2006年06月23日

無能とモラル

 
【姉歯元建築士を偽証容疑で再逮捕 捜査終結へ】朝日
http://news.goo.ne.jp/news/asahi/shakai/20060622/K2006062201780.html?C=S

 捜査本部の調べでは、姉歯容疑者は昨年12月の衆院
国土交通委員会の証人喚問で、初めて構造計算書を偽造
した時期を偽って証言した疑い。偽造の動機についても、
「木村建設の東京支店長から鉄筋を減らすよう、
プレッシャーをかけられた」と証言していた。しかし、
その後の調べに対し「経験したことのない高さの物件で、
計算ができなかった
。失敗したら次の仕事を続けて得る
のが難しくなる」「自分から虚偽の計算を始めたとは
言いづらかった
」などと供述しているという。


木村建設からのプレッシャーがあってもなくても、彼は
いつか偽造をしたでしょう。これが結論というわけです。
そしてその原因は、彼個人の無能とモラルの低さ・・・に
あったということ。

もっともだからといって、木村建設等建設会社、設計元受
総研、あるいはイーホームズや地方自治体等確認機関、に
罪がなかったわけではありません。
彼らの罪は、偽装に気づけなかったこと、もしくは
薄々気づいていたかもしれない場合には、あえて見逃した
こと、です。つまりこれもまた、
無能とモラルの低さ(能率・経済至上主義)・・・でしょう。

この件に関しては、これまでの行きがかり上、絶対に
BLOGエントリを上げないといけないんですが、時間的に
とても書けそうにありません・・・(汗
私も無能でモラルが低い・・・と言われかねない状況の中
せめてこの日記(エントリ)を残しておきます。



それにしても・・・思い返せば、この事件は本当に興味深い
事件でした。
特に姉歯氏という人は私の興味を惹く人物でした。
大昔に三億円強奪事件というのがありましたが
個人で多数の人々、組織、機関にこれほどのダメージを
与えた人物・・・というのは、ちょっと思い出せません。
いえ、そういう例もきっとあるのでしょうが、その理由が
なにか特に遠大な目的というわけでなく、単に個人の
無能とモラルの低さ、にあった、というケースはなかった
ような気がします。

無能自体は罪ではないはずです。
無能ということを内外に認めることができれば。
もっとも、モラルの低さ・・・の方は、一筋縄ではいきません。
個人のモラルは、概ね、社会全体のモラルに影響されます。
周囲のモラルが低い中では、高い志を持ち続けることは
時に大変困難でしょう。このあたり(だけ)が、彼や
関係者に唯一同情可能な点かもしれません。

日本社会全体のモラルも問われている・・・という意味で。




姉歯氏個人、あるいは関係者の無能やモラル・・・が
招いた事件でしたが、その背景には建築行政や
設計基準そのものに関わるような、巨大すぎる問題が
潜んでいた、こともすでに明らかとなっています。

  ※参考
   【耐震強度偽装問題時系列】 (建築よろず相談 さん)
    http://www.shou.co.jp/yorozu/naibu/gisou.htm

   【2ch::強度偽装事件 watch】 (u92 さん)
    http://u92.s172.xrea.com/knewsp/

ただ、そうして問題の根を辿っていくと、最後は必ず
「日本社会全体」に突き当たり、そこで手に負えなくなる。
少なくとも私個人には追いきれなくなってしまう・・・。

この事件に関してはいくつものエントリを上げましたが
そうしたジレンマを感じ続けていたことを
この機会に記述しておきたいと思います。










 
posted by 水無月 at 03:58| Comment(2) | TrackBack(1) |   ◇耐震強度偽装問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年04月01日

耐震強度偽装物件まとめ

先のエントリ【非・姉歯物件がいっぱい】に樺山構造研究所の中山明英一級建築士からコメントをいただきました。
このような歴史も浅いBLOGをご覧になり、反応をいただけたこと自体、非常に光栄なことと存じますが、それはともかく、中山氏コメントの真意は「早く最新物件をまとめなさい」ということではないかと想像しましたので、早速・・・(ソースは特に断りのない限り、国土交通省公表資料です http://www.mlit.go.jp/kozogiso/index.html)。


【 2006年3月末日時点での偽装物件 】

◇ 姉歯物件


   全調査対象件数・・・・205件


   調査済・・・・・・・・・・・・205件
     誤りあり・・・・・・・・ 99件
      (うち偽装・・・・・・ 98件)
      (うちミス・・・・・・・ 1件)

     誤りなし・・・・・・・・ 91件
     計画中止等・・・・・ 15件

   調査中・・・・・・・・・・・・ 0件


誤りを含む99件の詳細についてはこちち → 【姉歯偽装物件時系列一覧】 3/31現在)


◇ 非姉歯物件

 ○ 姉歯関連業者(木村建設・平成設計・ヒューザー・総研)が関与した物件

   全調査対象件数・・・・581件


   調査済・・・・・・・・・・・・458件
     誤りあり・・・・・・・・・ 6件
      (うち偽装・・・・・・ 3件)
      (うちミス・・・・・・・ 3件)

     誤りなし・・・・・・・・444件
     計画中止等・・・・・・ 8件

   調査中・・・・・・・・・・・・123件


(判明した偽装・ミスの詳細)

  @ サムシング梶i廃業済)による構造計算書の偽装3件

  A 鞄c中テル也構造計画研究所の関与した誤り1件

  B 鰍モなもと設計の関与した誤り1件

  C 本田建築デザイン事務所(廃業)の関与した誤り1件




 ○ 姉歯関連業者の関与していない物件

  D 浅沼良一二級建築士の関与した偽装5件



非・姉歯物件の詳細についてはこちち → 【非・姉歯物件一覧】 3/31現在)

サムシングと田中テル也構造計画研究所に関してはこちらが詳しいです → 【建築よろず相談



【 非姉歯物件をまとめて思うこと 】

◇ 偽装と誤りの境界は・・・?

偽装とされたのは姉歯氏とサムシング仲盛氏の二名です。姉歯氏は故意の偽装を認めていますが、仲盛氏は私の知る限りでは偽装を否定し、書類提出上の不備、と主張していたはずです(その後の報道をご存知の方はご一報ください)。
一方で田中氏もまた、偽装でなくミスと主張し、こちらはすんなりと認められています。国交省の公式発表では、田中テル也構造計画研究所の関与した「セントレジアス鶴見」は同研究所の設計ミスと日本ERIの審査ミス、二重の誤りによって耐震基準を満たさない、とされています。しかし田中テル也構造計画研究所の設計したものはQu/Qun値が0.64なのですよね・・・。サムシング物件の同値は0.85〜1.0以上です。しかも田中氏は現役の構造専門家・・・のはず。

住人や建築主の立場に立てば、それが故意の偽装であろうとミス(誤り)であろうと、受ける被害に変わりはありません。悪意のないミスだから許せる・・・なんてものではないでしょう。数字ばかりが一人歩きしている感のあるQu/Qun値ですが、やはりこれを目安にするしかないのが現状だと思います。そのQu/Qun値を見ると明らかに、偽装とされる仲盛氏より、田中氏の作品の方が「酷い」のです。
にもかかわらず、「酷い」設計をした構造建築士は「誤り」だからお咎めなし・・・? 報道によれば田中テル也構造計画研究所のほかの設計物件に関しては、国交省の要請で自治体による調査が進んでいるそうですから、今後の調査を待ちたいと思います。

なお、それが偽装であろうとミスであろうと、結果として重大な誤りを見逃した設計元各社にも、他物件に関しての厳正な調査が行われることを希望します。


◇ 誤りと設計思想の境界は・・・?

同じことは熊本県で「誤り」の発覚した、ふなもと設計、本田建築デザイン事務所についても言えます。二件とも「誤り」扱いですが、熊本県公式発表を見ると、「設計者と県の見解が分かれたため、構造評価委員会に工学的な見地からの意見を求めた(ところ、県の見解が正しいとされた)」とあるように、そもそも構造や設計の考え方のレベルでの問題のようです。

今回は県の見解が正しいとされた・・・では、ほかの場合は? となるのは当然の成り行きでしょう。設計が、設計者の考え方(設計思想)によって具体化されてゆくものである、ことはわかります。けれども、その設計思想がこれほど設計者個人に依存し、物件ごとに見解が検証者と真っ向から対立することもありうるような、あやふやなもの・・・だったとは知りませんでした。

なんとも怖い話ですね。
怖い・・・のは、本田建築デザイン事務所構造担当の「ベルメゾン・大津」が、Qu/Qun値=0.54とされているからです。現状では、同値が0.50を切ると一律に建て直しを迫られるわけですから、住人の方にとっては、0.54という数字は首の皮一枚で繋がったような気がするはずです。そういう数字が、設計者の考え方ひとつで出てしまう・・・ということ。これが怖いと思うのです。

本田建築デザイン事務所が特別能力が低かった・・・というのならわかりますが、もしそうでないのなら、この怖さは建築や設計そのものに関わる怖さ、ということになるような気がします。


◇ 偽装がなかった件について・・・

冒頭でも触れたように、私は中山氏本人からコメントをいただいたわけですが、僭越ながら、中山氏のお気持ちは想像できるような気がしました。というのも、私は先のエントリにて「非・姉歯物件」として報道済のものをまとめた中に、同氏と中山構造研究所の実名を挙げていたからです。

しかしながら当エントリ記述(2006年3月末)時点では、国交省でも熊本県でも、中山構造研究所の関与した強度偽装物件は一件も発表されていません。つまり同研究所は(現時点では)無実というわけです。
2006年5月24日、熊本市の発表により、市内の同研究所設計の全件について耐震基準を満たすことが確認されました。報道資料は【非・姉歯物件がいっぱい】※補注1をご覧下さい。(5月31日追記)


樺山構造研究所(中山明英代表)の主張はこちら → 【平成18年2月13日報道発表概要

「偽装が発見された」ことは大々的に報道するメディアも、「偽装がなかった」ことまでは報道してくれません。一度名前が公表されてしまうと、傷ついた名誉を回復するのは困難という実例ですが、当BLOGがささやかでも、名誉回復のための一助になれば・・・と祈っています。

 
posted by 水無月 at 17:05| Comment(8) | TrackBack(1) |   ◇耐震強度偽装問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年03月13日

ピアチェックは可能か?

【 ピアチェックって? 】

まず、ピアチェック(またはピアレビュー)ってなんでしょう?

【NPO法人 "建築技術支援協会"PSATS (サーツ)】の
【●NHK教育テレビ12月8日放映「視点論点」
 「耐震偽装/構造的な問題と今後の提言」の草稿 掲載 米田雅子】
 http://www.psats.or.jp/katsudou/shitenronten.html
によれば、それは「プロの構造設計者がチェックする仕組み」だそうです。

耐震強度偽装問題にはさまざまな観点があるでしょうが、結局のところ問題点(解決法)は次の二点に集約できると思います。

  @ 再発防止策
  A 再発した場合の手当て

ピアチェックは、このうちの@への、ひとつの「解」なのでしょう。
私自身も、この問題の根本には、

  設計者のスキル > 検査機関のスキル

という問題点があると感じています。スキルには時間も含みます。検査機関の中には、構造の専門家を置いていたところもあるでしょう。しかし、審査を受け付ける件数に比べ圧倒的に人数が少なかったために、建築確認審査は形骸化し、言わば書類(の有無)をチェックするだけ・・・のような実態になっていたようです。
(例1 たとえばイーホームズ社はこのように述べています。
 「法が求める確認という行為は、法定期限内で、申請図書の全てを点検し、再設計や再計算までの検算をする義務を求めるものではない」)
(例2 ほかにも、確認審査をした自治体が偽装事件発覚後の再検査を自力でできずに民間の検査機関へ依頼した、当初確認検査時に構造計算書のエラー表示を見落としていた、などの事例から検査機関の検査能力が根本的に不足していたことが明らかとなっています)

官と民とを問わず、そもそも検査機関側に検査できるだけのスキルがなければ、設計士の高度な偽造であれ単純なミスであれ、それを見つけ出すことは絶対にできません。

こうしたことを知ると、構造設計を検査できるのは構造設計者だけだということになり、ピアチェックの重要性・必要性が切実に感じられてくるのです。



【 ピアチェックの具体化案 】


まず報道資料から。

【構造計算書、第三者機関で再点検…国交省方針】
http://www.yomiuri.co.jp/feature/fe5500/news/20060222it06.htm
 耐震強度偽装事件で、社会資本整備審議会(国土交通相の諮問機関)の「基本制度部会」は22日、構造計算書改ざんを見抜けなかった現行の建築確認制度を抜本的に見直し、一定規模以上の建物について、新たに設立する第三者機関が構造設計を再点検する「ピアチェック」の義務化などを柱とする再発防止策をまとめた。

 第三者機関は、必要に応じて建築士から事情聴取を行うなど厳格に点検し、審査をパスしない限り建築確認が下りない仕組みとする。国土交通省は早ければ年内の設立を目指し、近く、建築基準法などの改正案を提出する方針だ。

 構想では、新たな第三者機関は、外部の構造設計専門家を起用、耐震強度基準を満たす設計になっているかどうかなどを再点検する。姉歯秀次・元1級建築士(48)は書面の差し替えなどで改ざんしていたことから、現在は書面で提出させている構造計算過程は電子データで提出させ再計算する。場合によっては設計者からの事情聴取も行い構造計算の偽装やミスを防ぐ。

 ピアチェックとは、専門家による二重チェックで、義務付ける対象は、高さ5階程度以上のビルやマンションのほか、病院など公共性の高い建物とすることを検討している。第三者機関は、既存の国交省関連団体をもとに組織する方向だ。

 このほか再発防止策には、▽新築マンション、戸建て住宅の欠陥に備えた保険加入などの義務化▽建物の完成前に自治体などが現場でチェックする「中間検査」の義務化▽強度不足の建物を建てさせた建築士・施工者らに懲役刑を科すなど建築基準法などの罰則強化――などを盛り込んだ。
(2006年2月22日14時35分 読売新聞)



ということなので早速国交省資料で「柱」の部分を見てみます。



【建築物の安全性確保のための建築行政のあり方について 中間報告】
平成18年2月24日発表
http://www.mlit.go.jp/kisha/kisha06/07/070224_4_.html

(前略)

4.建築物の安全性確保のため早急に講ずべき施策
 (1) 構造設計図書の建築確認時の審査方法の厳格化
  @構造設計図書の審査方法の見直し
    構造設計図書の審査は、審査方法を法令上の審査基準として
    定め、次の方法により厳正に行う必要がある。
    1)一定の高さ、一定規模以上の建築物等については、建築主
    事、指定確認検査機関が審査基準に従って入力データの審査、
    構造詳細図と断面リストの照合等を行うとともに、第三者機
    関における構造計算の適合性の審査を義務付ける。第三者機
    関においては、構造の専門家等が構造詳細図及び構造計算書
    を用いて計算方法、計算過程等の審査を行う。
     ただし、国土交通大臣の認定を受けた構造計算プログラム
    を用いて構造計算書等を作成した建築物については、建築確
    認申請時に入力データ(電子情報)を添付させ、構造の専門
    家等により構造計算プログラムの適用範囲内であること、入
    力内容に関する考え方などを審査の上、再入力し、計算過程
    における計算ミス又は偽装の有無についてチェックを行う。
    この場合、構造の専門家による計算過程の審査を簡略化する
    ことができる

    2)その他の建築物については、審査基準に従って、建築主事
    や指定確認検査機関が厳正に審査を行う。
  また、第三者機関のシステム面や運用面のセキュリティの確保を
 図るため、適正な対応策や実施体制について検討する必要がある。

(後略)



う〜ん。これ、良さそう? それともダメそう?? というあたりで長らく考えていたのですが、特に気になるのは上記内の青字で示した部分です。

  ただし、国土交通大臣の認定を受けた構造計算プログラムを用いて構造計算書等を作成した建築物については、 ← 前提条件ですね
  建築確認申請時に入力データ(電子情報)を添付させ、 ← いいね
  構造の専門家等により ← ここがピア(同業者)だ!
  構造計算プログラムの適用範囲内であること、 ← うむ
  入力内容に関する考え方などを審査の上、 ← なるほど
  再入力し、計算過程における計算ミス又は偽装の有無について ← お!
  チェックを行う。  ← 素晴らしい!!
  この場合、  ← ん?
  構造の専門家による計算過程の審査を簡略化することができる。 ← はぁ?


