2006年06月08日

「自由」の重み

 
共謀罪のこと・・・。
たぶん、これまで「実行に移したところで犯罪」だったのを
「相談したところで犯罪」に変えます・・・という部分が
日本人には一番馴染みにくいポイントなんでしょうね。

犯罪の概念自体の変革を伴うような変更を、こんなに簡単に
やってしまっていいのか、もっと国民全体を巻き込んだ
幅広い議論が必要なのではないのか・・・という指摘には
同感です。

で、国民の一人としての私の感覚ですが
以前は、かなり問題なんじゃないの? だったのですが ※1
最近では次第に、変更・・・OKかも に変わってきています(汗


     ◇     ◇     ◇


同法案には日本ペンクラブが反対しています。
http://www.japanpen.or.jp/seimei/060515.html

 このような共謀罪の導入がこの世の中と、そこで暮らす
一人ひとりの人間に何をもたらすかは、あらためて指摘する
までもない。民主主義社会における思想・信条・結社の自由
を侵すことはもちろんのこと、人間が人間であるがゆえに
めぐらす数々の心象や想念にまで介入し、また他者との関係の
なかで生きる人間が本来的に持つ共同性への意思それ自体を
寸断するものとなるだろう。


思想・信条・結社の自由は大切です。
「人間が人間であるがゆえにめぐらす数々の心象や想念」
これは誰にとっても譲れない一線でしょう。

しかし、心の中で呟くことや夢想すること、考えること、と
それを第三者に向けて公言すること・・・では、おのずから
重みが違ってしかるべきだ、という気持ちもあるのです。

私のこの変化には確実に、そして皮肉なことですが、私が
ネットを知り、広い世界に触れたことが影響しているだろう
と思います。自己分析ですけどね・・・。

実行に移せば犯罪となる行為であれば、それを「したい」
「やろう」などと、気安く他人に言うべきではないと思い
ます。たとえ冗談であったとしても。

考えること、と、外へ向かって表明すること、の境が曖昧
なのは、私にとって大変気持ち悪いことです。
外へ向かって表明することに敏感であるべき立場・職業の
人々は、むしろその境を厳格に認識していて当然のような
気もするのですが。


     ◇     ◇     ◇


この日記を書く直接の動機になったサイト・・・↓。

【一般の人も対象になり得る「共謀罪」】
http://kyobo.syuriken.jp/case.htm

とりあえず私は、法案反対派のこのページを見て、こうした
事例であれば、反対派へ積極的に賛同はしたくない、という
気持ちの方が強くなりました(苦笑
自分がこの事例には当てはまらない・・・というだけでなく
事例集に出てくるような人々は、現実世界で出会えば
おそらく私とはあまり気の合わない人々のような気もする
からです・・・(汗


     ◇     ◇     ◇


共謀罪に関してですが、私が問題と思うのは、思想の自由
云々ではなく、次の点です。

 ・共謀(冗談レベルも含め)したけれども、集団構成員の
  自発的意思によって共謀が消滅した場合にも減刑されない

 ・密告者優遇制度

上記を組み合わせると、例えば、ある犯罪行為を相談(=共謀
成立)したのち、集団の構成員Aが「やはりやめよう」と言い出し
他のメンバーを説得して共謀を消滅させた、しかし
共謀消滅に内心不満な構成員Bがほかのメンバーを逆恨みし
警察へ密告した・・・という場合、(犯罪行為をやめさせた)Aを
含む構成員は罰せられ、(一番犯罪遂行の意志が強かった)Bは
減刑される・・・というような状況が起こりうるでしょう。

裁判で情状酌量が認められるかもしれませんが、そういう
手続きでは計れないもっと根本的な部分で、(現状の)共謀罪
という概念の未熟さを感じます。
要するに、納得できない・・・ということ(苦笑

ほかにも、刑法の体系から見て無理がありそうだ、とか
国際組織に限れば済むんじゃないの? というようなことも
多くの方々が指摘しているのではないかと思います。


     ◇     ◇     ◇


まとめると、「犯罪の概念を変える」という根本部分では
私は積極的に反対すべきとまでは思ってないですね。
ただ、もっと枝葉の部分で、まだ法案が未熟なのかも・・・と
いう気はします。
法の運用方(警察や司法関係者)が、法の未熟さを運用で
カバーできる程度に成熟している、という国民的コンセンサス
が得られているとは言えない現状、継続審議も自然な流れ
なのかもしれません。

