2006年04月06日

内部でなにが・・・?(外務省内部報告書漏洩事件)

ちょっと不思議な報道だったので気になりました。


【韓国:中央日報、半島情勢に関する日本の内部文書入手】
(毎日新聞 2006年4月5日 19時39分)
http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20060406k0000m030048000c.html

【ソウル中島哲夫】5日付の韓国紙・中央日報は日本の外務省が作成した朝鮮半島情勢に関する内部報告書を入手したと報じた。内容としては、▽韓国では反日政策が政権支持率を高める効果がある▽盧武鉉(ノムヒョン)大統領は残る任期中、反日強硬論を放棄しないだろう▽盧政権は竹島(韓国名・独島)への閣僚・国会議員の上陸など「過激な示威行為」で韓国の民族主義をあおり、反日強硬政策の効果を維持している−−などの分析が含まれていると同紙は指摘。これらは韓国への否定的な評価であり用語も刺激的だと、批判的に伝えた。

 この報道について潘基文(バンギムン)韓国外交通商相は5日の定例会見で、「もしも事実なら厳重に対応するしかない」と述べ、駐韓日本大使館に真偽確認を要請したことを明らかにした。文書の内容に対しては「韓日関係冷却の責任は日本の誤った歴史認識にあるにもかかわらず、まるで我々が韓日問題を国内政治用に利用しているように解釈しており遺憾だ」などと反発、特に竹島問題に関する記述には「憤怒を禁じえない」と強調した。

 中央日報はこの記事を文書の最初のページ上部の写真とともに5面に掲載。この写真によると、文書は「朝鮮半島をめぐる動き」と題され、「平成18年1月25日 北東アジア課調査班」「取扱注意」などの表記とともに「外部に対して発言される場合には注意願います」と、下線付きのただし書きがある。


私が気にした部分は青字で示した箇所です。

つまり、外務省が作成した内部報告書を、韓国紙である中央日報が入手し報道した、そしてこれに対し韓国政府が反発している、という流れなわけですが。

@ 韓国紙が手に入れた「内部文書」は極秘資料なのかどうか。
 (→ もしそうなら外務省に機密漏洩者がいることになる?)

A ここに報道されている報告書の内容は、私の感覚からすれば、日本のインターネット上などではすでに言い古されているような内容ばかりで、大して新鮮味もない。
 (→ べつに極秘扱いする必要はないのでは?)

B 韓国紙がスッパ抜き、それを、韓国政府が「もしも事実なら・・・」という仮定付きで反応するのは軽すぎないか? 事実かどうかを本気で確かめたければまず韓国紙へ確認するのが筋。日本へ直接確認しても、「確認できない」と返事があればそれで終わってしまう話。韓国側の徒労に終わるだけと思われる。
 (→ 韓国政府の、韓国国民向けポーズに過ぎないのでは?)

C そもそも、一国の外務省が他国をどう分析し、それを内部資料でいかに表現しようが、それは当局の自由であろう。公表資料でもないものを勝手に詮索した挙句、「あなた、私のことをこんなふうに思ってるんですか、それって失礼じゃないですか!」なんて・・・あまりにも(呆
 (→ いくらなんでも韓国政府はそこまで「??」ではないだろうから、報道自体が間違っている可能性もある?)

私は瞬時に以上のようなことを考えたのでした。
というわけで次は元ネタです。中央日報。


【盧大統領、レイムダック避けるため「反日」…日外務省資料】
(中央日報 2006.04.05 09:11:47 )
http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=74397&servcode=200§code=200
ハングル版では 2006.04.05 05:02 入力 )

「盧政権は独島を素材としてナショナリズムをあおいでいる」−−。

独島(トクト、日本名竹島)、靖国神社参拝問題などに関する韓国政府の対日外交政策に対する日本政府の内部分析を掲載した報告書を本紙が単独入手した。

外務省の政治情勢分析資料「朝鮮半島をめぐる動き(1月25日付)」は韓国政府の対日政策を国内用にまとめ、独島観光開放を「過激なデモ行為」と表現するなど、否定的に評価している。対外秘資料であるだけに報告書に使われた用語も非常に刺激的だ。