あまりにも「はぁ?」だったので、これをどう解釈するかで、相当考えてしまったわけですが、結局こういうことだと思います。


まず、建築確認申請時に入力データ(電子情報)を添付する。
次に、構造の専門家等
 ・構造計算プログラムの適用範囲内であること
 ・入力内容に関する考え方
などを審査する。
そして
 ・再入力し、計算過程における計算ミス又は偽装の有無についてチェック
の部分は、やらないか、または構造の専門家でない無資格者が行う



想像ですが、おそらく、図面や書類をプロの目で見て、なにかおかしいと感じた場合には再計算までしてみる、そのために念のため電子データも提出させる、そういうことなのだろうと思います。



【 ピアチェックは可能か? 】


実際のところ、前項【ピアチェックの具体化案】のような事態を、私はある程度予想していました。
というのも、単純に考えると、ピアチェックとは要するに、一定階数や一定規模以上といった条件の建築物に関して、日本全体における構造設計者の全作業件数を2倍にする、ことだからです。もちろん、設計本来の作業量と検査の作業量とを比べれば、前者の方が多いはずです。だから作業量(作業時間)自体が単純に倍加するとは言えないかもしれません。しかし相当に増えることだけは確かです。構造の専門家とは私の理解によれば、一級建築士の資格を持ち実務で構造設計に携わっている人、です。
こうした人が何人いるか知りませんが(参考・・・JSCA=日本建築構造技術者協会の正会員は2003年6月現在で3566名)、実務で設計に携わっている人・・・とは当然、日々自分自身の仕事をしているはずなのです。建築事務所へ勤めて実務で設計をしている人が、同業者の設計物をもチェックする、それがピアチェック本来の発想のはずです。自分で設計する人だからこそ、プロならではの目を持つはずだ、と期待しているのですから。
ところで、構造設計の実務者達にその時間的余裕があるのでしょうか・・・ね?(汗

私が一番に感じた疑問はここでした。そもそも、建築確認検査機関の審査が形ばかりのものになっていた原因も、突き詰めれば人手不足・人材不足だったはずです。
同じことになってしまわないでしょうか?

このピアチェックを有効に活用させるためには、最低でもふたつの条件が満たされなければなりません。

 @ 十分な専門家の数(時間も!)の確保
 A ピアチェック部分の検査料増額(専門家への報酬の確保)

Aは単純に経済的な問題ですから、その気になればクリアできると思います。最終的な消費者である住宅購入者や建築主も、制度の必要性を理解できれば納得してくれるはずです(もちろん、そのために社会へ理解を広める努力が国や行政や建築業界側にも求められるわけですが)
しかし@の方は、一朝一夕には解決しません。一級建築士や建築構造士の資格を乱発されても困りますし、これまでほとんど構造に携わっていなかった意匠建築士や引退建築士などが、突然「構造の専門家」の看板を掲げるようなことでも困ります。
となれば、検査は極力効率的になされる必要があるわけです。


また、構造計算プログラムは106種類あるそうですね。この中には当然、あるプログラムではOKでも、別のプログラムではNGである、というようなことが起こりうるでしょう。
チェックする専門家が設計で使用されたプログラムを知らない(利用できない)、という事態も考えられます。その場合にはどうするのでしょう。たとえば予めチェック可能なプログラムを第三者機関へ申告しておき、該当するプログラムの設計だけをそこへ割り振るのでしょうか、それとも割り振りは機械的に行い、もしチェックできない設計だった場合には図面や書類上の設計を目や頭や手計算で審査するに留めるのでしょうか・・・。
そう考えると、「再計算を簡略化」も十分予想できたわけです。(逆に、チェック可能なプログラムだけを引き受ける割り振り制度を考えると、使用者の少ないプログラムを利用した場合、設計者と検査者がごく少数の集団になってしまい、検査を繰り返すうちに顔見知りになってしまう、すなわち第三者とはいえなくなる、という弊害も予想できます)


専門家によるチェック、とひと口に言っても、その実現は極めて困難です。


さて、以上は私の素人考えですが、では当のプロの皆さんはどう主張しているのでしょう?
というわけで、JSCAを見てみました。

【建物の構造性能確保に向けての提言】
 2006 年2月14 日 (社)日本建築構造技術者協会 会長 大越俊男
http://www.jsca.or.jp/vol2/23news_release/2005False/jsca20050214-1.pdf

(前略)
2.構造設計の審査方法の提案

 1)計算プログラム偏重より設計内容の精査が不可欠
  構造計算は構造設計の検証に過ぎない。審査すべきは設計内容であり、計算プログラムの使い方に論点が絞られるのは危険な兆候である。偽造の発見はもとより重要であるが、それだけでは不十分であり、設計内容の精査こそ健全な社会資産である建築物の創造には欠かすことはできない。

 2)大臣認定プログラム制度は廃止すべき
  大臣認定プログラムはコンピュータが一般化した今日、その役目を終えているだけでなく、審査者が過度に依存するという弊害を生んでいるので、廃止を含めた制度見直しを行うべきである。

 3)再計算によらないチェック方法
  JSCA では行政や民間からの依頼を受けて構造設計のチェック作業を行ない成果をあげている。構造設計の審査は、基本的な数値の整合性の確認や略算的な手計算によることで可能であり、必ずしもデジタルデータ提出による再計算を行なう必要はない。

 4)審査マニュアルの策定
  単純な再計算は審査が形式化する危険性を含んでおり、あらゆる審査機関で設計内容の精査ができるシステムを目指すべきである。審査方法はまずこれをベースとする。そのためには構造設計のチェック方法、審査マニュアルの策定が急務であるが、JSCA はそれに全面的に協力し、行政や民間機関の審査員のレベルアップへの協力体制を構築する。

 5)第三者審査の採用
  第三者の審査を行なうことは意義があり、JSCA が主張してきたピアレビューに相当する。
  前項のルートに加え、規模や用途などで区分して特殊な建物を定め、第三者審査を義務付ける。実際の審査は設計実務経験者が行なう必要があるが、JSCA の建築構造士は多くの建物の設計検証を行なった実績が十分にあるため、審査に協力することができる。但し、その前提として、設計者とレビュアーの責任分担や保険との関係を整理することが不可欠である。



JSCAはもともと再計算を推奨しているわけでも、実践しているわけでもないようです。
(とすると、国交省が毎度発表している「Qu/Qun」値の根拠は? となるわけですが)
JSCAの主張は、国交省の中間発表にあった「構造の専門家による計算過程の審査を簡略化することができる」の一文とも矛盾しません。むしろ、国交省の中間発表はJSCAの見解を踏まえているのかもしれませんね。



【 ま と め 】


というわけでまとめです。

国交省の再発防止策で想定されているピアチェックでは再計算はしません

というか、たぶん全件の再計算はできないが、実情だと思います。
JSCA(日本建築構造技術者協会)は再計算無しで大丈夫と主張しています。

本当に大丈夫かどうかは、私には判断できません。


※関連エントリ・・・【耐震強度偽装問題カテゴリー


 
posted by 水無月 at 09:00| Comment(0) | TrackBack(1) |   ◇耐震強度偽装問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年03月11日

非・姉歯物件がいっぱい

非・姉歯物件をまとめてみました。
(姉歯物件はこちら → 【姉歯偽装物件時系列一覧】 3/9現在)

(以下のすべてが耐震偽装物件というわけではありませんので ご注意ください)

@ サムシングルート(サムシング活鼡煙囃z士事務所の関与した物件)

 ・木村建設が施工したことから発見された。
 ・福岡県福岡市で三件の強度偽装が国交省により確認済。
(仲盛昭二所長=一級建築士は「書類上のミスで偽装ではない」と反論)
 ・サムシングは2002年に倒産。最盛時50人の建築士を抱え
 計12000棟の設計に関わったとされるが、関係書類は散逸し
 構造再計算が不可能な物件も多い。

 →11日、三件のうち二件が別の計算方法では強度を満たすことが判明。
  http://kyushu.yomiuri.co.jp/news/ne_06031104.htm


A 田中ルート(田中テル也構造計画研究所の関与した物件)

 ・木村建設が施工したことから発見された。
 ・物件名:セントレジアス鶴見/建築主:ヒューザー/
 設計者:下河辺建築設計事務所/建築確認:日本ERI/Qu/Qun:0.64
 ・横浜市で一件が「偽装はないが構造計算の誤りと考えられる原因により
 建築基準法の求める耐震基準を満たしていない物件」と国交省で確認済。
 (【建築よろず相談】ではこの見解に疑問を呈している)

 ・田中瑛也氏は日本建築構造技術者協会(JSCA)の会員
 (http://www.jsca.or.jp/vol2/11as_eng/list2005/05tokyo.html


B 熊本県ルート(非姉歯で複数の設計事務所が関与した物件)

 ・木村建設が施工していたところから発見された。
 ・2月8日、熊本県が強度不足の物件として6件を発表。調査で耐震強度を
 満たしていないと判明したのに国への報告を遅らせたことが問題となる。
  →10日、関係する建築士9名全員が偽装を否定。
     中山構造研究所(中山明英一級建築士)は県の計算方法に
     問題がある(=県のレベルが低い)ことを指摘して反論。

  →13日、熊本県が新たに16件を発表。強度不足が疑われる物件は
     計22件となり再度熊本県が検証をすることに。
  →14日、国交省は、22件のうち中山構造研究所設計の7件につき
    「高度な知見を要する」との理由で、国交省が検証することを発表。
  →当エントリ記述時点で、強度不足物件はなし。
     1件は強度が十分であることが確認された。
  →5月24日熊本市の発表により、国側に検証を委託していた6件の
   安全性が確認された。(5月31日追記 末尾の※補注1もご覧下さい)



C 札幌ルート(浅沼良一二級建築士が関与したもの)

 ・札幌市内のマンション建築主が、自社物件の検証を行ったところ
 構造計算書に疑義が生じたため発覚。
 ・浅沼建築士は北海道内で112棟の構造計算に関与、うち33件で
 偽装を認め、5件について札幌市が偽装を確認済。

 ・二級建築士では手掛けられない複雑な物件の計算を行っており
 建築士法違反(無資格業務)の可能性もある。
 ・浅沼建築士は第三者の関与を否定し、耐震強度には自信があると釈明。
 「個人的な解釈で、保有水平耐力の基準そのものに疑問があった」
 「耐震壁を多く採用して建築した物件は耐震性に問題がないと信じてい
 る
。過ちは過ちかもしれないが、考えを理解してほしい

 http://www.yomiuri.co.jp/feature/fe5500/news/20060307i216.htm


D その他 非姉歯かつ非木村物件での強度偽装・強度不足は
 今のところ報告されていない。
 (非姉歯で木村建設・ヒューザー・平成設計・総合経営研究所の
  関与が確認された物件総数584件のうち、調査済は417件。71%)



上記をまとめるにあたっては国交省公表資料と、日本語配信ニュースを参考にしました。

なお、上記はこれまで報道がされたものの中から、非・姉歯物件をまとめたものです。
特にBの熊本ルートでは、偽装に関しても強度不足に関しても、まだ確定したものは一例もない、ということを強調しておきます。国交省が中山構造研究所の主張を認めたことからも、おそらく(少なくとも中山構造研究所では)偽装などの不法行為はなく、むしろ県を上回る高レベルな設計を行っていたのではないかと推測できます。けれども、もしそうであるならば、そうした高レベルな(国の発言によれば「高度な知見を要する」)設計を現場が行っており、それを、検査する側の自治体が理解できていない、という事態そのものに問題があると考えたため、あえて記載しています。(3月11日 10:30補記)


◇       ◇       ◇



以下は私の雑感ですが、まさに泥沼・・・の様相を呈してきていますね。
耐震強度偽装問題の背景にあるのは、どうやら経済設計思想だけではないようです。

とりあえず、構造計算が非常に複雑であること(「高度な知見を要する」)、したがって自治体や民間検査機関では偽装がもし行われていた場合、それを見抜くことなどはじめから不可能であった、ということはわかりました。そもそも建築確認制度自体が、偽装やミスを想定していなかったのでしょう。誤りがあるかも? という前提でそれを「検査」することが目的なのではなく、「建築確認を下ろす」こと自体を目的としていた・・・のでしょうね。

しかし残念ながら、構造設計に関わる一部の建築士たちは、そうした前提にまったく馴染まない存在でした。
JSCAの会員がミスをしていたり(田中設計士の場合)、そもそも資格のない二級建築士が下請けとして設計していた(浅沼設計士の場合)なんて、一般の人には想像もつかない事態です。それが想像できるのは、おそらく業界内部にいた人達だけ・・・でしょう。そうした業界内部の人達の中にも良心的な人は大勢いたに違いないですが、事件前に彼らの声が外へ漏れてくることはありませんでした。実に残念なことです。

そうした中で、建築士の皆さんが運営しているらしい【建築よろず相談】のような存在はとても頼もしいです。
http://www.shou.co.jp/yorozu/naibu/frame-heya.htm
この中では、JSCA所属の田中テル也構造計画研究所設計「セントレジアス鶴見」の問題点を、鋭く指摘しています。私のような素人は報道で「田中研究所と日本ERIとの二重のミス」
http://www.asahi.com/special/051118/TKY200602170339.html
などと説明されれば、そういうものかと思うしかありません。けれども業界事情に詳しい建築士らが「おかしい」と指摘しているのであれば、やはりおかしいのでは? と思えてきます。
逆に言えば、設計士のような人達が積極的に問題点を指摘してくれなければ、一般の人間は疑うことさえできない、という現実があります。専門家の皆さんの誠実で真摯な発言・・・なによりも良心・・・に、期待するばかりです。


専門的といえば「許容応力度等計算」と「限界耐力計算」、二つの計算方法で結果が大きく異なる問題については、国交省がどうやら取り組むようです。
http://www.asahi.com/special/051118/TKY200603090451.html
JSCA(日本建築構造技術者協会)も意見を出してますね。
http://www.jsca.or.jp/vol2/23news_release/2005False/jsca200511.html

このJSCAはまた、一連の耐震強度偽装問題に関しても活発に発言しています。
http://www.jsca.or.jp/vol2/13sp_issue/200601/index.html
http://www.jsca.or.jp/vol2/23news_release/2005False/jsca200511.html
この中で構造設計士の資格新設や待遇改善などにも触れられていることは、JSCAが業界団体であることを考えれば当然とも言えるわけですが、それが本当に事態の打開のために必要なことなら、一般からも理解が得られるものと思います。
そして個人的に興味深かったのは

  ・ 大臣認定プログラム制度は廃止すべきである
  ・ 建築確認時の再計算は意味がない
   =基本的な数値の整合性の確認や略算的な方法で十分

http://www.jsca.or.jp/vol2/23news_release/2005False/jsca20050214-1.pdf
という主張や

  ・ ピアチェックは現実的か

http://www.jsca.or.jp/vol2/13sp_issue/200601/sp_issue0601-2.html
という問題提起でした。
これは重要な指摘だと思います。絵に描いた餅にならないか・・・という意味で。これについては近いうちに別エントリを起こそうと思います。なにしろ長くなりすぎたので(汗

とりあえず、非姉歯物件がぞろぞろ出てきた現状・・・を、ここに記述しておきます。



※補注1(2006年5月31日)
2006年5月25日報道の毎日新聞資料より。
【耐震計算偽造:中山建築士「関係機関は謝罪すべき」 手がけた物件耐震性確認 /熊本】
http://news.livedoor.com/webapp/journal/cid__2003032/detail

 「国側に検証を委託していた6件ともに強度は確認されました」

 熊本市は24日、木村建設(八代市、破産手続き中)が関与し、当初「強度0・43」とされたマンションを含む同市内の6物件が耐震基準を満たしていると発表。それに対し、対象物件を設計した中山構造研究所代表の中山明英・一級建築士(53)は「当然の結果」と憤りをあらわにした。

 市は当初、6物件の耐震強度偽造の有無を確認するため、県建築士事務所協会に構造再計算を依頼。同協会で「偽造なし」と判断された時点で強度は「0・43」など耐震基準を大幅に下回る数値もあった。当時から、市は精査を予定していたが、県が2月に数値と物件名を公表。中山建築士は「発表は間違い」と県や事務所協会に激しく抗議した経過もある。

 中山建築士は市の発表後に会見。最初に再計算をした協会の建築士が匿名とされたことに対して不満をあらわにし「『0・5以下』は、強制退去という社会的影響のある数字。なのに匿名で発表するのは無責任」と声を荒らげた。「不安を与えた施主と入居者に、誠意を持って謝罪すべきだ」とも訴えており、今後同協会や暫定値を発表した県に謝罪を求めるという。

 会見後、市建築指導課職員は中山建築士に日本建築防災協会の調査結果を手渡した。中山建築士は「防災協会は私の考え方を理解してくれた。精査途中の数値が公表されたことなどが混乱の原因だ」などと指摘した。


※関連エントリ・・・【耐震強度偽装問題カテゴリー

posted by 水無月 at 08:04| Comment(17) | TrackBack(5) |   ◇耐震強度偽装問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年01月22日

ダイナコートエスタディオの不思議

気になったので調べてみました。
ネットで調べられることなど高が知れているわけですが、反面、ほかに言及しているところもないようですから、私がここで呟くことも、まったくの無意味というわけではないでしょう。



【 ダイナコートエスタディオ物件 】

ダイナコートエスタディオ物件に興味を抱いたのは、自分で外部ファイル版資料【姉歯偽装物件時系列一覧】を整理する中でした。
以前にもここで書きましたが、最近の国交省の秘密主義にはほとほと困っています。私は姉歯氏の構造計算書偽装開始頃の状況に興味を抱いているのですが、最初期(1998年以前)の物件名が秘せられているのは実に憂慮すべき事態と言わざるを得ません。まあ、よほど隠したいことがある(誰にとって?)のだろうなぁ、とぼんやり想像しているのですが。

というわけで、時系列表示の最初の頃を眺めていたわけですが、物件名が公表されていない1998年建築確認の2件はさて措き、1999年確認の9件です。
この9件の内訳が

  ホテル2件
  共同住宅7件
   ( グランドステージ=ヒューザー物件・・・4件
     ダイナコートエスタディオ物件・・・・・・・2件
     世紀東急工業物件・・・・・・・・・・・・・・・・1件 )
   ※施工は元受けからの丸投げもあわせればすべて木村建設

であるということ・・・を意識している人は少ないと思いますが、このように強調すると、あれ? と思う方もいるのではないでしょうか。
姉歯氏の偽装行為は、ホテルではなくマンションから始まっている、ということは別の場所でも書きましたが、その中に同じブランド名の「ダイナコートエスタディオ」物件が2件も入っているのです。

ダイナコートエスタディオ・シリーズとグランドステージ・シリーズとの違いは、後者はその後も偽装物件として気の毒なほど再登場するのに対し、前者はこの2件だけで、その後は登場しないことです。
ダイナコートエスタディオ・シリーズは、幸運にもその後は木村建設の施工を免れたのでしょうか? とすれば、その建て主はなかなかの慧眼ということになるのかもしれません。被害を最小限にとどめた、という意味で。

私のダイナコートエスタディオ物件への興味は、そういう方向から始まったのです。



【 不思議なシリーズ 】

しかし興味を抱いてよくよく見ると、すぐに、私は不思議なことに気づきました。
ダイナコートエスタディオ桜丘(現・フェニックス渋谷桜丘)と、ダイナコートエスタディオ千代県庁口(現・ダイナコートエスタディオ県庁前)では、なんと建築主が違うのです(笑

 ◇ダイナコートエスタディオ桜丘(現・フェニックス渋谷桜丘)
   建築主=渇ェ部マイカ工業所 設計=平成設計梶@  施工=木村建設

 ◇ダイナコートエスタディオ千代県庁口(現・ダイナコートエスタディオ県庁前)
   建築主=岡部産業梶@     設計=渇ェ田建築設計 施工=木村建設

場所も、一方は東京渋谷(渋谷区確認)、他方は九州の福岡(福岡市確認)です。
両者はたまたま似たような名前だっただけで、そもそもシリーズですらなかったのでしょうか?