私個人は思想の自由、言論の自由を大切に思っていますが
名誉毀損やセクハラ※2、著作権侵害・・・など、それ自体が
犯罪であるところの言論と同様に
犯罪行為を相談する言論の自由まで守りたい、守るべきだ
とは、思えません。

それ自体が犯罪であるところの言論や、犯罪行為を相談する
言論の自由・・・をも守るべきと説く人々とは、実は
言論を少しも愛していない人々ではないかと、私は最近
疑い始めているのです・・・。




※2 セクハラ・・・には、読者には相応しくないと容易に
 推測できる人々(たとえば女性や子供など)の目に触れる
 場所に置かれた「猥雑な」創作物なども含みます。


※1 上記は以前に書いたエントリ、具体的には半年ほど前の↓
 【共謀罪(衆議院2/3制覇がもたらすもの)
 【続・共謀罪
これらとは、共謀罪に対する根本的な見方がかなり変わっています。
以前は積極的反対意見でしたが、今は罪の創設自体には反対しない
立場です。
今回のエントリを上げるに際し、以前のエントリを下げておくべき
かとも迷いましたが、私自身の意見の変遷を記録しておくことにも
なんらかの意味が(たぶんないでしょうけど、もしかしたら、万一)
あるかもしれないと考え、あえて下げないでおきます。





posted by 水無月 at 03:22| Comment(4) | TrackBack(0) | 国内(法律) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年10月26日

人権擁護法案について(態度編)

人権擁護法案に関しては【資料編】【感想編】と書いてきたわけですから、そろそろ【意見編】をまとめなきゃいけないでしょう。
私はもともと、この法案には反対の立場でした。だから反対するために(説得的な反対論を展開する目的で)、調べはじめたのですが、実際は、知れば知るほど、なにがそんなにまずいの? というのが正直なところ・・・です(汗

私が拙い自分の文章で書くよりも、ずっと詳細に、綿密に、冷静に、この件を追っているブロガーのみなさんが大勢いらっしゃるので、以下にその一部をリンクしておきます。

【世界の中心で左右をヲチするノケモノ】plummetさん
人権擁護法案:まとめエントリー

【Bewaad Institute @Kasumigaseki】bewaadさん
人権擁護法反対論批判 faq編

【音極道茶室】J2さん
人権擁護法案ファイナルアンサー

【カレーとご飯の神隠し】カリーさん
反対派は『無能な味方』だけになってしまったのか


これらを拝見すると、【人権擁護法(案)】に関しては、(私ごときは)もうなにも言うことはない・・・という気になってきます。

確かに、人権擁護法・・・など、なければない方がいいでしょう。しかしこれが言論圧殺に繋がる・・・というのは、誇張のように思えます。
なにしろ、人権委員は五名なのです。全国に何万人警察官がいるかわかりませんが、万引きをする人はいます。わずか五名の人権委員・・・に、なにができるのか・・・と逆に不安になるほどです(もちろん私は、万引き同様、人権侵害に関しても奨励しているわけではありません! 汗)。

無給の人権擁護委員(最大二万人)と人権委員(両議院の同意を得て内閣総理大臣が任命した五名)とを混同するなど、法案反対派の議論には根本的な穴が多すぎる・・・ということも感じました。

いずれにせよ、私はこの件については、今後よほど大きな動きがあるまでは、発言を控えるつもりです。法案の中身を知ったことで、以前ほど大きな危機感を持たなくなった・・・ということですね(汗
というわけで【意見編】でなく【態度編】になった、という次第です。


追記☆
人権擁護法案に関して、なぜ古賀氏がかくも執拗に成立を目指すのか・・・上記リンクの【Bewaad Institute @Kasumigaseki】さんにひとつの推測がありましたので、引用しておきます。