・・・(中略)・・・

これに対して外交通商部当局者は「日本政府は歴史認識問題の重さをよく分かっていないようだ」とし「独島は日本国内の歴史学者の中でも日本の固有領土と主張する人がいないほど、無理な主張であり外交だ」としている。

「いくら内部文書とはいえ、外国の内定まで恣意的に分析するのは遺憾なことだ」とした。

◆日本外務省韓半島政治情勢報告書=日本外務省の韓半島担当部署である北東アジア課が定期的に作成する政治情勢報告書で「取り扱い注意」と分類される対外秘資料だ。6カ国協議と南北関係、北朝鮮政権の動向などが主要内容だ。報告書は首相秘書室と外相を含む外務省主要幹部、韓国、米国、中国など主要国に派遣された公館長たちが閲覧する。



ハングル版をYahooウェブ翻訳ページ(http://honyaku.yahoo.co.jp/url)で読んでみた結果もほぼ同じでした。確かに中央日報は批判的に伝えています。どうやら毎日の誤報ではなかったようですね。
ただし、翻訳ハングル版中央日報には同紙日本語版にはない以下の一文も見えました。
日本語訳 → 彼は "いくら内部文書とはしかし他の国の内政までクルオだ恣意的に分析することは残念な事"と言いながら "切ない"と付け加えた.

日本語記事部分は上記引用中青字で示した部分です。「クルオだ」の意味はハングルの素養ゼロの私にはわかりません(おわかりの方は教えて下さい)が、きっとプログラムによる機械的な翻訳過程で生じた悪戯なのではないかと思います。
しかしそんなことよりも、切ない・・・が消えたのはなぜでしょう? 不思議です(笑


最後に中央日報の続報。この続報までを併せ、毎日新聞は記事にしているようです。以下を読むと、韓国政府が正式に反応しているのも事実だ(なにしろ韓国紙が伝えているのですから)ということがわかります。


【潘外相「憤怒の念禁じ得ない」…日本外務省報告書に厳しく対応】
(中央日報 2006.04.05 16:50:03)
http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=74415&servcode=200§code=200

外交通商部(外交部)の潘基文(パン・キムン)長官は5日、日本外務省が「盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権はレイムダック(任期終了を間近に控え、政治的影響力を失った大統領を比ゆ的にいう語)を避けるため反日強硬姿勢を崩さないだろう」という内容を盛り込んだ内部報告書を作成した、という報道について「万が一事実ならば、厳しく対応せざるをえない」と述べた。

潘長官は、外交部庁舎で行われた定例ブリーフィングで「李赫(イ・ヒョク)外交部アジア太平洋局長がきょう午前、韓国の日本公使を呼んで、事実関係の確認を正式に要請した」とし、こうした立場を示した。

・・・(中略)・・・

これに先んじ青瓦台(チョンワデ、大統領府)は、李炳浣(イ・ビョンワン)秘書室長が出席する一日状況点検会議で、日本外務省の報告書について協議し「事実である場合、厳しく取り組む」との立場を表明した。半面、谷口・外務副報道官は、報告書の存在・内容を尋ねる韓国特派員の質問に「ノーコメント」と答弁した。


該当するハングル版記事を探しましたが、似たような記事は幾つかあるものの、「これに先んじ」・・・以降の部分はハングル版記事には見当たりませんでした。谷口氏が韓国にいるとは考えられないので、これは中央日報の駐日特派員が質問したものでしょうか。


【 ま と め 】


引用ばかりしていたので長くなってしまいましたが、以下に私の感想をまとめておきます。

まず、この「内部報告書」の真贋についてはわかりませんが、仮に本物であったとしても、報道にあるように「『取扱注意』などの表記とともに『外部に対して発言される場合には注意願います』と、下線付きのただし書き」がある程度なら、極秘文書とまではいえないような気がします。
またその内容も、とうてい極秘にする必要を感じないものです。もしこれが日本政府の対外公式文書なら問題でしょうし、政府要人の発言であっても問題視されるのはわかりますが、内部文書であるなら、本来は問題にさえなりえない内容でしょう。

