2005年10月21日

靖国問題・・・反対派が学ぶべきこと

共同通信社世論調査によれば、小泉首相の先の参拝は
大手メディアの論調とは異なり、むしろ参拝前よりも
好意的に捉えられているようです。

 参拝前選挙直後の世論調査(9月)
  「今年は見送るべきだ」・・・53.0%
  「今年も参拝すべきだ」・・・37.7%

 参拝直後の世論調査(10月17、18日)
  「参拝すべきではなかった」・・・45・8%
  「参拝してよかった」・・・48・1%


この結果をどう捉えるのか・・・私は靖国参拝反対派へ
とりわけ、自らが意見主張をすることによって国民に影響を
与えうると自負している人々(野党政治家やメディア)・・・
の方々へ、訊きたいですね。

もし
「自分達がこれだけ靖国参拝の不当性を訴えているにも
 かかわらず、国民には浸透していない」
「国民は小泉流の派手な愛国パフォーマンスに惑わされている」
「中韓の抗議に嫌気が差し、国民は耳に心地よい偏狭な
 ナショナリズムに安易に走っている」
・・・としか思えないのなら、靖国参拝問題はもう終わりです。
靖国だけでなく、改憲をも含め、今後の議論の一切は
先の衆議院総選挙と同じ結末を辿るでしょう・・・。
「彼ら」・・・は、自分達が支持されないことの理由を
すべて相手方の中に見出し、なぜ負けるのかも理解できず
無理に理解しようとすれば、それは「国民が愚かだからだ」と
しか言い得ず、そうして永久に負け犬の遠吠えを繰り返す
ことになるでしょう・・・。
こうした思考回路の指導者、政治家、こうしたメディアしか
持たない支持者こそ、いい迷惑です。
支持者達は自らの信望する主義主張を多くの国民・有権者に
正しく、公正に判断してもらう機会もないまま、負けさせ
られてしまうのですから・・・。

そういう流れを変えたい・・・と思う人だけに、以下の文章は
読んでもらいたいと思います。
靖国参拝反対派だけでなく、賛成派のかたでも、少しでも
興味を抱かれたのなら、是非読んでください。

逆に、国民・有権者が自派を支持しないのは国民が愚かだから
だ・・・としか思えない人には、私はもうなにも期待しません。
どうぞ声が嗄れるまで靖国参拝の不当性や平和憲法の素晴らしさ
を(無知で愚かな国民に)説き続けてください。
そうして硬直し廃墟となった真理と平和のお城で、いつまでも
取り巻き支持者以外の圧倒的多数の国民の愚かさを嘆き続けて
いればよいでしょう・・・。



【 日本国内の正論は日本人が決める 】

私は、先にUPした【靖国問題・・・評価できる小泉氏の
政治感覚
】の中で、こう述べています。


「国内問題に関して、他国が抗議するからやめろ、という
 のは、どう考えてもおかしな話でしょう。」

これに関して、靖国問題は国内問題ではない、と思う人が
いるかもしれません。外交問題じゃないの? と。
では伺いますが、靖国神社へ日本国首相が参拝することを
止められるのは誰ですか?
それができるのは日本国民だけでしょう。
日本国内の世論だけが、日本国首相の行動を変えられる
のです。それは選挙行動によって、です。
日本は民主主義国家なのですから。

ここからも、靖国問題が国内問題であることは明らかです。


@ 靖国問題を外交問題にするとはどういう意味か

外交問題というのは、相手国のあることです。
靖国参拝問題を外交問題だと喧伝する人は、中国・韓国の
主張が、日本国首相の行動を変えることができる、と思って
いるということです。
あるいは、外国が日本国首相の行動を変えてもよい、とか
変えられるべきだ、と思っているということです。
そういう人は、外国の抗議によって日本国首相が行動を
改めない場合、外国からの抗議が足りないのかと考えて
より激しい抗議を期待し、歓迎し、演出しようとします。
メディアレベルでは、日本語の言い回しをほんの少し変更し
いかにも先方が怒っている、ことを国内に宣伝します。
そしてしたり顔で言うのです。
「外国が抗議している。これは由々しき問題だ・・・」と。

