2005年10月18日

靖国問題・・・評価できる小泉氏の政治感覚

昨日、小泉首相が靖国参拝・・・。

私自身は、このことに一定の評価をしたいと思います。


現状:首相参拝への国内の見方は二分されている

まず最初に私個人としては、
総理大臣の靖国参拝は違憲だと考え、反対する立場である
ことをお断りしておきます。

そのうえで、では国内の反応はどうでしょうか?
私は一億二千万分の一として上記のような意見ですが
ほかの日本人はどう思っているのか・・・。
たとえ私個人が反対であっても、国民の大多数が賛成
するのであれば、私は、それはそれとして受け入れる
つもりです。

ネットを検索したところ、次のようなデータがありました。

五月の朝日新聞社による電話調査

 「やめた方がよい」・・・49%
 「続けた方がよい」・・・39%

九月選挙直後の共同通信社による電話調査

 「今年は見送るべきだ」・・・53.0%
 「今年も参拝すべきだ」・・・37.7%

反対派が5割で賛成派が4割弱程度・・・。
どうやらそのあたりが、日本の世論なのですね。
これは選挙結果にはあまり影響されていません。

反対派の方が上回っていますが、4割が賛成している
その4割という数字は、決して無視できるほど小さい
数字ではないでしょう。
国内世論は二分されている・・・と言ってよいと思います。


では司法はどうでしょうか? これは記憶に新しいですが

 大阪高裁(大谷裁判長)・・・首相の参拝は公的であり
  違憲
  ただし違憲判断は「傍論」部分で記述されているうえ
  判決自体は国側勝訴のため国側の上訴は不可能

 東京高裁(浜野裁判長)・・・首相の参拝は私的であり
  違憲主張は前提を欠く(事実上の合憲判断)

このように司法の判断も揺らいでいるという現状です。


小泉首相の行動:彼は国内を見ている

先の衆議院選挙は九月十一日に行われたわけですが
その前月の終戦記念日、小泉氏は靖国参拝を行いません
でした。
これは、5割 VS 4割 という形で二分された国内世論を
考慮した結果でしょう。
ここで信条からの強行をするようなら、小泉氏の政治家と
しての資質には重大な問題があると判断せざるをえませんが
彼は日本の政治家として国内世論を気にかけています。

そして選挙結果は与党側の大勝・・・。

小泉氏は今回、過去には本殿でしていた参拝を拝殿で行い
私的参拝であることを強調するなど、直前になされた
大阪高裁の違憲判断を意識した配慮を見せています。
衆議院選挙での大勝を受け、過去よりもより大々的に
より挑発的に、参拝する可能性も、私は考えていましたが
この予想は外れましたね・・・。

選挙結果からの暴走をせず、国内世論と司法への配慮を
見せた小泉氏の政治感覚・・・は、評価してよいと思います。


なお、国内世論へ配慮したのは選挙前だけであり、選挙が
終われば5割の反対意見を無視して参拝・・・というのは
いかがなものか、という意見も、当然あると思います。
けれども、首相としての小泉氏の靖国参拝はこれで
5度目であり、国内で彼の政治信条や公約を知らない人は
いないでしょう。
選挙期間中も、小泉氏は「参拝については適切に判断する」
と繰り返しており、選挙後にも参拝の意思があったことは
明らかです。
小泉氏の靖国参拝が国内の最重要問題であれば、5割の
人々が反対票を投じたはずですが、そうではない・・・という
結果からは、逆に、首相参拝問題は最重要問題ではない
と考えた有権者が多かった・・・事実がわかります。
こうしたことを総合的に考えれば、小泉氏が靖国参拝した
ことをもって、ことさらに「世論を軽視した!」と糾弾する
のは、無理があるように思います。


外交問題としての靖国:おかしな中韓への正しい対応

最後に、靖国問題は事実上、外交問題となっています。
今回の参拝に対しても、中韓から早速激しい抗議が
寄せられています。
しかし私はもともと、外国からの抗議に配慮して
一国の首相が行動を変える・・・こと自体に反対の立場です。
靖国参拝が純然たる国内問題であることはもちろんですが
国内世論も司法判断も分かれているようなデリケートな
政治問題ではなおさら、日本の首相には日本国内を
向いていてもらわねば困ります。

靖国参拝に反対する人々の中には、よく、首相の参拝が
国益を損なう、ことをその理由に挙げる人がいますが
国内問題に関して、他国が抗議するからやめろ、という
のは、どう考えてもおかしな話でしょう。
もし万が一(ありえない仮定ですが)、米国の大統領が
日本の首相に、クリスチャンになるよう求めたとして
「国益のため」首相が洗礼を受けたら、どう思いますか?
そんな人間に、首相を任せられるでしょうか・・・?