「あくまでwebmasterの個人的憶測ですが、古賀誠議員が熱心に推進する理由は野中広務前議員への友愛が最大のものではないでしょうか。魚住昭『野中広務/差別と権力』で公知の事実となったように野中前議員はいわゆる部落出身者で、その政治人生は部落問題を抜きにしては語れません。その彼が引退した今、古賀議員にとってこの問題は、野中前議員から託された政治的遺言のような重みがあるのではないかと。 」
(「人権擁護法反対論批判 リジョインダー編(その2)」)

私は野中氏が被差別部落出身者だということさえ知りませんでした(汗
どちらにせよ、この問題の背景は複雑&深遠であり、一概に「平成の治安維持法!」「言論弾圧だ」のような安易な評価はできないのではないか・・・というのが、今の私の考えです。
議論に加わるためには深く勉強しなければならず、その割に得るものは少ない(たとえ人権擁護法が成立したとしても、私のような立場の人間にとって、多くの時間を掛けて学ばねばならないほど害があるとは思えない)・・・という理由もあり、発言を控えたいと思うようになりました。
posted by 水無月 at 03:49| Comment(2) | TrackBack(0) | 国内(法律) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年10月15日

続・共謀罪

以前に書いた私自身の記事
共謀罪(衆議院2/3制覇がもたらすもの)】の中で
一部に、事実と異なる誇張した表現がありました。

>政権や政府に批判的な言動をする人・・・たとえば
>靖国参拝で裁判を起こす人や、沖縄基地返還を訴える人
>あるいは、政府首脳のスキャンダルを追うジャーナリスト
>・・・などが、居酒屋の冗談程度で共謀罪を適用され
>今後は逮捕される可能性があります。

と私は書いていますが、法案を厳密に解釈すれば
「人」つまり個人では(組織でないので)この罪に
問われる可能性はありません。


そのことを訂正した上で、共謀罪の危険性をもう一度
整理しておきたいと思います。
私は、次の二点を重視しています。


@ 実際に犯罪行為がなされた段階でなく、その前の
 共謀段階で犯罪要件を構成してしまうこと。

 (相談はしたけれども、実行まで至らなかった・・・かも
  しれない可能性は無視されます。
  人間の行為の自由をどう捉えるかという問題)


A 犯罪組織・・・の定義が曖昧なこと。

 法務省見解では、同法案には「組織犯罪の要件」が
 付されており、すでに同じ要件が付された
 「組織的犯罪処罰法における組織的な殺人等の加重処罰」の
 場合、実際上、暴力団や悪徳商法のような組織的詐欺組織
 にしか適用されていないのだから、それ以外の団体には
 適用されない(はずだ)ということです。

 しかし、ある集団が犯罪組織かどうか・・・の判断の曖昧さ
 はどこまでも残るわけで
 それを線引きするのは常に必ず公権力側となります。
 (警察がそう判断すれば適用され、逮捕されうるから。
  司法の判断は逮捕後の話です)


私はこの二点を強調したいと思ったため
法を運用する側にとって都合の悪い団体に対し、故意に
厳格に同罪が適用されるのではないか・・・というケースを
考え、結果的に間違った例を挙げてしまいました。

表現の行き過ぎはありましたが、私が、共謀罪を危険だと
判断する根拠と結論に変更はありません・・・。


ある集団が犯罪組織かどうか・・・という判断は、実に
微妙なものとなるはずです。
弁護士団体などは、たとえば、
マンションの建設に反対する住民団体、や、労働組合
などを例に挙げていますが、私が思い浮かべたのは
特定国の船舶の寄港に対して反対運動をする団体、や
同じく、自衛艦や核搭載疑惑のある他国籍軍艦の寄港に
反対する団体、そしてこれを支援する団体・・・などでした。
(どのような背景を持つ団体であれ、彼らが、なにかを
 実力で阻止・・・しようと相談すれば、そこに共謀罪
 =たとえば組織的威力業務妨害共謀罪など・・・が
 成立する可能性があります)

また、同罪は必然的に内通者を要する(その行為の
実行の前に警察がこれを知らなければ逮捕できない)
ことから、逆に、この内通者が実は扇動者であった
・・・というような、一種の囮捜査に変容する危険性を
秘めています。
(事前に通報した者は刑を軽減する規定があります)
人間が、その行為をするか、しないか、の選択(自由)が
歪められる危険・・・があることは、私には重大な問題と
思えます。