彼らは、「日本国首相の行動は日本国民の世論を受けて
のみ影響されるべきだ」と普通の日本人は思っている
という、実に基本的・根本的な原則を無視しています。


A 国内の決断を外国に左右されるということ

現実には、日本国首相・あるいは日本国政府・・・の決断は
時に世論の大勢を無視します。
問題の大きさはやや異なりますが、先のBSE問題でも同じです。
または、イラク派兵やイラク撤退論など・・・もありました。
日本人の世論を無視して、政治が動くことは確かにあります。
それが現実の政治です。
しかし、多くの日本人は一貫して「日本国首相の決断は
外国からの抗議や圧力でなく日本国民の世論によって動く
べきだ(そうであって欲しい)」と強く望んでいることに
変わりはないのです。

うろ覚えですが、一年ほど前の時点の世論調査で、イラクへの
自衛隊派兵に反対する人々は2/3を占めていました。
それでも派兵は延長されました。
そこには、大きくは日米同盟自体にまで関連するような種々の
国益を勘案した、「政治決断」があったのでしょう。
この時、日本政府は日本国民の世論を無視して派兵を強行
したわけですが、日本国民は決して、それを歓迎している
のではありません。
残念だ・・・と思う人がほとんどだと思います。
それが普通の感覚でしょう。

日本国政府や日本国首相には主体的に(自国本位で)
決断して欲しい、そうであるべきだ、と望む気持ちは
愛国心とは関係ありません
選挙によって指導者を選ぶ民主主義国家の国民としては
当然の気持ち
です。

しかし、日本政府が派兵を強行したからといって、国を揺るがす
ような動乱など起きませんでしたし、それどころか与党は
先の総選挙で大勝しています。
それは、有権者が先の選挙でイラクのことを忘れたわけでも
自民党が親米路線であることを忘れたわけでもないのです。
有権者は、自民党の、小泉氏の親米路線を受け入れ、支持した
のだ・・・という、これはもう歴然たる事実です。
(実際には、先の選挙の争点は、一般に「郵政問題」であったと
 言われています。しかし小泉自民党がブッシュ米国と同じ
 小さな政府を前面に出して主張していることから見ても
 有権者が米国寄りの経済政策に支持を与えたのは明らかです。
 対して岡田民主党は経済政策に関しては二転三転して違いを
 明確にできず、最も鮮明に小泉自民党との違いを出したのは
 親中外交路線でしたが、これはまったく評価されませんでした)

親米路線を受け入れているのは、日本は親米でなければ立ち
ゆかないだろう、と国民・有権者が冷静に判断しているから
でしょう。
だから、イラク派兵に反対しながらも、世論を無視してイラク
継続派兵をする小泉自民党に、「NO」を言わないのです。

イラク派兵には「NO」です(2/3が)。しかしイラク派兵を
実際に行う自民党には「NO」までは言わない・・・。
それを、日本国民のイラクへの冷淡さ、忘れっぽさ・・・としか
解釈できない人・・・は、あまりに日本人への理解が浅すぎます。

そうではなく、実態は、日本国民は、現実として日米同盟を
受け入れつつも、米国への批判的精神を失っていない、という
ことなのです。
世論調査と投票結果とのねじれ現象は、日本国民の冷静さ
と良識・・・とを、端的に表している
のです。


B米国からの外圧と中国からの外圧

回り道が長くなりましたが、翻って靖国問題はどうでしょうか?
中国や韓国は、地理的条件以外に日米間ほどの強い結びつきを
持っているでしょうか?
「日本国政府・日本首相は日本国内世論を向いていて欲しい」
と普通に願う有権者をあえて無視してまで親中・親韓路線を
政府が取る必要があるでしょうか・・・?
あるいは逆に、親中・親韓路線を取って欲しいと願う有権者の
数(世論)は、首相の首を変えるほどのパワーでしょうか。