しかも、さらに調べてゆくと、この両物件とも、建築確認時の「建築主」とは別の企業が、その後譲り受け、最終的な建築・販売までをしたことがわかってきました。
整理すると、こうなります。


◇ダイナコートエスタディオ桜丘(現・フェニックス渋谷桜丘)
  岡部マイカ工業所 → トーシングループへ売却
 同物件は、株式会社岡部マイカ工業所が事業主であり、渋谷区役所による建築確認済証・中間検査済証を取得した状態で、弊社が一棟で一括購入し、自社ブランド名で販売いたしました。
このたびの国土交通省の発表により、事業主である岡部マイカ工業所が、当物件の検査機関である渋谷区役所へ、構造計算が耐震上問題ないかを確認いたしました結果、11月25日に「問題がなく、適性な建物だ」という返答を頂いております。
 木村建設との関係が判明した弊社物件は『フェニックス渋谷桜丘』のみではございますが、他物件につきましても慎重を期すため、ゼネコン各社に構造上問題がないか確認中でございます。
また、その他の当社分譲マンションの設計におきましては、姉歯建築設計事務所及び国土交通省より公表されている関係各社共、一切取引が無いことを確認いたしました。
(以上は「構造計算書の偽造問題に対するトーシングループの対応」 http://www.tohshin.co.jp/information3.html

◇ダイナコートエスタディオ千代県庁口(現・ダイナコートエスタディオ県庁前)
  岡部産業 → ダイナグループへ建築主変更



フェニックス渋谷桜丘の方は、売却されたということがはっきりわかりましたが、ダイナ・・・県庁前の方は、どういう経緯で建築主が変わったのか、ついにわかりませんでした。代表的なのはこんな感じです↓。
【耐震偽造 福岡市のマンションでも確認 木村建設が施工】
元請け設計は北九州市の岡田建築設計。当初建築主の岡部産業(北九州市)は構造計算の偽造はないと市に報告したが、市の調査で疑問が生じ民間検査機関に再計算と耐震強度の調査を依頼していた。
(中略)
 マンションは十二階建て九十一戸。建築主と売り主「ダイナ」(福岡市)は分譲価格で全戸買い取るという。一九九九年に市が建築確認し二〇〇〇年九月に完成していた。
(ソースは「熊本日日新聞」のキャッシュ。危うく消える寸前で保存。
 http://yohaku.up.seesaa.net/image/aneha_okabe1_gazou.html

ちなみにダイナ(別の事件で話題になっている「ダイナシティ」とは別企業ですから注意してください)による釈明ページ「姉歯建築設計事務所による構造計算書の偽造とその対応について」(http://www.daina.co.jp/info1206.html)にも、この間の事情は説明されていません。

なぜこの物件は建築主が途中で変わったのでしょうね?
それはわかりませんが、ダイナと岡部産業との取引はこれがはじめてではないのかもしれません。ダイナの藤原康弘社長と岡部産業の岡部安三社長が仲良く上下に並ぶページを見つけました(笑
http://www.kyujukyo.or.jp/html/bukai_houkoku.html#kinnyuu
(消えた場合に備えて保存↓
 http://yohaku.up.seesaa.net/image/aneha_okabe3_gazou.html
【九住協】部会報告というこちらのページの「金融・税務部会」の部分ですが、ここを見ると両者(両社)の関係は非常に良好なようです。

ところでダイナ、という社名はダイナコートエスタディオ・シリーズの事業主としてはいかにもぴったりです。しかしダイナの公式HPのどこを見ても、ダイナコート・シリーズに関しての記述はありません(偽装の発見された県庁前物件に関するお詫びページを除く)。
おかしいな・・・と思っていたのですが、偶然、キャッシュを発見しました(笑
【ダイナグループ−会社概要−】キャッシュページ
http://www.google.com/search?q=cache:5IuXIswaxBcJ:www.daina.co.jp/company/result/index.html+%E3%82%A8%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%AA%E6%A1%9C%E5%9D%82&hl=ja
(保存画面 ↓
 http://yohaku.up.seesaa.net/image/aneha_okabe4_gazou.html

このキャッシュページのタイトル、URLや、最下行の住所などを見れば、これがダイナグループのキャッシュであることは明らかでしょう。キャッシュが残っている・・・ということは、つい最近になって消したのでしょうね。なぜでしょう? 不思議です(笑
そしてもうひとつ不思議なこと・・・は、このダイナの会社概要(おそらく実績紹介でしょう)の中に、なぜか「ダイナコート エスタディオ 県庁前」ばかりでなく「フェニックス渋谷桜丘」の名前までがあることです。
あれれ? フェニックス渋谷桜丘は、岡部マイカが建築確認を取り、トーシンに売却した物件じゃなかったでしたっけ? その物件がなぜ、ダイナのHPキャッシュに残っているのでしょう・・・ね? これも不思議です(笑

それはともかく、岡部産業のページにも、ダイナコート・シリーズの紹介がありました。

http://www.okabe-sangyo.com/tsutsui/annai.html
(消えた場合に備えて保存画面↓
 http://yohaku.up.seesaa.net/image/aneha_okabe2_gazou.html
こちらのページにははっきりと、
「 岡部グループ住宅供給実績
 ■当グループは、絶縁材料製造販売で世界トップクラスの実績を誇る岡部マイカ工業所を中心に、
  分譲住宅約7,203戸、テナントビル27棟他、分譲事業35余年の実績です。」
とあり、エスタディオ県庁前を含む14件のエスタディオ物件が挙げられています。
偽装物件として名前の挙がっている「エスタディオ県庁前」を堂々と載せているのはご愛嬌・・・でしょうか(笑

さて、ここまででわかったことは以上です。

 ◇ 岡部産業は岡部マイカ工業所を中心とする岡部グループの一員だった。
 ◇ ダイナコート・シリーズはダイナと岡部グループが主体になって進めている。



【 岡部グループとは? 】

本当の事業主体・・・とは、時として表にはなかなか出てこないものです。
このダイナコート・シリーズも、片方はトーシン・グループに売却されて「フェニックス」ブランドに変わっていました。しかしその前身は「ダイナコート」シリーズであり、事業主体はダイナ、もしくは岡部グループなのです。




◇ダイナ
 ■ 本 社 〒810-0041
  福岡市中央区大名2丁目9番2号 福岡共栄火災ビル8F
  TEL092-752-0601(代) FAX092-752-0624
 ■ 設 立 昭和59年5月
 ■ 資本金 グループ8000万円
 ■ 代表者 代表取締役 藤原康弘
 ■ 従業員 160名(ダイナグループ)
 事業内容
  企画事業・・・土地の仕入れからプランニングまでを担当。オーナー様が所有される土地のマーケティングリサーチや資産運用のご提案もいたします。
  レジデンス事業・・・ファミリータイプマンションの企画・営業。住みやすさを追求し合理的なスタイルの個性派マンションをプロデュースしています。
  アセットマネジメント事業・・・投資物件を主体とした営業部。資産価値の高いワンルームタイプを中心とするマンションをご提供します。
  住宅流通事業・・・豊富なダイナの実績データのもと福岡市を中心に不動産の仲介をします。
http://www.daina.co.jp/company/summary.html


◇岡部産業
  会社名 岡部産業 株式会社
  所在地 北九州市小倉北区片野5-3-10 〒802-0064
  問い合わせ先 TEL:093-923-0881 FAX:093-923-0882
  Eメール sangyou@okabe-mica.co.jp
  ホームページ http://www.okabe-sangyo.com/
  創業設立 1966年4月11日
  代表取締役社長 岡部 安三
  資本金 9,000万円
  事業内容 不動産の売買及びその仲介、不動産の賃貸、建築物の設計監理
http://www.kita-suma.jp/14info/okabe/


◇岡部マイカ工業所
 ●社 名   株式会社 岡部マイカ工業所
 ●創 業   1932.5
 ●設 立   1949.7
 ●資 本 金  1億円
 ●代 表 者  取締役社長 岡部彌太郎
 ●事業内容  電気絶縁用マイカ製品および関連製品の製造販売
 ●事 業 所(従業員は300人程度)
   本社:福岡県中間市中間1−8−7
   東京営業所:東京都品川区東五反田1−3−16
   大阪営業所:大阪府大阪市淀川区西中島7−11−10
 ●工 場 本社工場 宮田工場 宗像工場
http://www.okabe-mica.co.jp/index.html



岡部マイカ工業所の歴史の古さには感嘆しますが、おそらく岡部産業は岡部マイカの多角経営の一環、不動産部門なのでしょう。1984年設立のダイナとの資本関係などはわかりませんが、岡部産業のダイナコート・シリーズへの関わり方から見ると、かなり密接な関係にあるのは間違いないでしょう。


さて、ところで私は耐震強度偽装問題を追っていたのでした。そろそろ結論をまとめましょう。
同シリーズに建築確認が降りた時、その建築主はどちらも岡部グループでした。
確認時の建築主が、偽装発覚時には違っている・・・。そんなことが二件も続けば、なんだか不可解な気はしますが、それ自体は違法ではないのでしょう。ただ、二件の二社ともが、未だに建築確認時の事情を一切説明しようとしていないのは、どうなのでしょうね?
現在説明(釈明)の文書をHPで公開しているのはダイナとトーシンです。しかし本来は、建築確認時の建築主であった企業こそが、その経緯を説明すべきではないでしょうか。
なぜ、木村建設が施工したのか、現在判明中の95件の中で「ダイナコートエスタディオ県庁前」ただ一件だけの設計をしたとされている岡田建築設計とは、どういう関係なのか・・・など。
ダイナとトーシンが、いくら「我が社の他物件は大丈夫です」と釈明したとしても、その供給元の岡部グループが沈黙していたのでは説得力などありません。私のように疑い深い人間の、ダイナコートエスタディオ・シリーズは本当に大丈夫なのか? という疑惑を増すだけの結果に終わってしまいます(前掲の【ダイナグループ−会社概要−】によれば、ダイナコート・シリーズは西日本を中心に110件以上あるようです)。

姉歯氏の偽装活動の最初期に、ダイナコートエスタディオ物件が二件もあった、という事実。施工は木村建設です。しかしまた、ここへ来て姉歯氏の一番最初の偽装物件は木村建設関与ではなかった、という疑惑も浮上しています。
【最初の偽装はどの建物? 姉歯氏証言の支え「揺れる」】
2006年01月14日17時46分
 最初の偽装はどの建物だったのか。姉歯秀次元建築士は東京都大田区のマンションが最初だと国会の証人喚問で話したが、その後、建築確認の日付は川崎市の偽装マンションの方が早いことがわかった。ところが、こちらは木村建設が施工した建物ではない。もし、このマンションが初の偽装だったとすると、「鉄筋を少なくしろ」という木村建設の圧力で不正に手を染めたとする姉歯元建築士の説明は根底から覆ることになる
【朝日新聞】
http://www.asahi.com/special/051118/TKY200601140209.html

木村建設以外でも偽装行為がありうる。平成設計でなくともありうる。ホテルでなく、総研非関与でもありうる、ましてヒューザーでなく、グランドステージ・シリーズでなくともありうる・・・としたら?


私が岡部グループに興味を持つには、もうひとつ理由があります。それは、同グループが九州を地盤にしている、ということです。
以前【耐震偽装の源流は九州かも・・・?】で書きましたが、九州には福岡を中心に、姉歯氏より早く構造計算書偽造をしていたとされる「サムシング」社がありました。このサムシング社も福岡、ダイナコートエスタディオ・シリーズも福岡・・・。なんとも不思議な偶然の一致・・・ではないでしょうか。

幾重にも不思議のベールに包まれているダイナコートエスタディオ・シリーズ・・・。関係各社が積極的に情報を開示し(HPを消したりしないで 笑)、私の疑問を解消してくれることを望んでいます。
むしろ国交省が必要な情報を開示していないこの状況では、ダイナコート物件はヒューザー物件とは違うのだ、ということを、岡部グループは自ら証明しなければならない立場だと思うのですが・・・。



※関連エントリ

外部ファイル版【姉歯偽装物件時系列一覧
耐震強度偽装問題・・・資料編(1/10現在)

耐震偽装の源流は九州かも・・・?
渡辺朋幸氏という人
時系列で耐震強度偽装事件を見ると
姉歯秀次氏という人
偽装事件は小さな政府を大きくするか?
耐震強度偽装問題・・・意見・感想編
全裸で自殺・・・の謎 耐震強度偽装問題

posted by 水無月 at 06:41| Comment(16) | TrackBack(2) |   ◇耐震強度偽装問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年01月12日

耐震強度偽装問題・・・資料編(1/10現在)

【 事件の概要 】

<1. 姉歯氏関与物件>

国土交通省の公表資料によれば、1月10日現在で判明している偽装状況は以下の通り。
http://www.mlit.go.jp/kisha/kisha06/07/070111_.html

姉歯建築士の関わった物件は

 平成2年から17年までで計205件。うち

  改竄の判明したもの・・・・93件(平成10年から)
  改竄のなかったもの・・・・85件
  不明等・・・・・・・・・・・・・・・17件
  調査中・・・・・・・・・・・・・・・10件



 改竄の判明した93件の内訳。その@

  東京都・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・30件
  神奈川県・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16件
  千葉県・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・13件
  愛知県・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7件
  静岡県・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4件
  群馬県・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3件
  長野県・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3件
  福岡県・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3件
  京都府・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2件
  兵庫県・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2件
  奈良県・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2件
  佐賀県・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2件
  埼玉・岐阜・三重・和歌山・鹿児島県・大阪府
     ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件(計6件)



 改竄の判明した93件の内訳。そのA

  共同住宅・・・・・・・・・・52件
  ホテル・・・・・・・・・・・・38件
  一戸建て住宅・・・・・・・3件



 改竄の判明した93件の内訳。そのB 建築主
 ◇共同住宅
  潟qューザー・・・・・・・・・・・・・・・・・・22件
  潟Tン中央ホーム・・・・・・・・・・・・・・6件
  潟Vノケン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  潟Vノケン東京支店・・・・・・・・・・・・・4件
  潟nウジング大興・・・・・・・・・・・・・・・2件
  東日本住宅梶E・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  潟Vンアイ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  小俣組・潟Vステムプランニンク・・・1件
  岡部産業梶E・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  潟Gルクリエイト・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  潟Oランビル・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  渇ェ部マイカ工業所・・・・・・・・・・・・・1件
  世紀東急工業梶E・・・・・・・・・・・・・・・1件
  個人・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  不明・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8件
 ◇ホテル
  京王電鉄梶E・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3件
  糾竝闔タ業・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2件
  JR系企業・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2件
  椛轟、ビー・エイチ企画・・・・・・・・・・1件
  その他の企業群・・・・・・・・・・・・・・・30件(うち不明8件)
 ◇一戸建て住宅
  その他個人?・・・・・・・・・・・・・・・・・・3件(うち不明3件)



 改竄の判明した93件の内訳。そのC 設計者

  平成設計梶E・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・27件
  姉歯建築設計事務所梶E・・・・・・・・・・・・・9件
  潟Xペースワン建築研究所・・・・・・・・・・・7件
  木村建設梶E・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6件
  潟Vノケン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2件
  潟Vノケン東京支店・・・・・・・・・・・・・・・・・4件
  叶X田設計事務所・・・・・・・・・・・・・・・・・・6件
  渇コ河辺建築設計事務所・・・・・・・・・・・・5件
  潟Gスエスエー建築都市設計事務所・・・4件
  活苡繻囃z企画研究所・・・・・・・・・・・・・・4件
  鰍jSM一級建築士事務所・・・・・・・・・・・3件
  豊國建設(株)一級建築士事務所・・・・・・・2件
  樺村組・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  鰹建築・まちづくり研究所・・・・・・・・・・・1件
  潟Aーキグラム・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  渇ェ田建築設計・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  鞄c口設計・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  世紀東急工業活鼡煙囃z士事務所・・・・1件
  不明・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8件



