田町駅前 *3-1 井上企 奈良建設 イーホー 0.61
45 03/08/22 羽村市駅前SGホ 不明 平成 不明 イーホー


姉歯偽装物件時系列一覧(12/21現在)U】へ続く。

テーブル形式でリストを作成したため記事の許容量(あったんですね?)を超えたようです(涙

posted by 水無月 at 09:51| Comment(0) | TrackBack(1) |   ◇耐震強度偽装問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

耐震強度偽装問題・・・資料編(12/21現在)

【 事件の概要 】

<1. 姉歯氏関与物件>

国土交通省の公表資料によれば、12月21日現在で判明している偽装状況は以下の通り。
http://www.mlit.go.jp/kisha/kisha05/07/071222_3_.html

姉歯建築士の関わった物件は

 平成2年から17年までで計209件。うち

  改竄の判明したもの・・・・82件(平成11年から)
  改竄のなかったもの・・・・80件
  不明等・・・・・・・・・・・・・・・17件
  調査中・・・・・・・・・・・・・・・30件



 改竄の判明した82件の内訳。その@

  東京都・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・25件
  神奈川県・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14件
  千葉県・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10件
  愛知県・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7件
  静岡県・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4件
  群馬県・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3件
  長野県・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3件
  福岡県・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3件
  京都府・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2件
  兵庫県・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2件
  奈良県・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2件
  佐賀県・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2件
  埼玉・岐阜・三重・和歌山県・大阪府・・・1件(計5件)



 改竄の判明した82件の内訳。そのA

  共同住宅・・・・・・・・・・42件
  ホテル・・・・・・・・・・・・37件
  一戸建て住宅・・・・・・・3件



 改竄の判明した82件の内訳。そのB 建築主
 ◇共同住宅
  潟qューザー・・・・・・・・・・・・・・・・・22件
  潟Vノケン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  潟Vノケン東京支店・・・・・・・・・・・・4件
  潟Tン中央ホーム・・・・・・・・・・・・・3件
  潟nウジング大興・・・・・・・・・・・・・・2件(うち1件の強度=1.0以上)
  東日本住宅梶E・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  潟Vンアイ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  小俣組・潟Vステムプランニンク・・・1件
  岡部産業梶E・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  潟Gルクリエイト・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  潟Oランビル・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  渇ェ部マイカ工業所・・・・・・・・・・・・・1件
  世紀東急工業梶E・・・・・・・・・・・・・・・1件
  不明・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2件(強度=1.0以上)
 ◇ホテル
  京王電鉄梶E・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3件
  椛轟、ビー・エイチ企画・・・・・・・・・・1件(強度=0.47)
  叶V永センター・・・・・・・・・・・・・・・・・1件(強度=1.0以上)
  糾竝闔タ業・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件(強度=1.0以上)
  その他の企業群・・・・・・・・・・・・・・・31件(うち不明9件)
 ◇一戸建て住宅
  その他個人?・・・・・・・・・・・・・・・・・・3件(うち不明3件)



 改竄の判明した82件の内訳。そのC 設計者

  平成設計梶E・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・26件
  潟Xペースワン建築研究所・・・・・・・・・・・7件
  姉歯建築設計事務所梶E・・・・・・・・・・・・・6件
  木村建設梶E・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6件
  叶X田設計事務所・・・・・・・・・・・・・・・・・・6件
  渇コ河辺建築設計事務所・・・・・・・・・・・・5件
  潟Vノケン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  潟Vノケン東京支店・・・・・・・・・・・・・・・・・4件
  潟Gスエスエー建築都市設計事務所・・・4件
  活苡繻囃z企画研究所・・・・・・・・・・・・・・4件
  鰍jSM一級建築士事務所・・・・・・・・・・・3件
  豊國建設(株)一級建築士事務所・・・・・・・2件
  樺村組・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  鰹建築・まちづくり研究所・・・・・・・・・・・1件
  潟Aーキグラム・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  渇ェ田建築設計・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  鞄c口設計・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  世紀東急工業活鼡煙囃z士事務所・・・・1件
  不明・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2件



 改竄の判明した82件の内訳。そのD 施工者

  木村建設梶E・・・・・・・・・・・・・・・・・・23件
  木村建設梶負L川興業梶E・・・・・・・1件
  木村建設梶芙叶i藤建設・・・・・・・・1件
  潟Vノケン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2件
  潟Vノケン東京支店・・・・・・・・・・・・・4件
  太平工業梶E・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3件
  太平工業鞄結梹x店・・・・・・・・・・・・1件
  潟Tン中央ホーム・・・・・・・・・・・・・・3件
  叶井工務店・・・・・・・・・・・・・・・・・・3件
  豊國建設梶E・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3件
  潟qューザー・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2件
  樺村組・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2件
  窪田建設梶E・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2件
  窪田建設梶芙滑ロ山工務所・・・・・・1件
  鰹シ村組・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  鰹シ村組東京本店・・・・・・・・・・・・・・2件
  東鉄工業梶E・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  東鉄工業渇。浜支店・・・・・・・・・・・・1件
  且u多組・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  叶A木組・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  丸運建設梶E・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  川村建設梶E・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  小野里工業梶E・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  兜沒c組・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  奈良建設株・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  都市計画工業梶E・・・・・・・・・・・・・・・1件
  椛田工務店・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  鹿島建設梶E・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  椛蝸ム組・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  潟Aトリウム建設・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  三交ホーム梶楓L國建設開V・・・・1件
  勝村建設梶E・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  大鉄工業梶E・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  世紀東急工業梶E・・・・・・・・・・・・・・・1件
  未定・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3件
  不明・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7件



 改竄の判明した82件の内訳。そのE 建築確認

  イーホームズ・・・・・・・・・・・35件 
  日本ERI ・・・・・・・・・・・・・・・・9件
  UDI確認検査 ・・・・・・・・・・・・2件
  東日本住宅評価センター・・・1件
  ビューロベリタス・・・・・・・・・・1件
  (財)日本建築総合試験所・・・1件
  愛知県・・・・・・・・・・・・・・・・・・4件
  横浜市・・・・・・・・・・・・・・・・・・4件
  長野県・・・・・・・・・・・・・・・・・・2件
  京都府・・・・・・・・・・・・・・・・・・2件
  岡崎市・・・・・・・・・・・・・・・・・・2件
  東京都・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  その他4県9市5区・ ・・・・・・・・1件(計18件)
 (群馬・岐阜・静岡・佐賀県 荒川・渋谷・台東・中央・北区
  前橋・伊勢崎・平塚・川崎・松本・大阪・姫路・和歌山・福岡市)


※ 潟nウジングセンターは潟qューザーの前身であり、潟Vノハラ建築システムは潟Vノケンの前身です。これまでの【資料編】では国土交通省発表の表記に従い、両社(四者)ともをそれぞれ分けて記述していましたが、今回から現社名に統一・合算して記載することにしました。



<2. 非・姉歯氏関与物件>

国土交通省が現在把握し調査済もしくは調査依頼中の物件は以下の通り。()内は国土交通省への報告期限。
http://www.mlit.go.jp/kisha/kisha05/07/071214_2_.html
http://www.mlit.go.jp/kisha/kisha05/07/071212_3_.html
http://www.mlit.go.jp/kisha/kisha05/07/071209_2_.html
http://www.mlit.go.jp/kisha/kisha05/07/071220_3_.html


 @ 姉歯物件・・・・・・・・・・・・209件

 A 木村物件・・・・・・・・・・・・169件(05/12/26)

 B ヒューザー・平成物件・・・90件(05/12/26)

 C 総研物件・・・・・・・・・・・・139件(06/01/10)


※@姉歯物件は姉歯元建築士の関与したもので、前項の通り。A木村物件は木村建設が関与し@でないもの。Bヒューザー・平成物件は、ヒューザーまたは平成設計が関与し、@、Aでないもの。C総研物件は総合経営研究所が関与し@〜Bでないもの。


※関連エントリ

姉歯偽装物件時系列一覧(12/21現在)T
姉歯秀次氏という人
偽装事件は小さな政府を大きくするか?
耐震強度偽装問題・・・意見・感想編
全裸で自殺・・・の謎 耐震強度偽装問題
posted by 水無月 at 08:42| Comment(1) | TrackBack(0) |   ◇耐震強度偽装問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年12月18日

姉歯秀次氏という人

私は基本的に、こうした問題で渦中の人物個人を糾弾することには、ほとんど意味がないと考えています。追求するなら、その背後の社会的な構造や利権関係・・・などを。その方が益が多いでしょう。
それでもなお、あえて感想を書きたくなってしまった・・・のは、困ったことですね(汗

以下は私の個人的な感想であり覚書です。姉歯氏を批判する意図もありません(もちろん、犯罪行為自体は厳しく追求されるべきでしょうが)。そうした前置きつきで、書き残しておきます。



【 人 物 像 】

姉歯氏がどういう人物なのか、ということには、私は当初から興味を抱いていました。言うまでもなく、彼の犯した計算書偽造という行為が、非常に特異な犯罪だからです。私の記憶にある限り、こういうことをしてしまった建築士は彼がはじめてです。
建築業界内部や同じ設計士の立場の人からは、業界の構造的な(利益追求・消費者不在の)風潮や、設計士の中でもとりわけ構造設計士が冷遇されている現状などから、同情的な見方が出ていることも、私は知っています。
姉歯氏はいわば組織化された犯罪構造の最下層で加担させられた、一種の被害者なのだ・・・というイメージ。
生活のため計算書偽造に手を染めた、という彼自身の証言がいっそう同情を誘います。

しかしそのイメージは正確なものなのでしょうか?
もし本当に、「生活のため」内心では嫌だったけれども仕方なく「上からの圧力に負けて」、偽造をしてしまったのだとしたら、ではなぜ彼は、ことが公になり設計士の資格を取りあげられることが確実となった後でまで、嘘をつくのでしょう?

