2006年04月08日

国民にとって政権交代は目的でなく結果です

民主党の新代表が選出されましたね。

■小沢 一郎(おざわ・いちろう)
昭和17年5月24日生まれ。岩手4区。昭和44年12月、27歳で初当選。自民党中枢の田中派、竹下派に所属し、故田中角栄元首相の「秘蔵っ子」として頭角を現し、47歳で自民党幹事長を務めた。しかし政治改革実現を訴えて離党し、平成5年に新生党を結成、党代表幹事に就任。自民単独政権を崩壊させ、細川連立政権を樹立する立役者に。ほかにも新進党党首、自由党党首、民主党代表代行、同党副代表などを歴任。身長1メートル73、体重73キロ、血液B型。

【産経新聞】より(以下の白地引用もソースはすべて同じ)
http://www.sanspo.com/shakai/top/sha200604/sha2006040801.html

対立候補の菅元代表とは47票差の119票対72票・・・で、これは大差ということになるようです。

私は金曜夜のNHKで知ったのですが、確かにこれまでよりは表情も柔らかめ・・・時代に沿うメディア戦術を意識しているのだな、と感じました。
小沢氏自身も、投票前の政見演説で「民主党も変わらなくちゃいけない。私自身も変わらなくちゃいけない」と言ったらしいですし、ね(笑
ただ、この「変わる」は、あくまで外見・イメージに関してだけのことのようです。
「皆さん(報道陣)への態度をもうちょっと良くとか、ブスッとしてないでもうちょっと笑えとか。変身を心がけたい」

これはこれで良いことだと私は思いました。中身(政策)まで、そうそう気安く変わるようでは、有権者として困惑するほかありませんから。


それよりも私は、政見演説や代表選出後のインタビューでの小沢氏発言が、民主党建て直しのための抽象的な精神論ばかりに傾き、唯一出た具体的な目標(?)が「政権交代」だったことに拭いきれない違和感を抱きました。
「私のようなものが代表に選出され、身に余る光栄」
「全身全霊尽くして一生懸命頑張る」
「(WBCでは)1人1人が個性を発揮して世界一になった。民主党も全員が力を出し切れば、政権交代という金メダルを取れると確信している」
「民主党も変わらなくちゃいけない。私自身も変わらなくちゃいけない」


結局、代表就任前後の小沢氏発言からは、小沢氏がどんな政策を持ち、どういう日本をイメージしているのか・・・を、読み取ることができないのです。
まあこれは、民主党内部の党首選びですから、これでいいのかもしれません(ホント?)。なにしろ、この場合の有権者(選挙人)は民主党に所属する議員さん達です。彼らにとっては、とにかく「党を立て直し(イメージを向上させ)てくれて」「(党員が選挙で当選できるように)精一杯頑張ってくれ」そうな党首が、望ましいわけですからね。

けれども国政選挙の有権者にとっては、まったく事情が異なります。
当たり前のことをあえて書きますが、日本を、国民を、どういう方向へ引っ張ろうとしているのか・・・つまりは政策で、有権者は票を投じるのです。
 Q. 「どういう日本にしたいですか?」
 A. 「政権交代の起こる国にしたいです」
間違ってもそんな政党に票は集まらないでしょう(「政権交代をさせたい」という動機で票を投じる有権者の割合は、今回の民主党首選で河村たかし氏の推薦人に名を連ねた議員さん達の、全民主党議員に占める割合を上回ることはないと思います)。
政権交代は結果であって目的にはなりえないのです。
そこのところを、民主党議員さん達には是非、しっかり覚えておいてもらいたいものですね。

もっとも、民主党内部で、民主党党員の皆さんが政権交代を目標にするという分には、結構なことだと思います。
政権交代を目指し、それが現実味を帯びるほどまで政策を磨いてくれるというのなら、国民にとってこれほど喜ばしいことはありませんから。・・・とまで考えて、私は逆に、「政権交代」くらいしか具体的なことを口にできなかった小沢代表の立場が、理解できるような気がしました。
小沢氏の支持層には、護憲派の旧社民党系から、改憲容認の旧自民党(旧自由党)系の議員までがいます。そして民主党の中にはそのほかにも、前原前代表のような若手グループや、菅氏のような市民派グループまであって・・・。
こういう集団のTOPに選出されようと思えば、下手に政策論など出すわけにはいきません(苦笑
どの党員にとっても耳障りの良い「挙党体制」「政権交代」くらいしか口に出せないのは当然、と言うべきでしょう。