現実を見れば、そうでないことがわかります。

日本にとって米国と中国はまったく異なる国です。
普通の日本人は中国を、ほかのヨーロッパ諸国やアラビア諸国
アフリカ諸国、そして中韓北以外のアジア諸国と同じように
・・・もしくはそれよりはもう少し強く、仲良くしたいと
思っているでしょう。
しかし米国に認めるほどの重要性は認めていないのが現状です。

米国が日本に外圧をかければ日本が屈するのと同じように
中国が日本に外圧をかければ日本は屈する・・・と
考えている人が日本人の中にいるとは思いたくないですが
もしいるのなら、「彼ら」は現状認識を誤っています。

靖国問題に関し、中国や韓国や北朝鮮が感情的に傷つけられ
そのことで日本政府に抗議する・・・。そこまではわかります。
中国・韓国にもそれぞれ固有の事情があるでしょうし、それぞれの
政府が自国民の世論を重視するのは当たり前なことです。
しかし、いくら抗議されても、その抗議によってこの問題
の決着をつけてよい、と考えている日本人はいません


靖国問題をひとりひとりが考える際に、中韓が抗議している
ことを「考慮する」日本人は多いでしょう。
しかし、それを考慮した結果としての日本人ひとりひとり
の最終判断によってのみ、靖国参拝問題は動く
のです。



【 現在の日本人は靖国問題をどう捉えているか 】


@ 緊急世論調査結果

下の資料から世論調査を整理して引きます。

 小泉純一郎首相の靖国神社参拝について
  「参拝してよかった」・・・48・1%
  「参拝すべきではなかった」・・・45・8%

 戦没者を追悼するための新たな施設建設に
  「賛成」・・・63・7%
  「反対」・・・26・4%

 次期首相に望む対応は
  「参拝すべきではない」・・・45・9%
  「参拝すべきだ」・・・37・5%

 参拝を支持する理由は
  「他国によって影響されるべきではない」・・・53・1%
  「戦死者らを慰霊するのは当然」・・・35・8%
  「公約だから」・・・6・9%

 不支持理由は
  「中国や韓国などとの友好関係に影響する」・・・72・8%
  「政教分離の憲法に違反する恐れ」・・・13・3%
  「A級戦犯が祀られている」・・・12・4%

中国や韓国・北朝鮮などは繰り返し日本へ、この問題に
関して抗議してきています。

それへの国民の回答が、上記なのだと思います。
この回答の数字・・・は、実に示唆に富みますね。
私は、近隣諸国へ配慮しつつも主体性を保つべきだと考える
「良識的な」日本人像をここに見ます。
その理由をAで述べましょう。


A 日本人の良識

まず、戦没者追悼施設について建設賛成と答えた人が2/3近く
もいたということ。私は、この2/3の多くは、中国や韓国側の
心の痛みにも十分共感しているのではないかと考えます。
靖国神社の宗教性や、戦前に果たした役割を重視する立場の
人(愛国者と呼んでもいいですか?)は、おそらく、建設
反対の立場でしょう。なにがなんでも靖国で! そう考える
人々ではないかと想像します。
が、そうした人々は国民の中では三割未満です。
靖国神社への疑問や不安を抱いている人、または、隣国へ
配慮して靖国にこだわらなくていい、と考えている人が
国民の中では主流
なのです。

しかしそうした2/3弱の人々のすべてが、今回の小泉首相の
靖国参拝へ反対しているわけではありません。
あれだけの抗議を受けているのですから、靖国神社に
こだわらない立場なら、譲ってもよいはずなのに・・・です。
実際には、参拝すべきでなかった・・・は五割未満ですが、では
その差、15%程度は、なにを考え、どこへ消えたのでしょう?
私はここに、中国・韓国からの激しい抗議の影響を読み取る
ことができると思います。このギャップこそ、中国・韓国の
気持ちはわかるけれども、それによって日本の首相が行動を
左右されるべきではない、という意思の表れなのです。