私が彼に関心を持つのは、その精神構造において・・・なのです。



【 姉歯氏の嘘 】

彼の虚言についてはすでに明白になっていますが、念のため、姉歯証言をまとめてみましょう。

(青字以外はmsn毎日新聞より)


11月18日 (報道各社に)
 「早くて低コスト」という業界の雰囲気があった。偽造は独断でやった。国交省が発表した21件以外はやっていない。
 マンション施工業界からのコスト削減のプレッシャーがあった。重大なことをしてしまった、と反省している。計算書の偽造を始めたのは約2年前で、改ざんしたのは21棟だけコストが低くなる書類を作ることで仕事が多く回ってくるかもしれない、という考えもあった。検査機関のチェックが甘く、何度もやってしまった。日経新聞

11月24日 (国交省聴聞会)
 取引先から「鉄筋を減らさないと他の事務所に頼む」と言われ、生活のためにやった。検査が通ってびっくりした。
 (木村建設、ヒューザー、シノケンの三社から)建設コストを下げる設計をするよう指示された。
 (建築確認した民間の検査機関に偽造した構造計算書を初めて提出した時)提出期限が迫り、後で正しい計算書に差し替えるつもりだったが、審査を通ってしまい、びっくりした。今思えば、あの時やめるべきだった。
 (建築確認の審査について)厳しいところと甘いところがあるので、イーホームズにした。
朝日新聞

11月下旬 (関係者に)
 多くの仕事をこなすため、頼まれていない物件でも偽造した。病気の妻の入院費が必要だった。

11月28日 (参考人質疑前日)
 関係者が自殺し、怖くて外出できない。このような状態ではお答えできない。

12月7日 (2回目質疑当日)
 精神的重圧を感じるため出席できない。

12月14日 (国会証人喚問)
 (偽装物件は)60件前後だったと思うが、はっきりとは分からない。
 (最初に偽装した物件は)1998年ごろのグランドステージ池上だった。
 構造のプロなら(偽造は)一目瞭然でわかると思う。民間の確認検査機関に出した時点ですぐばれると思っていた
 篠塚元支店長は(法令違反について)十分に認識があったはず
中日新聞



この中で彼は幾つかの相互に矛盾する証言をしており、結果的に後の証言が、先の証言が嘘であったことを明らかにしているわけです。

まずは偽装物件の数。11月18日には「21件以外はない」と明言していましたが、12月14日には「60件前後」にまで増えています。ちなみに、国土交通省が16日現在で偽装と認定しているものは75件です。
次に偽装に手を染めた時期。同じく11月18日には「二年前から」だったものが、12月14日には「1998年ごろ」に変わっています。

もっとも、これは単純に、「まだバレていない偽装は黙っておく」という心理からだったと解釈できます。今回の事件には、ヒューザーの小嶋氏、総合研究所の内河氏など個性豊か(笑)な人物が多数登場していますので、それと比較すると、一見姉歯氏は、悪あがきすることなく己の罪を認めた潔い人物のように映りますが、実際はそうでもないのですね。
彼もまた彼なりに、見え透いた嘘で懸命に保身を図っているのです。

また、このことから逆に、彼が十分な知能を有し(痩せても枯れても一級建築士の資格を有していたのですから当然ですが)、さらには決して心神耗弱状態でもないこともわかります。

最後の嘘は「圧力のもと、独断でやった(11/18)」から「木村建設篠塚氏はこれを認識していたはず(12/14)」への微妙な変化です。



【 姉歯氏の保身欲 】

上記証言集の中で明らかになった嘘はそれだけではありません。彼は最初の偽装について、詳しく説明しています。要約すると以下のようになります。
最初の偽装は1998年のグランドステージ池上であり(12/14証言)、民間検査機関の審査を通ってしまい、びっくりした。今思えば、あの時やめるべきだった(11/24)と思うが、検査機関のチェックが甘く、何度もやってしまった(11/18)。
(そして12/14には再び)民間の確認検査機関に出した時点ですぐばれると思っていた。

「今思えばあの時やめるべきだった」とは、なんとも生々しい話ではありませんか。これが嘘とは俄かに信じられません。
というわけでこの証言を真に受けると、木村建設から圧力を受け計算書偽造をしたものの、内心ではそれが見破られ(結果として経済設計の無謀さが木村側にも明らかにな)ることを半ば期待していた・・・かのような、一級建築士の複雑に屈折した胸中、が浮かび上がってきます。

が、実は1998年のグランドステージ池上の審査をしたのは民間建築機関ではなかったのです。98年7月に建築確認業務を行ったのは大田区でした。(参考=混乱する大田区

つまり、「最初の偽装物件がグランドステージ池上である」(12/14国会証人喚問)か、「最初の偽装を提出したのは民間検査機関である」(11/24国交省聴聞会)か、のどちらかが、であったことになります。

11月24日の国交省聴聞会の時点では、まだ発覚した偽装物件は21件であり、しかもすべて民間検査機関が建築確認をしていました。このことから、彼が11月24日の段階で「自分は圧力に屈して計算書偽造をしてしまったが、民間検査機関が見抜いてくれればよかった(見抜くべきだった)」という架空のストーリーを産み出してしまった気持ちは理解できます。
もちろんその物語には、民間検査機関の無能さを強調するのと引き換えに、姉歯氏自身の人格の高潔さを保証する役割があるのです。

しかし12月14日・・・グランドステージ池上が最初の偽造であると明らかにしたのであれば、彼は「検査の甘い民間検査機関が悪い」という彼の持論を引っ込めておくべきでしたね。民間検査機関の無能さを再度指摘するのでなく、公の検査機関もまた無能であった事実を指摘すべきだったのです。

なぜ姉歯氏がそれをしなかったのか・・・。真実を知るのは彼のみでしょうが
@ 最初の偽装はグランドステージ池上ではなかった(より過去に偽装していた?)

A 公の審査と民の審査では甘さに違いがあり、姉歯氏は民審査の物件はより大胆(大雑把)に偽装していた。ここまでは真実だとすると、最初の偽装=グランドステージ池上では、姉歯氏も偽装発覚を望んでいなかった。バレないように細心の注意を払って偽造計算書を作成した。したがって「(見る者が見れば)一目瞭然」という証言は嘘。

このどちらか、でしょうね。
ちなみに「一目瞭然」という発言に、責任転嫁の図々しさ子供じみた甘えの匂いを嗅ぐのは私だけでしょうか?(苦笑

なお、「保身」ということに関しては、姉歯氏がしきりに、自己の安全が何者かによって脅かされる危険があるとアピールをすること、偽造の動機を「生活のため」「妻の病気のため」などと説明すること、など、いずれも私は保身のためではないかと疑っています。
保身というのは大げさかもしれませんが、非力な自己、を演出し同情を買おうとしているのではないか、と思えてしまうのです。

彼が偽造に走り、そこから抜け出せなくなってしまったのは、もっと別の原因からだったのではないでしょうか。
それは私には歪んだ「一級建築士の誇り」そのものだったように思えます。



【 歪んだ誇り 】

「(見る者が見れば、構造のプロが設計図を見るなら)一目瞭然だ。(中日新聞)」という発言を好意的に受け取れないことは先に述べましたが、私はここにもうひとつ、別のニュアンスも感じました。

それは、「自分が見れば(偽造計算書は)見破ることができる」「自分こそ構造のプロである」という、強烈な自負心です

私自身は、建築などまったくの素人ですから、それが実際に一目瞭然なのかどうか、判断できません。
ただ、「今回のように構造計算書が偽造された場合、検査機関の65%はそれを見抜くのが『難しいと思う』と回答した」というNHKのアンケートや、そのほかの報道などから想像するに、偽装には幾つかのパターンがあり、見抜くのに膨大な調査が必要なものから、設計図を見るだけで即座にわかってしまうものまであった、のではないかと思っています。
実際、アトラス設計の渡辺氏も「すぐ見て偽装に気が付く内容だった」と述べています(読売新聞)。

そして、ここから先は私の想像ですが、姉歯氏の「一目瞭然」発言は、実はこの渡辺氏を念頭に置いてされたもののように思えるのです。
強度偽装をした人間が、見破った人間に対し、「見る者が見ればそんなものは簡単にわかるんだ」と言う。それはまるで、自分の価値を下げることは承知の上で(姉歯氏はもう下がりようもないところまで下がっていますが)、相手の功績を貶めようとする・・・かのような。
これはうがちすぎな見方・・・でしょうか?


