2005年10月15日

続・共謀罪

以前に書いた私自身の記事
共謀罪(衆議院2/3制覇がもたらすもの)】の中で
一部に、事実と異なる誇張した表現がありました。

>政権や政府に批判的な言動をする人・・・たとえば
>靖国参拝で裁判を起こす人や、沖縄基地返還を訴える人
>あるいは、政府首脳のスキャンダルを追うジャーナリスト
>・・・などが、居酒屋の冗談程度で共謀罪を適用され
>今後は逮捕される可能性があります。

と私は書いていますが、法案を厳密に解釈すれば
「人」つまり個人では(組織でないので)この罪に
問われる可能性はありません。


そのことを訂正した上で、共謀罪の危険性をもう一度
整理しておきたいと思います。
私は、次の二点を重視しています。


@ 実際に犯罪行為がなされた段階でなく、その前の
 共謀段階で犯罪要件を構成してしまうこと。

 (相談はしたけれども、実行まで至らなかった・・・かも
  しれない可能性は無視されます。
  人間の行為の自由をどう捉えるかという問題)


A 犯罪組織・・・の定義が曖昧なこと。

 法務省見解では、同法案には「組織犯罪の要件」が
 付されており、すでに同じ要件が付された
 「組織的犯罪処罰法における組織的な殺人等の加重処罰」の
 場合、実際上、暴力団や悪徳商法のような組織的詐欺組織
 にしか適用されていないのだから、それ以外の団体には
 適用されない(はずだ)ということです。

 しかし、ある集団が犯罪組織かどうか・・・の判断の曖昧さ
 はどこまでも残るわけで
 それを線引きするのは常に必ず公権力側となります。
 (警察がそう判断すれば適用され、逮捕されうるから。
  司法の判断は逮捕後の話です)


私はこの二点を強調したいと思ったため
法を運用する側にとって都合の悪い団体に対し、故意に
厳格に同罪が適用されるのではないか・・・というケースを
考え、結果的に間違った例を挙げてしまいました。

表現の行き過ぎはありましたが、私が、共謀罪を危険だと
判断する根拠と結論に変更はありません・・・。


ある集団が犯罪組織かどうか・・・という判断は、実に
微妙なものとなるはずです。
弁護士団体などは、たとえば、
マンションの建設に反対する住民団体、や、労働組合
などを例に挙げていますが、私が思い浮かべたのは
特定国の船舶の寄港に対して反対運動をする団体、や
同じく、自衛艦や核搭載疑惑のある他国籍軍艦の寄港に
反対する団体、そしてこれを支援する団体・・・などでした。
(どのような背景を持つ団体であれ、彼らが、なにかを
 実力で阻止・・・しようと相談すれば、そこに共謀罪
 =たとえば組織的威力業務妨害共謀罪など・・・が
 成立する可能性があります)

また、同罪は必然的に内通者を要する(その行為の
実行の前に警察がこれを知らなければ逮捕できない)
ことから、逆に、この内通者が実は扇動者であった
・・・というような、一種の囮捜査に変容する危険性を
秘めています。
(事前に通報した者は刑を軽減する規定があります)
人間が、その行為をするか、しないか、の選択(自由)が
歪められる危険・・・があることは、私には重大な問題と
思えます。


     ◇     ◇     ◇


さて、共謀罪については以上ですが、私がこのように
あえて追加記事を起こしたのは、どうやら「共謀罪」の検索で
ここへ来てくれる人がいるらしいから・・・です。
私の結論に変わりはありませんが、途中で間違った
議論をしていると、結論自体に疑義が挟まれてしまうかも
しれません。あるいは、単なる煽りと受け取られたり(汗

こうしたことを考えるようになったのは、例の
人権擁護法案・・・を巡るネット上の遣り取りを見るように
なってから・・・です。
ネット上には、人権擁護法案の危険性を訴えたいあまり
先の私と同じように、過激で誤った議論をするBLOGが
溢れているようです・・・(困

人権擁護法案が成立すると、人種や宗教信条などを巡る
批判的な言論が、いっさい封じられてしまう・・・とする言説
逆に、人権擁護法案さえ成立しなければ言論の自由は完全に
保障されているのだ・・・とする言説、どちらも間違いです。

人権擁護法案が問題とするのは明確な(=人権救済を要する)
被害者のいる差別や虐待であり
たとえば「在日外国人に参政権を付与するかどうか」という
ような言論は、これまで通りなんの制限も受けません。
また、人権擁護法案が成立しなくとも、現状においてすでに
名誉毀損やプライバシーの侵害にあたるような言論は
(ネット上においても当然)禁じられています。

人権擁護法案を巡るネット上の議論の一端を知り
議論の過程に誤りがあると、結論の正当性が疑わしく
なる・・・ということを私自身が実感しました。

これが、この記事を書かねばと思った最大の動機ですね(笑


なお、私自身の不勉強もありましたので、人権擁護法案に
ついての【資料編】には一部追加してあります。
posted by 水無月 at 07:41| Comment(0) | TrackBack(0) | 国内(法律) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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