 改竄の判明した93件の内訳。そのD 施工者

  木村建設梶E・・・・・・・・・・・・・・・・・・24件
  木村建設梶負L川興業梶E・・・・・・・1件
  木村建設梶芙叶i藤建設・・・・・・・・1件
  潟Tン中央ホーム・・・・・・・・・・・・・・6件
  潟Vノケン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3件
  潟Vノケン東京支店・・・・・・・・・・・・・4件
  太平工業梶E・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3件
  太平工業鞄結梹x店・・・・・・・・・・・・1件
  豊國建設梶E・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3件
  三交ホーム梶楓L國建設開V・・・・1件
  叶井工務店・・・・・・・・・・・・・・・・・・3件
  窪田建設梶E・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2件
  窪田建設梶芙滑ロ山工務所・・・・・・1件
  鰹シ村組・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  鰹シ村組東京本店・・・・・・・・・・・・・・2件
  潟qューザー・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2件
  樺村組・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2件
  東鉄工業梶E・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  東鉄工業渇。浜支店・・・・・・・・・・・・1件
  小野里工業梶E・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  島田・小野里建設共同企業体・・・・・1件
  且u多組・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  叶A木組・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  丸運建設梶E・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  川村建設梶E・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  兜沒c組・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  奈良建設梶E・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  都市計画工業梶E・・・・・・・・・・・・・・・1件
  椛田工務店・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  鹿島建設梶E・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  椛蝸ム組・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  潟Aトリウム建設・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  勝村建設梶E・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  大鉄工業梶E・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  世紀東急工業梶E・・・・・・・・・・・・・・・1件
  未定・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3件
  不明・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12件



 改竄の判明した93件の内訳。そのE 建築確認

  イーホームズ・・・・・・・・・・・・37件 
  日本ERI ・・・・・・・・・・・・・・・・13件
  UDI確認検査 ・・・・・・・・・・・・2件
  東日本住宅評価センター・・・1件
  ビューロベリタス・・・・・・・・・・1件
  (財)日本建築総合試験所・・・1件
  愛知県・・・・・・・・・・・・・・・・・・4件
  横浜市・・・・・・・・・・・・・・・・・・4件
  長野県・・・・・・・・・・・・・・・・・・2件
  川崎市・・・・・・・・・・・・・・・・・・3件
  京都府・・・・・・・・・・・・・・・・・・2件
  岡崎市・・・・・・・・・・・・・・・・・・2件
  東京都・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  その他5県8市7区・ ・・・・・・・・1件(計20件)
 (群馬・岐阜・静岡・佐賀・鹿児島県
  前橋・伊勢崎・平塚・松本・大阪・姫路・和歌山・福岡市
  荒川・渋谷・杉並・台東・太田・中央・北区)





<2. 非・姉歯氏関与物件>

国土交通省が現在把握し調査済もしくは調査依頼中の物件は以下の通り。



 @ 姉歯物件・・・・・・・・・・・・205件(うち偽装93件)

 A 木村物件・・・・・・・・・・・・218件(うち偽装0件)

 B ヒューザー物件・・・・・・・・62件(うち偽装0件)

 C 平成物件・・・・・・・・・・・・・22件(うち偽装0件)

 D 総研物件・・・・・・・・・・・・139件(うち偽装0件)


※@姉歯物件は姉歯元建築士の関与したもので、前項の通り。A木村物件は木村建設が関与し@でないもの。Bヒューザー物件は、ヒューザーが関与し、@、Aでないもの。C平成物件は、平成設計が関与し、@、Aでないもの。C総研物件は総合経営研究所が関与し@〜Bでないもの。



<追記 国交省は持てるデータを全て公開せよ!>


国土交通省のデータ公開の在り方・・・には疑問を感じざるを得ません。

平成17年12月30日発表【12月29日現在】データ中の、【(別紙1-2) 構造計算書偽装物件 (11月22日以降判明分)】http://www.mlit.go.jp/kisha/kisha05/07/071230/02.pdf
が左へ90度傾いているのはなにか意味があるのでしょうか。
私のように、誰に頼まれたわけでもなく一銭の得にもならないのに目を皿のようにしてデータを見る・・・人間への、もしかしたら嫌がらせかもしれませんね。
嫌がらせをする暇があるなら、鰍ニ(株)、全角と半角(たとえばERIとERIなど)を統一するくらいの配慮はして欲しいものです。配慮というより、これは美意識の問題でしょう。どうやら国交省は、日本の民間企業に勤める社会人ならば当然備えていてしかるべき最低限の美意識を持つ人材にも、不足しているらしいです。さもありなん(笑

・・・というような皮肉はさておき、一度UPした資料を、国交省のお役人方はまともに見直してもいないのではないか、という不安を抱いたのは確かです。これまでは天地がきちんと表示されていたものが、90度回転した状態でUPされ、しかもそれが訂正されることなく、次の発表データは素知らぬ顔でまた天地正しくUPされている・・・。内部の混乱ぶりが窺えます。まさか混乱の最中、打ち間違えなんてことはないでしょうね?


もうひとつ。こちらを見てください。
平成18年1月11日発表【1月10日現在】データ中の
【(別紙1-2) 構造計算書偽装物件 (11月22日以降判明分)】http://www.mlit.go.jp/kisha/kisha06/07/070111/02.pdf
この中に、新規に判明した偽装物件として四件が上がっています。その四件は建築確認日付も物件名も施工者も設計者も・・・ほとんどすべての項目が「*」印。表の末尾の注釈を読むと、「* 表中、空欄は、現時点で特定行政庁から報告が上がっていない事項」とあります。
つまり、*欄は報告がないため国交省にも把握できていない情報ということになります。もっとも、赤字で示した通り「等」とあるので、国交省は情報を持っているけれども同省の判断で公開を控えている情報も中にはある・・・可能性も留保しています。
そして同日公開のこのページ。【(別紙3)姉歯建築設計事務所が関わった物件の建築確認日について】http://www.mlit.go.jp/kisha/kisha06/07/070111/04.pdf
これを見ると、この日新規判明分として発表した四件がどこに(何年の項に)プラスされたか、括弧書きで補足されています。
つまり、国交省は新規に判明した偽装物件の、少なくとも建築確認日は把握しているということです。

これに気づいた時、私は唖然としてしまいました。こんな馬鹿な話があるでしょうか? 国交省は情報を得ているのに、それを国民には公開していないのです。
なぜ? なんのために?
無用の混乱を避けるため、もしくは、風評被害を防ぐため、でしょうか。けれども、たとえどんな理由をこじつけようと、それが国民に対する背信行為であることには変わりありません。などというわけのわからない言葉で手に入れた情報を隠匿する権限など、国民はいかなる役所にも認めていないのです。

私がここで厳しく言及するには、わけがあります。
まず第一に、これまで国交省は同様の「不明」だらけの偽装物件を八件公開していますが、そのすべてが共同住宅であること。もしかしたらそこに住む住人にはこっそり告知されているのかもしれませんが、もし告知されていないとすると、住民の立場はどうなるのでしょう? 自分の住むマンションが実は耐震強度を満たしておらず、そのことを地方自治体や国は知っていたのに、隠していた、という恐ろしい事態となります。そしてそれはすなわち、自分の住むマンションの名前が挙がっていないからといって安心できない、事態を意味するのです。国交省は住人に告知したかどうかさえ公表していません。彼らは国民の間にパニックを引き起こしたいのでしょうか?

次に、この八件の中にこそ、姉歯氏が偽装を始めた最初期の物件が含まれている、ということ。同省公開のデータによれば姉歯氏は1998年から偽装を始め、現在二件が判明しているようですが、その二件ともが、わけのわからない「不明」のベールに覆われています。
これでは姉歯氏がなぜ偽装を始めたのか、究明するのに大きな支障を来たしてしまいます。国交省が情報を隠匿するのは、まさにそれが重要な情報だからではないのか、という疑惑を抱かれても当然でしょう。
後ろ暗いところがないのであれば、国交省は直ちに、持てる情報のすべてを公開すべきです

最後に、最近になってこうした「不明」物件が、急激に増えていること・・・。偽装物件の最近の判明具合をまとめてみましょうか。

 2005年12月21日以前 偽装78物件(うち不明は個人木造建物の3件のみ)
    12月21日公表 ホテル+1 共同住宅+3(うち不明2)
    12月22日公表         共同住宅+3
    12月28日公表         共同住宅+3(うち不明2)
    12月30日公表 ホテル+1
 2006年1月11日公表         共同住宅+4(うち不明4)

「不明」物件は、所轄自治体(特定行政庁)と建築確認機関以外の、ほぼすべてのデータ欄が「*」印で埋められている物件です。こうした不明物件のここ最近の急激な増加・・・。
これはいったいなにを意味するのでしょうか? もし、必要な書類を自治体や建築確認機関が破棄してしまっていたというなら、それをそのまま公表すべきでしょう(最も新しい「不明」物件は2003年のものですから、もしそうであれば関係機関の怠慢・杜撰さへの非難は免れないでしょうが)。
けれども先に示したように、「*」で埋められている項目でも、実際は情報があるのです。建築確認日は、少なくとも判明しているはずです。となれば、せめてそれだけでも公表すべきなのです。
これをも公表できないというなら、それはいったいなぜなのでしょう?

私は、情報を持つ、つまりそれ自体で優位である国交省(や官僚)が、情報操作に乗り出しているのではないか、という危惧を抱いています。
この嫌な予想が、外れていることを祈るばかりです。



※関連エントリ

外部ファイル版【姉歯偽装物件時系列一覧

耐震偽装の源流は九州かも・・・?
渡辺朋幸氏という人
時系列で耐震強度偽装事件を見ると
姉歯秀次氏という人
偽装事件は小さな政府を大きくするか?
耐震強度偽装問題・・・意見・感想編
全裸で自殺・・・の謎 耐震強度偽装問題
posted by 水無月 at 07:33| Comment(18) | TrackBack(1) |   ◇耐震強度偽装問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年01月05日

耐震偽装の源流は九州かも・・・?

謹んで新春のお慶びを申し上げます♪

というわけで、なんとか無事に正月の喧騒(謎)を乗り越え
2006年初エントリを書くことが出来そうです。
どうぞ今後とも、当BLOGをよろしくお願い致します。

このBLOGはもともと政治BLOGという位置付けでした。
昨年の冬から強度偽装問題に傾注してしまっていますが
(そしてこのエントリもそちら関連ですが 汗)
基本線は見失わずに参りたいと思っています(とはいえ
この問題も今では立派な政治問題には違いないですけどね)。

なお読者の方からメールを頂き、私を「ジャーナリスト」と
思っている人がいることもわかりました(笑
大変光栄ですが、それは誤解なのです、とこの場でお断り
しておきます。私は(文筆に従事するものではありますが)
ジャーナリストではありません。したがって、独自の取材ルートを
持つとか、そこから貴重な(ナマの)一次情報を得る・・・と
いうことは、残念ながらできません。
私が調べるのはもっぱらネット上において・・・です。
ネット上で得られる情報を、私なりに解釈した過程や結果を
このBLOGで公開している、ということなのです。

また、ネットは恐ろしいほど底なしに(笑)興味深い世界では
ありますが、私もネット外で実生活を送っている以上
ネットより実世界の方を優先させなければならないのは
社会人として当然のことでもあります。
幸い、実の方での仕事も、今年は昨年以上に充実したものと
なりそうです。ネットへ割くことのできる時間は、いくら
努力しても、昨年よりは減ってしまいそうな見込みです(汗
BLOG更新が間遠になったり、エントリが浅くなったり、また
コメント・メールのお返事が遅れることもあろうかと思いますが
以上の事情を鑑み、どうぞ寛大にお許しくださいますように・・・。



     ◇     ◇     ◇


さて、では本題に参りましょう。
去年の宿題、鉄骨業者についてです(笑



【 サムシング という会社 】


まず、当BLOGへ頂いたねこ飼さんのコメントから。
バッドニュースを提供します。
「マンションごと建て替え事件」の概要
エイルマンション建て替え事件弁護団 弁護士 幸田雅弘(福岡)
3 構造計算の手抜き
簡単にいうと、構造計算書の前半と後半が別物で、途中で二つの構造計算書がつなぎ合わされていたのです。
http://homepage2.nifty.com/kekkanzenkokunet/2-6-13-06=mansiongototatekaejiken(kouda).htm

これ、福岡で起きた構造計算書偽造事件なんですけど、去年の段階で訴訟が起きてます。これも姉歯と同様に構造設計事務所(倒産したサムシング)がやった偽造です。福岡市内の建築業界では、安い構造設計料として有名だったサムシングは、同時に鉄骨製作もやっていました

んで、本題ですけど、証人喚問のときに姉歯氏は木村建設とは九州の鉄骨業者の紹介で知りましたと答えています。もしも、この鉄骨業者がサムシングだったら?と言う疑問がありますがどうでしょうか。

サムシングは倒産しましたが、そこの出身者が多数続けているらしく心配です。真面目にやっていることを祈るばかり。

その後の噂はまったく聞きませんが、今月 サムシングの元社長が訴訟がらみでテレビに映っそうです。まったく反省もせず、薄笑いをしていたとのことでした。
http://yohaku.seesaa.net/article/11056343.html#comment


このコメントをいただいてから調べたのですが、サムシング株式会社という企業・・・今では第二(第三?)の姉歯か、と噂されているようですね。

住民が福岡県に調査を要望 2005年11月30日(水) 17:00

福岡県篠栗町のマンション管理組合が、30日、マンションの耐震強度が偽造されているとして、構造計算をした会社が関わった全ての物件に対する調査を福岡県に要望しました。
このマンション管理組合によりますと、6年前に購入したマンションに、耐震強度に偽造があることなどが明らかになり、去年6月、施工主などを相手取り現在裁判中です。
今回の要望は、マンションの構造計算をした春日市の建築設計事務所「サムシング」が関わった物件全てについて、偽造が行われていないかを調査してほしいというものです。
サムシングが関わった物件は県内に2000件以上あると見られています。
調査を要望した管理組合の理事長は「姉歯建築士だけでなく、他にも耐震強度が偽造された物件がある。行政にしっかりと対応してほしい」と話しました。
http://whatever.say.jp/program/snap_shot/site/11344850475789/
(↑は【Birth of Blues】kingcurtisさんが保存したFBF福岡放送のキャッシュ)


この記事中にある「篠栗町のマンション」は、ねこ飼さんから頂いたコメント中で言及されている福岡の構造計算書偽造事件のマンションと同一物件です。詳細はコメント中にて紹介のURLでもわかりますが、簡単にまとめると以下の通りですね。

  物件名 :「エイルヴィラツインコートシティ門松駅前イーストサイド」(11階建て50戸)
  建築主(販売会社): 作州商事
  施工者 : 香椎建設
  設計者 : ニューアート建築設計事務所
  構造設計: サムシング
 (建築確認: 福岡県  ←この情報のみ掲示板ソースhttp://kyusyu.machi.to/bbs/read.pl?BBS=kyusyu&KEY=1125506251
  訴訟を起こした時期 : 2004年6月

なお、この物件は「ツイン」とあるように二棟建てのようで、ウェストサイド(9階建て42戸)も、約1年半後の2005年11月、同じ構造設計上の問題で同様の裁判を起こしています。
http://www.fukukan.net/paper/051205/topic_kozo93.html



【 サムシング社の計算書偽造 】


次にサムシング社の計算書偽造の手口を見てみます。


 ◇「イーストサイド」の場合
建物の荷重を計算する際に、パラペット・バルコニー・階段などの荷重を落としたり、仕上げ荷重を軽く見たり、消火水地下ピットの荷重を落としたりして荷重を少なくして、適正な荷重の85%の荷重で計算していることが判明しました。そればかりか、荷重計算の結果導き出された地震用荷重をそのまま2次設計の時の地震用荷重として使用せず、荷重計算の結果導き出された地震用荷重から特殊荷重・補正荷重・フレーム外荷重を差し引いた数字を使っていました。簡単にいうと、構造計算書の前半と後半が別物で、途中で二つの構造計算書がつなぎ合わされていたのです
適正な荷重計算をして、構造計算をしたところ、1次設計段階でほぼ全ての梁と柱でNGが出ました。2次設計(保有水平耐力)でも、保有水平耐力はX方向で必要保有水平耐力を満たさないし、X方向の揺れで柱にヒンジが発生する(つまり危険な壊れた方をする)などの問題があることが分かりました。
(【「マンションごと建て替え事件」の概要】http://homepage2.nifty.com/kekkanzenkokunet/2-6-13-06=mansiongototatekaejiken(kouda).htm

 ◇「ウェストサイド」の場合
原告の主張によりますと、マンションの構造計算で荷重計算を所定の建物荷重の82%で計算しているなど6項目に誤りがあるとの問題点を指摘しています。そうして、構造計算を再計算すると、応力度が許容応力度を超えている、水平耐力が必要保有水平耐力を充たしていない、小梁・床スラブ等の2次部材で応力度が許容応力度を超えている、ひび割れ対策、たわみ対策がとられていないなどの瑕疵があると指摘しています。
(【マンション110番−福管連−】http://www.fukukan.net/paper/051205/topic_kozo93.html