     ◇     ◇     ◇


さて、共謀罪については以上ですが、私がこのように
あえて追加記事を起こしたのは、どうやら「共謀罪」の検索で
ここへ来てくれる人がいるらしいから・・・です。
私の結論に変わりはありませんが、途中で間違った
議論をしていると、結論自体に疑義が挟まれてしまうかも
しれません。あるいは、単なる煽りと受け取られたり(汗

こうしたことを考えるようになったのは、例の
人権擁護法案・・・を巡るネット上の遣り取りを見るように
なってから・・・です。
ネット上には、人権擁護法案の危険性を訴えたいあまり
先の私と同じように、過激で誤った議論をするBLOGが
溢れているようです・・・(困

人権擁護法案が成立すると、人種や宗教信条などを巡る
批判的な言論が、いっさい封じられてしまう・・・とする言説
逆に、人権擁護法案さえ成立しなければ言論の自由は完全に
保障されているのだ・・・とする言説、どちらも間違いです。

人権擁護法案が問題とするのは明確な(=人権救済を要する)
被害者のいる差別や虐待であり
たとえば「在日外国人に参政権を付与するかどうか」という
ような言論は、これまで通りなんの制限も受けません。
また、人権擁護法案が成立しなくとも、現状においてすでに
名誉毀損やプライバシーの侵害にあたるような言論は
(ネット上においても当然)禁じられています。

人権擁護法案を巡るネット上の議論の一端を知り
議論の過程に誤りがあると、結論の正当性が疑わしく
なる・・・ということを私自身が実感しました。

これが、この記事を書かねばと思った最大の動機ですね(笑


なお、私自身の不勉強もありましたので、人権擁護法案に
ついての【資料編】には一部追加してあります。
posted by 水無月 at 07:41| Comment(0) | TrackBack(0) | 国内(法律) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年10月13日

人権擁護法案について(感想編)

平成十七年十月十二日・・・
鳥取県で人権侵害救済条例が可決されました。

人権擁護法案の危険性について・・・は、いまさら私が
述べるまでもないでしょう。
「?」な方は【資料編】をご覧ください。

ここでは正直な感想を書こうと思います。私は今日
偶然、次のような「中央日報」の記事を目にしました。

韓国の出産率、世界平均の半分にも及ばず

中央日報は韓国の新聞でしょうが、日本では珍しい
「ネットから書き込めるコメント欄」が記事に
ついているのです。私は、ただの興味本位から
そのコメントを見てみたのですが

「そのかわり「強姦率」は世界平均の倍以上ありますから」
「先進国の出産率は低い。韓国の出産率も低い。
 よって韓国は先進国。という三段論法を立てて
 満足している。もうすぐ長期不況が来て、極貧国に
 脱落し、川で死体が次々と流れていくのも知らないで」
「 おめでとう、先進国並みになったんじゃないか・・・
 もしかしたら、朝鮮民族は晴れて絶滅危惧種になった
 ということかな。別に危惧はしないし邪魔もしないから
 静かに消えて下され」

というようなコメントが並んでいるのを見て、正直
驚いてしまいました・・・。
(もちろん、真面目?なコメントもあるわけですが)


まあ私などは、ネット初心者です。
今頃こうしたのを目にして驚くのは、初心者の証
でしかないのでしょう・・・。
それは事実ですから事実として認めるとして
「剥き出しの自由」の凶暴さ・・・を、ようやく知った
ということですね(汗

そして人権擁護法案に話を戻します・・・。
人権擁護法案を推進する立場の人は、やはりこうした
「剥き出しの自由」な言論をなんとか規制したい
・・・と思っているのではないかと想像したのです。
(上に挙げた匿名のコメントなどは、人種的民族的
 差別という点から、まさに同法案が規制しようと
 している言論だと思ったのです) 
人権擁護法案・・・に限りませんが、ネットでの
発言の自由に枠をはめよう・・・という動きがあり
それに対して、ネット側からも反対運動が広がって
いるようです。
2チャンネルに代表されるネット側から反対運動が
起きている・・・のは、まさにこの「剥き出しの自由」
を謳歌しているのが、ネット界の人々だから・・・と
解釈しても的外れではないと思います。

