2006年04月20日

対中外交は変われるか?(日中中間線越え航行禁止海域問題)

竹島周辺の日本による海洋調査の問題もありますが、とりあえず今日は日中中間線の問題を・・・。

< 事態の推移 >

問題のサイトはこちら → 【中華人民共和国海事局 航行通告


2006年
3月1日 ・・・ 中国海事局が、同日から9月末まで東シナ海「平湖ガス田」
    工事のため、付近海域への立ち入り禁止をウェブサイト上で告示。

     指定海域は北緯27度7分、東経124度55分から
    北緯29度4分、東経124度54分までの帯状の海域で
    日中中間線をまたぐ形。南北200キロ、東西3.6キロに及ぶ。

3月6、7日・・・ガス田開発をめぐる日中政府間協議が北京で開催。
    中国側は連絡をせず、日本側は問題を把握していなかった。

3月28日・・・水産庁から外務省に、航行禁止の通知が行われている
    との連絡が入る。

この後 ・・・海上保安庁が中国海事局に事実関係の確認。
    中国側は「ガス田の拡張工事作業は行わない」と回答。

4月7日 ・・・中国海事局より再度連絡。「拡張工事作業は中止
    しているが、作業の期限(9月30日まで)内であれば
    いつでも作業と航行禁止を再開する」

4月14日・・・北京の日本大使館が中国外務省に事実関係の説明を求める

4月15日・・・共同通信が【北京15日共同】として22:44に事件を報道。
    【中間線付近の航行禁止 中国、東シナ海ガス田で
    これを受けて新聞各紙が一斉にネット上でこれを報道。

    保存画面は → 【こちら

4月16日・・・外務省が一連の経緯を安倍官房長官に報告。

4月17日・・・日本政府が外務省を通じ中国政府に懸念を伝える。
    安倍官房長官の説明=「わが国の主権的権利を侵害し、
    国連海洋法条約の関連規定にも反しうるとの懸念を伝え、
    詳細な事実関係を早急、明確に回答するよう申し入れを
    行った」(午前の定例記者会見)

    小泉首相=「冷静に対応したい」(昼、官邸で記者団に)

    深夜になって中国外務省が日本大使館に修正を説明。
    これによると中国海事局は航行禁止の対象範囲を
    「北緯29度7分から同29度4分」とするところを
    「北緯27度7分から同29度4分」と誤って掲載していた。

4月18日・・・安倍官房長官午前の記者会見にて「単純なミスとの印象」

    中国外務省の秦剛副報道局長が定例記者会見で、
    「技術的な誤りがあった」と釈明、内容を修正する方針を明らかに。
    (技術的な誤りの詳細には触れず)
    秦剛氏発言=「中国は日本が一方的に主張している『中間線』を
    認めていない。日本政府がこれを根拠に中国を責めていることに
    不満を覚える」

    ただし夜になっても中国海事局のサイトの誤りは修正されず。

4月19日・・・未明の時点でサイトの修正を確認。
    安倍氏定例会見で「問題があれば、お互いにすぐ通告して
    誤解を解くことが重要だ」と中国側秦剛氏発言に反論。

(各ソースは日本語配信記事)



事態としては上記の通りで、この件に関してはとりあえず一件落着なわけですが、ちょっと気になるのが心理戦(笑

日本側の代表として産経新聞に登場してもらいましょう。

【航行禁止に「技術的誤り」−中国、日本に「修正」伝える】
http://www.sanspo.com/shakai/top/sha200604/sha2006041904.html
2006年04月19日 更新

中国海事局がホームページ上で、同区域を3月1日から9月30日まで勝手に「航行禁止」と通告していることが15日に判明。中国はわが国主権侵害の既成事実化を狙ったとみられるが、わが国世論の反発が予想以上に強かったため「単純ミス」として処理したものともみられる。

安倍晋三官房長官は18日、中国側の姿勢について「単純ミスとの印象だ。今後は速やかな対応をお願いしたい」と指摘。しかし麻生太郎外相は「(海上保安庁が通告を見つけたのが)先月27日か28日で、その後外務省に連絡があった」と説明。「もめている水域で(航行禁止を)やろうとすれば、相手国に敬意を払って連絡するのが通常だ」と、中国の対応に改めて不快感を示した。


対して中国側メディアの反応。

【海事局サイトの船舶航行通告について 外交部】
http://www.sanspo.com/shakai/top/sha200604/sha2006041904.html
更新時間 :2006年04月19日10:22 (北京時間)