ともあれ姉歯氏が、一級建築士の肩書きに特別な思い入れ(誇り)を抱いていたことは確かでしょう。
「始まりはプレッシャーをかけられ、1級建築士の誇りもあり、そういうこと(偽造)はできないと思っていた。病気がちの妻が当時入退院を繰り返していた。9割以上木村建設絡みの仕事を請け負っていたので、仕事を断るということは収入が限りなくゼロになる。そこで葛藤した。本来は絶対にやってはいけないと分かりつつ弱い自分がいた。そういう状況の中でやってしまった。」(12/14国会証人喚問 中日新聞

一級建築士の誇り・・・。
この資格はかなり難関であり、姉歯氏自身も苦学の末に手にしたものだったようです。しかしそれが、取引先からの圧力によって踏みにじられ、計算書偽造という汚濁にまみれてしまった・・・時、きっと彼の中でなにかが起きたのでしょうね。

「構造のプロなら」偽造は「一目瞭然」という発言の中に、私は、本来の輝きを失い、今では腐敗し変質して汚臭を放つばかりとなった「一級建築士の誇り」を見たように思いました。
そしてこの同じ誇りが、過去のいつかの時点で不当な圧力を最初に受けた際、「圧力を拒否して仕事を失った結果、事務所をたたむ」よりは「偽造でもいいから設計の仕事を続け、建築士であり続ける」ことの方を、彼に選ばせたのではないかと想像するのです。

経済的困窮は、計算書偽造をする、という選択肢を姉歯氏の前に示しただけの意味しか持ちません。その道をあえて選択したのは、彼自身の弱さというよりは、むしろ強固なプライドのためだったのではないでしょうか。



【 偽造建築士というアイデンティティ 】

木村建設の圧力を受け、泣く泣く偽造に手を染めた気の毒な一級建築士・・・というイメージは、次のような事実を知ると次第に揺らいできます。

――総合経営研究所のセミナーで講師をやったのか?
「講師をしたのは事実。総研の本社で1時間くらい。(時期は)4、5年以上前かもしれない。」(12/14国会証人喚問 日経新聞

「国土交通省の調べなどでは、姉歯氏の偽造は98年から始まり、01年から急増している。10年ほど前は、知人から譲り受けた中古車に乗っていたが、木村建設の仕事を請け負うようになって高級車に換え、3〜4年前からは高級外車やオートバイを次々と購入するなど、羽振りよく振る舞っていたという。」(毎日新聞

「コンピューターソフトへの入力数値を改竄(かいざん)し、鉄筋の本数を抑えるなど建設コストを圧縮したところ、このマンション業者から次の受注も得られた。これに味をしめる格好で、ほかの業者の受注に対しても、計算書の偽造を繰り返していったという。」(フジサンケイ

姉歯氏自身、「コストが低くなる書類を作ることで仕事が多く回ってくるかもしれない、という考えもあった」「多くの仕事をこなすため、頼まれていない物件でも偽造した」と告白しています(上記既出)。
つまり、最初の頃こそ、良心の呵責や圧力への抵抗を感じたかもしれませんが、いつからか積極的に、「頼まれてもいないのに」偽造した、ということです。その理由は「多くの仕事をこなすため」。そして「生活のため」です。
この「生活のため」が、その言葉から連想するような「最低限の生活」ではなく、「生活の質をより上げるため」であったことも、今では明らかです。

ここからわかるのは、姉歯氏自身が、経済設計のできる構造設計士、すなわち偽造設計士というアイデンティティを受け入れ、すっかり馴染んでいた・・・事実です。


姉歯氏に心の弱さがあるとすれば、それは、偽造設計士としての生活を何年も満喫したあとの今になってなお、それを心の弱さからだと言って片付けてしまえる弱さでしょう。
自分の中の悪を認められない弱さ・・・ということかもしれません。

いずれにせよ姉歯氏の発言からは、頼んでもいない計算書偽造を勝手にされてしまった施主や元受設計者、建築主・・・といった人々の心境へ思いを馳せた痕跡、本来ならそういう方向へ働くはずの想像力、が、微塵も感じられません。
姉歯氏の謝罪の言葉が虚しく聞こえてしまうのはそのためです。少年事件などで時折感じる、絶望的なまでの他者への共感力の欠如、の匂いを、私はうっすらとですが、姉歯氏にも感じました。そしてまた、ここから、子供っぽさや甘えを感じたのです。



【 謎の偽装物件 】

今後の調査で明らかになることを期待していますが、姉歯氏の強度偽装には不思議な点が幾つかあります。

その@
「手計算で調べても発見できなかったくらい巧妙な偽造だった。ただ、この改ざんで建設コストが格段に下がることはなく、偽装の目的がわからない。
(1999年建設「アーバン武蔵小金井」に関する施主「世紀東急工業」のコメント 読売新聞

建築コストが下がらない、すなわち経済設計でなく偽装をし、しかも強度を53%にまで落とした動機・目的とは・・・?


そのA
偽装が判明したにも関わらず強度がQu/Qun値※で1.0以上の物件があること。

  物件名      建築主       設計者(施主)   建築確認年/月

サンホテル鳥栖   糾竝闔タ業   平成設計(木村建設)   01/12
コニファーコート江古田 缶ウジング大興 井上建築企画研(植木組) 03/5
ホテル新永別館 叶V永センター   平成設計(木村建設)   04/11


現在判明しているのはこの三件ですが、強度が1.0以上あるなら、それは悪影響のない偽装ということになります。が、では、なんのための偽装だったのでしょうか?
姉歯氏はどの年にも、偽装物件だけでなく偽装のない設計も行っています。偽装をしない、こともできたはずなのに偽装をしており、しかも強度は下がっていない(=鉄筋は減らしていない)?

それがどういう意味なのか、非常に興味深いですね。


このAと、先述の@、いずれも私は、偽装設計士としての姉歯氏の仕事スタンスと関係があるように思えてなりません。今後これらの謎が解明されることを期待しています。

※Qu/Qun値は私はほとんど理解できていませんが、「保有水平耐力/必要保有水平耐力」の意味だそうです。国土交通省によれば「0.5以下の場合、震度5強で倒壊の恐れ」とか。



【 ま と め 】

このエントリ、思いがけず長くなってしまいました。もっと簡単にまとめたかったのですが(汗
報道資料が豊富にあることと、姉歯氏への私の個人的な興味・・・ゆえですね。

当BLOGは政治BLOGと位置づけていますから、本来はこうしたエントリは守備外なのですが、何度も国土交通省の資料に目を通しているうち、自然と、姉歯氏とはどういう人物なのか・・・という方向へ興味が移ったのです。

けれども、こうして書いてみても、姉歯氏とはよくわからない、掴みどころのない人ですね。ダーティなイメージとも、清廉なイメージとも等間隔で隔たっている・・・。そんな印象です。
その原因のひとつには、冒頭で述べたように彼が必ずしも真実を述べていない、ことが挙げられるでしょう。彼に関して私が確かにそうだろうと確信できるのは、「保身の意図がある」ことと、「(元)一級建築士の(歪んだ)誇り」の二点のみでした。


勝手な想像ですが、こういう掴みどころのない、なかなか真実を述べない人は、心から他人に心を開く、ということはないような気がします。彼は家族にも、どこか心を閉ざしていたのではないでしょうか。
彼自身、妻の病気を何度も口に出していますが、もし本当にその妻を愛しているのであれば、男は普通、妻の病気のため、とはそうそう強調できないように思います。何度もしつこく訊ねられ、ようやくボソリと「実は妻が・・・」と告白する、そういうシチュエーションであれば、その発言を信じる気にもなるのですが・・・ね。
あまり他者のプライバシーに立ち入りたくはないのですが、彼はもしかしたら木村建設の篠塚氏と同じくらい、病身の妻にも嫌気が差していた・・・のかもしれません。

いずれにせよ、その荒れた自宅の外観同様、彼個人の内面も、手入れの行き届いてない状態だった・・・ことは確かでしょう。それが偽装に手を染めてからのことなのか、それとも、そうなる以前からだったのか、は、余人には推し量るすべもありませんが。


最後に・・・。建築設計の実務者567人からの回答。


 あなたは姉歯一級建築士に同情しますか?

      同情する ・・・・・ 7.9%
      同情しない ・・・ 82.9%



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2005年12月16日

耐震強度偽装問題・・・資料編(12/16現在)

【 事件の概要 】

<1. 姉歯氏関与物件>

国土交通省の公表資料によれば、12月16日現在で判明している偽装状況は以下の通り。
http://www.mlit.go.jp/kisha/kisha05/07/071216_.html

姉歯建築士の関わった物件は

 平成2年から17年までで計210件。うち

  改竄の判明したもの・・・・75件(平成11年から)
  改竄のなかったもの・・・・76件
  不明等・・・・・・・・・・・・・・・19件
  調査中・・・・・・・・・・・・・・・40件



 改竄の判明した75件の内訳。その@

  東京都・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・21件
  千葉県・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10件
  神奈川県・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11件
  愛知県・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7件
  群馬県・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3件
  長野県・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3件
  静岡県・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4件
  福岡県・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3件
  奈良県・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2件
  京都府・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2件
  佐賀県・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2件
  兵庫県・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2件
  埼玉・岐阜・和歌山・三重県・大阪府・・・1件(計5件)



 改竄の判明した75件の内訳。そのA

  共同住宅・・・・・・・・・・36件
  ホテル・・・・・・・・・・・・36件
  一戸建て住宅・・・・・・・3件



 改竄の判明した75件の内訳。そのB 建築主
 ◇共同住宅
  潟qューザー・・・・・・・・・・・・・・・・・・20件
  潟Vノケン東京支店・・・・・・・・・・・・・4件
  潟Tン中央ホーム・・・・・・・・・・・・・・3件
  潟nウジング大興・・・・・・・・・・・・・・2件(うち1件の強度=1.0以上)
  東日本住宅梶E・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  潟Vンアイ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  小俣組・潟Vステムプランニンク・・・1件
  岡部産業梶E・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  潟Gルクリエイト・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  潟nウジングセンター・・・・・・・・・・・・1件
  潟Vノハラ建設システム・・・・・・・・・・1件
 ◇ホテル
  京王電鉄梶E・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2件
  椛轟、ビー・エイチ企画・・・・・・・・・・1件(強度=調査中)
  叶V永センター・・・・・・・・・・・・・・・・・1件(強度=1.0以上)
  糾竝闔タ業・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件(強度=1.0以上)
  その他の企業群・・・・・・・・・・・・・・・31件(うち不明9件)
 ◇一戸建て住宅
  その他個人?・・・・・・・・・・・・・・・・・・3件(うち不明3件)