差別や中傷・・・あるいは広義に人を傷つけること・・・と
言論の自由。
これは本当に難しい問題です。

他人を傷つける言動をすべきではない・・・というのは
いわば道徳的な規律・・・だと思うのです。
ネット(に限りませんが)で発言するひとりひとりが
本来は、自分自身に対して、課すべき責務・・・では
ないでしょうか。
そして法律で禁じることは本質的に無意味なのだと
思うのです・・・。

少し前に、痴呆という名称は侮蔑的であるから
認知症と言い換えましょう・・・という報道がありました。
それ以来一斉に、大手メディアからは「痴呆」の
文字が消え、「認知症」に変わりました。
実は「痴呆」の前は「ボケ」だったのですよね。
ボケが侮蔑的なので痴呆に、そして今度は認知症に・・・。
こうした言いかえを、馬鹿馬鹿しいと思わない人が
いるんでしょうかね・・・?
認知症の人々の人権が重要なのはもちろんですが
名称を変えることでその人権を保護することに
少しでも寄与するのでしょうか。
社会全体に、認知症の人々を疎んじたり、社会の
お荷物だと感じる「空気」がある限り
認知症の人々への侮蔑視はなくならないでしょう。
いずれは認知症という言葉も「侮蔑的」だとして
別の言葉に置き換わるに違いありません・・・。

同じことが差別にも言えると思うのです。

鳥取県条例では「人種等を理由として行う不当な
差別的取り扱い、差別的言動」を禁じ
「『人種等』とは人種、民族、信条、性別、社会的身分、
門地、障害、疾病、性的指向をいう。」と
高らかに宣言していますが(資料編参照)
社会全体の中に、特定の人種やら民族やら信条やら
(以下略)・・・の人々を、疎んじる空気、がある限り
彼らを差別したり中傷したり傷つけようとする
言説は、なくならないのではないかと思います。

つまり・・・差別というのは、本来的に、人間の心の中の
出来事であって、それを法律で禁じたり罰したり
・・・ということが、可能なのか、どうか・・・。
そのように思うのです。
人間の心の中の出来事・・・なにをどう考えるか
なにを好み、なにを嫌うか・・・という
嗜好や志向(べつに洒落じゃありませんが!)を
法律で変えよう・・・変えられる、という発想は
なんだかグロテスクじゃないでしょうか・・・?

どうしても法律で・・・と発想した結果が人権擁護法案
なのであり、だからこそ同法案はグロテスクなのだと
思います。


そしてもうひとつ、今度は別の角度からの感想を。
ネットは匿名の世界です。
そこでは「剥き出しの自由」が謳歌されています
・・・今のところ。
その結果、凄まじいことになっている・・・
(たとえば、死体やレイプの映像さえ手に入ったり
 自殺同行者を募集したり、殺人依頼を請け負う
 サイトが現れたり・・・)
と、聞きます。
そうした「剥き出しの自由」の蔓延と、昨今の
政府や政権側からの自由を規制する一連の動き・・・とは
おそらく無関係ではないのでしょう。

自由・・・と話を広げると広がりすぎてしまいますから
差別や人権の問題に的を絞ります。

人間は、たとえば匿名性を帯びるなどして
「剥き出しの自由」を手に入れた場合、匿名でない
場合に比べて、より差別的だったり、攻撃的だったり
するのでしょうか?
私には証明する手段がありませんが、直感的に
YES、と思うのです。
冒頭に紹介した中央日報へのコメントをした人は
もし、本名で、知人友人親戚らが見守る中でも
同じことを言えるでしょうか?
たぶん、言えないと思います・・・。
匿名だからこそ、「自由」に、発言できたのでしょう。

自由に・・・正直に・・・。
ネットという世界の中では、より正直に、より過激に
なるという傾向が、確かにあると思います。
そして多くの人々がネットというツールに出会い
より正直に振る舞った結果、ネットの中(の一部)では
目を覆いたくなるような酷い言説が飛び交う事態も
起きている・・・そういうことだと思います。