情報源が異なっているため表現の濃淡に差はありますが、たぶん同じ手口での偽造なのでしょう。
そしてその内容は先行訴訟の「イーストサイド」の説明にある通りというわけです。

一方の姉歯氏の計算書偽造の手口は以下の通りでした。
耐震偽造:姉歯元建築士の手口 03年以降、書類差し替え

 姉歯秀次・元1級建築士による構造計算書の偽造方法は、コンピューターの画面上で別の数値を張り付ける比較的巧妙な初期に比べ、ここ数年は書類を差し替えるだけの単純な手口に移行していたことが国土交通省の調べで分かった。03年後半以降はほとんどが書類の差し替えで、多くはイーホームズが建築確認していた。同省は、姉歯氏が書類の差し替えでも偽造を見抜かれないと知り、より手間を省いていったとみて、調べている。

 国交省はこれまで姉歯氏がかかわった210物件のうち、77件について構造計算書の改ざんを確認した。建築確認が行われた年次別では▽99、00両年が各6件▽01年10件▽02年9件▽03年19件▽04年16件で、今年は現在まで11件。

 同省が偽造手口を分析した結果、コンピューター画面上で数字を書き換えるなどの「巧妙な改ざん」と、2通の計算書を用意して都合の良い部分だけを組み合わせる「単純な差し替え」とに大別できた。差し替え方式は、02年9月にイーホームズが建築確認した「グランドステージ千歳烏山」(東京都世田谷区)が最初とみられている。03年前半までは両方式が混在するが、同年後半からはほとんど差し替え方式になったという。
(【毎日新聞】http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20051220k0000e040004000c.html
 【↑の保存】http://yohaku.up.seesaa.net/image/aneha_teguti_gazou.html


もうひとつ・・・。姉歯氏がサムシング社同様に荷重を細工していたという例を念のため。
3.偽装内容
 建物の荷重を最低に近い数値で入力し、ベランダ及び階段の荷重をさらに低減した上で、当該部分の数値を十分な荷重があるかのように偽装した構造計算をしていた。
(姉歯氏偽装「フラットファースト雷門」平成15年6月12日イーホームズ社建築確認 について 【台東区】http://www.city.taito.tokyo.jp/index/000013/023516.html

私は素人ですから軽々に判断は出来ませんが、サムシング社の「二つの構造計算書がつなぎ合わされていた」手口と、姉歯氏の「2通の計算書を用意して都合の良い部分だけを組み合わせる」手口・・・。両者は同じ手口を語っているように思えます。
そしてそうだと仮定すると、その手口は「(巧妙でなく)単純な」改竄であり、姉歯氏は当初これをせずに、現在判明分で2002年後半から利用しだした、ということになります。



【 姉歯氏と九州の鉄骨会社 】

(12/14)【姉歯氏証人喚問】高木氏(公明)との一問一答

高木陽介氏(公明) 木村建設とのつながりは96年ごろ、鉄骨会社の紹介というが。

「九州の鉄骨会社の紹介。その後すぐではないが、木村建設とは年に数件程度の取引だったと思う」

【日経住宅サーチ】http://sumai.nikkei.co.jp/special/gizo/index.cfm?i=2005121403757s8


証人喚問でこのように述べた姉歯氏ですが、残念ながら私が調べた範囲では、サムシング社が鉄骨製作をしていた、という傍証は見つかりませんでした。なにしろ数年前に倒産している企業ですからね(汗
が、コメントを寄せてくださった方の職業・居住地といった背景を考慮すると、サムシングが鉄骨製作をしていた、という情報自体の信憑性は疑う余地もないと思います。
とすると、次は、鉄骨業者でもあったサムシング社が姉歯氏と木村建設を引き合わせることが可能か? が問題となるわけですね。
ここで一度時系列で整理してみます。



1989年・・・・・・・・・・・・木村建設東京事務所開設(93年支店へ)
              同年、平成設計社(東京都千代田区)設立
 90年(89年説も)・・・姉歯氏、千葉県に一級建築士登録をする
 96年・・・・・・・・・・・・・鉄骨業者、姉歯氏を木村建設に紹介
 98年後半?・・・・・・・姉歯氏、最古の(「巧妙」な?)偽装を行う
 99年春・・・・・・・・・・・サムシング社設計「エイルビィラ門松駅前」発売開始
2001年・・・・・・・・・・・・サムシング社倒産
 02年〜 ・・・・・・・・・・姉歯氏「単純」な偽装を始める



とりあえず1996年にはサムシング社はまだ元気に存続していて、姉歯氏と会うことも可能だったようですね。

が、私にわかったのはここまでです。問題の「鉄骨業者」がサムシング社であった証拠は、私には出せません。
したがってこの先は、私の疑問・・・という形で整理し、今後の捜査や調査の進展を見守りたいと思います。


疑問1 サムシング社の偽装に誰も(建築確認機関も、施工者も?)気づかなかったのか?
サムシング社の関与した物件は福岡県内だけで2000件以上。姉歯氏の10倍はあるというのに。

疑問2 サムシング社と木村建設とは接点がなかったのか?
サムシング社は福岡県春日市、木村建設は熊本県八代市・・・この距離の近さに意味はないのか?
(最盛期=2000年頃?、福岡市で出された建築確認申請の半分以上にサムシング社は関与していたらしい。とすれば、その頃東京まで出張して施工していた木村建設が隣の福岡県で施工していなかった・・・と考えるのは難しいのではないか)

疑問3 姉歯氏を木村建設に紹介したのは誰か。その経緯、目的、趣旨は?
(姉歯氏は東北宮城県の出身。大阪勤務の経験はあるが、大阪以南との結びつきは(私の調べた範囲では)見当たらない。その彼と、九州地盤の木村建設を結びつけたのが「九州の」鉄骨業者だった、ということの意味は? もし鉄骨業者が同時に設計会社でもあったというなら、設計繋がり・・・の線が見えてくる)

疑問4 サムシング社の計算書偽造、「限界設計」という思想は同社のオリジナルか?
どこかからの示唆はなかったのか・・・?
(サムシング社は「エイルビィラ門松駅前」物件の時点で、すでに「限界設計」を行うというので有名だった。「限界設計」は「限界ぎりぎりまでコストを落とす設計という意味」で、姉歯氏の売りであり、かつ総合研究所が推奨した「経済設計」とまったく同じ概念
http://homepage2.nifty.com/kekkanzenkokunet/2-6-13-06=mansiongototatekaejiken(kouda).htm



【 サムシング社=九州の鉄骨業者と仮定すると・・・? 】


1996年、姉歯氏を木村建設に引き合わせた謎の「九州の鉄骨業者」・・・。
仮に、それがサムシング社であると仮定すると、どうなるでしょうか?
以下はこの仮定に基づいた推測です。


サムシング社の業績から考えると、計算書偽造に手をつけたのはサムシング社の方が早いでしょうね。
木村建設に紹介された96年の時点で姉歯氏が偽造という方法まで知らされていたかどうかは不明ですが、サムシング式「限界設計」の妖しい魅力に、少なくとも木村建設は気づいていた可能性がある(サムシング設計物件の施工を通じて)、と思います。
姉歯氏に強く圧力を加えたのは木村建設東京支店長の篠崎氏だったそうですが、その圧力の裏には、サムシング社の「限界設計」があったのではないでしょうか。つまり、福岡のサムシング社にできるのなら関東の構造設計士にも出来て当たり前だ、と。

しかし私には、姉歯氏がサムシング社式「限界設計」を真面目に「学んだ」とは想像しにくいのです。サムシング社の方式は単純・杜撰・乱暴なもので、築二年で床がたわむような代物でした(この床のたわみが、住民・管理組合の不審を招き、構造調査→偽装発覚へ繋がったのです)。そうした設計思想を一級建築士の誇り高い姉歯氏が易々と継承したとは思えません。実際、姉歯氏が「単純な」偽造を始めたのは偽造活動も佳境に入った2002年以降でした。
同じ強度偽装をする(せざるを得ない)にしても、もうちょっと一級建築士らしい「まともな偽装」(=矛盾していますが、あえて)を、と、姉歯氏は模索したような気がします。
その結果が、初期の「巧妙な」偽装であり、何年経っても特に不具合もなく住人が住み続けていた偽装物件群・・・なのではないでしょうか。築七年経っても姉歯氏本人が計算書偽造を告白するまで行政も偽装と認定できなかった「グランドステージ池上」は、姉歯氏の偽装上のポリシーを象徴的に表しているように思います。

ただし、その姉歯氏も、2002年以降は計算書差し替えという「単純な」手口に移っています。
その移行の動機がなんだったのか、報道されるようにイーホームズ社など民間確認機関の審査の杜撰さに安心したためか、あるいはほかの要因も影響していたのか(たとえば設計件数が増えるに従い一件一件に手間暇を掛けられなくなったとか、慣れから手抜きに走ったとか?)・・・は、わかりませんが、たとえ手口自体は単純でも、姉歯氏設計の偽装物件では、少なくとも「エイルビィラ門松駅前」のような暴露の仕方はしていないのです。
私はここに、偽装設計士としてのプライドの一端を見たような気がしたのですが、考えすぎでしょうか・・・(謎
(もっともグランドステージ藤沢のような例もありますから、ごく最近の物件は、また別かもしれませんね。私の抱く姉歯氏像についてはこちらをご覧ください →【姉歯秀次氏という人】)

また、私は以前、別エントリで「強度偽装、計算書偽造、というテクニックは、少なくとも現時点での報道を見る限り、姉歯氏の独創的な発見だったと私は思っています」と書いていますが、サムシング社という先例と姉歯氏との接点がありうる、とわかったのですから、完全に独創的である、とは言えないかもしれませんね(汗
今時点の私の感触では、計算書偽造という思想自体は彼のオリジナルでない可能性が否定できず、一方で「巧妙な」偽造のテクニックの方は彼の工夫と努力の結果と思われる・・・という感じです。努力も工夫も、誤った方向に追求されていたのは言うまでもありません。念のため。



【 ま と め 】


以上、姉歯氏を木村建設に引き合わせた「九州の鉄骨業者」についてあれこれと書きました。
真相は結局わからずじまいで、物足りないと思う方もおられるでしょうが、当BLOGが扱うのはフィクションではなく、私自身も探偵ではないので、どうぞご容赦ください(汗

ただ、木村建設を産み出した九州という土地で(熊本と福岡の違いはありますが)、サムシング社という企業がかなり酷い(しかも広範な?)構造設計の偽装を行っていた。それも(おそらくは)姉歯氏より先行してやっていた・・・。この事実を知って、私にはなにか引っかかるものがあったのです。さらにそのうえ、私の信頼する人の情報によれば、同じサムシング社は「鉄骨製作もしていた」らしいとくれば、もう・・・(汗

福岡という地名からはもうひとつ、重要なキーワードが思い出されます。最後にそれを引用して、締めとしたいと思います。

平成17年(2005年)3月20日福岡県西方沖地震(M7.0) 最大震度6弱・・・。
「被害が大きい同じ大名・今泉地区でも、並んでいるマンションで一棟は被害が発生し、他のマンションは被害が発生していないといった現象が生じています。しかも、損傷したマンションは、竣工後4年〜7年の建物であり、隣りの無傷の建物は、築30年です。」
http://www.fukukan.net/paper/050408/topic_chiku30.html

「 福岡市では、3月の福岡県西方沖地震で半壊と認定された8棟の福岡市内のマンションについて、構造計算に問題がなかったか点検を行う模様です。

 西方沖地震で福岡市内のマンションは10棟が半壊と認定されましたが、そのうち、8棟が昭和56年6月以降のいわゆる新耐震基準により設計されたマンションでした。

 当会では、地震直後から「同じ場所で築30年のマンションがほとんど無傷であるのに、なぜ築1年から8年のマンションに被害が多かったのか、行政や研究機関で原因を解明すべき」と主張していましたので、姉歯事件が契機であろうともそれが実現できることは喜ばしいと考えています。」
http://www.fukukan.net/paper/051205/topic_fuku8.html
 いずれも【マンション110番−福管連−】より)


真実は究明されねばなりません。
建築確認機関は誤魔化せても、天からの審査である地震そのものを誤魔化すことはできないのですから。

人命が失われてからでは遅すぎます。日本の国土は、阪神大震災のような地震がいつ、どこで、起きるかもしれない土地なのです。
事態のあまりの広がり具合、その根深さに、私も含め、多くの人が、もう嫌気を差してしまっている・・・のが実情ではないでしょうか。どうせこんなもんだ、仕方ない・・・と諦めるのもひとつの「知恵」なのかもしれません。しかしここで追求を止めてしまえば、今後も同じような「耐震基準を満たしているはず」の実は欠陥高層ビルが建てられ、それらはいつの日か、首都圏で、地方都市で、それ自体が多くの人命を押し潰す巨大な凶器と化すでしょう。
その時、そのビルに偶然居合わせてしまったのが、私やあなた、そしてその家族でない保証は、どこにもありません。



※関連エントリ

外部ファイル版【姉歯偽装物件時系列一覧
耐震強度偽装問題・・・資料編(12/21現在)

渡辺朋幸氏という人
時系列で耐震強度偽装事件を見ると
姉歯秀次氏という人
偽装事件は小さな政府を大きくするか?
耐震強度偽装問題・・・意見・感想編
全裸で自殺・・・の謎 耐震強度偽装問題


posted by 水無月 at 10:07| Comment(16) | TrackBack(3) |   ◇耐震強度偽装問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年12月29日

渡辺朋幸氏という人

一生懸命時間を遣り繰りしているのですが、なかなか十分にBLOGへ時間を割くことができません。おそらく年内は今夜が最後のチャンスと思われますので、がんばって更新してみます(笑



【 データ 1 イーホームズ社藤田氏 】


【イーホームズ社 公式ホームページ】
http://www.ehomes.co.jp/SITE1PUB/sun/6/news/report70.html?t=1132554461326
http://www.ehomes.co.jp/SITE1PUB/sun/6/news/report60.html?t=1132554461327

上で述べられている内容のうち、重要と思われる点を以下のテーブルに要約します。
この内容はすべてイーホームズ社藤田東吾社長の証言である点をお含みおきください。藤田氏またはイーホームズ社社員は以下のように記憶し証言している、ということです(ただし括弧書き管理人注とした部分を除く)。


@ アトラス設計社渡辺朋幸代表の行動・発言

 ◇2005年10月18日 イーホームズ社へ電話。同社社員が受ける。
  ・ 「『北千住』の物件に構造的に疑義がある」と発言。
 (※管理人注 渡辺氏によればこれに先立つ10月14日の時点でイーホームズ社に電話していた。【読売新聞】http://www.yomiuri.co.jp/feature/fe5500/news/20051205i308.htm

 ◇10月21日 同社を訪れ、同社の構造担当部長と課長に会う。
  ・ 『北千住』の物件で具体的な偽造の箇所を指摘。
  ・ 「『北千住』物件に対し「計画変更確認」を行えばよい」と発言。→A
  ・ 2年半前の『グランドステージ稲城』も偽造であることを指摘。→B
  ・ 「『稲城』物件を公表しなければマスコミに通報する」と発言。

 (◇10月26日 イーホームズ社、国土交通省へメール通報)
 (◇11月10日 千葉県が姉歯建築設計事務所へ立入調査)
 (◇11月17日 国土交通省が偽装の事実を公表)

 ◇11月21日 渡辺氏イーホームズ社へ。藤田氏と初対面。
  ・ 「姉歯さんが偽造をしていたことを御社に伝えたのは私だということを知っていましたか?この経緯を公表しないのは良くなくはありませんか?」と発言。
  ・ 「偽造に関しては、今から約1年ほど前に、日本ERIで確認を下ろした物件の施工に際し、施工会社から設計内容がおかしいので構造設計の内容を調べてほしいと言う依頼があった。その結果、姉歯設計事務所が偽造をしていたことを知り、技術者として激しい怒りを覚えた。偽造について日本ERI社に対し指摘したにも関わらず公表されずに隠されてしまった。あの時に公表されていたらその後の被害は防げたはずだ。そして、近頃、イーホームズでも姉歯設計事務所が関与する物件がいくつかあると聞いたので気をつけられたし、と伝えた」と発言。
(※管理人注 約一年前の物件とは「港区赤羽根橋」のマンションのこと)

 ◇12月7日 国土交通省参考人質疑
  ・ 渡辺氏は日本ERI社鈴木氏を「とても意識」し「言動が不自然」だった。
(※管理人注 日本ERIが「港区赤羽根橋」物件を計画変更確認で処理したことに対し、渡辺氏は「(違法物件が建てられなくて)良かったと思った」と発言しています。この発言と、それ以前の渡辺氏の発言「日本ERIは事件を隠蔽した」との間には開きがありますから、それをもって藤田氏は「不自然」と感じたのではないかと思います)
(※管理人注 渡辺氏はまた、次のような答弁もしてしています。「一度目に気づいたのは、一年半前に港区(赤羽根橋)の物件で、私が意匠事務所(=千葉設計)さんから構造の監理を委託されました。そのときに、図面と計算書を見比べて発見しました。二度目に発見したのが、施工会社の志多組さんから、北千住の物件で鉄筋が少ないので調べてほしいと依頼を受けました。図面を見ておかしいと思ったので、計算書を取り寄せてもらうようにお願いして、そのとき、計算したのが姉歯さんだと聞いて、とても驚いた次第です」)

