2006年03月31日

教科書と隣国

日本の教科書検定に関して近隣諸国から反発があったようですね。

ロシアから(30日)
ロシアも教科書検定を批判 北方4島について

韓国から(30日)
教科書に「竹島は日本領」明記、韓国外相が抗議

中国からも(30日)
【教科書検定】中国政府も強力批判

対する日本側の反応。
小泉首相、「教科書検定、私が口出しする問題でない
この記事によれば、日本政府は教科書問題を、外交問題としては正面から扱わない対応をしているようです。

そして新聞社より早いTV系のニュース。
文科相「我が国の立場で正確な記述」

わが国の教育で使う教科書だから、わが国の立場で正確に記述する、ということ」(小坂大臣)
 小坂大臣は31日の閣議後の会見でこのように述べ、竹島が日本の領土であるとする日本政府の立場を改めて示しました。
 また「検定に合格した教科書を使って、指導要領の狙いに沿った教育が行われることを期待している」とも述べました。(31日11:38)


今回の抗議は領土問題にポイントが絞られているようですから話は簡単です。

日本政府の対応は正しい。

領土問題がまさに起きているのですから、一方の当事国である日本が自国教科書で自国の主張を教えるのは当然の話であり、利害敵対国である中国や韓国やロシアがそれに異議を唱えること自体、変な話です。
日本は近隣諸国の教科書の記述に口を挟んだりはしていません。その対応も、私は妥当だと思います。隣人が変だからといって、こちらまでが変になる必要はありませんから。


ただ、この問題では私は次の記事を知り、考えさせられました。


「日本だけ自国中心?」…韓中日歴史教科書比較 】(2006/01/30)

 「近現代史とは、“自分の国”だけが唯一闘争し、業績を残した歴史なのか」

 韓中日3か国の歴史教科書の記述が相互交流の内容を記すよりは、むしろ徹底して「自国中心」の側に傾いているとの分析が出された。

 韓国教員大の金漢宗(キム・ハンジョン)教授ら7人の近現代史専攻者らが共同で出版した研究シリーズ「韓中日3か国の近代史認識と歴史教育」は、望ましい歴史認識の共有に向け3か国の近代史認識をすべて批判的に検討したもの。
(中略)
 もちろん最も根本的な間違いを犯しているのは日本の教科書だ。しかし、他の国の教科書には全く問題がないのだろうか

 韓国の第7回教育課程上の「韓国の近現代史」教科書の日帝時代について書かれた部分は、各時期の代表的な経済政策を通じ日本の経済侵略とそれに苦しむ韓国人の姿を記述している。

 ところが、日本が本国の資本と商品を「輸出」できる「市場」として植民地朝鮮を作ったという記述と、朝鮮の土地を「略奪」し米や資源を「収奪」したという内容が混在している。需要と供給による輸出入という資本主義的経済行為までもすべて「収奪」として画一化する矛盾を内包している、というわけだ。

 また、日本が台湾と満州をどのように支配したかに対する記述が全くなく、周辺の歴史を韓国との関連性の中で見ることができないようにしている、との指摘だ。

 中国は現代史を「中国人民が民族独立と社会進歩を勝ち取るため、反帝・反封建闘争を行った歴史」、すなわち侵略と抵抗の歴史として圧縮している。

 日本軍の占領地域での政策は「野蛮的経済的略奪」と「奴隷教育の実施」に圧縮記述され、収奪と民族抹殺を強調している点で韓国と似ている。

 民族運動に関する部分でも事情は似通っている。春川教育大の金正仁(キム・ジョンイン)教授は、『3か国の民族運動に関する歴史認識の分析』で韓国の教科書が右派と資本主義系列中心の民族運動史を追及し、中国は共産党中心の抗日戦争と社会主義的愛国主義を強調している、と分析する。

 一方、日本は被支配民族の抵抗歴史に対する記述そのものが簡略化されているため、教科書を読んだだけでは「日本は加害者」という明白な歴史的真実をつかみにくい。

 闘争の歴史に対する共有と交流に到達するためには、依然として長き道のりが残されているというわけだ。



やや古い記事でしたが、これが【朝鮮日報】発の報道だったということに、私は感銘を受けたのです。
これは本来、(「根本的な間違いを犯しているのは日本の教科書だ」の部分を除き)日本側のメディアが書いてしかるべき記事でした。

韓国メディアは韓国の主張をし、日本メディアは日本の主張をする・・・のが、本来あるべき姿でしょう。韓国メディアの主張は「根本的な間違いを犯しているのは日本の教科書だ」の部分です。したがって当然、日本人読者である私は、この部分に関しては発信が韓国メディアであることを考慮しつつ受け取りますが、その他の部分に関しては、公正であると思いました。
翻って日本メディアはどうでしょう。「根本的な間違いを犯しているのは近隣諸国だ」と主張することなど、私も最初から期待していませんが、この主張部分を除いた分析部分でさえ、報道されたことがあったでしょうか?

韓国メディアが認める韓国(や中国)の自国中心主義、歴史教育を、日本メディアはなぜ伝えないのでしょう。隣国が自国中心の歴史教育を行っているかどうか、は、日本国内の世論形成にも微妙な影響を与えるはず。つまりそれこそが判断の元になるべき情報として求められている報道のはずなのに・・・ね?

そういう報道を行えば不穏な嫌韓・嫌中派が増えるかも・・・と、心配する向きもあるのかもしれませんが、私に言わせれば、心配御無用です(笑
事実を知らないで形成された好意など、嫌悪感と同様、所詮は幻想にすぎません。もちろん行き過ぎた嫌中・嫌韓も、私の目には幻想としか映っていないのは言うまでもないことです。
そして日本も否応なくそこに組み込まれている国際政治が年々緊迫の度を増してゆく昨今、もはや日本にはいかなる「幻想」も国内に蔓延らせておく余力はなくなってきているのだと思います。

そうした厳しい情勢・・・だからこそ、メディアには真実を伝えて欲しいわけですが。
それが期待薄だから、私はネット情報も頼りにしている・・・というのが現状なのですね。


もうひとつ知った朝鮮日報の報道をついでに。


NYT紙「日本の教科書、韓中よりバランスが取れている」】(2005/04/18 13:54)

 同紙は「教科書制作における綿密な調査と日本の相対的に長い歴史を持つ民主主義史を勘案すると、日本の教科書はおそらく同地域の韓国・中国よりバランスが取れているかもしれない」と主張し
(中略)
「ニューヨークタイムズは韓国と中国も歴史教科書に特定事件を誤って記述したり、省略したりする部分が無いわけではなく、代表的な例として中国の教科書が『米国ではなく中国の抵抗が第2次大戦で日本を敗退させた』と記述している点を挙げた」



米国ではなく中国の抵抗が第2次大戦で日本を敗退させた」・・・こういう歴史認識であってさえ、米国も日本も外交レベルで批判してはいません。
そういうことです。

posted by 水無月 at 15:48| Comment(2) | TrackBack(4) | 中国・朝鮮・在日 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ご無沙汰してます。ちょっと古いですが、産経のHPでこんな特集が組まれてましたよ。
http://www.sankei.co.jp/databox/kyoiku2/kyoiku_main.html
Posted by ガク at 2006年03月31日 22:53
 
ガクさん、こんばんは♪
資料ありがとうございます。なるほど、産経ですか(笑
2002年度だけというのがちょっと淋しいですが
貴重な資料ですね。
Posted by 水無月 at 2006年04月02日 20:57
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