作用には反作用・・・。
自浄作用という言葉もありますが、完全に自由な
世界では、もし行き過ぎがあれば、それに反発する力も
自然と起きてくるはずです。
もし、Aという人物や集団に対して差別や中傷をする
サイトなり発言者がいたとして、それを目にした
その他大勢が、その発言が行き過ぎだと思えば
放っておいても、この差別発言への批判的な発言が
出てくるはずです。
ネットでの言論の規制に反対する人々は、おそらく
そうした自然の成り行き・・・反作用、自浄作用・・・を
重視する立場なのだと思います。

しかしこれは結局、数の論理に行き着くのですよね・・・。

ネット上の言論の大勢は、極めて公明正大に
つまりは民主主義(=多数決)的に、決まるのだと
思います。
その発言に共感する人が多ければ、アクセスが増え
引用やトラックバックも増え、その結果ますます
アクセスが増える・・・というように。
それはどこか市場経済の仕組みにも似ています。

完全に自由な市場経済では、貧者はますます貧者と
なる・・・はずで、だから政府が生活保護の仕組みを
作ったりするわけですが、ネットの世界でも
放っておけば弱者はますます弱者となる・・・でしょう。
この場合の弱者とは純粋に数が少ない人々
・・・マイノリティ・・・でしょう。
人権擁護法案で保護しようとしている人々
「人種、民族、信条、性別、社会的身分、門地、障害、
疾病、性的指向」を見ると、性別を除けば、なるほど
マイノリティなのだ・・・と納得しました。
まあ、もともと、差別とは、多数派から少数派への
(非好意的な)眼差しを言うわけですから、当然と
言えば当然なのかもしれませんが。

人権擁護法案への反発の最大の動機は言論の自由を
制限しかねないところにあると思うわけですが
その「自由」の中身とはなにか・・・ということを
つきつめていくと、社会の多数派 VS 少数派 の
綱引きが、背後にあるように、思えてくるのです。
本来、言論の自由、とは、社会の少数派が自らを
守る砦として頼りにしていたものだと思うのですが
ネット界に注目する限り、逆の文脈で使われている
現状があるように思います。

そこがなんとも、面白い・・・というか
現代という時代を表しているのだろうと思いました。


この項・・・やはり難しいテーマで
長く書いたのにもかかわらず、私自身がまだ核心を
つけた、と思えません。
別の機会に、再挑戦するかもしれません(苦笑
posted by 水無月 at 04:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 国内(法律) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

人権擁護法案について(資料編)

平成十七年十月十二日・・・
鳥取県で人権侵害救済条例が可決されました。

@報道・・・。

(中国新聞 10・12)

初の人権条例が成立 鳥取県議会

 人種差別など人権侵害からの救済や予防を掲げる鳥取県人権侵害救済条例が12日、県議会で可決、成立した。

 都道府県が全般的な人権侵害救済を目的に独自の条例を制定するのは初めて。行政サイドの判断で“加害者”の氏名を公表、社会的制裁を加える内容だけに、県弁護士会などは恣意(しい)的な運用を懸念。採決に先立ち、片山善博知事は「どうしても最後まであいまいな表現が残る。運用を間違えれば人権侵害が起こるので、議会やマスコミがチェックしなければならない」と答弁した。

 政府が自民党などの異論を受け、先の通常国会などで提出を見送った「人権擁護法案」の呼び水になるとの指摘もあり、今後の国会審議に影響を与えそうだ。

 来年6月1日に施行され、2010年3月までの時限条例。人種差別や虐待、名誉や社会的信用を低下させるためのひぼう・中傷、セクハラなど8項目を禁止している。



A人権擁護法案の問題点について・・・(反対派主張より)。

人権擁護(言論弾圧)法案反対!