 改竄の判明した75件の内訳。そのC 設計者

  平成設計梶E・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・24件
  潟Xペースワン建築研究所・・・・・・・・・・・7件
  姉歯建築設計事務所梶E・・・・・・・・・・・・・6件
  木村建設梶E・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6件
  叶X田設計事務所・・・・・・・・・・・・・・・・・・6件
  潟Vノケン東京支店・・・・・・・・・・・・・・・・・4件
  潟Gスエスエー建築都市設計事務所・・・4件
  活苡繻囃z企画研究所・・・・・・・・・・・・・・4件
  渇コ河辺建築設計事務所・・・・・・・・・・・・4件
  鰍jSM一級建築士事務所・・・・・・・・・・・3件
  豊國建設(株)一級建築士事務所・・・・・・・2件
  樺村組・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  鰹建築・まちづくり研究所・・・・・・・・・・・1件
  潟Aーキグラム・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  渇ェ田建築設計・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  鞄c口設計・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件



 改竄の判明した75件の内訳。そのD 施工者

  木村建設梶E・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・21件
  木村建設梶負L川興業梶E・・・・・・・・・・・1件
  木村建設梶芙叶i藤建設・・・・・・・・・・・・1件
  潟Vノケン東京支店・・・・・・・・・・・・・・・・・4件
  太平工業梶E・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3件
  太平工業鞄結梹x店・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  潟Tン中央ホーム・・・・・・・・・・・・・・・・・・3件
  叶井工務店・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3件
  豊國建設梶E・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3件
  潟qューザー・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2件
  樺村組・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2件
  窪田建設梶E・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2件
  窪田建設梶芙滑ロ山工務所・・・・・・・・・・1件
  鰹シ村組・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  鰹シ村組東京支店・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  東鉄工業梶E・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  東鉄工業渇。浜支店・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  且u多組・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  叶A木組・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  丸運建設梶E・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  川村建設梶E・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  小野里工業梶E・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  兜沒c組・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  潟Vノハラ建設システム・・・・・・・・・・・・・・1件
  奈良建設株・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  都市計画工業梶E・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  椛田工務店・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  鹿島建設梶E・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  椛蝸ム組・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  潟Aトリウム建設・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  三交ホーム梶@豊國建設株式会社JV・・・1件
  勝村建設梶E・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  大鉄工業梶E・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  未定・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3件
  不明・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5件



 改竄の判明した75件の内訳。そのE 建築確認

  イーホームズ・・・・・・・・・・・34件 
  日本ERI ・・・・・・・・・・・・・・・・9件
  UDI確認検査 ・・・・・・・・・・・・2件
  東日本住宅評価センター・・・1件
  ビューロベリタス・・・・・・・・・・1件
  (財)日本建築総合試験所・・・1件
  愛知県・・・・・・・・・・・・・・・・・・4件
  長野県・・・・・・・・・・・・・・・・・・2件
  京都府・・・・・・・・・・・・・・・・・・2件
  岡崎市・・・・・・・・・・・・・・・・・・2件
  横浜市・・・・・・・・・・・・・・・・・・2件
  その他4県8市3区・ ・・・・・・・・1件(計15件)
 (群馬・岐阜・静岡・佐賀県 台東・荒川・北区
  前橋・伊勢崎・平塚・松本・大阪・姫路・和歌山・福岡市)




<2. 非・姉歯氏関与物件>

14日の衆院国土交通委員会で証人喚問された木村建設の篠塚明・元東京支店長の提出した同社・内部資料により、非・姉歯氏関与の偽装物件の存在が疑われています。
http://www.yomiuri.co.jp/feature/fe5500/news/20051216i101.htm

国土交通省は木村建設、ヒューザー、平成設計の関与した全物件の調査を自治体に依頼しており、この結果も随時明らかになってゆくでしょうから、判明次第、それも書き加えてゆきたいと思っています。
http://www.mlit.go.jp/kisha/kisha05/07/071214_2_.html
http://www.mlit.go.jp/kisha/kisha05/07/071212_3_.html
http://www.mlit.go.jp/kisha/kisha05/07/071209_2_.html


国土交通省が現在把握し調査済もしくは調査依頼中の物件は

◇姉歯元建築士が関与したもの・・・・・・・・・・・・・210件
◇非・姉歯で木村建設が関与したもの・・・・・・・・169件
◇非・姉歯 かつ 非・木村建設で
 ヒューザーまたは平成設計が関与したもの・・・・90件



※関連エントリ

姉歯秀次氏という人
偽装事件は小さな政府を大きくするか?
耐震強度偽装問題・・・意見・感想編
耐震強度偽装問題・・・資料編(12/6現在)
耐震強度偽装問題・・・資料編(12/2現在)
全裸で自殺・・・の謎 耐震強度偽装問題
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2005年12月12日

黒塗り教科書と平和憲法

※以下は改憲に関しての覚書です。2005年12月10日の日記より抜粋。


本日風呂場で不意に思ったこと。
終戦直後の黒塗り教科書の衝撃を、今の戦後世代(代表は私)は
受けてるのかもしれないなぁ・・・と。
他世代のことは知りませんがね。
あれが侵略戦争でなく自衛戦争だったと考えるのは難しい。
結局定義の問題じゃなかろうか・・・と思ってみる。

「過ちは繰り返しませぬから」(広島原爆慰霊碑)
この「過ち」とはなんぞや?
戦争をしたこと、か、戦争で負けたこと、か。
私には正直言ってわからない。ごめんなさい。
私は戦後生まれであって、戦争を体験したわけじゃないのだ。

認識など脆いもの。
それが歴史だ。と思う。


     ◇     ◇     ◇


戦争をできる国にしようとしている・・・という改憲反対派の
スローガンはなんか変じゃない?
「戦争をできる国」の反対は「戦争をできない国」だ。
戦争をできない国のままでいたいということか。戦争を
できる国
できない国
できるけどしない国
できないからしない国
正解はどれ? 今までの日本はどれだったでしょう?
そして今後どれを目指すべきでしょうか? 四択です。

できないけどした国
できるからする国
もあるかもね。戦前日本と現在米国。

確かなのは
改憲反対派は国民を信じていないということ。
国民を信じないと言う代わりに
政府を信じないと言っているに過ぎない。
(では私は日本国民を信じているだろうか)


     ◇     ◇     ◇


もうひとつ思ったのは
平和憲法は理屈じゃないんだよね。
たぶんそれは、戦争をできない国に必要だった自意識だ。
戦争はできないけれど平和憲法がある、という誇り。
もしくは慰め? 民族の・・・。
護憲家の中では平和憲法と愛国心はなんら矛盾せず
時に同一のものだったりする。
天皇陛下が平和憲法に取って代わられただけなのじゃあるまいか。
だからその権威の崩壊に直面する衝撃は
黒塗り教科書に匹敵する・・・と思ったわけ。

戦後的価値観(リベラリズム?)に染まりきった人間が
平和憲法の国際政治上での限界を認識することは
教育勅語的価値観の中で育った日本人が
天皇の人間宣言を聞かされた時に(おそらく)感じたであろう
と同質の、衝撃と抵抗感に曝されることなのかもしれない。

もちろん、いつの時代にも、易々と時流に乗り
価値観の転換を果たせる人もいるし、それが苦手な人もいる。
時流など関係ないよ、という人も。


天皇や天皇制を守るため、GHQにゲリラ戦など挑まなかった
日本人だから(一億玉砕はどうなった)
平和憲法を守るための草の根ゲリラ戦も勝敗は見えている。
それが日本人だ。
posted by 水無月 at 18:16| Comment(2) | TrackBack(0) | 国内(憲法・改憲) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年12月09日

偽装事件は小さな政府を大きくするか?