 ◇12月15日 藤田氏がアトラス設計へ渡辺氏を訪ねる。
  ・ 渡辺氏、上記の10月19日のA、Bが事実と認める。


A 藤田氏の疑惑

渡辺氏の目的は、イーホームズ社に「北千住」物件の計画変更確認をさせることだったのではないか。数日後の10月24日に国土交通省からイーホームズ社へ「予告なしで緊急立ち入り検査」が入っているが、もし違法な計画変更確認を行っていれば、そこで発覚し、イーホームズ社は「即刻指定取り消し、全ての資料も没収」されていたに違いない。
イーホームズ社(と姉歯秀次元建築士)を陥れ、偽装事件を発覚前から闇に葬ろうとするなんらかの力があったと思う・・・。


B 渡辺氏・志多組に関して(引用)

「渡辺氏の話などから、志多組は宮崎県の地場最大の中堅ゼネコンです。熊本の木村建設のように、宮崎の志多組というような関係で九州圏では競争が激しい関係だそうです。木村と姉歯氏の関係のように、志多組と渡辺氏という仕事の依頼を受ける関係のようなものです。」



イーホームズ社公式HP内における上記の藤田証言を読んで、私が最も興味を惹かれたのは渡辺氏の行動の不可解さでした。渡辺氏は本当に、藤田氏の疑うように、イーホームズ社を陥れるため、どこかから遣わされた使者だったのでしょうか?
もしそうだとすると、「『稲城』物件を公表しなければマスコミに通報する」と渡辺氏が発言したのはなぜでしょう。説明できません。この発言が示す事実は、素直に考えれば次の二点です。

 ◇1 渡辺氏は二年半前の「稲城」物件の偽装を知っていた。
 ◇2 渡辺氏は「稲城」物件の偽装の事実を公表したがっている。

◇1から、藤田氏は、渡辺氏が偽装関与組織(?)の一員であろう、という方向へ想像力を働かせたのでしょう。しかしその想像は、どう考えても◇2とは矛盾します。「闇の勢力」がもし存在するとして、彼らが事件を表沙汰にしたくないのであれば、「マスコミに公表」されて困るのは、ほかならぬ彼ら自身のはずだからです。

私はここから、今回の渡辺氏の行動は組織的な指示の下での行為でなく、渡辺氏自身の個人的な動機に基づくものだと考えました。
そもそも、「マスコミへ通報する」とは、バックのある人間が口にする言葉ではありません。ほかに誰も味方がいない人間が、最後の手段で言うセリフですからね。

では、渡辺氏の目的は事実の公表そのものだったのでしょうか。
けれども、そうすると今度は「『北千住』物件に対し「計画変更確認」を行えばよい」と示唆したことが理屈に合いません。もし渡辺氏が不正を憎む正義の設計士であるなら、なぜ日本ERIと同じ「隠蔽」であり「不正」であるはずの計画変更確認を勧めたのか・・・。
私はこの「理屈の合わなさ」自体からも、渡辺氏が個人で行動していることを確信したのですが(個人だからこそ、会話の中で態度が揺れてしまうということもありそうです)、とりあえずまだ、謎は謎としておきましょう。ただ、この藤田証言だけからでも、渡辺氏という人が複雑な動機を胸に秘めてイーホームズ社を訪れたのだろう、ということは推測できると思います。



【 データ 2 渡辺氏と志多組と・・・ 】


前項の藤田氏証言から、渡辺氏と志多組との間に結びつきがありそうだということがわかります。
では、渡辺氏や志多組と偽装事件とはどういう関係にあるのでしょう。それを次に整理してみたいと思います。


◇1996年頃  姉歯氏と木村建設が九州の鉄骨業者の紹介で知り合う。

◇1998年? 「グランドステージ池上」建築確認
  現時点で判明している最古の偽装物件であり、かつ、木村建設、ヒューザーの関わった偽装物件の中でも最古のもの。
  建築主=ヒューザー、設計者=下河辺建築設計研究所、構造設計=姉歯建築設計事務所、施工者=木村建設、建築確認=大田区。

◇2003年2月 「グランドステージ稲城」建築確認
  現時点で管理人の知り得た最古の志多組施工のヒューザー物件。偽装。
  建築主=ヒューザー、設計者=スペースワン建築研究所、 構造設計=姉歯建築設計事務所、施工者=志多組、建築確認=イーホームズ。

◇2003年12月 「グランドステージ川崎」施工
  建築主=ヒューザー、設計者=下河辺建築設計事務所、構造設計=アトラス設計(渡辺氏)、施工者=志多組、建築確認=?
  渡辺氏の構造設計で偽装はなし。

◇2004年1月 「港区赤羽根橋」のマンション建築確認
  渡辺氏がはじめて姉歯氏の偽装を知ったと公式に認めている物件。
  建築主=?、設計者=千葉設計、 構造設計=姉歯氏から渡辺氏へ変更、施工者=木村建設?、建築確認=日本ERI。
  当初この物件には、元請の千葉設計の下、アトラス設計(渡辺氏)が構造担当として関わっていた。が、途中で施主の意向、つまり工費を下げたいということから、総研・木村建設・平成設計の三者が千葉設計を訪れ、構造設計を姉歯氏に替えることとなった(渡辺氏は仕事を横取りされた格好)。
  出来上がった構造設計書を千葉設計は(千葉設計HPによれば「念のため」、報道によれば「ビルの総工費が約7族円から約3000万円も安くなったことを不審に思った」ため)、アトラス社渡辺氏に検証するよう依頼した。こうして渡辺氏は姉歯氏の計算書偽造を知る。
【千葉設計】http://www.chiba-aa.jp/kinkyu/kinkyu1207.htm
【読売新聞】http://www.yomiuri.co.jp/feature/fe5500/news/20051201i201.htm

◇2004年3月 「港区赤羽根橋」マンションに関し、千葉設計と渡辺氏が総研・木村建設・平成設計・姉歯氏と会議。偽装行為を追及。

◇2004年4月 「港区赤羽根橋」マンションに関し、日本ERIは「計算ミス」として計画変更確認処理。この時の構造設計書は渡辺氏の計算し直したものだった。渡辺氏は日本ERIに「姉歯氏がこれを他でやっていたら大変なことになりますよ」と伝えるも無視される。

◇2005年10月 「グランドステージ北千住」建築確認
  建築主=ヒューザー、設計者=スペースワン建築研究所、構造設計=姉歯建築設計事務所、施工者=未定、建築確認=イーホームズ。
  施工者は公式には未定のはずだが、志多組との情報がある。情報の出所は渡辺氏自身で、上記別テーブル内既述の通り、12月7日国会参考人質疑にて「施工会社の志多組さん」と答えている。



上記の内容に、前項で書いた藤田証言を加えてみます。つまり

 ◇3 木村建設と志多組は同じ九州の中堅ゼネコンでライバル関係であった
 ◇4 渡辺氏は(木村建設にとっての姉歯氏のように)志多組から仕事をもらう立場であった

ここまで整理すると、私には、渡辺氏の胸中が理解できる気がするのですが・・・どうでしょう?(笑


つまり、志多組と木村建設はライバル関係だったのです。それは当然、グランドステージシリーズで大当たりしたヒューザー物件受注競争においても、微妙な影を落としていたはずです。
実際には、大きく報道されている通り、ヒューザー物件の多くは木村建設が受注しています。
もう少し正確に言うと、1998年確認の「池上」物件以降、ヒューザー物件の多くに木村建設が関与するようになりました。名義貸し(元請けからの丸投げ)分を合わせると、その数はさらに増えます。おそらく30件を下ることはないでしょう。
一方の志多組は、「稲城」「川崎」「北千住」の3件しか(今のところ判明分では)、関与できていません。そして姉歯氏の関与した2件は偽装物件であり、渡辺氏の設計した「川崎」はシロでした。

志多組は、木村建設がなぜこれほど急成長できたのか、その経済設計の秘密を知っていたのでしょうか? あるいは、知ろうと努力し、もしそこに秘密の知恵があるなら学び(盗み)たいということも、もしかしたら考えたかもしれませんね。
まあ、それはどちらでもいいのですが、私が想像するには、おそらく志多組は、「稲城」偽装物件を施工した後で、お抱え構造設計士の渡辺氏に、姉歯並の「経済設計」はできないかと持ちかけたに違いないと思うのです。つまり、「稲城」を施工した体験で、木村建設の強さの秘密(の一端)が構造設計にあることに気づき、それが偽装とまで知ったかどうかはともかく、次の姉歯氏非関与「川崎」物件では、渡辺氏に同じレベルの「経済設計」を依頼(要求)した、のだと。
志多組が企業として木村建設に対抗してゆくつもりなら、それは当然のことのように思えます。
構造設計士の立場は弱く、競争は厳しいと聞きます。施工者からの要求があれば、渡辺氏も仕事を失うまいと必死になるでしょう。そうして姉歯式設計(「稲城」)を分析する中で、あるいは志多組の要求内容を分析する中で、彼は「稲城」の偽装に気づいたのではないでしょうか。

あるいは、もっと単純に考えるなら、志多組にとって初のヒューザー物件であった「稲城」の構造設計書を、志多組もまた千葉設計のように、渡辺氏に検証依頼したのかもしれません。実際、「北千住」の物件では、渡辺氏は志多組から依頼されて姉歯氏の設計書を見た、と証言しているのですから。


◇1で藤田氏が呈示した疑問、なぜ渡辺氏は「稲城」物件の偽造を知っていたか、の答えは、志多組にあると思います。
志多組経由で、彼は真実を知ったのでしょう。
もっとも、それがいつのことか、まではわかりません。もし、「稲城」の施工段階で志多組が渡辺氏に検証を依頼していたなら、彼は二年半前に知ったのでしょうし、「川崎」の設計段階で知ったのであれば、約二年前ということになります。


藤田氏は、「稲城」の偽装を知りつつこれまで黙っていた渡辺氏の「正義感」に疑問を呈していますが、おそらく志多組の意向もあったものと私は想像しています。千葉設計は真実を知ると総研や木村建設を呼び出して事実をはっきりさせましたが、「北千住」の件ではっきり真実を知ったはずの志多組が、これまで表立って動いた形跡は一切ありません・・・。
志多組は、「気づいても気づかないふりをする」道を選んだのだと思います。少なくとも、「北千住」ではそうでしたから、それ以前の「稲城」物件でも、もし気づいたとしてもなにもしないことを選んだだろう、と想像できるわけです。
志多組にとってはライバル会社、木村建設の「お抱え経済設計士」の不法行為。これを表沙汰にすることはいたずらに波風を立て、双方にとって害が多いと判断した、というような「大人の」(もしくは「裏社会」の)知恵が働いたような気がします。
とにかく、志多組は沈黙していたいらしいのですね。とすると、そういう施工者の下にいた渡辺氏も、また沈黙を余儀なくされたのではないか、とする推測は、それほど意外ではないでしょう。



【 渡辺氏 VS 姉歯氏 】 〜 構造設計界の死闘 〜


さて、このようにして「稲城」の偽装を知っていた渡辺氏ですが、一年半前の「港区赤羽根橋」のマンション物件で、またも姉歯氏とぶつかってしまうわけです。これはもう、渡辺氏が姉歯氏と同じく関東周辺で活躍する構造設計士であった以上、もはや避けようのない宿命だったのかもしれません。


「アトラス設計は2005年10月にまたも同じようなことを別の場所で遭遇することになり、今回の告発へ至った、と渡辺氏から聞いております。これがまた別の建築士であったら、たぶん今でも闇の中かも知れません。何かこのあたりにアトラス設計の運命のようなものを感じます。」
(【千葉設計】HPより http://www.chiba-aa.jp/kinkyu/kinkyu1207.htm


千葉設計の千葉氏は、これのさらに一年後の「北千住」物件について上記のように述べていますが、千葉設計が(志多組と違って)事態の黙殺に向かわなかったのは、渡辺氏にとって大いなる救いとなったはずです。

渡辺氏の気持ちになれば、姉歯氏を許せない思いが限界まできていたことでしょう。なにしろ姉歯氏は、「港区赤羽根橋」物件での渡辺氏の仕事を奪ったのですからね。それも、違法な計算書偽造という手口によって。


「姉歯設計事務所が偽造をしていたことを知り、技術者として激しい怒りを覚えた。偽造について日本ERI社に対し指摘したにも関わらず公表されずに隠されてしまった。あの時に公表されていたらその後の被害は防げたはずだ。」
(【イーホームズ】HPより 渡辺氏11月21日藤田氏に語る)


この怒りは、渡辺氏が姉歯氏と同じ構造専門の設計士であり、過去に仕事を奪われていた、という事実まで知って、はじめて正確に理解できるのだと思います。
藤田氏は、おそらくそれを知らないでいたのでしょう。だから、この怒りを清廉な技術者の正義の怒り、と解釈してしまった・・・。ゆえに、「計画変更確認を行えばよい」という発言が理解できないのです。
渡辺氏が、計画変更確認を示唆したのは当然のことです。「港区赤羽根橋」の物件では、ほかならぬ渡辺氏が、自らの設計で日本ERIから計画変更確認を受け、そのまま構造担当者の地位に返り咲いたのですから。

計画変更確認が違法であるとか不法である、ということは知識としては知っていたかもしれませんが、渡辺氏の頭の中では「悪いこと」ではなかったはずです。彼もそれによって恩恵を受けているのですからね。従って日本ERIが「港区赤羽根橋」の物件に関して計画変更確認を行ったことは、渡辺氏にとって「善いこと」なのです。
ではなぜ、彼は日本ERIを「隠蔽した」と責めるのか。
これももはや明確ではないでしょうか。
彼が許せないのは「港区赤羽根橋」以降の物件でも姉歯氏が偽造を続けていること、です。日本ERIが事態を公表してくれれば、姉歯氏は設計の仕事は続けられないはず・・・。そうすれば渡辺氏の仕事が奪われる危険もなかったでしょう。にもかかわらず姉歯氏は偽造計算書を書き続け、現に「北千住」の物件では志多組施工なのに姉歯氏が構造計算をしている!のです。

ここまで考えると「あの時に公表されていたらその後の被害は防げたはずだ」という渡辺氏の発言も、多義的に読めてくるから不思議です。「被害」を受けた人の中には、単に一般の住宅購入者だけでなく、彼自身もが含まれていたのかもしれません。
渡辺氏は抽象的に、住宅購入者の被害や正義の憤りを語っているつもりで、実は自身の被害や怒りを表現していたのではないでしょうか。



【 渡辺氏 VS 藤田氏 】 〜 合わない視線 〜


渡辺氏がイーホームズへ電話をかけ、数日後には単身乗り込んで事情を説明した・・・。この動機も、もう十分理解できることと思います。
志多組は、千葉設計と違って、事態を公開しないのです。千葉設計は、偽造であることを知ったのちは、構造担当をアトラス社へ戻してくれました。しかし志多組はそれをし(てくれ)ない。となれば、今後志多組系の仕事は大幅に減るかもしれません。・・・志多組は動かない。日本ERIも動いてくれない。ならば自分で動くしかないじゃないですか!