実際には、そうした要求が来ることはないでしょう・・・。
(来るのは、経済分野や自衛隊問題など、米国の利害に
 直結した要求のはずです)
が、中韓が日本の靖国問題に口を出すのは、米国が
原爆記念日に日本の総理大臣が祈念式典に参加するのは
不愉快だからやめろ、やめなければ経済制裁するぞ、と
要求するに等しいことです。
そのように考えれば、中韓が日本の国内問題を外交問題に
「すりかえる」ことのおかしさも、それへ配慮しろと主張
することのおかしさも、自明の理だと思います。


ところが実際には、靖国参拝反対派の一部が、このように
おかしな主張をすることで、それへの反感から
かえって賛成派が増えている・・・現状もあるようです。
これは、首相の靖国参拝を国内問題として捉えて反対する
私のような立場の人間からすると、実に困った事態なの
ですが、それはともかく
本来は国内問題である靖国を外交問題として考えた場合
他国の干渉に左右されず、国内への配慮と自己の信条から
行動を決めた小泉氏・・・ということですから、私は
(私自身の立場とは異なるとはいえ)
首相としての小泉氏に、及第点をつけてよいと思います。

posted by 水無月 at 04:47| Comment(3) | TrackBack(1) |   ◇靖国問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
> 靖国参拝が純然たる国内問題であることはもちろんですが国内世論も司法判断も分かれているようなデリケートな政治問題ではなおさら、日本の首相には日本国内を向いていてもらわねば困ります。

靖国参拝に反対する人々の中には、よく、首相の参拝が国益を損なう、ことをその理由に挙げる人がいますが国内問題に関して、他国が抗議するからやめろ、というのは、どう考えてもおかしな話でしょう。

##
これは、みごとにコイズミ自身の考えを代弁していますね。(ひょっとして、ご長男さん?)

コイズミの頭には、コケにされた中韓のトップの顔が日夜トラウマのように渦巻いているに違いがありません。「絶対に頭を下げてナルか!!麻生、わかってるだろ?おう、合点承知!」ああ、仲良きことはいいことかな。。


そもそも「靖国は国内問題だ」というのはひとつの政治判断です。ならば、いまフランスなどでおこっている宗教問題もフランスの国内問題だ、といえますか?いまどき、国内問題といえるのは、国内の談合、天下り、偽造。。くらいのもんでしょう。国内問題にするか、国際問題にするか、の判断をしなければ、まず、ならないのですよ。同じように、中国の天安門事件、チベット侵略も国際問題、台湾問題も国際問題です。人権問題はすべて国際問題。もちろん、自明の答えはありません。問題自体が人工問題すなわち文化問題なのだから。



1 首相の参拝が国益を損なう、ことをその理由に挙げる人がいますが
2 国内問題に関して、他国が抗議するからやめろ、というのは、どう考えてもおかしな話でしょう。

これを考えて忌みます。
1はどうでしょうか?国益を損なうからではなく、正義感に抵触すると考える人も、国益派にカウントしていませんか?わたしが反対するのはまず信教の自由に抵触するからです(米国の大統領
就任に教会のお偉方の前で宣誓などしているけど、ずいぶん、浅薄、とおもいます。憲法違反でしょ?)。参拝すると、売り上げが減る、だから参拝するな、なんてのは論外です。しかし、売り上げが減る、ということの裏に、現状の各国の正義感に抵触する面があるとすれば、問題にすべきですよ。 welfareに抵触することをする、妥当な根拠がありますか、ということです。

2 他国の抗議があるからやめろ、というのは論外です、表面的に言えば。しかし、なぜ抗議があるか、ということを考えなければ意味がありません。↑と同じ問題になります。選挙の票目当て、というのも首相の理由にはなりうるでしょう。そのうえで、なお、行く、というのなら

 わたしはなぜ行くか

を、堂々原稿無しでm、1時間演説をぶったらどうか?中韓語に同時通訳して、近隣諸国に見てもらう。あるいは、単身、説明しに行く。

これぞ、
単騎千里を走る、
でっしゃろが?
Posted by yam at 2006年02月10日 12:24
 
yamさん、こんにちは。

人権問題がすべて国際問題である、というふうには私は考えていません。
また、人権問題がすべて国際問題である、という認識はいたずらに各国間の緊張を高め、侵略の口実を与えるようなものである、ということからも、重ねて賛同できません。
日本国にある神社へ日本国の首相が参拝することの是非を決められるのは日本国民だけだ、という意味で、私は国内問題と捉えています。

yamさんが、信教の自由に抵触するから、という理由で反対することは、少しも問題でないと思います。ちなみに私も首相の参拝には一国民として反対する立場です。
ただ、私もyamさんも、一有権者の立場として反対する、以上のことはできない、と思っています。

もしかしたらyamさんは現状の政治状況へ苛立ちを感じておられるのかもしれませんが、それを私や当BLOGへぶつけられても困ってしまうのですが・・・。
Posted by 水無月 at 2006年02月10日 12:57
>yamさん、こんにちは。

是非僕のブログにも、コメントください。
ここでばっかり、遊んでないで・・。

それからブログを開きなさい、ここでも言っておきます。あれ、これってイエローカード?!
いえいえ、ラブコールです。
Posted by 建つ三介 at 2006年02月11日 16:22
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Excerpt:  小泉首相がついに靖国神社を参拝した。燕尾服ではなくスーツでの参拝だったが、普通に神社に参拝するのは我々にもあることだから、小泉首相の宗教観とはこんな風なのか、と思っただけだった。はっきり言えば、そも..
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Tracked: 2005-10-18 06:14
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