耐震強度偽装問題・・・。連日さまざまな報道がありますね。
ただ資料をまとめるだけでは片手落ちでしょうから、今時点での私の雑感を記録しておきます。
とはいえ、この事件に対する私の関心は、今では主に、建築確認業務を民間検査機関に任せることの是非、に絞られてきています。



【 建築検査 】

建築確認を民間に任せることは、昨今の(小泉氏が強力に進める)「小さな政府」「官から民へ」の政策から言えば当然の流れですが、公による検査と民による検査ではどの程度の違いがあるのでしょうか。もし、建築確認業務が民に開放されていなかったなら、今回の事件は起きなかったのでしょうか。

そこで私は、姉歯建築士の偽装を、国土交通省発表の資料から時系列で調べてみました。
http://www.mlit.go.jp/kisha/kisha05/07/071208_3_.html

平成10年以前には、12/8日現在では、偽装があったことは(公には)確認されていません。

平成件数建築確認機関強度
11年2長野県
福岡市
未公表
12年6岐阜県
愛知県
岡崎市
京都府
大阪市
(財)日本建築総合試験所
未公表
13年10前橋市
伊勢崎市
日本ERI
荒川区
平塚市
長野県
松本市
愛知県
岡崎市
京都府
0.56
0.72
ほか未公表
14年2日本ERI
愛知県
0.73
ほか未公表
15年13群馬県
愛知県
日本ERI
イーホームズ ×10
0.3〜0.37×5
ほか未公表
16年15台東区
日本ERI ×2
イーホームズ ×12
0.26〜0.44×10
1件のみ0.78
ほか未公表
17年11日本ERI ×2
ビューロベリタス
イーホームズ × 8
未公表
不明3UDI確認検査 × 2
イーホームズ
未公表


強度についてはまだ地方自治体が調査している最中であり、未公表物件の方が多いです。しかし大まかに、過去の物件の方がマシで、偽装を重ねるに従い、姉歯氏の偽装が大胆に、なりふり構わぬものへと変化していることがわかると思います。

私がこの資料で言いたいことはひとつです。
姉歯氏が偽装に手を染めた初期、建築検査をしたのはすべて地方自治体(つまり公)の検査機関であった、ということ。
民であるイーホームズが審査を始めたのは平成15年になってから、日本ERIは13年になってから・・・です。
このことから、偽装の最初期にそれを見抜けなかった地方自治体の罪は重い、と指摘しておきます。ここで見抜いていたならば、姉歯氏がエスカレートするのを防げたかもしれませんからね。


現時点の私個人の感想ですが、官より民の検査の方が甘かった、杜撰だった、という傾向は、確かにあるのではないかと疑っています。強度0.3台などという物件を通してしまったイーホームズには、どんな弁解の余地もないでしょう。
ただし、官なら事件が起きなかったか、ということまで考えると、それも疑問に思う・・・というのが、正直なところです。

一方ではこんな例もあります。
【新たに「姉歯マンション」判明、最も古い偽装物件】
http://www.yomiuri.co.jp/feature/fe5500/news/20051208i113.htm
この物件はまだ報道段階であり、上記の表には含まれていませんが、偽装設計が行われたのは平成11年1月以前であり、建築確認をしたのは東京都、耐震強度は53%・・・だそうです。偽装はかなり巧妙だったようですね。

姉歯氏が、民間検査機関の審査する物件では、自治体検査の物件よりも大胆に(荒っぽく)偽装を行った、という可能性はありそうですが、そうすると逆に、公が審査する限り、偽装は巧妙に続き、永久に明るみに出なかった、という可能性もあります。
どちらがマシなのか・・・。判断の分かれるところでしょうね。

今回の事件を契機に、抜本的な対策が取られるならば、それ自体を民営化の成果である、と捉えることもできるでしょうし、それを日本社会や日本政府がなしえないのであれば、「小さな政府」理論は弊害の方が目立つ、という結果になりそうです

もちろん、上記はすべて12月8日時点で公表されている資料に基づく意見ですから、今後の調査結果次第では成り立たなくなる可能性もありますが。



【 住民保護・被害者救済 】

もうひとつ、検査機関民営化の問題点について。
http://homepage2.nifty.com/kekkanzenkokunet/

○最高裁平成17年6月24日決定
 民間確認検査機関による確認に関する事務は,建築主事による確認に関する事務の場合と同様に,地方公共団体の事務であり,その事務の帰属する行政主体は,当該確認に係る建築物について確認をする権限を有する建築主事が置かれた地方公共団体であるとしました。
 その結果,確認検査機関の検査ミスは,イコール地方公共団体のミスということになります。

○横浜地裁平成17年11月30日判決
 上記の最高裁決定の前提となった事件。上記の最高裁決定を引用したうえで,「被告検査機構が行った本件確認処分が原告らとの関係において,国家賠償法上も違法と評価され,その点に故意又は過失があって賠償を要するものであれば,被告横浜市は国家賠償法1条1項の「公共団体」としての賠償責任を負う」と明確に判示しました。
 判決の結論として,横浜市に対する請求は棄却されましたが,その理由は,「被告検査機構に故意・過失が存しない」からであって,「横浜市に故意・過失ががない」からだとしたわけではありません。「確認検査機関の検査ミス=イコール地方公共団体のミス」とした,画期的な判決といえます。


判例によれば、どうやら検査機関のミスは地方自治体が賠償責任を負う、ということらしいですね。
小さな政府の目的には税負担を減らすことも重要な柱としてあったはずですが、せっかく公務員を減らし、検査機関を民営化しても、そこがミスをするたびに公が責任を取って賠償していたのでは、かえって負担が大きくなります。
これは「小さな政府」政策の重大な欠陥でしょう。

むろん、政府もそれは自覚しており

一義的には売り主が責任を負っており、責任を誠実に実行してもらわないといけない

北側一雄国土交通相(http://sumai.nikkei.co.jp/special/gizo/index.cfm?i=2005120804555s8
としています。また早々とホテルへの被害救済はしない方針を打ち出しています。
野党側も、かかった費用は関係企業に追求するよう求めているようですね。
http://sumai.nikkei.co.jp/special/gizo/index.cfm?i=2005120608592s8

しかしいくら、あとで関連企業に請求するとしても、当の企業が倒産していたのでは絵に描いた餅に終わってしまいます。
業界全体を含めた保険の創設が強く求められます。

国土交通省は2日、マンションや戸建て住宅、ホテルなどの建築物の完成後に欠陥が見つかった場合の建て替えや改築費用を、建築業界全体で負担する新しい保険制度を創設する検討に入った。耐震強度偽装の被害が広がっていることに対応し、設計事務所や建築確認をする検査機関などにも加入を義務づける方向だ。

http://sumai.nikkei.co.jp/special/gizo/index.cfm?i=2005120205271s8


建築業界の不手際の後始末は、建築業界に負ってもらわねばなりません。また、こうした仕組み(一種の連帯責任)によって、建築業界の自浄能力を促すことも期待できるのではないでしょうか。
「小さな政府」政策の欠陥を繕うというだけでなく、建築業界の健全化のためにも、必要な措置だと考えます。

逆に言えば、こうした手当てなしに進める「小さな政府」政策は破綻しており、日本社会全体に混乱を招くだけの結果に終わるように思えます。

※関連エントリ

耐震強度偽装問題・・・意見・感想編
耐震強度偽装問題・・・資料編(12/6現在)
耐震強度偽装問題・・・資料編(12/2現在)
全裸で自殺・・・の謎 耐震強度偽装問題
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2005年12月07日

耐震強度偽装問題・・・資料編(12/6現在)

耐震強度偽装偽造問題に関し、12月2日現在で一度まとめましたが、それから数日のうちに、国土交通省が認めた偽装物件は15件も増えています。はじめは、【資料編】としてまとめたものを修正しようかと考えたのですが、時系列で偽装状況が明らかになっていく様子・・・自体にも資料的価値があるかも知れないと考え、新たなエントリを起こすことにしました。


【 事件の概要 】

国土交通省の公表資料によれば、12月6日現在で判明している偽装状況は以下の通り。
http://www.mlit.go.jp/kisha/kisha05/07/071206_2_.html

姉歯建築士の関わった物件は

 平成8年から17年までで計208件。うち

  改竄の判明したもの・・・・62件(平成11年から)
  改竄のなかったもの・・・・95件
  不明等・・・・・・・・・・・・・・・21件
  調査中・・・・・・・・・・・・・・・30件



 改竄の判明した62件の内訳。その@

  東京都・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16件
  千葉県・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10件
  神奈川県・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8件
  愛知県・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7件
  群馬県・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3件
  長野県・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3件
  静岡県・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3件
  福岡県・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3件
  奈良県・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2件
  京都府・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2件
  埼玉・岐阜・兵庫・佐賀県・大阪府・・・1件(計5件)



 改竄の判明した62件の内訳。そのA

  共同住宅・・・・・・・28件(竣工済(除賃貸)戸数=585戸)
  ホテル・・・・・・・・・31件
  一戸建て住宅・・・・3件



 改竄の判明した62件の内訳。そのB 建築主
 ◇共同住宅
  潟qューザー・・・・・・・・・・・・・・・・・・15件
  潟Vノケン東京支店・・・・・・・・・・・・・4件
  潟Tン中央ホーム・・・・・・・・・・・・・・3件
  東日本住宅梶E・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  潟Vンアイ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2件
  小俣組・潟Vステムプランニンク・・・1件
  岡部産業梶E・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  潟Gルクリエイト・・・・・・・・・・・・・・・・1件
 ◇ホテル
  京王電鉄梶E・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2件
  その他の企業群・・・・・・・・・・・・・・・29件(うち不明7件)
 ◇一戸建て住宅
  その他個人?・・・・・・・・・・・・・・・・・・3件(うち不明3件)



 改竄の判明した62件の内訳。そのC 設計者

  平成設計梶E・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20件
  潟Xペースワン建築研究所・・・・・・・・・・・7件
  姉歯建築設計事務所・・・・・・・・・・・・・・・・6件
  木村建設梶E・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5件
  潟Vノケン東京支店・・・・・・・・・・・・・・・・・4件
  叶X田設計事務所・・・・・・・・・・・・・・・・・・4件
  潟Gスエスエー建築都市設計事務所・・・3件
  鰍jSM一級建築士事務所・・・・・・・・・・・3件
  活苡繻囃z企画研究所・・・・・・・・・・・・・・2件
  豊國建設(株)一級建築士事務所・・・・・・・2件
  樺村組・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  渇コ河辺建築設計事務所・・・・・・・・・・・・1件
  鰹建築・まちづくり研究所・・・・・・・・・・・1件
  潟Aーキグラム・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  渇ェ田建築設計・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  鞄c口設計・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件



