2006年05月06日

B【ネット右翼】(朝日新聞の場合)

ここ数ヶ月にわかに話題に上がることが多くなり、疑問にも感じていた言葉・・・でした、ネット右翼――(笑
ネット右翼がいるならネット左翼もいる? ネット右翼がいるならネット嫌い右翼もいる? ということは、当然ネット嫌い左翼もいる・・・はずで? という具合に頭の中で謎が謎を呼ぶ展開になっていたわけですが、とうとう定義してくれるところが現れましたね。


 議論の場から離れることを一時も許さない「ネット右翼」だ。
 数年前からネット上で使われ出した言葉だ。自分と相いれない考えに、投稿や書き込みを繰り返す人々を指す。右翼的な考えに基づく意見がほとんどなので、そう呼ばれるようになった。

(【朝日新聞】2006年5月5日社会面 「萎縮の構図」 6炎上)



この定義によれば、「ネット右翼」は、まずネットありき、なのですね。
「議論の場から離れることを一時も許さない」「自分と相いれない考えに、投稿や書き込みを繰り返す人々」がまずおり、彼らのほとんどが「右翼的な考えに基づく意見」なので「ネット右翼」なのだ・・・と。
・・・なるほど??

「右翼的な考えに基づく意見がほとんど」と、判断したのは誰か(「ネット右翼」命名者か、記事の執筆者か)が、気になるところです


ネット上の世界・・・に関して、私はいまだ、狭い範囲しか知らずにいるのだと思いますが、それでも、「あれがいわゆる『炎上』なのか」と思うシーンを垣間見たことはあります。

  ・メール騒動の頃に暢気な記事をUPしていた民主党議員のBLOG(http://blog.goo.ne.jp/nagashima21/e/ea6f0e501921fc9ab10da177e77679e0

  ・女人禁制の大峰山にフェミニズムの立場から女性の入山を企画・強行したグループのサイト(消滅)

  ・元オウム真理教信徒であったことを認めた某ブロガー氏と交流があった女性ネットジャーナリストのサイト(消滅)

とりあえず私が今、思い出したのは上の三例・・・でした。
該当記事に取り上げられている小倉弁護士の事例を私がよく知らないのは、その頃にはまだBLOGを開設しておらず、したがってネット上の動きにもまったく無知だったからです(しかし該当記事を見ても、主にネット上の匿名性に関する議論が行われていたようで政治的な思想・信条はあまり関係なさそうですね?)。

さて、私が多少でも見知っている上記三つのBLOGやサイトですが、これらが「炎上」していたことは、ほぼ間違いないと思います。というのは、それぞれが複数のBLOGで「炎上」と名指しされているのを私が自分で確認しているからです。これらが「炎上」だとして、ではこれらサイトを「炎上」させた人々は、「ネット右翼」なのでしょうか?

私が上記のサイトを見ていて感じたのは、政治的(右翼的)な主張などではなく、ただただ圧倒的な数の力、でした。それはたぶん、民意あるいは世論、と完全に一致はしていないけれども、どこか奥の方では地盤を共有する「草の根の声」に近いものではないかと思います。
本来は物言わぬはずだった野の草が(だから以前はせいぜい既存メディアに投稿するくらいしか意見発表の機会も持てなかった人々が)、ネットという「口」を得て一斉に声を出しはじめた・・・そんな印象があります。

一斉にしゃべりだした草の根の声を「右翼的」と感じる人々・・・とは、どういう人々なのでしょう。
私は、むしろそこに関心がありますね。
(よく言われるように、「左翼」や「リベラル」なのでしょうか? 朝日新聞社はおそらく自らを「リベラル」と思っているでしょうが、では、上の例にあげた炎上サイト群のオーナー達は、どう思っているのでしょう? そして実際にコメントをした人達は?)