また、次期首相に望む対応ですが、参拝しないで欲しい
という人が45%で、賛成派を上回っています。
ただし、この割合のままで、人々が「首相候補の靖国への
態度を見て次回選挙で投票を決める」と考えては早計です。
もし、靖国参拝問題が投票行動に影響するなら、先の選挙で
靖国不参拝を宣言した岡田民主党はもっと得票できていた
はずですから。
つまり、日本国民にとって、この論点で首相を選ぼう・・・と
いうほど、靖国問題は重要な問題ではない
ということです。
はっきり言えば、次期首相がどういう考えを持っているかは
次期首相次第だ、ただ、できればこうであって欲しい・・・程度の
意見だと、解釈すべきです。
ある政治事項への賛否が必ずしも投票行動に結びつかないのは
イラク派兵の場合とよく似ています。


A 抗議を受けるほど賛成派が増える

中国や韓国からの抗議は、最終的に日本人の世論に
どういう影響をもたらしたでしょうか。

中国や韓国側の抗議に理解を示す人は、靖国参拝反対。
抗議に屈してはならないと思う人は、賛成です。

もう少し正確に言えば、「抗議内容は理解できるけれども
それでも今回ばかりは屈してはならない」と思う人も
賛成へ回ったでしょう。
これは、他国への配慮や国際協調と、日本の主体性とを
天秤にかけ、後者を重視した、ということです。
逆に、日本は本来主体的に行動すべきだけれども、それでも
今回に限り(つまり激しい抗議や日中・日韓間の懸案事項に
考慮して)参拝をやめるべきだった、と考える人もいるはず
です。こうした人は参拝反対に回ったはずです。

その結果、賛成に回った人は反対に回った人を上回りました。

中国や韓国からの抗議が、靖国参拝賛成派を増やす
・・・これは事実です。
激しい抗議を受ければ受けるほど、本来は首相の靖国
参拝に反対だった人も、賛成へ回ってゆく・・・のです。
逆に、激しい抗議によって中国や韓国の受けた苦しみを
理解し、同情し、日本の過去を反省し、そして近隣諸国と
仲良くしなければと考えて、参拝賛成から反対側へ回る人
・・・もいたかもしれませんが、差し引きすれば、それは
相殺されてなお足りないほど少数なのです。



【 靖国参拝反対派は靖国問題を外交問題にすべきでない 】

上で長々と述べたのは、すべて次に述べる結論へ説得力を
増すための材料でした。
靖国参拝反対派は、今回のことからなにを学ぶべきなのか
整理してみたいと思います。


@ 外国からの抗議に依存しない

外国からの抗議に関しては無視するのが最良ですが
どうしても言及したければ抗議があったという事実のみ
簡単に補足すればよいでしょう。

近隣諸国の過去の戦争被害に関しては、これまで戦後60年の
教育や大手メディアの働きによって、もはや大部分の日本人
が知っています(少なくとも選挙権を持つ年齢ならば)。
そして日本人はすでに十分それへ共感しているのです。
(靖国以外の施設建設に賛成する人は2/3もいます)
すでに共感しているのに、なお一層の共感を求めることは
「押し付け」であり、強制と受け止められるだけです。
強制された共感・・・など、強制された反省と同じく
まったく無意味、逆効果でしかないでしょう。

中国や韓国の人々の感情は、中国や韓国の政府が堂々と
主張しているのですから、国内の参拝反対派は、国内での
参拝反対の主張をすればよいのです。日本人が日本人と
話す時に、他国民の気持ちを代弁したり、共感してみせる
必要はありません。


A 外部に頼らない反対の根拠を出す

外部・・・とは、外国政府や外国メディアということです。
外国との関係悪化が心配だというのも、もちろん、参拝反対の
理由としては成り立ちます。
しかし他方、今現在で参拝に賛成している人々は、すでに
日中・日韓関係の悪化を織り込み済なのだという事実を
忘れてはいけません。また、日中・日韓関係は、日米関係
ほど緊密に結ばれていないという事実もあります。