渡辺氏の告発は、こうした文脈の中でこそ、はじめて理解できると思います。
姉歯式(偽装)経済設計をこれ以上のさばらせておけば、渡辺氏の仕事は減る一方です。対抗するにはそれこそ計算書偽造に手を染めねばならないでしょう。しかしもちろん渡辺氏に、それだけはできないのです。
正しい設計をしている自分がなぜ冷遇され、偽造設計士が高級外車を二台も三台も乗り回しているのか・・・。
渡辺氏がイーホームズへ姉歯氏を告発した目的は、今後これ以上偽装設計をさせないこと、できれば姉歯氏の設計士生命を絶つこと・・・あたりにあったと思います。それが告発の動機なのです。

将来のため・・・。
日本の建築界の将来のため、構造設計士全体の将来のため、しかし実は我が身の将来のため、だったのだと思います。姉歯氏が不法な設計をやめるか、設計業界から足を洗うかすれば、おそらくそれで渡辺氏は満足だったのでしょう。けれどもそこには、すでに建てられてしまっている違法建築物に住まわされている住人達がどうなるか、という過去への視点はありませんでした。そしてこの点で、藤田氏と渡辺氏とは決定的に違っていたのです。

渡辺氏が当初、藤田氏(イーホームズ社)に期待していたのは、「北千住」物件を差し戻すこと、だったのではないでしょうか。確認機関であるイーホームズからNGが出れば、志多組は姉歯氏を使うことを諦め、渡辺氏に構造設計を依頼してくるかもしれません。私は、渡辺氏はその可能性は相当高いと踏んでいたように思います。
計画変更確認を示唆したのは、「港区赤羽根橋」物件と同様、自分が姉歯氏の後釜に座ることを念頭に置いていたからなのでしょう。そして「稲城物件を公表しろ」と迫ったのは、あくまで志多組や総研に対して公表せよと迫ったものと解釈できます。国に公表すれば自動的にマスコミにも公表されるわけですから、後半の「でなければマスコミに通報する」というのが辻褄が合いませんから。
つまり渡辺氏は、イーホームズ → 総研・志多組 のルートで、圧力をかけることを望んでいたのです。なんの圧力かって? 当然、もう姉歯氏を使わないようにという圧力です。

要するに渡辺氏は、千葉設計主導で行われた「港区赤羽根橋」会議の再現を期待していたのです。この会議で姉歯氏は偽装を認め、結果、姉歯氏が奪った仕事は渡辺氏の許へ戻ってきました。今回は志多組が動かないから、イーホームズ社に期待したのです。
けれどもイーホームズ藤田氏は、一介の設計事務所でもなければ、日本ERIや志多組のような「見て見ぬふりが大人の知恵」的な人物でもありませんでした。
藤田氏は渡辺氏抜きでヒューザー・平成設計などと会議をし、事実関係を確認した後は国へ通報してしまいます。

渡辺氏の目論見は大きく外れました(笑
姉歯氏の設計士生命を絶つことはできたかもしれませんが、直接的な利益はなにもありません。「北千住」物件は建築確認取り下げで、もはや変更確認どころでない騒ぎです。
長らく「横浜の設計会社」として匿名を希望し続けた千葉設計とは対照的に、渡辺氏のマスコミへの露出度の多さ・・・が、当初から私は気になっていましたが、それも、こう考えるとなんとなく見えてくるような気がします。
なにしろ渡辺氏は、イーホームズに「勇気ある告発」をした見返りがなにもなかったのですからね(笑
イーホームズが「大人の態度」を取っていれば得られたはずの「北千住」物件の代わりに、せめて社会的な名誉や賞賛を浴びたい・・・と、彼が考えたかどうかはわかりませんが、もしかしたら渡辺氏には、もはや目立つことで宣伝をする道しか残されていなかったのかもしれません。少なくとも、目立たぬことが利益に繋がると判断した千葉設計より追い詰められた立場なのは確かでしょう。
どうやら案外狭いらしい構造設計業界ですから、最初の告発者が渡辺氏だったことは関東周辺の業界内では早くから知られてしまい、その結果、志多組はじめ「大人の」業者達が彼を敬遠する素振りを見せた・・・ということも考えられます。



【 ま と め 】


このように、藤田氏を困惑させ悩ませた渡辺氏の一見不可解な行動・・・は、謎を解こうと周囲を調べるうちに、私には自然と解釈できてしまいました。
渡辺氏は、巨大な陰謀とは対極の位置にいる人物だと思います(笑
彼の視野は狭い。藤田氏よりなお狭いです。おそらく彼は純粋に、彼の目に見える範囲の人々の幸福を願うタイプなのでしょう。

イーホームズ社の関係者が拙文を目にすることがあるとも思えませんが、もしそういう機会があれば、どうぞ藤田社長には、以下のように伝えて欲しいと思います。
「少なくとも渡辺氏は『陰謀』の加担者ではありません。
 彼はあなた同様『純粋な』志を持つ人物と思われます。ただ、あなたよりもほんの少しだけ、視野が狭いか、もしくは見る方向が違っていた・・・かもしれませんが。
 だからこの件に関しては、どうかこれ以上つまらない疑心暗鬼にかかずらうことのありませんように。
 そして事件の再発防止のためには今後なにが必要か、また過去にはなにが必要だったのか、真摯かつ謙虚に熟考することの方を、どうぞよろしくお願いします。(せめて、御社の『悪くなかった』理由を探しだす情熱の1/10程度は、そちらへ割いてくださることを国民一同期待しております)」


さて、ここまで書くうちにとっくに夜が明け、午前中まで終わってしまいそうです(汗
九州の鉄骨業者に関しても書きたかったのですが、それは来年に回すほかないようで・・・。

どうぞ皆様、よいお年をお迎えください。
来年の日本に昇る朝日が、少しでも希望と喜びに満ちた光と感じられますように。



最後に、このエントリを書くのに複数の箇所で以下のサイトを参考にしましたので紹介します。
 【建築よろず相談__耐震強度偽装問題時系列】
  http://www.shou.co.jp/yorozu/naibu/gisou.htm
 【東急不動産・東急リバブル不買運動__耐震強度偽装問題、日本ERI、アトラス設計渡辺朋幸代表】http://rain.prohosting.com/~rain7/eri.htm
 【千葉設計__12月7日の衆院国土交通委「建築物耐震強度偽装問題」参考人質疑において、当社名が実名 にて発言されたことについて】http://www.chiba-aa.jp/kinkyu/kinkyu1207.htm


※関連エントリ

外部ファイル版【姉歯偽装物件時系列一覧
耐震強度偽装問題・・・資料編(12/21現在)


時系列で耐震強度偽装事件を見ると
姉歯秀次氏という人
偽装事件は小さな政府を大きくするか?
耐震強度偽装問題・・・意見・感想編
全裸で自殺・・・の謎 耐震強度偽装問題


posted by 水無月 at 11:48| Comment(2) | TrackBack(4) |   ◇耐震強度偽装問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年12月26日

時系列で耐震強度偽装事件を見ると

イーホームズ社のTOPIX】で知ったのですが【建築よろず相談】提供の【耐震強度偽装問題時系列】ページは良いですよ♪ 大変参考になります。特に偽装が発覚する今年秋口からの流れ・・・は、私自身も一度整理したいと思っていた内容でした。このページのお陰で再び徹夜の地獄は見ずに済みそうです(笑

というわけで話を少し戻しますが、先日、【姉歯偽装物件時系列一覧(12/21現在)T】、【同 U】を整理しました。これは当初予想もしていなかった「SeesaaBlogの一記事あたりの容量オーバー」という障壁のため、やむなく二つにわけてあります。が、一覧表示というのが私のもともとの計画でしたから、近々別の形でUPし直すことを考えています。
※UPしました → 外部ファイル版【姉歯偽装物件時系列一覧】 最新情報への更新もこちらで行っています。

それはともかく、時系列に整理したのはそれなりに目的があったからです。
以下、この時系列一覧表示から現時点で私の気づいたことをまとめておきます。



@ 「時間が経つに従って偽装がエスカレートしていった」は正しくない。

まず、私自身が12月9日の【偽装事件は小さな政府を大きくするか?】の中で「大まかに、過去の物件の方がマシで、偽装を重ねるに従い、姉歯氏の偽装が大胆に、なりふり構わ造ものへと変化している」と述べています。が、このエントリを書いた後で次々と明らかになった過去の物件の資料から、最初期のものであっても強度=0.32のグランドステージ赤羽(1999年5月27建築確認)のような物件があることがわかりましたので、訂正しておきます。

偽装設計士・姉歯氏はその偽装活動の当初から大胆な偽装を行っていたようです。



A ホテルと共同住宅(マンションなど)で偽装の度合いが異なることはない

ホテルの強度とマンションの強度・・・単純に平均を取ればホテルの方が確かに数値が高いのですが、一方では、パークホテル高山(強度=0.23)、エースイン松本(同 0.31)のような例もあります。
一般に、各部屋が細かく壁で仕切られているホテルの方が、開放部の多いマンションよりも強度を確保しやすい、ということを考慮すれば、ホテル物件での0.23(現時点での強度偽装ホテルの最低例)という数字はグランドステージ藤沢の0.15(共同住宅での最低)に匹敵する恐ろしい数字ではないでしょうか。



B 公の審査機関と民の審査機関で偽装の度合いが異なることはない

@と同様、これも私自身が【偽装事件は小さな政府を大きくするか?】の中で次のように述べていました。
「民間検査機関の審査する物件では、自治体検査の物件よりも大胆に(荒っぽく)偽装を行った、という可能性はありそうです」
しかしこの件に関しても、前述のグランドステージ赤羽(北区)、パークホテル高山(岐阜県)、エースイン松本(松本市)といった0.3台以下の物件を地方公共団体の検査機関が通している実例から、正しくないことがわかります。

そしてこのことは逆に、地方公共団体の検査機関とイーホームズや日本ERIに代表される民間検査機関とで検査能力に差はなかっただろう、ということを強く示唆するものです。もしイーホームズを無能とするならば、公の検査機関もまた無能・・・なのでしょう。
現在、国土交通省は地方公共団体の審査能力を調査する方針を固めたそうですが
http://www.asahi.com/special/051118/TKY200512240343.html
実に妥当な措置であろうと思いますね。

事件当初、建築確認業務を民間に開放したからこうなったのだ、というような論調がありましたが、それは正しくないばかりでなく、イーホームズ社が散々訴えているような、「悪意あるスケープゴート(=イーホームズ社)叩きだった」との主張に一定の信憑性が与えられるような気がします。

公の検査機関の無能さを如実に示す記事としてこれも挙げておきましょう。
このうち、東京都足立区、葛飾区、新宿区、大田区では各2件、中央区、文京区、品川区、豊島区、名古屋市は各1件と、計9自治体の13物件が、最終期限の26日までの報告は無理な見通しという。

 9自治体は、いずれも構造計算ソフトを持っておらず、自力で再計算できない。外部の専門家に発注しているが、足立区の場合、いまだに依頼先が見つからない状態。同区は「偽装物件が首都圏に集中しているためか、数社に頼んだが断られた」と説明。文京区も「当初、偽装は単純なものという認識しかなく、出遅れた」と話す。
(【読売新聞】http://www.yomiuri.co.jp/feature/fe5500/news/20051224i106.htm
ちょっと驚いてしまいましたが、自力で再計算できないのだそうです。
ソフトにも多種類あるそうですから、別の種類のソフトは持っているということかもしれませんが、記事中の「外部の専門家」は「数社」とある通り民間企業ということでしょうから、こうした事態そのものが公より民の方が優れている証拠と受け取れるような気がします。



C イーホームズ社の強弁

ところで、スケープゴートとして叩かれている(らしい)イーホームズ社も黙って叩かれているわけではなく、HP上にてリアルタイムで反撃しています(笑)。ネットがこれほど普及したからこそできることで、これ自体、私には非常に興味深いのですが、イーホームズ社提供の情報を鵜呑みにするのも危険なのです。
以下、そのことを述べます。

同社が2005年12月13に公開した【新たな偽造2物件についての質問、現段続での物件リスト等】ですが、ここで同社は【12月12日時点での偽装物件時系列一覧】を公開しています。実はこのページこそ、私が偽装物件時系列一覧リストを自分でUPしようと思ったきっかけでした。

この表の下部で同社は
約1年半前に日本ERI社が偽造を隠蔽せずに公表していたら、偽造グループの物件が弊社に申請がなされず、ほとんどは偽造として生じなかったことはずです。被害が広がったという点で、日本ERI社の責任は重大であると考えます。
と主張しています。しかし肝心の表を見ると、「日本ERI社が公表していたら防げたであろう物件」と左端に注釈つきでマークしてある矢印が、「グランドステージ稲城」を差しているのですね。つまり日本ERI社が偽装を公表していたらグランドステージ稲城以下の偽装物件の被害は防げたであろう、と読めます。グランドステージ稲城は、12月12日時点でイーホームズ社が扱った偽装物件の最古から二番目でした。最古の物件は(12日時点でも現在でも)グランドステージ千歳烏山ですが、なぜかグランドステージ千歳烏山は表中に記載されていません(笑
つまりイーホームズ社提供の表を見る限り、日本ERI社が社会正義にのっとって正しく行動していればイーホームズ社の偽装見逃しという失態は(ほとんど、でなく)すべて避けられたはずだ、と読めてしまいます。
では、グランドステージ稲城は本当に、日本ERI社が偽装をアトラス設計社渡辺氏に指摘されて知り得たはずの約一年半前の物件なのでしょうか?

私は12日の時点ですでに国土交通省提供の偽装物件一覧をローカルに取り込んでおり、時揃列ソートも飽きるほど繰り返していましたからすぐに気づいたのですが、グランドステージ稲城は約二年半前の物件、なのです。
実際には、日本ERI社が偽装を知り得た約一年半前の段続で、イーホームズ社は12日時点に判明しているだけで7件の偽装を見逃していた、のが事実です。
けれどもイーホームズ社提供の表を見ているだけでは、それには絶対に気づけません。なぜなら、時揃列と言いながら、ソートキーとなるはずの項目が「姉歯設計作成年」なるものとなっており、月日の省略された「平成○年」表示となっているからです。
姉歯氏の設計年をなぜイーホームズ社が把握できるのかも謎ですが(笑)、「建築確認日」が国土交通省公表のデータに明記されているにもかかわらずこれを示さず、あたかも7件の自社見逃しの事実を隠微するかのように「日本ERI社が公表していたら防げたであろう物件」の矢印を二年半前に持ってくる・・・イーホームズ社の態度は、どうなのでしょうね?(呆

単なる間違いでなく、目的を持った情報操作と看做されても仕方ないのではないか、と思いますよ?

12月26日現在、イーホームズ社は最新の【12月26日時点での偽装物件時系列一覧】を公表しています。
この中では、「日本ERI社が公表していたら防げたであろう物件」の開始矢印は、正しく一年半前に繰り下がっています。そのかわり
「そもそも認定プログラムが改ざんできないように大臣認定していたら全ての被害は生じなかった」
「行政が発見していたらこの後の被害は防げた物件」
「国土交通省が日本ERI業務停止時に行った精査で偽装を発見していたら被害の拡大を防げた物件」
という三つの注釈が、いわば三重にイーホームズ社の偽装見逃しを擁護する仕組みです(笑

しかしながら、「日本ERI社が偽装を一年半前に知り得たにもかかわらず公表しなかった」疑惑と、上記三つは別の性質の事柄だと私は思います。
日本ERI社の偽装隠しは、もしそれが事実なら立派な犯罪であり、当然に糾弾されねばならないでしょうが、「大臣認定プログラムの不備」「行政確認機関の不備」「国土交通省精査の不備」は、偽装の背景や拡大の要因ではあるでしょうが、それ自体は罪ではありません(罪を犯したのは姉歯氏などでしょう)。

つまり、行政の不作為や不備は、イーホームズ社の偽装見逃しと同様に問題である、ということであって、決してイーホームズ社の偽装見逃しを擁護する意味は持たないのです。

イーホームズ社は「そもそも構造計算認定プログラムが編集(改ざん)不可能な形での申請/審査のシステムで評価認定されていれば、この偽装事件が生じることはなかったのです」
http://www.ehomes.co.jp/SITE1PUB/sun/6/news/report82.html?t=1132554460715
と繰り返し訴えています。が、たとえそれが真実であったとしても、同社の「偽装見逃しという失態の責任」は消えません。
タイトルにつけたイーホームズ社の強弁、と私が感じるのは、あたかも自社の失態はすべて外部に要因がある、かのように同社が主張することです。その主張はやはり、責任逃れのように聞こえます。

イーホームズ社は(検査機関としては)無能であり、同じ程度にほかの民間検査機関も、行政も、公の検査機関も無能であった(とりわけ日本ERI社は無能であるばかりでなく悪質だった疑いがある)、というのが正確なところだろうと思います。
だからどうすればいいのか・・・。ここから先が、日本社会や政府が対応しなければならない問題でしょうね。

そしてもうひとつ、大事なこと。
この時系列一覧表を巡って私は、イーホームズ社は民間企業であり、同社の提供する情報は同社にとって都合の良い内容に限られている(時には都合よく脚色されているかもしれない)、という当たり前のことを強く意識しました。だからこそ、自前で時系列一覧表示を作成したのですけども。
イーホームズ社も当事者なのですから、必死に弁明すること自体は当然ですし、私はそれを批判するつもりもありません。むしろすべての当事者が、自己の正当性をアピールするためにネット上で情報合戦を繰り広げてくれたら、と望んでいます。
ただ、積極的に情報を公開しているイーホームズ社ですが、同社もまた、決して正義の味方ではないのです。情報提供には必ずその裏に目的があり、動機があります。
一覧表での情報操作などは、国交省の情報もあり見破るのは容易ですが、裏づけの取れない同社提供の情報については、真偽を確かめるのは至難の業です。

イーホームズ社提供の情報には同社に有利なように、とバイアスがかかっていることを、情報を受け取る際には常に意識すべきなのだと思いました。



D 「偽装の最初はホテルから」という姉歯氏証言は正しくない

最後に、姉歯氏の証言との矛盾点をまとめておきます。
姉歯氏は2005年12月14日の国会参考人質疑で「偽装の最初は1998年のグランドステージ池上。当初はホテルが中心だったが2003年ごろからはほとんどがマンションだった」と述べていますが、実際に彼の仕事ぶりを確かめてみると、証言とは逆に、偽装最初期の1999年にはほとんどがマンションだったことがわかります。

1999年は興味深い年ですね。この年はマンションがほとんどで、逆に2000年以降ホテル物件が急激に増えます。姉歯氏はまた「4、5年以上前、総合経営研究所のセミナーで講師をした」とも述べています。講師をした頃から、急にマンションの設計受注が増えたということになります。

姉歯証言についてはこの記事も記録しておきましょう。

耐震強度偽装事件で、姉歯秀次・元一級建築士(48)が偽装を始めたとされる1998年、木村建設(熊本県八代市、破産手続き中)の施工物件で姉歯元建築士が構造計算を担当したのは一件だけだった可能性の高いことが21日、分かった。

 姉歯元建築士は衆院国土交通委員会の証人喚問で、木村建設の篠塚明・元東京支店長(45)から鉄骨量を減らすよう指示されたと証言。「仕事の90%を木村建設から請け負っており、(仕事が)なくなると生活できないのでやむをえず(偽装を)やった」と話していたが、実際は木村建設系以外の物件も多かったとみられ、構造計算書偽造の動機をめぐる証言のほころびが明らかになった。
(【日経NET】http://sumai.nikkei.co.jp/special/gizo/index.cfm?i=2005122109975s8

この先はただの私の推測ですから信憑性はありませんが、もしかしたら姉歯氏は、原因と結果が彼自身にもうまく整理できないまま、発言しているのかもしれません。
彼が偽装をしたのは「木村建設から圧力を受けたため」。これが本人の弁。
しかし実際は「圧力を受け入れて偽装をしたからこそ、木村建設からの受注が増えた」。

