2005年09月28日

選挙戦から見えるもの

※原文は2005年09月14日に書いたものです。
 
戦後六十年となる節目の年の衆議院選挙・・・。
これが歴史的な意味を持つ・・・ことは間違いないと思います。
自民党の単独過半数、そして与党議席の2/3を越える躍進・・・。
今後日本はほぼ確実に、改憲への傾斜を強めると思います。
いつか憲法が改正された時、おそらくは2005年の911が
ひとつの転換点であった・・・と評されるでしょう。

しかし六十数年前の国民がそうであったろうと(個人的に)
想像するように、その時代の中にいる私も、今回の選挙の
意味が、まだよくわからない・・・でいます。
投票から三日目・・・まだ日本中が選挙結果の熱い余韻に
浸されている中で、私の目から見た衆議院選挙・・・を
ここに記録しておこうと思いました。


◇自公は本当に圧勝したか

衆院党派別得票数・率(選挙区)

 【時事通信社調べ】(選管確定)
党派名 当選数 女性 重複 得票数  得票率  前回
自 民  219 (14) 209 32,518,388  47.8  43.8
民 主   52  ( 3)   48 24,804,784  36.4  36.7
公 明   8  ( 0)   0   981,105   1.4   1.5
共 産   0  ( 0)   0  4,937,371   7.3   8.1
社 民   1  ( 0)   1   996,007   1.5   2.9
国 民   2  ( 0)   1   432,679   0.6   −
日 本   0  ( 0)   0   137,172   0.2   −
大 地   0  ( 0)   0     −   −   −
諸 派   0  ( 0)   0   18,255   0.0   0.1
無所属   18  ( 2)   0  3,240,521   4.8   4.6
合 計  300  (19) 259 68,066,282  100.0
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050912-00000257-jij-pol

衆院党派別得票数・率(比例代表)

 【時事通信社調べ】(選管確定)
党派名 当選数 女性 重複 得票数  得票率  前回
自 民  77 (12) 48  25,887,798  38.2  35.0
民 主  61  ( 4) 59  21,036,425  31.0  37.4
公 明  23  ( 4)  0  8,987,620  13.3  14.8
共 産   9  ( 2)  4   4,919,187   7.3   7.8
社 民   6  ( 2)  4   3,719,522   5.5   5.1
国 民   2  ( 0)  1   1,183,073   1.7   −
日 本   1  ( 0)  1   1,643,506   2.4   −
大 地   1  ( 0)  0    433,938   0.6   −
諸 派   0  ( 0)  0      −   −   −
無所属   0  ( 0)  0      −   −   −
合 計  180  (24) 117   67,811,069 100.0
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050912-00000258-jij-pol

ニュースソースは時間が経てば消えてしまいますので
あえて数字を引いてきました。
これを元に電卓片手に小選挙区・比例別に与野党で議席数、得票数を
まとめてみると、以下のようになります。
(「今回」の得票率は得票数を合算したものを合計で割りました)

  獲得議席(・数 ・率=/480 ・率=/300) 得票率(前回) 
 小選挙区 
  自公   (227    47.3    75.7 ) 49.2(45.3)
  野党   ( 73    15.2    24.3 ) 50.8(54.7)
 比例               ・率=/180 
  自公   (100    20.8    55.6 )  51.4(49.8)
  野党   ( 80    16.7    44.4 )  48.6(50.2)

小選挙区では半分以上の死票が出る・・・ということから
私ははじめから比例代表に注目していましたが、その比例では
与野党の得票率はほぼ拮抗しています。
また小選挙区においては、わずかながら野党の得票率が上回って
います。
衆議院議員の2/3を抑えた自公連立与党ですが、その得票率では
有権者の半分の支持を得ているのみ・・・なのです。

自公は圧勝したか・・・。圧勝した、けれども有権者の半数は
これを支持していない・・・それが実態です。
(与党は解散前の283議席(59.0%)から327議席(68.1%)へと
 44議席(9.2%)議席を増やしましたが、得票率で見ると
 小選挙区で3.9%、比例では1.6%・・・しか、増やしていません)

ちなみに、こういうことが起こるのは、言わずと知れた小選挙区制
のせいです。つまり現行選挙の仕組み・・・そのもののせい。
ここから、死票が多いことのわかりきっている現行選挙制度への
批判をするのも良いでしょう。