 改竄の判明した62件の内訳。そのD 施工者

  木村建設梶E・・・・・・・・・・・・・・・18件
  木村建設梶負L川興業梶E・・・・1件
  潟Vノケン東京支店・・・・・・・・・・4件
  潟Tン中央ホーム・・・・・・・・・・・3件
  叶井工務店・・・・・・・・・・・・・・・3件
  豊國建設梶E・・・・・・・・・・・・・・・・3件
  潟qューザー・・・・・・・・・・・・・・・・2件
  窪田建設梶E・・・・・・・・・・・・・・・・2件
  太平工業梶E・・・・・・・・・・・・・・・・2件
  窪田建設梶芙滑ロ山工務所・・・1件
  且u多組・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  丸運建設梶E・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  川村建設梶E・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  小野里工業梶E・・・・・・・・・・・・・・1件
  太平工業梶E・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  兜沒c組・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  潟Vノハラ建設システム・・・・・・・1件
  東鉄工業梶E・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  奈良建設株・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  都市計画工業梶E・・・・・・・・・・・・1件
  樺村組・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  椛田工務店・・・・・・・・・・・・・・・1件
  鹿島建設梶E・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  椛蝸ム組・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  潟Aトリウム建設・・・・・・・・・・・・・1件
  未定・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3件
  不明・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5件



 改竄の判明した62件の内訳。そのE 建築確認

  イーホームズ・・・・・・・・・・・30件 
  日本ERI ・・・・・・・・・・・・・・・・7件
  UDI確認検査 ・・・・・・・・・・・・2件
  東日本住宅評価センター・・・1件
  ビューロベリタス・・・・・・・・・・1件
  (財)日本建築総合試験所・・・1件
  愛知県・・・・・・・・・・・・・・・・・・4件
  長野県・・・・・・・・・・・・・・・・・・2件
  京都府・・・・・・・・・・・・・・・・・・2件
  岡崎市・・・・・・・・・・・・・・・・・・2件
  その他2県6市2区・ ・・・・・・・・1件(計10件)
 (群馬・岐阜県 前橋・伊勢崎・平塚・松本・大阪・福岡市 台東・荒川区)




※関連エントリ

偽装事件は小さな政府を大きくするか?
耐震強度偽装問題・・・意見・感想編
耐震強度偽装問題・・・資料編(12/2現在)
全裸で自殺・・・の謎 耐震強度偽装問題
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2005年12月04日

立花隆氏という人

【女性・女系天皇容認で論議呼ぶY染色体論とミトコンドリア(5)】
http://nikkeibp.jp/style/biz/topic/tachibana/media/051130_tennou/index4.html

立花隆氏の書かれたものですが、あまりの内容にひとこと
私もこの場で記述しておこうと思います。

つまり神武天皇がたった二人の子孫だけを残し、その後の世代も各代二人の子孫しか残さなかったとしても、神武天皇の子孫は今、2の100乗人いるということである。2の100乗というのが、どれほどの数になるか、ちょっと想像がつかないだろうから、わかりやすい簡易計算をしてみる。

2、4、8、16・・・の数列さらに引きのばしていくと、32、64、128、256、512、1024になる。これをいいかえると、2の10乗が1024になるということで、これを約1000ということにしてしまうと、2の10乗=10の3乗ということになり、これを使うと、2の100乗が簡単に計算できる。2の100乗=(2の10乗)の10乗=(10の3乗)の10乗=10の30乗だから、1にゼロを30個つけたのと同じ数字ということである。ゼロが12個だと兆だから、1兆の1兆倍のさらに100万倍ということである。これは日本の総人口(1億人とする)の1兆倍の100億倍というとんでもない数字になる。

子孫の半分は女性だろうからそれを半分にする、子孫同士の結婚によるダブリを差し引くなどの、いろんな条件をつけての割り算、引き算をたくさんしていったとしても、神武天皇のY染色体を受け継ぐ人々が、今の日本にゴロゴロいるはずという意味がわかるだろう。


Y染色体は父から息子へのみ、伝わるのです。
間に女性がひとりでも入っていたら伝わらない・・・。
神武天皇の子孫がゴロゴロしているのは事実かもしれませんが
祖父−父−息子−男の孫−・・・という具合に
ただ一度の例外もなく男系で来た子孫・・・というのは
上の仮定で考えるなら、一人しかいないはずです。

同様に

天皇家の祖先そのものである天照大神のミトコンドリアを受け継ぐ天皇家の女性たちこそ、天皇の台座に登るいちばんの資格者だという議論が行われてもおかしくない

http://nikkeibp.jp/style/biz/topic/tachibana/media/051130_tennou/index5.html

アマテラスのミトコンドリアは
その女系子孫にしか伝わらないのです。
今現在、天皇家の血を引く女性が何人、何億人いようと
ずっと女系であった人は、Y染色体と同様
仮定に従えばたったひとりしかいない・・・はず。
それも、家系図などからそれを証明できる人はおそらく
現代日本には、ひとりもいないものと思います。

どうもこの方・・・ミトコンドリア・イブ仮説の意味も仕組みも
全然理解しないまま書いてますね。
関連図書など、一冊でも読んでるのかな・・・?(謎
理解していれば、父方母方取り混ぜて伝わった子孫を
半分に割る・・・なんて乱暴な発想が出てくるはずもない。


皇位継承問題に関して女系・女性天皇容認の論陣を張るのは
男系維持を支持するのと同様、それぞれの自由であり
結構なことだと思いますが、間違った知識を振りかざすのは
見てる方が恥ずかしいです。

まして立花氏・・・脳死などに関する著作もあり
『東大生はバカになったか』などの著作もある方・・・。

私のように無名の人間ですら、ネットで発言する際には
事実と違ったことを書いてやしないかと緊張し、あれこれ
調べるというのに・・・ね。こんなものなの?(苦笑
ネームバリューのある方・・・なら、なおさら
もっとちゃんと勉強してからものを言いましょうよ・・・。

※補記 Y染色体については【皇位継承・・・Y染色体の世代間連続性について】をごらんください。
posted by 水無月 at 01:57| Comment(14) | TrackBack(3) |   ◇皇位継承問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年12月03日

耐震強度偽装問題・・・意見・感想編

当エントリは【耐震強度偽装問題・・・資料編】の続きです。



 姉歯氏はなぜ偽装に手を染めたか 

今回の偽装事件で一番に疑問を感じたのはここですね。
この「なぜ」にはいくつもの方向・次元から考察することが必要でしょうが、まずは、姉歯秀次1級建築士、個人のレベルから考えたいと思います。
報道によれば姉歯氏自身は、国土交通省の聴聞に次のように答えたそうです。
「建設コストを下げる設計をするよう指示された」
「鉄筋の量を減らせ。できなければ他に発注すると言われました」
「『安全性に問題が生じる』と答えましたが、『できなければ他の業者に代える』と言われました。生活ができなくなるので受け入れました」
「提出期限が迫り、後で正しい計算書に差し替えるつもりでしたが、審査を通ってしまい、びっくりしました」
「今思えば、あのときやめるべきでした」
(以上【朝日新聞】http://www.asahi.com/special/051118/TKY200511240384.html

これを読むと、まるで姉歯氏自身が被害者であるかのよう・・・です。姉歯氏が自己の罪を軽く見せかけるため、外部からの圧力があったことを強調する気持ちは理解できます。また実際、圧力はあったはずです。が、なにより私が驚いたのは、こうした「個人の立場の弱さ」に共感し同情し擁護する雰囲気が、どうやら広く建築士業界全体、あるいは建築業界全体に蔓延しているらしいことです。
「まず、「“売れるマンション”と“よいマンション”が、必ずしもイコールではない」という現実がある。」
「デベロッパーは「売れるマンション」を造ろうとする。消費者が求めるマンション企画を志向する。それそのものは、資本主義経済社会では当然のことともいえる。」
「となれば、しわ寄せが来るのはどうしても消費者の関心の低い部位。そしてまさにそれが、今回問題になり、かつ建物にとって最も重要である「構造」「耐久性」であり、あるいは「可変性」「メンテナンス性」「管理のしやすさ」なのだ。」
(以上は【耐震強度の偽装問題は偶発的事件か、業界の構造問題か?(3)】http://nikkeibp.jp/sj2005/report/43/03.html

このように建築業界の構造的背景を解説する【さくら事務所】代表兼CEOの長嶋修氏はまた、連続エントリの中でこうも述べています。
「マンション販売の当事者たちは、普段どのような思いで仕事をしているか。言葉を選ばず言えば、自分はある意味被害者であると感じている人が多いのではないか。」
なんの被害者か、長嶋氏はどうやら、社会全体の、と言いたいようです。
「つまり、社会問題とは個人の問題・特定企業の責任ではなく、社会全体の問題・責任として捉えるべきだと、私は言いたいのだ。この問題を、すべての業界人は決して相対化してはならない。こういった事件を起こさないために、できたことはたくさんあったのではないだろうか。」
http://nikkeibp.jp/sj2005/report/43/05.html
そしてこの部分のエントリのタイトルはなんと、「事件の真犯人を特定することに意味はない」!!

