2006年06月08日

「自由」の重み

 
共謀罪のこと・・・。
たぶん、これまで「実行に移したところで犯罪」だったのを
「相談したところで犯罪」に変えます・・・という部分が
日本人には一番馴染みにくいポイントなんでしょうね。

犯罪の概念自体の変革を伴うような変更を、こんなに簡単に
やってしまっていいのか、もっと国民全体を巻き込んだ
幅広い議論が必要なのではないのか・・・という指摘には
同感です。

で、国民の一人としての私の感覚ですが
以前は、かなり問題なんじゃないの? だったのですが ※1
最近では次第に、変更・・・OKかも に変わってきています(汗


     ◇     ◇     ◇


同法案には日本ペンクラブが反対しています。
http://www.japanpen.or.jp/seimei/060515.html

 このような共謀罪の導入がこの世の中と、そこで暮らす
一人ひとりの人間に何をもたらすかは、あらためて指摘する
までもない。民主主義社会における思想・信条・結社の自由
を侵すことはもちろんのこと、人間が人間であるがゆえに
めぐらす数々の心象や想念にまで介入し、また他者との関係の
なかで生きる人間が本来的に持つ共同性への意思それ自体を
寸断するものとなるだろう。


思想・信条・結社の自由は大切です。
「人間が人間であるがゆえにめぐらす数々の心象や想念」
これは誰にとっても譲れない一線でしょう。

しかし、心の中で呟くことや夢想すること、考えること、と
それを第三者に向けて公言すること・・・では、おのずから
重みが違ってしかるべきだ、という気持ちもあるのです。

私のこの変化には確実に、そして皮肉なことですが、私が
ネットを知り、広い世界に触れたことが影響しているだろう
と思います。自己分析ですけどね・・・。

実行に移せば犯罪となる行為であれば、それを「したい」
「やろう」などと、気安く他人に言うべきではないと思い
ます。たとえ冗談であったとしても。

考えること、と、外へ向かって表明すること、の境が曖昧
なのは、私にとって大変気持ち悪いことです。
外へ向かって表明することに敏感であるべき立場・職業の
人々は、むしろその境を厳格に認識していて当然のような
気もするのですが。


     ◇     ◇     ◇


この日記を書く直接の動機になったサイト・・・↓。

【一般の人も対象になり得る「共謀罪」】
http://kyobo.syuriken.jp/case.htm

とりあえず私は、法案反対派のこのページを見て、こうした
事例であれば、反対派へ積極的に賛同はしたくない、という
気持ちの方が強くなりました(苦笑
自分がこの事例には当てはまらない・・・というだけでなく
事例集に出てくるような人々は、現実世界で出会えば
おそらく私とはあまり気の合わない人々のような気もする
からです・・・(汗


     ◇     ◇     ◇


共謀罪に関してですが、私が問題と思うのは、思想の自由
云々ではなく、次の点です。

 ・共謀(冗談レベルも含め)したけれども、集団構成員の
  自発的意思によって共謀が消滅した場合にも減刑されない

 ・密告者優遇制度

上記を組み合わせると、例えば、ある犯罪行為を相談(=共謀
成立)したのち、集団の構成員Aが「やはりやめよう」と言い出し
他のメンバーを説得して共謀を消滅させた、しかし
共謀消滅に内心不満な構成員Bがほかのメンバーを逆恨みし
警察へ密告した・・・という場合、(犯罪行為をやめさせた)Aを
含む構成員は罰せられ、(一番犯罪遂行の意志が強かった)Bは
減刑される・・・というような状況が起こりうるでしょう。

裁判で情状酌量が認められるかもしれませんが、そういう
手続きでは計れないもっと根本的な部分で、(現状の)共謀罪
という概念の未熟さを感じます。
要するに、納得できない・・・ということ(苦笑

ほかにも、刑法の体系から見て無理がありそうだ、とか
国際組織に限れば済むんじゃないの? というようなことも
多くの方々が指摘しているのではないかと思います。


     ◇     ◇     ◇


まとめると、「犯罪の概念を変える」という根本部分では
私は積極的に反対すべきとまでは思ってないですね。
ただ、もっと枝葉の部分で、まだ法案が未熟なのかも・・・と
いう気はします。
法の運用方(警察や司法関係者)が、法の未熟さを運用で
カバーできる程度に成熟している、という国民的コンセンサス
が得られているとは言えない現状、継続審議も自然な流れ
なのかもしれません。

私個人は思想の自由、言論の自由を大切に思っていますが
名誉毀損やセクハラ※2、著作権侵害・・・など、それ自体が
犯罪であるところの言論と同様に
犯罪行為を相談する言論の自由まで守りたい、守るべきだ
とは、思えません。

それ自体が犯罪であるところの言論や、犯罪行為を相談する
言論の自由・・・をも守るべきと説く人々とは、実は
言論を少しも愛していない人々ではないかと、私は最近
疑い始めているのです・・・。




※2 セクハラ・・・には、読者には相応しくないと容易に
 推測できる人々(たとえば女性や子供など)の目に触れる
 場所に置かれた「猥雑な」創作物なども含みます。


※1 上記は以前に書いたエントリ、具体的には半年ほど前の↓
 【共謀罪(衆議院2/3制覇がもたらすもの)
 【続・共謀罪
これらとは、共謀罪に対する根本的な見方がかなり変わっています。
以前は積極的反対意見でしたが、今は罪の創設自体には反対しない
立場です。
今回のエントリを上げるに際し、以前のエントリを下げておくべき
かとも迷いましたが、私自身の意見の変遷を記録しておくことにも
なんらかの意味が(たぶんないでしょうけど、もしかしたら、万一)
あるかもしれないと考え、あえて下げないでおきます。





posted by 水無月 at 03:22| Comment(4) | TrackBack(0) | 国内(法律) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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