また、おそらく緻密な票の割り振り計算をしたに違いない自公両党
・・・の選挙協力の威力を読み取ることもできると思います。
さらには、死票の多くは議員を生み出すに至らなかった小政党
への投票から出ている・・・という事実から、野党共闘・・・の
可能性を、各野党はもう一度探る必要がある・・・のかもしれません。


◇マスメディアはどちらを応援していたか

投票日夜・・・のTBS系特別番組の中で、視聴者の声・・・というのが
テロップで流されていたそうです。
私はあいにく見ていなかったか、気づかなかったか・・・だったの
ですが、このテロップの大半が、与党圧勝という選挙結果を嘆くもの
だったらしく、そのことが、ネット上で話題になっているようです。
選挙結果と、テロップで流される「視聴者の生の声」とのギャップ
に、多くの人が気づき、違和感を抱いた、ということでしょう。

テロップの抜粋はこちら。
http://kuts.hp.infoseek.co.jp/
http://blog.livedoor.jp/mumur/archives/50082174.html
これを収集した人はおそらく、親与党派と思われます。したがって
完全に中立ではないでしょうが、まったくの偽造でないことは
書き込みからも明らかです。

このテロップ・・・の大半が、ネット上で言われているように
与党勝利を嘆くものだったとすれば(私は実物を見ていないので
どうしても仮定の話になってしまいますが 汗)
前項で見たように、与党へ投票したのは有権者の半数・・・なの
ですから、その乖離をどう解釈すればいいのでしょう・・・。

 @ 与党支持者は選挙結果に満足し、あえて「視聴者の声」を
  上げなかった。
 A マスメディア(TBS)側が、「視聴者の声」を検閲し
  偏った内容ばかりを流した・・・。

事実はわかりません。
ネット上には、Aだと信じる人の声が溢れていますが・・・。

Aを信じる人・・・の多くは、テロップの収集をした人に代表される
ように、マスメディアは反小泉路線であり、選挙期間中も野党
(主に民主党)を持ち上げる報道ばかりしていた、と主張しています。
一方で、マスメディアの多くが親小泉的であった、と批判する人も
います。
普段からTVを見ていれば自分で判断できるのでしょうが、私には
どちらがより真実に近いのか・・・さっぱりわかりません(汗

それはともかく、親小泉、反小泉陣営(政治家でなく支持者層)
とも、マスメディアを敵視している・・・のが、印象的でした。
もっともこれは、私の調べたのがネット上だから・・・という理由が
大きいと思います。
ネット上で政治的発言をする人・・・の多くは、マスメディアに
懐疑的である(=批判的である 仮想敵視している)・・・という
のが、真実かもしれません。
それはさておき、私が日記に残しておきたかったのは↓です。

親小泉派のマスメディア観。
 マスメディアの多くは反小泉的である。
(にもかかわらず、ネットなど、既存メディア以外から情報を
 得ていたため、有権者はマスメディアの言説に惑わされること
 なく、今回選挙では正しい判断をした)
 これはマスメディアが、国民世論から乖離していることを
 示している(傍証としてTBSテロップの件)。
 →ネットなど新規メディアの礼賛へ。

反小泉派のマスメディア観。
 マスメディアの多くが親小泉的である。
(したがって多くの有権者がこれに惑わされ、誤った選択をした)
 国民は既存メディアに惑わされないようにする必要がある。
 →ネットなど新規メディアをもっと利用すべきだ。

出発点が180度違っていても、帰着するところは同じです。
繰り返しますが、これはネット上の意見ですから、ネット賛美へ
収束するのは不思議ではありません。しかし面白いと思いました(苦笑


◇小泉氏を支持したのは誰か

この項では私の今現在の個人的な意見を記しておきます。

郵政解散・・・で始まった衆議院選挙でした。
私は、以前にも書きましたが、今回の選挙の争点は、本来
郵政改革を進める「小さな政府」VS「大きな政府」という
対立点で争われるべきであったと思います。

実際、今回の選挙結果を経済分野での「小泉改革」への信任と
捉え、「小さな政府」化が進むことを(好意的に)報道する
外国メディアも多数あるようです。

【自民圧勝 海外経済紙の論評 改革歓迎、実現に懐疑的見方も】
http://www.business-i.jp/news/sou-page/news/200509130030a.nwc