外交部の秦剛報道官は18日の定例記者会見で、海事局ウェブサイトに掲載された船舶航行通告について質問を受け、次のように答えた。

海事局が発表した航行通告は技術的なミスであり、中国側の実際の作業範囲は中日間の係・海域に及んでいないとのことだ。中国は日本が一方的に主張する中間線を認めておらず、いわゆる中間線を根拠に中国を非難し、誇張報道を行う日本側の行為には不満を表明する。
 この事がどのような影響をもたらすかだが、中国はこの問題について、すでに姿勢を説明している。つまり、技術的なミスだ。誰かがこれと異なる解釈をしたり、別の目的をもって誇張報道するとすれば、逆にそれにより生じる影響の方こそ考慮に値する。


単純な技術的ミスなのだから妙な詮索はやめなさい、というところでしょうか。
安倍官房長官の発言を見ても、日本政府も基本的にこれに沿った方針で事態収拾を図る見通しです。

安倍晋三官房長官は19日午前の記者会見で、東シナ海のガス田拡張工事のため中国海事局が航行禁止を通知した問題に関連し、日本側がガス田試掘に踏み切る可能性について「基本的に日本側は権利を有しているが、協議を行っていくことが両国の利益になるとしっかりお互いが認識することが大切だ」と述べ、政府間協議で問題解決を図る考えを強調した。
(共同通信) - 4月19日12時33分更新
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060419-00000076-kyodo-pol


中国が既成事実化を着々と進める中、日本が珍しく「待った!」を掛け、これに中国が応じた・・・とはじめは見、今後は幾らか対中姿勢に変化が生じるかも? とも思ったのですが、どうもそれほど簡単な話でもないようです。

ただ、中国側の意図がどうあれ、もし、この件で日本側が騒がなかったら、どうなっていたでしょう? 抗議をしなければ受け入れたものと認識されるのが当然でしょう。気づかなかったから・・・などという間抜けな理由が通用するはずもありません。特に今回に関しては、ウェブ上で堂々と通知されていたわけですからね。

そう考えると、やはり日本側の情報収集能力や伝達の遅さが非常に気になります。
なにしろ、外務省が安倍官房長官に事態を説明したのは、共同通信による報道のあとなのです。このことから、ギリギリまでは情報を外務省内部にとどめておき(この場合、官邸・政治家は外部となる)、自分達(官僚)の手でなんとか事態収拾を図ろうと画策し、どうにもならないことが明らかになった時点ではじめて官邸に投げる(この段階で報道に伝える)という、外務省の体質が透けて見えるようです。
安倍氏が自体を把握してからの動きは、非常にわかりやすいものでした。

対中外交を官僚(いわゆるチャイナスクール?)の手から、せめて政治家の手に取り戻す・・・。これこそが、今、日本に求められていることなのでしょうね。



 
posted by 水無月 at 01:11| Comment(4) | TrackBack(0) | 中国・朝鮮・在日 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
今晩は、
>外務省内部
国益より。省益、省益より、局益というやつですな。
>いわゆるチャイナスクール?)の手から、せめて政治家の手に取り戻す・・・。これこそが、今、日本に求められていることなのでしょうね

ところが、そういった情報を内閣に集めても・・。
その情報を一元的に分析し、政策化する時には、哲学が要ります。例えばアメリカなら自由経済(大儲け)の拡張!そのために武力も辞さず、独裁とも手を組み、適度に人権も掲げる。どうも、それに匹敵(対抗でも協調でもいいけど)する哲学が日本にはないので、その戻すべき政治家という範疇が、日本には長らく存在していないようです。故・田中角栄元首相でさえ、こと外交に関しては荷が重過ぎて、とても列国と渡り合えなかったようです。沖縄や千島列島のテイたらくはその辺にあるのかも。とりあえず、経済発展・安定志向だったから。ゼロ成長の今日、どういう国を作りたいのか、国民に理想も希望もない以上、「何故、何処を変えない・変える」の議論よりも、「余り変わらない」(まま、結果として「坐して衰退」)が優先されて当然です。ヒステリーを起こして強権発動しても、利益誘導しても余りついてこない・響かないのが良いところでもあり、「神秘」でもある、他国から見ても、自国民から見ても。ああ神々の国「日本」。
Posted by 建つ三介 at 2006年04月21日 21:18
 
建つさん、こんばんは♪

哲学・・・そんなにご大層な哲学が、本当に必要ですかね?
アメリカの自由経済の膨張は、べつに哲学でもなんでもないと思っています。あれは単なる資本の欲望なのではないですか? 人権、民主主義は口実にすぎないというのが実情だと思いますが。