要するに、小沢氏の仕事はすべてが「これから」に掛かっているわけです。自民党以上に右から左まで幅広く個性豊か(笑)な党員達をいかにまとめ、それこそ「挙党体制で」の統一した政策を打ち出せるか、どうか・・・。
小沢氏の指導力が試されるでしょう。


ちなみに、小沢氏は嫌っているらしい「豪腕」という形容ですが、私は悪いイメージとは思いません。実績から見れば、かつて同じ釜の飯を食った仲間に公然と対立候補を送り込んでみせた小泉氏の方が、よほど「豪腕」でしょう。国民一般のレベルでは、かえって小沢氏の「豪腕」ぶりに期待を寄せている人も多かろうと思います。
つまり、「豪腕」がマイナスイメージなのは国民一般レベルではなく、永田町レベルでの話だということです。小泉氏も先の選挙では永田町のお仲間(自民党議員)からは、相当恨まれていましたね。それでも有権者が彼を支持したために、小泉氏は選挙に勝ち、選挙に勝ったことで永田町の不満分子の制圧に成功したのです。
そのあたりのカラクリも是非、小沢氏には正しく認識しておいていただきたいと思います。

なお今回の小沢氏は、事前の根回しによる勝算の目処が立つまで代表立候補の意思を示さず、若手が反発すれば勝ち方にも配慮してみせる(わざわざ選挙を行い、かつ菅氏の待遇も約束する)など、慎重さや丁寧さが目立ちました。
小泉氏との対比で言えば、小沢氏は小泉氏以上に旧来自民党的な選挙戦を戦った・・・と言えるでしょう。

自民党を壊す、ことを公約に党首選を戦い、結果として自民党も救ってみせた小泉氏でしたが、対して
民主党を救う、ことを公約にした小沢氏・・・。さて、今後どのように民主党を変えてくれるのでしょうか。楽しみです。


最後に・・・。小沢氏本人が語ってくれなかったので復習しておきましょう。


主な政治的主張

政党を変遷するその政治的行動を非難される事が多い。しかし政局判断に関しては柔軟に対応することに躊躇はしないが、政治理念、政治哲学に関しては一切の妥協をしない。

・靖国神社への公式参拝
  行く行かないは個人の自由。ただし公約をし、政治信念で行くのならば8月15日に公式参拝を行うべき。

・A級戦犯
  東京裁判は不当な報復裁判。ただし当時の国家指導者は敗戦責任があり、靖国神社から分祀すべき。

・自衛隊の海外派遣
  戦争には前線も後方支援も関係はない。
   ・「集団的自衛権」(イラク戦争型)の行使 ‐ 一部国家による有志連合の参加には反対。
   ・「集団安全保障」(湾岸戦争型)の行使 ‐ 各国が容認した国連軍、多国籍軍の参加には賛成。

・経済政策
  新自由主義的政策に基づく規制撤廃の実施。ただし社会的格差の是正、挫折した経営者、労働者の再起業、再就職の支援制度の拡充が前提。

・在日外国人の地方参政権
  旧植民地政策により日本に移住、戦後そのまま在住した外国人・その家族には歴史的事情を勘案し、限定的に容認。

・労働組合との関係
  未組織労働者や市民層からの支持を増やすことで協調的に労組との関係を維持する。

【Wikipedia】http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B0%8F%E6%B2%A2%E4%B8%80%E9%83%8E


わざわざ政権交代せずとも自民党の中で十分やっていけそうですが(笑)、そこはそれ、彼はやはり「政権交代」を実現したいのでしょうね。

一党による与党独占が続けば当然に政官業の癒着・・・腐敗を招きます。
だから政権交代は確かに望ましい、と私も思います。しかしそのためにはやはり、政策の違いを前面に出すしかない・・・。

小沢氏は、権力闘争臭の漂う「政権交代」より、「政官業の癒着を斬る」ことをスローガンに掲げるべきだと思います。少なくとも国民には、その方がわかりやすく、受けも良いでしょう。


小沢民主党の前途・・・若干の期待を込めつつ冷静に、今後とも見守りたいと思います。

 
posted by 水無月 at 09:17| Comment(0) | TrackBack(4) | 国内(その他) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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