2006年05月02日

態度を決めつつある日本人(「自衛隊・防衛問題に関する世論調査」より)

 【 は じ め に 】


まず以下をご覧下さい。YAHOO!NEWSで検索してみました。

基地本土移転 「賛成」が50%超 内閣府調査 - 琉球新報 - 沖縄
... 2006年4月30日(日)10時18分

防衛問題への関心が過去最高 - フジサンケイ ビジネスアイ - 経済総合
... 2006年4月30日(日)8時30分

「自衛隊に関心」最高の67.4% 内閣府世論調査 - 産経新聞 - 政治
... 2006年4月30日(日)2時25分

日本に戦争の危険、過去最高45%…内閣府世論調査 - 読売新聞 - 政治
... 2006年4月29日(土)22時14分

<防衛世論調査>沖縄米軍、一部本土移転賛成が半数超える - 毎日新聞 - 政治
... 2006年4月29日(土)21時35分

<防衛世論調査>「戦争に巻き込まれる危険」45%が感じる - 毎日新聞 - 政治
... 2006年4月29日(土)20時24分

戦争の危険性、過去最高の45%=朝鮮半島情勢6割が関心−内閣府世論調査 - 時事通信 - 政治
... 2006年4月29日(土)19時1分

「戦争ある」45%で最高 自衛隊に関する世論調査 - 共同通信 - 政治
... 2006年4月29日(土)17時45分

これらはすべて、内閣府が29日発表した「自衛隊・防衛問題に関する世論調査」に関する報道です(平成18年2月、全国の20歳以上の男女3000人に個別面接で実施。有効回収率は55.2%)。
これを見て、各メディアがどこに注目しているのかを比べてみるのも面白いかもしれませんが、あいにく私にはそこまでの余裕はありません(汗
しかし報道を見てからずっと待っていた内閣府HPに昨日、ようやく問題の世論調査が公表されましたので、早速そちらを見てみました。

こちら↓
http://www8.cao.go.jp/survey/h17/h17-bouei/index.html

各メディアが注目しているのは、見出しを見る限りでは概ね、以下の点であろうと思います。
・「戦争に巻き込まれる危険がある」との回答が45.0%で過去最高。

・自衛隊や防衛問題について「関心がある」と答えた人が67.4%で過去最高。

・在沖米軍基地機能の一部を本土へ移転することについて、51.5%が賛成し(反対34.5%)、はじめて半数を超えた。

これらはすべて重要な観点でしょう。しかし私は、これら以外にも、日本の国民意識を示す重要な(あるいは貴重な)兆候が、同じ世論調査から読み取れはしないかと思って、発表資料に当たってみたのです。



 【 「自衛隊・防衛問題に関する世論調査」結果 】


結論から述べますと、上で述べたような兆候は、やはりあるような気がします。各メディアは気づかないか、気づかないふりをしているようですが、日本国民の意識はここ数年で(端的に言えば前回調査の三年前と比べて)、非常に興味深い変化をしているように思います。



たとえばこちら↓
http://www8.cao.go.jp/survey/h17/h17-bouei/images/z24.gif
メディアが注目する「日本が戦争に巻き込まれる危険性」ですが、確かに「危険がある」が1.8%増えて過去最高となる一方で、「危険がないことはない」は4.2%も減り、なんと驚くことに、「危険はない」が5.4%も増えています
これはつまり、過去「危険がないことはない」というような選択肢の中では比較的どっちつかずの中庸的な回答を示していた層(及び「わからない」と答えた層)が、危険が「ある」「ない」というはっきりした態度を取り始めた・・・ということではないでしょうか。

このことは↓
http://www8.cao.go.jp/survey/h17/h17-bouei/images/z01.gif
「自衛隊・防衛問題に対する関心」の高まりと併せて考えると、理解しやすいと思います。この質問では、関心が「ある」は前回より増え(過去最高)、「ない」は減っていて(過去最低から二番目)、明らかに、国民の関心が高まっていることを示しています。



次に私が注目したのは↓
http://www8.cao.go.jp/survey/h17/h17-bouei/images/z19.gif
「外国から侵略された時の態度」です。これは下に書き写して見ましょう。

外国から侵略された時に・・・   (平成15年1月)(平成18年2月)%
  何らかの方法で自衛隊を支援する 48.9      53.5
  武力によらない抵抗をする      18.3      18.1
  一切抵抗しない             7.7       8.8
  自衛隊に参加して戦う         5.8       6.9
  ゲリラ的な抵抗をする         1.9       1.6
  その他                  1.3       1.4
  わからない               16.1       9.7

「自衛隊を支援する」の伸びは驚異的とも言えるでしょう。同時に、数は少ないですが「自衛隊に参加」も着実に増えています。しかし、それだけでなく「一切抵抗しない」もまた、1.1%とはいえ、増えているのです。
ではなにが減ったかといえば、一目瞭然「わからない」です。つまり、前回調査時には「わからない」を選んでいた人々が、今回は態度を決めはじめたのです。



最後にもうひとつ。昨今教育基本法改正案などで話題になることの多い「愛国心」ですが、これに関係しそうな項目↓
http://www8.cao.go.jp/survey/h17/h17-bouei/images/z20.gif
「国を守るという気持ちの教育の必要性」です。「教育の場で取り上げる必要がある」(55.6%→65.7%)は顕著に増え、「教育の場で取り上げる必要はない」(29.1%→22.1%)は減っています。
私は正直、このあまりにはっきりした数字に驚いてしまいました(苦笑
世論はもう少し錯綜していると思っていたのですが、少なくともこの質問形式による結果で見る限り、日本人の意志は(総意として)ほぼ固まりつつあると考えるのが正しいようです。