米国の自由主義万歳論と比べるならば、日本の「経済発展・安定志向」もまた、同程度に「哲学的」だと思います。米国の自由主義万歳論が哲学だというのならば、です。
「経済発展・安定志向」とは要するに、自国民の血を流さずに自国民を食わしていこう、という意味ではないでしょうか。私はそのように解釈しているので、それを批判したいとは思わないのです。
むしろ、確固とした哲学こそ、危険だと思っています。主義主張(宗教含め)にこだわる時こそ、人間は融通が利かなくなり、野蛮になるのだと思います。

ただもちろん、漫然と現状維持を望むだけでは、衰退は免れないでしょうね。
しかし私は、日本国民が衰退に対して致命的に鈍感であり、なんの反応もできないほど亡羊としている・・・とも、思っていないのです(笑
日本人は三百年の江戸幕府鎖国体制の後でさえ、目覚める時には目覚めました。私は日本人を信じていますよ。
Posted by 水無月 at 2006年04月22日 07:00
こんちは、
>私は日本人を信じていますよ
信じるものは救われる。です。でも

>目覚める時には目覚めました

そこには何の哲学も確固としたそれですよ、がなかったとでも? あったなら、次の

>主義主張(宗教含め)にこだわる時こそ、人間は融通が利かなくなり、野蛮になるのだと

例えば、目覚めた明治は野蛮なだけだったと? 確固として、かつ、野蛮でない哲学はあります。つまり、押付けが出来難い制度のためにこそ、情報・報道・思想の自由が高らかに宣言され、ややこしい仕来りを今も持ち続けている。この辺、「談合・野合」として摘発すべきかなのか、正当に保護すべき慣例なのか、の見極め、法のルール作り・執行で難しいところのようです。

>自由経済の膨張は、べつに哲学でもなんでもないと思っています。あれは単なる資本の欲望

いえいえ、れっきとしたプロテスタンティずむに基づく哲学が土台としてあって、其処に金融資本がノッカテいるのです。

>主義主張(宗教含め)にこだわる時こそ、人間は融通が利かなくなり、野蛮

それって、要するに原理主義でしょ。
原理・原則の堅持とどう違うのか今は分かりにくいところがあり、面倒ですね。対立の構図、主要矛盾なんていう言葉もありましたが、70年代以降変わったことが分かり始めたは確かで、もはや労資の階級闘争は、たとえ南北問題としてもナンセンスです。

アメリカはその時々の政府レベルで見ちゃあ、見誤ります。サイードがアラファトに言ったように多様です。特にユダヤ系アメリカ人が典型。すごーく幅広い。イスラエル建国はその社会革命への貢献(その可能性)を潰すのが目的とさえ思えるくらい凄いですよ。金融資本を縛るのもやはり欧州でなく、アメリカが主力になるでしょう。

取りとめもなく書いてしまいましたが、またじっくり議論しましょう。出来れば、本文記事で。
Posted by 建つ三介 at 2006年04月23日 12:02
 
建つさん、こんにちは。

明治の哲学を、天皇陛下万歳論に見る仕方もあるでしょうが
(別に建つさんがそうだといっているわけではなありませんけどね)
私は、「列強並みに」「侵略されないように」という
全国民レベルの「願い」だけが本物で、ほかは借り物では
ないかと思っています。民主主義も、もちろん。

つまりね、少なくとも日本人にとっては、哲学は道具なのです。
哲学があり、その実現のために人間が努力すべきだという
発想・体質ではありません。そして私はその発想や体質が批判
されるべきだとも、べつに思わないのです。

哲学を重視する国家を従えようとするなら、こちらにもそれが
必要でしょう。できればオリジナルのものが望ましい(笑
ただ、国内を統治するだけなら、すでにあるもの以上は、もう
不要だと思いますね。
それは、内乱はあったけれども、曲がりなりにも他国の介入なしに
国家統一を成し遂げた日本の歴史そのものが証明しています。

ただ、外の国と対する時には、それでは不十分でしょう。
だから借り物で対応しようとするのだと思います。
おそらく今回も、日本は外の国を見て、必要なものを学び
「借りて」くるでしょう。
借りてきたものは所詮は本物でない、真に根付いていない、と
時に批判されることもあるかもしれません。それでも、結果として
日本を守りきることができれば構わない、と、私は思っています。

目覚め・・・に必要なのは、日本国を維持したい、守りたい
という一般国民レベルの意識だと思いますよ。

以降は「いわいわブレーク」さんでの本記事に期待します(笑
 
Posted by 水無月 at 2006年04月23日 15:43
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