道端鈴成日記 人権擁護法案


付記 人権擁護法案反対運動について・・・。

音極道茶室 人権擁護法案ポジションMAP


B法案の中身について・・・。

人権擁護法(案) 法務省資料

人権擁護法案に関するQ&A 法務省資料

人権擁護法 Wikipedia


鳥取県人権条例要旨

 鳥取県人権侵害救済条例の要旨は次の通り。

 【総則】

 一、人権侵害により発生、または発生する恐れのある被害の適正、迅速な救済または実効的な予防措置を講じることで、人権が尊重される社会の実現に寄与することを目的とする。

 一、この条例において「人種等」とは人種、民族、信条、性別、社会的身分、門地、障害、疾病、性的指向をいう。

 一、何人も次に掲げる行為をしてはならない。

 (1)人種等を理由として行う不当な差別的取り扱い、差別的言動

 (2)特定の者に対して行う虐待

 (3)特定の者の意に反して行う性的な言動や、性的な言動を受けた者の対応により不利益を与える行為

 (4)特定の者の名誉や社会的信用を低下させる目的で公然とひぼう、中傷し、または私生活の事実、肖像などの情報を公然と示す行為

 (5)人の依頼を受け、報酬を得て、特定の者が有する人種等の属性に関する情報で権利・利益を不当に侵害する恐れがあるものを収集する行為

 (6)身体の安全や生活の平穏が害される不安を覚えさせるような方法で行われる著しく粗野、乱暴な言動を反復する行為

 (7)人種等の共通の属性を有する不特定多数の者に不当な差別的取り扱いをすることを助長・誘発する目的で、当該不特定多数の者が当該属性を有することを容易に識別できる情報を公然と示す行為

 (8)人種等の共通の属性を有する不特定多数の者に対し、当該属性を理由として不当な差別的取り扱いをする意思を公然と表示する行為

 【委員会】

 一、人権侵害救済推進委員会(5人・非常勤)を設置。委員は人格が高潔で人権に関し高い識見や豊かな経験を有する者から議会の同意を得て知事が任命。任期は2年で再任できる。

 一、委員は公平、適切に職務を遂行しなければならない。職務上知ることができた秘密を漏らしてはならず、職を退いた後も同様とする。

 一、委員会の議事は、出席者の3分の2以上の多数で行う。

 一、救済措置や是正勧告などの内容を、知事を経由して最初の議会に報告しなければならない。

 【救済手続き】

 一、本人が人権侵害の被害を受け、受ける恐れがあるときは、委員会に救済や予防の申し立てができる。本人以外の者は通報することができる。

 一、委員会は調査の必要があると認めるときは、関係者に事情聴取、質問、説明、資料や情報の提供など必要な協力を求めることができる。

 一、当事者は正当な理由がある場合を除き、調査に協力しなければならない。

 一、行政機関は協力要請に応じることが犯罪の予防、鎮圧、捜査、公訴維持、刑の執行など公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼす恐れがあることにつき、相当の理由があると当該行政機関の長が認めるときは、要請を拒否することができる。

 一、協力要請を受けた行政機関は、事実の存否を答えるだけで公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼす恐れがあるときは、事実の存否を明らかにせず要請を拒否できる。

 一、委員会は被害者に助言などの援助をし、加害者に指導する。

 一、生命や身体に危険を及ぼす行為、公然と繰り返される差別的言動など重大な人権侵害が現に行われるか行われたと認められ、救済や予防の必要を認めるときは、加害者に勧告や研修参加の勧奨などの措置を講じる。

 一、加害者が正当な理由なく勧告に従わないときは、その旨を公表できる。勧告や公表を行うときは、弁明の機会を与えねばならない。

 【罰則】

 一、委員が守秘義務に違反した場合は1年以下の懲役または50万円以下の罰金に処する。

 一、正当な理由なく調査を拒み、妨げ、忌避した者は5万円以下の過料に処する。

 【適用上の配慮】

 一、何人も申し立てをしたことを理由に不利益な取り扱いを受けない。

 一、条例の適用に当たっては報道機関の報道・取材の自由など表現の自由を最大限に尊重し、これを妨げてはならない。

 【付則】

 一、条例は2006年6月1日から施行する。2010年3月31日までに延長などの措置が講じられないときは、同日限りで効力を失う。


posted by 水無月 at 01:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 国内(法律) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年10月12日

共謀罪(衆議院2/3制覇がもたらすもの)