念のために申し述べておきますが長嶋氏は「もちろん件の当事者・関係者は悪い」「事実が明らかになるにつれ、責任の所在などについては徐々に絞り込まれてくることだろう」「とにかく早急に責任の所在をはっきりとさせ、各種の適切対応がなされるべきだ」と連続エントリの冒頭で書き、最後は「業界人だけでなく、働き手すべてが「使命」と「誇り」と「志」を取り戻そう!」というタイトルのエントリで締めています。
記事全体の趣旨は、社会全体(?)へ向け、これを他人事と思わずに自覚を持って志を高く持とう、と訴えるあたり・・・にあるのでしょう。

しかしそうであることを考慮しても、正直言って違和感は拭えませんでした。
姉歯氏、そして自身も宅地建物取引主任者の資格を持つ長嶋氏に共通しているのは、これが悪質極まりない(場合によっては間接的な殺人にも匹敵する)反社会的犯罪行為だという自覚の無さと、そこから派生する加害者意識の欠如、ひいては被害者意識ではないでしょうか?


日本社会全体が苛烈な自由競争の中で軋んでいることは確かでしょう。しかし犯罪行為に手を染める人は稀です。
自由競争の中で極限までコスト削減を強いられているのは建築業界だけではありません。すべての製造業・サービス業でまったく同じ条件のはずです。しかし国へ提出する審査書類の偽装、しかも安全構造に手をつけること・・・までしてしまった同業者を、それが犯罪であることを忘れたかのように擁護する業界など、どこにもありません。

同じ建築業界から、この偽装を見破り、再三再四関係者に通報することで最終的に事件を表沙汰にした設計事務所(「アトラス設計」の渡辺朋幸社長)※のような人物が出たことは、私のような非・建築業界の人間にとっては唯一の慰めとも言える事実です。

けれども他方、ネット上を色々探しましたが、私は、建築業界と思しき人の発言で、この業界内部からの告発を評価する発言には、ついに出会うことができませんでした。告発を評価するのは普通の(つまり消費者の立場の)人ばかりです。

建築業界全体のモラルが低い・・・。救いようもなく低すぎる。私はそう思わずにいられませんでした。
建築業界はいったいなにに甘えているのでしょうね? 社会のせい・・・とでも言いたげな発言には呆れるばかりです。思春期の少年犯罪ですら、もはやそんな言い訳は通用しない時代だというのに。

  補注※ 下線部分は2005/12/5に誤記を訂正しました。訂正前は
  「横浜市の設計事務所(どうやら「アトラス設計」の川嶋代表らしいですが)
  となっていました。横浜市の設計会社から検証を頼まれたのが東京渋谷区の
  アトラス設計であり、通報したのも、記者会見をして身元を明らかにしたのも
  渡辺氏である、というのが正しい情報です。
  http://mbs.jp/news/part_news/part_news3173878.html



 モラル以外の構造 

私は前項でまず、姉歯建築士のモラルを問題にしました。究極的には、彼個人の胸ひとつで、この事件は未然に防げたはずからです。姉歯氏が自己の仕事や名前にプライドを持って生きていてくれたら、彼はこのような不名誉な設計はしなかった・・・いやできなかったはず。
偽装を持ちかけられたが拒絶した設計事務所もある・・・という事実も、ついでに記録しておきましょう。
「耐震強度偽造問題で、強度不足が判明した北九州市のホテルの構造計算を請け負った広島市の設計事務所が二十九日、発注した木村建設(熊本県八代市)の関連会社から鉄筋コスト削減を要求されたと明らかにした。要求を断った後、姉歯建築設計事務所の構造計算が採用されたという。」
(【中日新聞】
http://www.chunichi.co.jp/00/sya/20051129/eve_____sya_____010.shtml

しかし一方で、【資料編】で明らかにしたように、強度偽装が特定の企業・設計者・施工者・・・に、不自然に偏っている事実も明らかです。
今後の調査で次第に、姉歯氏に強度偽装を持ちかけ、強要したある種の「力」の存在が、明らかにされるでしょう。とすれば、この力が存在した以上、姉歯氏個人が偽装を断っても、別の心弱い建築士が選ばれ、悪事に加担させられる・・・結果に終わっていたかもしれません。

この力・・・とは? 社会のせい、なんて甘っちょろいものでなく、具体的には?
報道などで完全に裏づけが取れているわけではありませんが、ネット上で飛び交っている噂も含め、私が知ったことを、ここに挙げておきます。


総合経営研究所代表取締役所長 内河健所長(73)
「「早く安く」「大変高利回り」というビジネスモデルを作り出し、これまで全国で230以上のホテルを手がけた建築業界の“カリスマコンサルタント”。多くの偽装マンションを手がけた木村建設とも蜜月状態だった。コストを極限まで抑えた「経済設計」の理論的指導者だったが、偽装問題の“黒幕”ともささやかれている。」
(【ZAKZAK】http://www.zakzak.co.jp/top/2005_11/t2005113022.html

この内河氏の「経済設計」理論に、どうやら海外から輸入した特殊な工法が関係していたらしいのですね。これは地震の無い国では有効だが日本では危険・・・だそうで。
そして内河氏のカリスマ性(?)に心酔していたのが木村建設の木村社長。同氏の経営指南で業績が急拡大した経験あり。
おそらく「力」は内河氏 → 木村建設のラインで発動し、その延長線上にヒューザーら建築主や、イーホームズら審査の甘い検査機関、そして姉歯氏という末端加担者がいた(要請された)ように見えますね。今のところ。
木村建設も平成設計も関連しない多くのホテルで姉歯氏の構造設計が採用されたのは、内河氏のコンサルタント業務あってのこと・・・のようです。

恐ろしいのは、内河氏に心酔する建築業者は木村氏だけではなかった・・・らしいこと。
第二第三の木村建設がもし存在するならば、第二第三の姉歯氏がいても不思議ではありません(汗


次に政界方面。

どうやら姉歯氏は創価学会に入信していたようです。
「一家崩壊「姉歯ファミリー」は「創価学会員」だった」(【12月8日発売週刊新潮】http://www.shinchosha.co.jp/shukanshincho/
またヒューザーの小嶋社長にも、創価ルートがあるようで。
現在の国土交通相である北側一雄氏は公明党所属ですが、地震被害などと比べ、今回の偽装被害では国の被害者支援が前向きすぎるのでは? との憶測があるようですね。国の対策については、別項にまとめたいと思います。

そしてもうひとつ、今回の事件ではすでに自民党の伊藤公介氏(元国土庁長官)、公明党の山口那津男氏(参院議員)の名前も挙がっていますが、ほかにも森派に近い大物自民党議員が関与しているという話をネット上で目にしました。真偽は不明ですが、今後の展開に注目しています。



 欠陥マンションはほかにもあるのでは? 

今回の事件では姉歯氏という個人の犯罪が明るみに出たわけですが、関連する情報を集めるうちに、建築業界内部の人からと思われる、非常に気になる発言・・・に、いくつも出会いました。

まずその@
「昨今の出鱈目建築問題で世の中を震撼させておりんすが、こんな問題なぞ昔からあることでことさら大騒ぎにする悶でもオマへん。」
「結論からすれば素人では自衛は無理です。
我々プロでさえ無理です。
構造計算は数ルートに渡って行われるため、パっと見絶対わかりまへん。
柱が細い、梁が小さいなど結果として報じられるに過ぎない。」
(引用は【神父「毒だみ」】「耐震基準のノウハウについて」より)
前項でも述べましたが、第二第三の姉歯氏がいるのではないかという疑惑。

そしてもうひとつ。そのA
「鉄筋なんていくら入れたところで、今のマンションはどれも海砂つかってるから
塩分で10年ぐらいで全部さびちゃって強度20%ぐらいに落ち込むんだよね。
業界では公然の秘密だけど。ようするにマンションなんて買うやつがバカ。」
(引用は【2ちゃんねる】掲示板より)
手抜き工事が公然と行われているのではないかという疑惑。

これでは、国がいくら地震に備えて耐震基準を強化しても虚しい・・・ばかりです。建築業界のモラルが最低水準だという前提で、対策を講じる必要があるでしょう。


私はさらに、阪神大震災の教訓は本当に生かされたのか、という問題を挙げておきます。あの地震では多くの建物が倒壊しましたが、それらのすべてが建築基準を守っていたのでしょうか?