結局のところ、日中・日韓関係の悪化は、今現在参拝を賛成
している人々を説得する材料にはなりません。
六者協議に関しても、米国は日本の参拝が影響しない、と
いう見方を示しています。
また海外メディアでは、米国で日本側を批判したNYタイムズ
(木村記者)は、その東京支社が朝日新聞東京本社と
同じ住所にある・・・など、参拝賛成派からは、まさに
朝日新聞並みの(マイナスの)評価しか受けていません。

外部メディアや外国政府の反応を、参拝反対の論拠にする
ことは、反対派同士の内輪では意味があるかもしれませんが
事実上、賛成派を説得する材料にはならないのです。
かえって、日本への外国の干渉を印象づける結果となります。

他方、参拝賛成派は憲法19・20条の「思想・良心の自由」
「信教の自由」を大きな根拠の柱に挙げています。
日本国内では「思想・信仰の自由」は極めて大きな価値を
持っていますから、これに対抗するのに「外交上の利益」
では、あまりに弱すぎます。


B 外国政府・日本のメディアとは距離を置く

外国政府の主張と距離を置くべきだ、という理由はもう
何度も、くどいほど書きました。
要するに、日本国民が持つごく自然な「日本の政治は
日本人が決めるのだ」という主体性・・・の敵であるかの
ような態度は避ける
ことです。

そして同様に、日本のメディアとも距離を置くべきです。
日本のメディア、特に一部の大手新聞紙は、度重なる誇張
表現や、酷いところでは記事の捏造・・・などによって
もはや全く信用されていないと考えるべきでしょう。

誰かに向けて自分の意見を言う際に、相手方がそもそも
信用していない第三者(この場合は日本のメディア)の
主張を、傍証として挙げることは、逆効果にしかなりません。


C 外国世論に頼らない

先日ネット上で、靖国反対運動を多国的に、つまり中国や
韓国のネット・ブロガーと連携して、盛り上げよう、という
主張のブログを見ました。
これもまた、@〜Bと同じ誤りです。
日本国内の世論を動かすのに、外国世論に頼ろうと思っては
いけません。



【 国内での参拝反対の根拠とはなにか 】

蛇足ですが、外国の抗議や外交関係悪化を理由にしないなら
参拝反対の根拠とはなんなのでしょう・・・。
ついでなので簡単に整理してみたいと思います。

@ 政教分離原則

国内での賛成派の根拠のひとつは、「信仰や思想の自由」です。
これには同じ憲法20条で定められた「政教分離」原則が、まだ
有効性を保っています。
ただし、この根拠は絶対ではありません。
裁判所の判断が揺れているということもありますが、なにより
もし違憲判決が出たとしても、その憲法でさえ、最終的には
国民・有権者の意思で変わりうる
、からです。

また、この政教分離原則に従えば首相の私的参拝は許される
と考える国民が多いでしょう。

そしてもし、政教分離原則を自説の柱に据えるのであれば
首相が「私的参拝」をした場合にまで、もし中国・韓国からの
抗議が来たのならば、日本国首相の行動は国内的に正しかった
のだ、と、毅然として主張する、あるいは海外向けに首相の
正当性を説明しようと努力する・・・という一貫性も大切です。

その主張に一貫性があるかどうか・・・を、国内の参拝賛成派が
じっと見ている事実を忘れないでください。


A A級戦犯合祀・戦争責任

極東裁判の正当性やその評価に関しては賛成派・反対派の間で
激しい論争が巻き起こっていますが、反対派が主張する時に
気をつけて欲しいのは、A級戦犯の戦争責任は、まず第一に
日本国民に対してあるのだ、ということです。