右翼−左翼(または 保守−リベラル)という物差しのほかに、マジョリティ−マイノリティ、の物差し・・・というか、緊張関係(?)があるのは確かでしょう。自称「リベラル」な人々は「ネット右翼」の増加を憂えているようですが、

 右翼・・・保守・・・マジョリティ VS 左翼・・・リベラル・・・マイノリティ

と、単純に括ってしまうのはどうか・・・と思うのです。
それは部分的には当て嵌まるでしょうが(部分的に見ればなんだって当て嵌まります)、大局を見るとどうなのか・・・と。

どちらにしても、実際にはさまざまな理由で起こっている「炎上」の原因を一律に「ネット右翼」にある、と断ずるのは、あまりに大雑把すぎる見方でしょうね。
実際の世の中同様、ネット上の動きも、(朝日新聞社が把握できているよりも)もっと複雑なのだろうと私は考えています。




◇     ◇     ◇




参考 朝日記事の全文
【萎縮の構図】 6 炎上

 東京弁護士会に所属する小倉秀夫さん(37)のブログに寄せられるコメントの数は多い時でも月に20前後だった。それが昨年2月初め、10倍近くに急増した。
 普段はIT関連の問題について考えを掲載している。
 そこに、他人のブログに攻撃コメントをしつこく投稿する行為をいさめる意見を載せた。その直後のことだった。
 コメントの大半は批判だ。差出人の名前の欄は「Unknown」。匿名だった。
 「あなたは勘違いしている」「なぜ非を認めないのか」……
 回答しないと「このまま逃げたらあなたの信頼性はゼロになりますよ」。反論すれば、再反論が殺到した。
 議論の場から離れることを一時も許さない「ネット右翼」だ。
 数年前からネット上で使われ出した言葉だ。自分と相いれない考えに、投稿や書き込みを繰り返す人々を指す。右翼的な考えに基づく意見がほとんどなので、そう呼ばれるようになった。
 小倉さんはたまらず、対談を呼びかけた。
 「カミングアウトしてくださる方を求む」

 このブログを毎夜見つめる男性が東京の下町にいた。自分でもブログを持ち、「炎上観察記・弁護士編」と題するコーナーを設けている。
 30代半ば。かつては小説を出版したこともあるが、いまは無職。両親と同居し、昼夜逆転の生活。「観戦席」は自宅2階、6畳の自室だ。
 チェック開始は午後11時。自らもコメントを送りつつ、批判コメントが殺到し制御不能(ネット用語で「炎上」)に陥っていく様子を伝えた。
 男性のブログは、匿名掲示板や軍事をテーマにしたサイトともつながる。「観察記」を見た人がどんどん、小倉さんのブログに集まってきた。
 「たかだか200や300の批判で黙られても困りますねえ。あれじゃあ、議論にならない」
 男性はそう冷やかす。
 共産主義に傾倒した時期もあったが、「だんだん国を愛する気持ちが強くなった」という。自分のような人間を「ネット右翼」と呼ぶ人がいることも知っている。
 「朝日新聞を筆頭に既存メディアの報道に感じる違和感を消化するため、僕は僕なりの考えで調べ、主張する」

 炎上を眺めていた男性は西日本にもいた。
 30代の大学教員。拉致問題や安全保障をテーマにしたブログを運営しながら、北朝鮮への姿勢が「甘い」と思う評論家やマスコミを批判してきた。匿名掲示板や他人のブログにも投稿した。
 「左翼的な意見に批判的な私たちは、自由に語れる場がなく窮屈な思いをしてきた。ネットの普及がはけ口をくれた」
 ネット右翼を「素朴な愛国心から過激な民族主義に至るまで、雑多な主張の総体」とみる。予備知識がなくてもコメントやリンクをたどることで、容易に論陣を張れるブログの特性が、活動を支えていると分析する。
 「ノリ」で議論に加わる者も増え、論調は過激になりがちだ。ネット上の保守論壇が異質な意見への寛容さを失ってきていると感じ、ブログを1年前に閉じた。

 「対談」は実現しないまま、小倉さんのブログは閉じられた。職業柄、議論することに煩わしさは感じない。それでもつくづく思う。「あれはもはや、議論とは言えない」と。





 
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