けれども現に韓国政府は反発し、「韓国の日本公使を呼んで、事実関係の確認を正式に要請」するなどの動きをしているようです。韓国国民向けに強気の姿勢を見せた、と解釈することもできるでしょうが、私は「なぜ韓国政府は中央日報報道の真贋を疑わないのか」が気になりました。自国のメディアだから疑わない(信頼している)ということでしょうか?
逆に、中央日報はどのようにして内部報告書を手に入れたのでしょう?
中央日報の第一報は、毎日の報道によれば「5日付」の報道。ウェブ上では、「2006.04.05 05:02 入力」となっています。しかしその記事中で、すでに「これに対して外交通商部当局者は・・・」以下の記述があるのは非常に興味深いですね(日本語判記事から「切ない」が抜けてる箇所です)。

案外、この韓国の「外交通商部当局者」が、日本の内部報告書を手に入れ、中央日報に流したのではないでしょうか?

中央日報はどのような経路でこの内部報告書を入手したか、一切触れていません。
とすれば、一見、記者に聞かれてコメントしたように読めるこの「当局者」が、実は情報の出所である可能性も十分にあるわけです。
そもそも、民間の一報道機関にすぎない中央日報が独力で日本外務省の内部報告書を手に入れたと考えるより、韓国政府が秘密外交活動の結果として入手した(もしくは捏造した? 可能性もゼロではない)文書を意図的に自国メディアへリークした・・・と考えた方が、自然でもあります。
もしかしたら中央日報へ情報を渡す時に、この当局者は「切ない」という、韓国の人には胸に迫ったに違いない心情を、(情報リークの動機として)口にしたのかもしれませんね。
もしそうだとすれば、この「切ない」は永田氏メール騒動で西澤氏が口にした「自己実現」と同じでしょう。つまり、情報の受け取り側を信用させるための、口実・・・。

外交のプロである当局者が、いくら個人的に切なくても、その切なさゆえに、二国間関係を悪化させるに違いないような情報をわざわざ報道機関へ流すとは考えられません。そこには必ず実利を伴った冷徹な計算があったはずです。

現在までの流れを見てみると、今回の内部報告書漏洩事件は、本来は問題にもなり得なかったはずの事件が、いわば「韓国民の心情を傷つけた」罪で外交問題にまで発展していきそうな雲行き・・・なわけです。これってなんだか見覚えのある構図じゃないですか?

私は本来、陰謀論は好みませんが、今回の事件に関しては、煙の出所も韓国紙、カッカと燃えているのも韓国国内・・・というわけで、なんだか韓国政府によるマッチポンプのような気がして仕方ありません。
では、もしこれが韓国政府による意図的リークなら、その狙いはなんでしょう? 「日本外務省の内部報告書」にある通りの、支持率回復策・・・? もしそうなら、まるで漫画のような顛末(オチ)となってしまうわけですが(苦笑

「砂の馬」のつぶやき 時事】(kanteさん)
↑こちらを見ると、単に政権維持のためだけではない、もっと大きな政策転換が韓国内部で起きようとしている・・・のかもしれません。
政権支持率のために自国内の反日感情を煽るくらいなら痴話喧嘩のうちですが、韓国が同族である北朝鮮に引き摺られ、本気で米軍と距離を置きはじめているとしたら・・・。そしてこの大きな流れの中で、反日という現象が引き起こされているのだとしたら・・・?

生き馬の目を抜くような外交の世界ですから、日本側は冷静に情勢を見極め、そして対応策を考えておかねばならないでしょうね。

 
posted by 水無月 at 08:06| Comment(2) | TrackBack(2) | 中国・朝鮮・在日 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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