近隣諸国に対しても責任があるのは当然ですが、他国への
責任について、日本人同士が議論するのはほとんど意味が
ありません。
賛成派に向けて意見を述べるのであれば、日本国内への責任
原爆投下を招いた責任、終戦の決断が遅くなった責任、などに
ついて述べ、共感を求めるべきでしょう。


B 愛国・天皇制・歴史

靖国参拝を愛国主義、天皇制と絡めて賛成派と論議する
ことは、私個人は不毛だと思っています。
愛国の定義や実態、天皇制への共感度(反感度)などは
国内でも驚くほど温度差があります。
象徴天皇制は完全に定着しています。
天皇制、日の丸、君が代、そして靖国・・・は、現代において
すでに記号と化しています。そこになにを見るか・・・は
国民の間でもバラバラなのが実態でしょう。

知識として、戦時中に天皇や日の丸や君が代や靖国神社が
国民の戦意高揚や人心掌握に利用されたことは知っていても
そのことが、靖国神社への反発とは結びつかない人も大勢
います。
これはもはや、「歴史認識」の違いなのではないかと私は
思っています。歴史認識を巡っては、新しい歴史教科書問題
で盛んに論議されていますが、その論戦を見るにつけ
一方だけが絶対的に「正しい」ことなどありえないのでは
ないか・・・というのが、私の正直な感想です。



【 再度・・・靖国問題は国内問題です 】

私は最近では、靖国参拝への中国・韓国の抗議が来るたびに
さも一大事のように大騒ぎする日本のメディアは
本当は靖国参拝賛成派を増やしたいのではないか? と
疑いたい気持ち・・・なのが正直なところです。
首相の靖国参拝に反対する人(有権者レベル)にとって
真の敵は日本メディアなのかもしれません。

日本国民の多くは、首相の参拝が行われれば近隣諸国から
抗議が寄せられること、その結果外相会談なども延期され
ことによると反日デモが起こるかもしれない・・・ことなど
とうに予測しているでしょう。

それでもなお、あえて日本国首相の参拝に賛成する・・・のです
そして参拝によってその割合は数パーセントといえ増えている
・・・という事実は、この問題への外国からの干渉をいかに
日本国民が嫌っているか
・・・という証拠です。
外国からの干渉を嫌うのは、靖国参拝賛成派だけではなく
反対派も同じなのです。

外国からの抗議は、国内の世論を不当に歪めています。
外国からの抗議がなければ、靖国参拝反対派は賛成派を
上回っているのです。
他国からの無用な干渉や、他国の干渉を嬉々として(表面上
だけは深刻そうに眉を寄せて)報告するメディアの歪みが
なければ靖国問題は穏当なところで解決できるはずです。

そうであるからこそ、靖国参拝に反対する立場の人ほど
この問題への外国からの干渉には毅然として「NO!」と言う
べきです。

そしてなによりも靖国参拝への反対運動を、メディア任せ
政治家任せ、外国任せにせず、国民・有権者自身の手に

取り戻すことが大事なのだ、と思います。



    ◇     ◇     ◇


資料【中日新聞】

http://www.chunichi.co.jp/00/sei/20051019/mng_____sei_____003.shtml
「支持わずかに上回る 首相靖国参拝で世論調査

 小泉純一郎首相の靖国神社参拝について共同通信社が17、18両日に実施した全国緊急電話世論調査によると、「参拝してよかった」が48・1%だったのに対し「参拝すべきではなかった」が45・8%と、参拝支持が不支持をわずかに上回った。前回9月調査では「今年は見送るべきだ」(53・0%)が「今年も参拝すべきだ」(37・7%)を上回っていたが、賛否が逆転した。

 一方、戦没者を追悼するための新たな施設建設は、賛成が63・7%と、反対の26・4%を大きく上回った。

 次期首相に望む対応では「参拝すべきではない」(45・9%)が「参拝すべきだ」(37・5%)を上回り、首相の靖国参拝をめぐる世論がなお二分されていることが、あらためて浮き彫りになった。