 【  ま と め  】


私が上記の世論調査結果から読み取ったのは二点です。
・国防に関して態度を曖昧にしていた人々が、態度を決めはじめた。

・態度を決めはじめた人々の多くは積極的に自衛隊を認めたり応援しようと考え、少数の人々は「(外国から侵略されても)一切抵抗しない」などの徹底した平和主義を取ろうとしている。

総数で見れば、自衛隊に象徴されるような軍備を重視する人々の割合が増加していますが、そうではない人々の数が減っている、というわけではありません。減っているのは、これまで「わからない」だった人々です。
以前は対岸の火事のように捉えていた「戦争」を、ここ数年間でより多くの人々がリアルに見つめ、当事者意識を持って考えるようになった、ということかもしれません。

沖縄基地の本土移転に賛成する人々が過半数となったのも、そうした、国防問題に当事者意識を持つようになった傾向と、無縁ではないような気がします。
問題をより身近に、リアルに、捉える人々が増えてきたのは間違いないでしょう。


 【  補 足  】


次に、結論のあとではありますが無視できない大事なこと、この内閣府の世論調査自体の中立性はどこまで信頼できるか・・・という視点で、検証してみたいと思います。
↓今回の調査票
http://www8.cao.go.jp/survey/h17/h17-bouei/3.html
↓前回(平成15年)の調査票
http://www8.cao.go.jp/survey/h14/h14-bouei/3.html

前回にも今回にも、資料がついています。「各国の陸上、海上、航空兵力」ですが、どうも一見したところ、日本の兵力(特に陸上兵力)が、その直下の韓国、北朝鮮、中国に比べて、見劣りして見えます。中国の下にはロシア、米国、フランス、ドイツも載っているのですが、そのインパクトは韓国・北朝鮮・中国の比ではありません。
この資料を見せられて、「全般的に見て日本の自衛隊は増強した方がよいと思いますか、今の程度でよいと思いますか、それとも縮小した方がよいと思いますか」と訊ねられ、「縮小」を選ぶのは難しいはずです。実際、前回も今回も、増強=15%以上、現状維持=60%程度、縮小=10%未満、となっています。
しかし前回調査表では、これに続き、「防衛費を増額した方がよいと思いますか、今の程度でよいと思いますか、それとも減額した方がよいと思いますか」の質問が続いていますが(それへの回答は、増額=11%、現状維持=56%、減額=15%、です)、こちらの資料「主要国の国防費」からは、韓国、北朝鮮、中国(及びロシア)の国々がスッポリと抜けているのです。

実際には、調べてみればわかることですが、ここ数年急増している韓国の軍事予算は2006年においてさえ22兆8千億ウォン(210億ドル)であり、2000年度の日本の防衛費(315億ドル)の2/3の水準です。
(※参考【Wikipedia】韓国軍 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9F%93%E5%9B%BD%E8%BB%8D

私は軍事に関しては素人以下ですが、米国やロシアやフランス、ドイツなどが、日本と同じように陸上兵力は少なめで、海上、航空兵力に力を入れているらしいところを見ると、陸上兵力が(韓国、北朝鮮、中国に比べ)数の点で見劣りすることを、殊更に強調してみせるやり方はどうかと思うわけです。
国防費の資料に韓国、北朝鮮、中国を載せたうえで、質問すべきです。
そうでなければ、回答者は正しい判断を下したとは言えず、調査結果が正しく世論を反映しているとも言えません(意地悪い見方をすれば、防衛予算を引き上げるための世論操作の一環ではないか、と疑われる可能性さえあります)。
今回の資料からは、そもそも国防費の資料さえ消えています(兵力比較は残っています)。これでは到底、調査結果を公正な資料と見るわけにはいかないでしょう。



なお、前回の調査票にあって今回からは消えている質問はほかにもあります。
例えば「教育の場で(国を守るという気持ちを)取り上げる必要はない」と答えた人への理由を問う質問。前回調査では
 (17.2) (ア) 国を守る気持ちを持つのは当然だから
 (16.8) (イ) その場になったら国を守る気持ちが出るから
 (45.6) (ウ) 教育で高められるものではないから
 (28.3) (エ) いろいろなことに利用され、危険だから
 (35.6) (オ) 軍国主義の復活につながるから
このような選択肢が用意されていました(冒頭の数字は回答者%)。
この質問は、非常に重要だと思います。是非残しておいて欲しかったですね。

この項は、調査結果自体でなく、質問用紙を見ての感想です。できるだけ説得力のある世論調査結果を出すため、内閣府の再考を希望します。


当BLOGのテーマは「日本は今、どうなっているのか」です。
私の興味関心はまずそこにありますので、世論調査にはどれも興味を引かれます。今後も機会があれば、取り上げてみたいと思っています。



◇     ◇     ◇



<蛇足的ご挨拶>

風薫る五月・・・。世間はGW真っ只中ですね。

ところで私は四月、特に後半以降ですが、予期せぬ出来事で突発的に大変忙しくなってしまい、正直、BLOGどころではないという日々でした。
しかしそんな中、ほとんど更新できてないにもかかわらず、連日、少なく見積もっても100名以上の方が来てくださっていたようです。これに気づいたのは昨夜ですが、感謝するやら申し訳ないやらで、なんだか胸が熱くなってしまいました。

私自身の状況は、正直に言えば改善の兆しがあるのかないのか・・・というところですが、できるだけ、時間を見つけて更新していきたいと思います。BLOGタイトル通り、私自身の時間・思考の余白・・・から、キーボードを打つ指先を通して、皆様のいる場所へ。

私同様に頼りない【余白から指先へ】ですが、どうぞ今後とも、宜しくお願い致します。


 
posted by 水無月 at 02:00| Comment(2) | TrackBack(1) | 国内(その他) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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