 ◇建築基準を守って正規に建てられた建造物が倒壊する
  → 震度確定の証拠となる

 ◇建築基準を守らず建てられた不正建造物が倒壊する
 (→ 倒壊によって不正の証拠が隠滅される)



両者は本来、まったく別の出来事のはずですが、大地震の混乱の中で、いっしょにされてしまってなかったでしょうか? 不正なことをした業者が、地震によって証拠隠滅できたとばかりホッと胸を撫で下ろすようではあまりに救われません。
今後地震が起きた場合には、建物の損壊程度と震度との関係を綿密に調査する、そうした機関なり制度なりが必要です。

そしてもちろん、不正な工事が行われていたと判明した場合には、住民が建設会社・設計者等に損害賠償を請求できるようにしなければなりません。そうしない限り、建築業界のモラルは向上しないでしょう。



 国はなにをすべきか 

1級建築士が、そうと知りながら強度偽装をした今回の事件。喩えるなら、医師免許を持つ医師が、故意に治療を怠った・・・ようなインパクトがあります。

国(一部自治体)の対策は今のところ以下のように動いているようです。


 ◇被害者保護・・・
   被害住民の移転費用、公的住宅の家賃、解体費用の援助など

 ◇国民不安沈静化・・・
   相談窓口を設置、住民の希望するマンションの耐震検査

 ◇再発防止・・・
   検査機関の実態調査と建築基準法改正による罰則厳格化

 ◇今後の被害対策・・・業界負担の保険創設

 ◇刑事告発



前項の通り、私はこれらに「地震後の処理」が付け加わることを希望していますが、それを除けば、国(自治体)の動きはおおむね妥当なのではないかと思っています。

私がひとつだけ気にしているのは、国民の間に不公平感が出ないようにして欲しい・・・ということですね。
偽装マンションを買わされてしまった善意の住人の方々が気の毒なのは言うまでもありませんが、一方には、すでに起きた地震で実際に家屋が倒壊した、あるいはマンションが全半壊した、という方々もいます。
実際に地震で被害を受けてしまった方への援助・保護策とのバランスは重要な観点だと思います。



 偽装事件と小さな政府 

最後に、今回の偽装事件と政治批判とを結びつける動き・・・について、述べておきます。

まず、中立であるべき検査機関に関連業者が出資している事実。
「 本紙が調査したのは、国指定の民間検査機関(四十九機関)のうち、株式会社の四十社。判明しただけで十一社が建設・住宅関連企業の出資を受けていました。」
(【赤旗】調べ 画像引用も http://www.jcp.or.jp/akahata/aik4/2005-11-25/2005112501_01_2.html
kensakikan.jpg

検査機関に関連企業が関係を持つべきではない・・・。その【赤旗】の主張には、私も同感です。
反面、表を見ればわかるように、今回最も検査見逃しの多かったイーホームズは、ここには載っていない・・・のです。出資企業の関係する審査には甘くなるのではないか、という疑惑が出るのは当然ですが、今回の偽装事件に関しては、当てはまりません。
偽装が検査機関の検査をすり抜けてしまった最大の原因は、主に「検査機関の怠慢」「偽装の巧妙さ」の二点に絞られると思います。
中立性が担保されている地方自治体の検査機関でも不正を見抜けなかった・・・事実も、同じことを示唆しています。
従って対策としては、検査機関へのチェック機能を強化する、構造設計プログラムを(偽装できないよう)見直す、などの面から考えるべきでしょう。

そしてもうひとつ、今回最も(今現在判明している限りでは)多くの偽装を見過ごしたイーホームズですが、国土交通省へ一番に報告したのもイーホームズだった、という事実を、私は軽視すべきでないと思います。
同じように横浜の設計会社から指摘を受けた日本ERIは、まるで揉み消しに走るかのような態度を見せたようです(報道によれば)。それに比べれば、過去にポカをしていたとはいえ、自らの誤りに気づいたあとの同社の行為は正当に評価されて良いのではないでしょうか。

私はこのイーホームズの態度にこそ、自社の存続を図ろうと涙ぐましく努力する、あるべき(健全な)資本主義経済の匂いを嗅ぎました。早々と倒産を決めた木村建設、政治家を介して公的資金注入を計ろうとするヒューザーと比べてみてください。
建築業界全体のモラルが低下している・・・と私は思っています。そしてその裏には、長らく公共事業主体でやってきた業界そのものの体質が隠されているのではないかと疑っています。
そうした建築業界の体質を改善し、健全な自浄能力の発露を促すには、この際、とことんまで競争にさらすほかないように思えてきました。

官から民へ・・・の「小さな政府」の理念が、今回の偽装事件の背景にある、と分析する立場もあるようです。その代表が【赤旗】でしょう。
しかし公の建築検査でも偽装は見抜けなかった・・・。それは事実です。
見抜けなかったのは人手不足が原因だから、もっと公務員の数を増やせばいい、という考え方もあるでしょう。けれどもそうして長い間公に権限を与えた続けた結果の官民癒着・・・の数々の実例に、私はもう辟易しています。
一方で、設計書偽装や手抜き工事は民営化以前から連綿としてあった、という疑惑もあります。昔からあった不正を、民営化された独立系の検査機関がはじめて世に訴えた、そう評価することもできるのではないでしょうか。

今回の事件をもって「官から民へ」の弊害である、とする意見には、私は賛同しません。
むしろ逆であろうと思っています。

posted by 水無月 at 11:44| Comment(9) | TrackBack(1) |   ◇耐震強度偽装問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年12月02日

耐震強度偽装問題・・・資料編(12/2現在)

姉歯建築士による耐震強度偽造問題。連日大きく報道されていますね。
はじめは、単にモラルのない(それ自体は驚くべきことですが)一建築士が起こした、いわば個人の犯罪と見えたことや、私自身が建築業界について暗いこと・・・などから、関連する森田氏の不可解な死という非常に興味深い現象はあれども、単に大きな犯罪事件と看做していたのですが、最近になって私は、もう少し丁寧に(主に社会や政治との関連から)事件を整理しておく必要を感じるようになりました。
やや雑記風になりますが、現時点での私の見方や意見を、以下にまとめてみたいと思います。
(森田氏の死については別エントリ【全裸で自殺・・・の謎 耐震強度偽装問題】をご覧ください)

【 事件の概要 】

国土交通省の公表資料によれば、12月2日現在で判明している偽造状況は以下の通り。
http://www.mlit.go.jp/kisha/kisha05/07/071202_.html

姉歯建築士の関わった物件は

 平成8年から17年までで計208件。うち

  改竄の判明したもの・・・・47件(平成11年から)
  改竄のなかったもの・・・103件
  不明等・・・・・・・・・・・・・・・20件
  調査中・・・・・・・・・・・・・・・38件



 改竄の判明した47件の内訳。その@

  東京都・・・・・・・・・・・・・・・・・16件
  千葉県・・・・・・・・・・・・・・・・・10件
  神奈川県・・・・・・・・・・・・・・・・6件
  群馬・長野・静岡県・・・・・・・・3件(計9件)
  奈良県・・・・・・・・・・・・・・・・・・2件
  埼玉・岐阜・愛知・福岡県・・・1件(計4件)



 改竄の判明した47件の内訳。そのA

  共同住宅・・・・・・・25件(分譲済or賃貸住宅戸数=535戸)
  ホテル・・・・・・・・・19件
  一戸建て住宅・・・・3件



 改竄の判明した47件の内訳。そのB 建築主
 ◇共同住宅
  潟qューザー・・・・・・・・・・・・・・15件
  潟Vノケン東京支店・・・・・・・・・4件
  潟Tン中央ホーム・・・・・・・・・・3件
  東日本住宅梶E・・・・・・・・・・・・・1件
  潟Vンアイ・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  不明・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
 ◇ホテル
  京王電鉄梶E・・・・・・・・・・・・・・・2件
  その他の企業群・・・・・・・・・・・17件(うち不明6件)
 ◇一戸建て住宅
  その他個人?・・・・・・・・・・・・・・3件(うち不明3件)



 改竄の判明した47件の内訳。そのC 設計者

  平成設計梶E・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10件
  潟Xペースワン建築研究所・・・・・・・・・・・7件
  姉歯建築設計事務所・・・・・・・・・・・・・・・・6件
  木村建設梶E・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4件
  潟Vノケン東京支店・・・・・・・・・・・・・・・・・4件
  潟Gスエスエー建築都市設計事務所・・・3件
  叶X田設計事務所・・・・・・・・・・・・・・・・・・3件
  渇コ河辺建築設計事務所・・・・・・・・・・・・1件
  活苡繻囃z企画研究所・・・・・・・・・・・・・・1件
  鰍jSM一級建築士事務所・・・・・・・・・・・1件
  樺村組・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  豊國建設(株)一級建築士事務所・・・・・・・1件
  鰹建築・まちづくり研究所・・・・・・・・・・・1件
  不明・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4件



 改竄の判明した47件の内訳。そのD 施工者

  木村建設梶E・・・・・・・・・・・・・13件
  木村建設梶負L川興業梶E・・1件
  潟Vノケン東京支店・・・・・・・・4件
  潟Tン中央ホーム・・・・・・・・・3件
  潟qューザー・・・・・・・・・・・・・・2件
  窪田建設梶E・・・・・・・・・・・・・・2件
  且u多組・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  太平工業梶E・・・・・・・・・・・・・・1件
  丸運建設梶E・・・・・・・・・・・・・・1件
  川村建設梶E・・・・・・・・・・・・・・1件
  小野里工業梶E・・・・・・・・・・・・1件
  太平工業梶E・・・・・・・・・・・・・・1件
  東鉄工業梶E・・・・・・・・・・・・・・1件
  都市計画工業梶E・・・・・・・・・・1件
  樺村組・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  豊國建設梶E・・・・・・・・・・・・・・1件
  未定・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4件
  不明・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8件



 改竄の判明した47件の内訳。そのE 建築確認

  イーホームズ・・・・・・・・・・・29件 
  日本ERI ・・・・・・・・・・・・・・・・4件
  UDI確認検査 ・・・・・・・・・・・・2件
  東日本住宅評価センター・・・1件
  長野県・・・・・・・・・・・・・・・・・・2件
  その他3県4市2区・ ・・・・・・・・1件(計9件)
 (群馬・岐阜・愛知県 前橋・伊勢崎・平塚・松本市 台東・荒川区)



この後意見・感想を書くつもりでしたが時間がなくなりました。続きは後日UPします。
→【耐震強度偽装問題・・・意見・感想編
posted by 水無月 at 16:32| Comment(0) | TrackBack(1) |   ◇耐震強度偽装問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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