 17日に行われた小泉首相の参拝を支持する理由は「他国によって影響されるべきではない」が53・1%とトップ。「戦死者らを慰霊するのは当然」は35・8%。「公約だから」は6・9%にとどまった。

 不支持理由は「中国や韓国などとの友好関係に影響する」が72・8%と飛び抜けて多い。「政教分離の憲法に違反する恐れ」が13・3%、「A級戦犯が祭られている」は12・4%だった。支持、不支持とも内政より外交を優先して判断している。

 小泉内閣の支持率は54・5%で前回調査の59・1%から4・6ポイント下がった。不支持率は3・1ポイント増の36・3%。支持理由のトップは「ほかに適当な人がいない」で、前回比12・6ポイント増の35・2%。

 <調査の方法> 全国の有権者を対象に17日午後から18日にかけて、RDD(ランダム・デジット・ダイヤリング)法で実施した。コンピューターで無作為に電話番号を発生させてかける電話調査法で、電話帳に番号を載せていない人も調査できる。無作為に発生させた番号のうち、実際に有権者がいる世帯にかかったのは1494件、うち1013人から回答を得た。


posted by 水無月 at 13:02| Comment(6) | TrackBack(2) |   ◇靖国問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
当たり前ですが、中国・韓国は日本の内政問題である「郵政改革」には何も干渉しておりませんよね。

両国が「靖国参拝」に抗議するのは、日本の侵略で多大な犠牲をこうむっており、その時の戦犯を神として祀っている神社に日本の首相が参拝することは、戦犯の責任と侵略の歴史を反省していないと考えるからだと思います。
だれも被害を受けていないのに抗議するわけではないのです。

アメリカの原爆実験に日本が反対の抗議をしてきたのは、その原爆で日本が多大な犠牲をこうむったからです。
アメリカの原爆実験に日本が抗議するのは、アメリカに対して「内政干渉」でしょうか。
アメリカの原爆実験は、アメリカの「国内問題」だから抗議できないのでしょうか。

「靖国参拝」も「原水爆実験」も、被害国がある以上、日本にとってもアメリカにとっても、「国内問題」ではないのです。


Posted by medalist at 2005年10月21日 21:44
medalistさん、はじめまして。

靖国参拝を国内問題と捉え直さない限り
そういう発想の転換をできない限り
靖国参拝反対運動は頓挫するでしょう。
それが私の見方です。

申し訳ないですが、medalistさんに頂いたコメントから
私は、自分の意見を修正する必要を感じませんでした。

私は、他国は日本に抗議しちゃいけないとは一度も書いた
覚えがありません。
ただ、国内の参拝反対派が他国の抗議を、反対の理由に
据えることは賛成派を利するだけだ、と指摘しているのです。
Posted by 水無月 at 2005年10月22日 06:27
非常に説得力のある論説で、大変ためになりました。私も「真の敵は日本のメディア」と思う一人です。拙ブログでも書きましたが、週刊文春11月5日号では立花隆が靖国批判の本を手放しで礼賛するなどこの国の一部知識人は、過去戦争被害を与えたことをもって「思考停止」に陥っている方々が多すぎます。なぜいま国民は、靖国参拝を支持しているのか、冷静に分析することが大切だと思います。そしてなぜ、かの国ら(東アジアでも中華人民共和国と大韓民国だけ)が抗議するに至っているかも冷静に分析する必要があるのではないでしょうか。
私は小泉首相の政治手法も政策も好きにはなれませんし、「私的参拝」などという三木首相が作り出した姑息な手法を用いることも感心しませんが、かつて国のため、こころならずも戦場に駆りだされ落命した方々の霊を一国の宰相が慰めることは、その遺族にとって大切なことだと思うのです。私の祖父もシベリアに抑留され帰還しましたが、その時患った病がもとで比較的若くに亡くなりました。が、その後政府の事業として抑留されたことに対する慰問の状と銀杯を頂きましてありがたく思ったものです。
どんなメディアに対しても思うのですが、表面的な行動のみを垂れ流して報道するのではなく、その行為の背景、よって来るところ、歴史をよく吟味して欲しいものです。
Posted by D(関西在住) at 2005年10月30日 08:45