そしてまた、経済界がこの選挙結果を歓迎しているのは間違い
ないところでしょう。

【堅調、小泉自民党大勝利で日経平均1万3000円トライも】
http://www.reuters.co.jp/financeNewsArticle.jhtml?type=marketsNews&storyID=9619134


しかし有権者の立場から見た時、今回の衆議院選挙の争点が
経済問題(郵政改革)であった・・・とは、到底信じられない
・・・のです。
民主党の戦略は、むしろ経済問題を焦点化しないこと・・・で
あったと思います。経済改革(構造改革)は必要だ・・・との
認識に立ち、郵政改革に賛成の立場であることを訴えていました。
そうすることで、自民党との違いをなくそうとした・・・のでしょう。

では、自民党と民主党で最も違っていた政策はなにか。
それはやはり、外交であったと思います。

親米の自民、親アジアの民主・・・。この違いは鮮明でした。
靖国参拝廃止、イラク早期撤退・・・を公約に掲げる民主。
対して、小泉氏の親米具合は海外にまで知れ渡っていました。

【総選挙は首相支持、ワシントン・ポスト紙が社説】
http://news.goo.ne.jp/news/yomiuri/seiji/20050815/20050815ia24-yol.html
(米国ワシントン・ポスト紙がこれを報じたのは八月十五日
 終戦の日・・・でした)


「郵政なくして改革なし!」と壊れたレコードのように(古?)
絶叫する小泉氏を支持する人々も確かにいたでしょう。
しかし両党の外交政策を冷静に見極め、小泉自民党へ一票を
投じた有権者・・・も、少なくはないのではないか・・・と
思います。

特に最近急激に増加している(と思われる)新保守、新右翼・・・の
人達。

「(靖国参拝について)中国と韓国に許しを得たのですか?
 得てないでしょ?」
http://ameblo.jp/worldwalker/entry-10003738208.html

この発言に象徴されるような外交姿勢・・・は、新保守層には
決定的に嫌われていました。
(そしてむろん、この人達は社民・共産にも賛同しません)

新保守、新右翼・・・層が、どの程度無党派層と重なっている
のか、私の手許にデータはありません。
ただ、実感として、小泉政権になってからの数年間・・・で
爆発的に増えているという感じがします。そのきっかけは
北朝鮮の拉致問題であり、反日デモ騒動・・・だったのでしょう。
(そう思えば、今回の小泉躍進の陰の推進力は近隣三国
 ・・・だったのかもしれない、という気がします)

なにしろ、前回衆議院選挙と比べて増えている与党得票率は
わずか4%未満・・・なのです。この4%がなにに起因していたか
・・・を見極めるのは、並大抵のことではないでしょう。
ひとつの可能性として、私は、新保守層の増加・・・を、ここに
記しておきたいと思います。

とある新保守層(と私が思う)BLOGへ寄せられたコメントから

「小泉自民党ほど酷いものはない。
 ただ、岡田民主党よりマシなだけ。
 これが多くの国民の本心なんじゃないでしょうか」
http://meinesache.seesaa.net/article/6878606.html

もし、こうした新保守層の増加が、今回の選挙結果に、一定の
影響を与えていた・・・とするなら、それはこういうことですね。

今回の選挙は、
「小さな政府」VS「大きな政府」(改革派 VS 非改革派)
という争点の陰で、「親米」VS「親アジア」という争点もまた
争われていた・・・ということ。
ネット上では、親小泉、反小泉・・・派がそれぞれ、自らを
「憂国の士」、対立する相手を「売国の輩」などと呼んでいますが
それで言うと
「(日本を)米国へ売るか」VS「中韓へ売るか」の選択であった
ということ・・・。

そしてその選択は9月11日を過ぎ、もうなされてしまった・・・。
そういうことだと思います。


◇おまけ

最後に、朝日新聞から世論調査の結果を・・・。
http://www.asahi.com/politics/update/0914/002.html

自民が圧勝した理由は
「小泉首相が支持されたから」58%
「自民党が支持されたから」18%

今回の選挙結果については「驚いた」55%

選挙結果(=与党の2/3越え勝利)について
「よかった」47%
「よくなかった」31%

小泉氏にいつまで首相を続けてほしいか
「任期いっぱいまで」50%
「任期を超えて」28%

総選挙をきっかけに自民党は
「変わる」43%
「そうは思わない」47%


以上、総選挙直後・・・の、私の目から見た日本の姿を
まとめてみました。

posted by 水無月 at 05:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 国内(その他) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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