今国会に「共謀罪」が提出されているようです。
「共謀罪」新設を閣議決定…3度目の国会提出へ】。
共謀罪】とは・・・【法務省作成Q&A】 VS 【自由法曹団】。

法務省の説明によれば、平成12年11月
「国際組織犯罪防止条約」が採択されたそうで、これに
加入するためには国内法の整備が必要なのだそう・・・。
(国際的に「直せ!」と言われても放置されている
 条約や勧告はほかにもいっぱいあったような気がするの
 ですが、なぜこればかりをそんなに急ぐのでしょう?)
しかも同条約で求められているのは組織的国際的犯罪への
法整備なのに、法案ではそこが明記されず
どんな国内団体であろうと、「組織的犯罪」を「共謀」
したらば逮捕可能という大らかさ・・・。

政府に批判的な活動団体が自然と萎縮せざるを得ない
・・・仕組みです。
現行の刑法は、当人が犯した行為について罪を問う・・・
のが基本の発想。共謀罪は、共謀・・・つまり相談した
段階で犯罪要件を構成してしまうわけで、そこが
根本的にこれまでと異なるのです。
日弁連】(弁護士組織)が、思想の自由に反する、と
反対するのも然り。

もうひとつ怖いのは、この罪は共謀という個人の
心の中の「罪」を問うため、おのずから適用は曖昧に
ならざるを得ない・・・ことで
たとえば、「学校が面白くない! 火事にでもならない
かな〜! お前やってみろよ♪」程度の冗談は、誰でも
一生に数度程度(?)は遭遇するはずで、厳密に
共謀罪を適用すれば、ほとんどの人が有罪なわけです。
しかし実際には、その程度では逮捕されないでしょう。
そんなことをすれば刑務所が溢れてしまいますし
それこそ税金の無駄遣いですからね。
けれども中には、適用される人もいる、のです。
それは確実にいるでしょう・・・。誰か?
政権や政府に批判的な言動を公にしている人です。

政権や政府に批判的な言動をする人・・・たとえば
靖国参拝で裁判を起こす人や、沖縄基地返還を訴える人
あるいは、政府首脳のスキャンダルを追うジャーナリスト
・・・などが、居酒屋の冗談程度で共謀罪を適用され
今後は逮捕される可能性があります。
少なくとも、そうした可能性を考慮に入れつつ、生きて
ゆかなくてはならないでしょう。

政府や政権に批判的なことを公にしない・・・か
居酒屋で酔っ払っても冗談は言わない・・・か、の
人々しか、共謀罪成立後は社会人として生き残れなく
なるかもしれません・・・。となれば
人間誰しも家族を背負って生きているわけですから
そうした、政府や政権に批判的であることのリスクが
大きすぎる社会では、自然と、自らの問題意識に蓋を
しておこう・・・と考える人々が増えてゆくはずです。

要するに、共謀罪は政府や政権側にとって一種の武器と
なりうる曖昧さを(わざと)有しており、その武器を
誰に向けて使用するかは「彼ら」の恣意に任される
という点が恐ろしく重要なのです。
大部分の人々は、直接にこの武器で傷つけられること
なく一生を終えるでしょう・・・が、社会の「一部」の
人々は攻撃を受けるかもしれません。・・・合法的に。
そしてそうなった際のダメージは、社会全体に波及する
・・・という怖さです。


犯罪は、その行為によって罰せられるべきです。
頭の中で考えたり、誰かと相談したり・・・すること
まで、罰してはいけません。
政権批判も同様・・・。
政府や政権を批判しても肯定しても、そのことでなんの
不利益も利益もない・・・状態での意思表示、こそが
大事なのだと思います。
そういう意思表示ができること・・・が、真の自由
というべきものでしょう。
私は、そうした意思表示を阻む動き・・・には反対の
立場です。


それにしても・・・(汗
マスメディアには、郵政民営化・・・のように、これまで
散々話題になり、国民の大部分がその内容を(不確かでも)
理解していて、どう決着がつくか・・・までわかっている
ような法案より、こういう隠れた法案の存在をもっと報道
して欲しいものです・・・。


付記 上記記事中に一部誇張表現があります(汗
 【続・共謀罪】もあわせてご覧ください。
posted by 水無月 at 02:30| Comment(0) | TrackBack(1) | 国内(法律) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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