D(関西在住)さん、こんばんは。
コメントありがとうございます。

私自身は、日本においては国教が定められていない(政権分離)以上、国家による戦没者の慰霊は特定の宗教色を排すべきだ、したがって公的・私的など論争の種になるような首相の靖国参拝には賛成できない・・・という立場なのですが、国家による慰霊自体に反対するものではありません。戦前も戦後も、日本は日本なのですから、国家としての慰霊を望む人々がいることは理解できます。国家による慰霊・・・は、戦後日本に課せられた課題のひとつなのだろうと思います。

思考停止・・・は、同感ですね! マスメディアや知識人と呼ばれる人達の思考の硬直ぶりには、正直言って嫌気が差してしまうこともあります。冷戦が終わって世界も日本も劇的に変化しているのに、二十年前と同じ論法で、同じことを言って、それが通用すると信じているかのような・・・。なんだか彼らの「時」は止まっているように見えます。これは政治的な立場を超えて日本人全体に共通する、不満(不安?)なのかもしれませんね。
それに比べれば、政治家の方が流石に敏感に反応しているという気がします。とはいえ、私自身は与党支持者ではありませんが、しかし感心せざるをえないことが多いのも事実です。小泉氏の靖国参拝強行も、実は国民に対して、歴史観や政教分離の在り方・・・といった重大な事柄への問題提起をしている、という見方もできます。

ああ、そうそう。ひとつ思ったのですが、朝日に代表されるような左派リベラル系知識人達は、戦前・戦中の価値観に通じるものを、「無批判に批判する」ことがイコール「正しい」と思っているのかもしれないです。
まるで自分達は敗戦の玉音放送のあとで、突然、無から生まれたかのように錯覚していて、戦前・戦中的価値観=悪、戦後的価値観=善、という二元論で捉えているのかもしれない。
そして悪を攻撃することが善であり、それがつまり自分達の存在意義だと思っているのかも・・・? もしそうだとすれば、彼らの存在意義自体が、今後は問われていくでしょう。それはすでに始まっている・・・ような気もします。
日本は原爆と敗戦のショックで、歴史も国家意識も、分断されていました。しかし今、その統合が始まっているようにも見えます。個人のレベルでは、当然、祖父母は戦前、親は戦中、子は戦後、孫は平成・・・というように、繋がって生きているわけですから。

後段の部分は、お返事を超えてやや一方的に思考が走ってしまいました。どうぞご容赦ください(汗
Posted by 水無月 at 2005年10月30日 22:31
ご丁寧な返信ありがとうございます。私は生まれてこの方自民党が大嫌いな性質ですので、どちらかといえば政治的スタンスは中道やや左という感覚ですが、近年右だ左だ、保守だリベラルだという議論はもううんざりです。仰られるように「善悪二元論」は冷戦の崩壊とともにもう古いものとなっていると思います。

面白いのは、私が拙ブログで批判した週刊文春の同日号「新聞不信」に、靖国参拝を「無批判に批判」する朝日が可哀想なぐらい叩かれていました。曰く「『朝日』に欠ける紳士の嗜み」ですと。

そんなわけで、後段の部分に関しても、大変共感を持って拝読致しました。今後のご健筆をお祈りしております。
Posted by D(関西在住) at 2005年10月31日 20:55

D(関西在住)さん、こんばんは。
こちらこそ、どうもありがとうございました。

朝日は最近お騒がせ事件が多いですからね・・・(苦笑
きっと内部(の現場)にいる人は悪い人じゃなくて、純粋に正義を愛する人が多いのだろうと思い、心情的には同情しているのですけど・・・しかし実態を見ると、日本のためになってない(=害している)・・・ので、擁護できない(汗
そんな感じです・・・。
Posted by 水無月 at 2005年11月01日 00:35
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