強度偽装、計算書偽造、というテクニックは、少なくとも現時点での報道を見る限り、姉歯氏の独創的な発見だったと私は思っています。木村建設から無理難題を押し付けられ、苦し紛れに生み出した「コロンブスの卵」だったのでしょう。そのコロンブスの卵は、姉歯氏個人に多大な恩恵をもたらしたはずです。
木村建設からの受注増や、経済設計のできる設計士という賞賛、総研でのセミナー講師。そうして舞台はホテルへと広がってゆく・・・。

彼の偽装を見逃したり促したりした人々を追及するのももちろん大切なことですが、事件の原点となった姉歯氏という人は、やはりどこか特殊な人であったことも間違いないだろうと思います。
姉歯氏の生み出した「コロンブスの卵」的新発想が、木村建設や総合経営研究所を経由して別の設計士達に受け継がれていないことを祈るばかりです。



※関連エントリ

外部ファイル版【姉歯偽装物件時系列一覧
耐震強度偽装問題・・・資料編(12/21現在)
姉歯秀次氏という人
偽装事件は小さな政府を大きくするか?
耐震強度偽装問題・・・意見・感想編
全裸で自殺・・・の謎 耐震強度偽装問題
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2005年12月24日

姉歯偽装物件時系列一覧(12/21現在)U


姉歯偽装物件時系列一覧(12/21現在)T】からの続き。

 
建築確
認日*1
物件名 *2
建築主
 *3
設計
者 *4
施工者
 *5
建築確
認 *6
Qu/
Qun
 *7
46 03/09/06 GS 東向島 ヒューザ SSA 木村建設 イーホー 0.31
47 03/09/25 GS 川崎大師 ヒューザ スペワ 太平工業 イーホー 0.30
48 03/11/08 マルコもちづきH マルコも 平成 都市計画 イーホー
49 03/11/11 サンホテル大和郡山 総研BH 豊國一 豊國建設 日本ERI 0.47
50 03/11/28 京王プレッソ五反田 京王電鉄 平成 木村建設 イーホー
51 03/12/10 湊町中央ビル サン中央 姉歯 サン中央 イーホー 0.31
52 03/12/19 くれたけイン・浜名湖 喜良久 中村組 中村組 イーホー
53 03/12/22 GS 住吉 ヒューザ スペワ 木村建設 イーホー 0.37
54 04/01/07 初台2丁目マ シノケン シノ建 シノケン イーホー 0.78
55 04/01/10 GS 弁天橋 ヒューザ 森田 ヒューザ イーホー 0.41
56 04/01/20 船橋本町3丁目ビル サン中央 姉歯 サン中央 イーホー 0.39
57 04/03/05 東麻布1丁目マ シノケン アーキ シノケン イーホー 0.45
58 04/03/31 西早稲田3丁目マ シノケン シノ建 シノケン イーホー 0.43
59 04/04/01 芝浦2丁目マ シノケン シノ建 シノケン イーホー 0.44
60 04/04/30 GS 八丁堀 ヒューザ SSA 木村建設 イーホー 0.41
61 04/06/21 京王プレッソ茅場町 京王電鉄 木村建 木村建設 イーホー 0.26
62 04/06/22 芝大門2丁目マ シノケン シノ建 シノケン イーホー 0.26
63 04/06/24 GS 藤沢 ヒューザ 森田 木村建設 イーホー 0.15
64 04/08/06 ロセット喜多見 ハウ大興 井上企 勝村建設 イーホー 0.74
65 04/09/27 湊町2丁目中央ビル サン中央 姉歯 サン中央 イーホー 0.37
66 04/10/14 ビジネスホテル黒崎 菅原不 醇建築 木村建設 日本ERI 0.87
67 04/11/04 ホテル新永別館 新永セ 平成 木村建設 日本ERI 1.0〜
68 04/11/10 エクセリ浅草田原町 シンアイ 井上企 未定 台東区
69 04/12/27 セントレジアス船橋 ヒューザ スペワ 丸運建設 イーホー 0.39
70 05/01/24 ラ・ベルドゥーレ白井 東日本住 木村建 木村建設 イーホー 0.73
71 05/01/25 GS 船橋海神 ヒューザ 下河辺 木村建設 東日本住
72 05/03/26 奈良市三条本町SGホ 増富 平成 木村建設 イーホー
73 05/06/08 ビジネスホテル苅田 オオハシ KSM 木村建設 日本ERI
74 05/06/16 都筑佐江戸町マ エルクリ 田口 木村建設 ビューロ
75 05/07/06 セントラルH伊万里 武雄ボ 木村建 木村建設 日本ERI 0.85
76 05/07/19 GS 竹ノ塚 ヒューザ スペワ ヒューザ イーホー
77 05/07/25 GS 町田 ヒューザ SSA 未定 イーホー
78 05/08/25 TKアセットビル 不明 KSM 不明 イーホー
79 05/09/07 本厚木ホテル 厚木ホ KSM アトリ建 イーホー
80 05/10/06 GS 北千住 ヒューザ スペワ 未定 イーホー
81 不明 不明 不明 不明 不明 横浜市 1.0〜
82 不明 不明 不明 不明 不明 横浜市 1.0〜

   *1 すべて「西暦下二桁/月/日」表示。

   *2 建築確認時。現在の物件名は管理人の知り得た分のみ(現)と補足。(仮)は省略。
   略称は以下の通り。 GS=グランドステージ ダイナコ=ダイナコートエスタディオ H=ホテル
   SGホ=SGホテル マ=マンション 京王プレッソ=京王プレッソイン ヴィアイン新大阪ウ=
   ヴィアイン新大阪ウエスト パークホテル高山=(現)カントリーホテル高山 舞鶴SGホテル=
  (現)プラザホテル舞鶴 岡崎伝馬SGホテル=(現)岡崎サンホテル 伊勢崎大手町SGホ=(現)
   伊勢崎サンホテル 平塚・明石町SGホ=(現)パークイン平塚 峰山ビジネスホテル=(現)
   シティーホテル峰山 GS川口原町=(現)GS川口 SGホテル(前橋)=(現)グレースイン前橋
   三交イン桑名=(現)三交イン桑名駅前 エースイン大府=(現)アズイン大府 コニファーコ
   江古田=コニファーコート江古田=(現)ROSSET江古田 アルカン和田町駅前=アルカンシェル
   和田町駅前=(現)レジーナ和田町エスタシオン 羽村市駅前SGホ=(現)プラザイン羽村
   マルコもちづきH=(現)三交イン静岡 湊町中央ビル=(現)サン中央ホームNo.15 初台2丁目
   マ=(現)フォルトゥナ代々木初台 GS弁天橋=(現)コンアルマーディオ横濱鶴見 船橋本町
   3丁目ビル=(現)コルギーS船橋 東麻布1丁目マンション=(現)STAGE麻布 西早稲田
   3丁目マ=(現)スカイコート西早稲田 芝浦2丁目マ=(現)ドルチェ芝浦弐番館 GS八丁堀
   =(現)GS茅場町 芝大門2丁目マ=(現)STAGE大門 ビジネスホテル黒崎=(現)
   アルクイン黒崎 エクセリ浅草田原町=エクセリア浅草田原町 奈良市三条本町SGホ=(現)
   サンホテル奈良 TKアセットビル=(現)沼津TKアセットビル

   *3 *3-1…小俣組・システムプランニング (株)は省略。略称は以下の通り。
   世紀東急=世紀東急工業 ヒューザ=ヒューザー=(旧)ハウジングセンター 岡部マ=岡部
   マイカ工業所 JR西日DS=ジェイアール西日本デイリーサービスネット NVFサ=NVFサービス
   三菱UFJ=三菱UFJ信託銀行 東洋観光=東洋観光事業 オオハシ=(有)ホテルオオハシ
   アサヒプ=アサヒプランナーズ 半田電工=半田電化工業 JR=ジェイアール ヒサコー=
   ヒサコー観光求@名鉄不=名鉄不動産 フリ福井=フリックイン福井 グランビ=グランビル
   ハウ大興=ハウジング大興 マルコも=マルコもちづき 総研BH=総研ビー・エイチ企画
   サン中央=サン中央ホーム シノケン=(旧)シノハラ建設システム 菅原不=菅原不動産
   新永セ=新永センター 東日本住=東日本住宅 エルクリ=エルクリエイト 武雄ボ=虚雛Y
   ボーリングセンター 厚木ホ=旧木ホテル

   *4 (株)は省略。略称は以下の通り。 平成=平成設計
   世東ー=世紀東急工業活鼡煙囃z士事務所 下河辺=下河辺建築設計事務所
   木村建=木村建設 岡田=岡田建築設計 森田=森田設計事務所 豊國一=豊國建設活鼡
   建築士事務所 スペワ=スペースワン建築研究所 SSA=エスエスエー建築都市設計事務所
   姉歯=姉歯建築設計事務所 シノ建=シノケン=(旧)シノハラ建設システム 井上企=井上
   建築企画研究所 アーキ=アーキグラム 醇建築=醇建築・まちづくり研究所 KSM=
   KSM一級建築士事務所 田口=田口設計

   *5 *5-1…木村建設・進藤建設 *5-2…木村建設・鵜川興業 *5-3…窪田建設・丸山工務所
   *5-4…三交ホーム・豊國建設JV (株)は省略。支店は省略 略称は以下の通り。
   世紀東急=世紀東急工業 浅井工務=浅井工務店 沢田工務=沢田工務店 小野里工=
   小野里工業 シノケン=(旧)シノハラ建設システム 都市計画=都市計画工業 サン中央=
   サン中央ホーム アトリ建=アトリウム建設

   *6 (株)は省略。略称は以下の通り。 日建総=(財)日本建築総合試験所
   イーホー=イーホームズ UDI確=UDI確認検査 東日本住=東日本住宅評価センター 
   ビューロ=ビューロベリタス

   *7 赤字は0.5以下。未…調査中で未判明のもの。
   OK…木造建物でQu/Qunはなし。特定行政庁等が現地調査し耐震性に問題がないことを確認。
   中…中規模で損傷。 −…建築確認取り下げ。



※関連エントリ

外部ファイル版【姉歯偽装物件時系列一覧】 ← 最新情報への更新はこちらで行っています
時系列で耐震強度偽装事件を見ると
耐震強度偽装問題・・・資料編(12/21現在)
姉歯秀次氏という人
偽装事件は小さな政府を大きくするか?
耐震強度偽装問題・・・意見・感想編
全裸で自殺・・・の謎 耐震強度偽装問題
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姉歯偽装物件時系列一覧(12/21現在)T


国土交通省が公表している全偽装物件を建築確認日順に一覧整理してみました。

◇ 2005年12月21日現在(82件)
http://www.mlit.go.jp/kisha/kisha05/07/071222_3_.html

このエントリは今後も発表に従い、随時更新してゆく予定(あくまで)です。
(一挙に件数が増えた場合には新エントリを起こすかもしれません)
この時系列リストに対する管理人の感想は後日まとめるつもりです。
※最新版はこちら→外部ファイル版【姉歯偽装物件時系列一覧

背景色区分 : 黄=共同住宅 緑=ホテル 白=その他
 
建築確
認日*1
物件名 *2
建築主
 *3
設計
者 *4
施工者
 *5
建築確
認 *6
Qu/
Qun
 *7
1
99/01/26 アーバン武蔵小金井 世紀東急 世東ー 世紀東急 東京都 0.53
2
99/02/04 GS 江川 ヒューザ 下河辺 松村組 川崎市 0.57
3
99/05/27 GS 赤羽 ヒューザ 下河辺 松村組 北区 0.32
4
99/07/29 GS 鶴見 ヒューザ 下河辺 松村組 横浜市 0.62
5
99/09/30 ダイナコ 桜丘 岡部マ 平成 木村建設 渋谷区
6
99/10/06 ホテルセンピア 伊那米穀 木村建 木村建設 長野県 0.54
7
99/10/08 ダイナコ千代県庁口 岡部産業 岡田 木村建設 福岡市 0.56
8
99/11/24 グランドベイ横浜 ヒューザ 下河辺 東鉄工業 横浜市 0.63
9
00/05/01 サンホテル和歌山 不明 平成 *5-1 和歌山市 0.62
10 00/06/15 ヴィアイン新大阪ウ JR西日DS 平成 大林組 大阪市 0.73
11 00/09/05 パークホテル高山 金亀商事 平成 窪田建設 岐阜県 0.23
12 00/10/03 舞鶴SGホテル NVFサ 平成 鹿島建設 京都府
13 00/12/14 エースイン刈谷 三菱UFJ 平成 木村建設 愛知県 0.8
14 00/12/21 岡崎伝馬SGホテル 不明 平成 浅井工務 岡崎市
15 01/02/21 GS 町屋 ヒューザ 森田 東鉄工業 荒川区 0.72
16 01/02/23 プラザホテル三田 不明 平成 豊國建設 日建総
17 01/05/01 エースイン松本 東洋観光 平成 窪田建設 松本市 0.31
18 01/05/18 駒ヶ根プレモントH オオハシ 木村建 木村建設 長野県 0.52
19 01/08/13 伊勢崎大手町SGホ 不明 平成 *5-2 伊勢崎市
20 01/08/30 平塚・明石町SGホ アサヒプ 平成 *5-3 平塚市
21 01/09/10 峰山ビジネスホテル 京丹商事 豊國一 豊國建設 京都府
22 01/09/19 GS 川口原町 ヒューザ 森田 福田組 日本ERI 0.56
23 01/12/06 サンホテル鳥栖 岩崎実業 平成 木村建設 佐賀県 1.0〜
24 01/12/27 センターワンH半田 半田電工 平成 沢田工務 愛知県 0.64
25 02/01/23 SGホテル(前橋) 不明 平成 小野里工 前橋市 0.57
26 02/02/14 ヴィアイン姫路 JR 平成 大鉄工業 姫路市 0.58
27 02/03/26 岡崎第一Hイースト館 ヒサコー 平成 浅井工務 岡崎市
28 02/03/28 GS 下総中山 ヒューザ スペワ 太平工業 日本ERI 0.73
29 02/04/05 くれたけイン・掛川 不明 木村建 中村組 静岡県
30 02/08/06 GS 豊田 ヒューザ 森田 太平工業 日本ERI
31 02/08/07 名鉄イン刈谷 名鉄不 平成 木村建設 愛知県 0.46
32 02/09/12 三交イン桑名 三重交通 平成 *5-4 日本ERI 0.6
33 02/09/20 GS 千歳烏山 ヒューザ SSA 木村建設 イーホー 0.34
34 03/02/28 GS 稲城 ヒューザ スペワ 志多組 イーホー 0.33
35 03/03/13 GS 溝ノ口 ヒューザ 森田 太平工業 イーホー 0.39
36 03/03/25 エースイン大府 フリ福井 平成 浅井工務 愛知県 0.58
37 03/03/26 不明(一戸建て) 不明 姉歯 不明 イーホー
38 03/04/22 エクセルイン渋川 不明 平成 川村建設 群馬県 0.57
39 03/05/01 日本橋小網町マ グランビ シノ建 シノケン 中央区 0.63
40 03/05/19 プレッソイン池袋 京王電鉄 平成 木村建設 イーホー 0.78
41 03/05/20 コニファーコ江古田 ハウ大興 井上企 植木組 イーホー 1.0〜
42 03/06/17 不明(一戸建て) 不明 姉歯 不明 UDI確
43 03/08/05 不明(一戸建て) 不明 姉歯 不明 UDI確 OK
44 03/08/20 アルカン和田町駅前 *3-1 井上企 奈良建設 イーホー 0.61
45 03/08/22 羽村市駅前SGホ 不明 平成 不明 イーホー


姉歯偽装物件時系列一覧(12/21現在)U】へ続く。

テーブル形式でリストを作成したため記事の許容量(あったんですね?)を超えたようです(涙

posted by 水無月 at 09:51| Comment(0) | TrackBack(1) |   ◇耐震強度偽装問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

耐震強度偽装問題・・・資料編(12/21現在)

【 事件の概要 】

<1. 姉歯氏関与物件>

国土交通省の公表資料によれば、12月21日現在で判明している偽装状況は以下の通り。
http://www.mlit.go.jp/kisha/kisha05/07/071222_3_.html

姉歯建築士の関わった物件は

 平成2年から17年までで計209件。うち

  改竄の判明したもの・・・・82件(平成11年から)
  改竄のなかったもの・・・・80件
  不明等・・・・・・・・・・・・・・・17件
  調査中・・・・・・・・・・・・・・・30件



 改竄の判明した82件の内訳。その@

  東京都・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・25件
  神奈川県・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14件
  千葉県・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10件
  愛知県・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7件
  静岡県・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4件
  群馬県・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3件
  長野県・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3件
  福岡県・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3件
  京都府・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2件
  兵庫県・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2件
  奈良県・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2件
  佐賀県・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2件
  埼玉・岐阜・三重・和歌山県・大阪府・・・1件(計5件)



 改竄の判明した82件の内訳。そのA

  共同住宅・・・・・・・・・・42件
  ホテル・・・・・・・・・・・・37件
  一戸建て住宅・・・・・・・3件



 改竄の判明した82件の内訳。そのB 建築主
 ◇共同住宅
  潟qューザー・・・・・・・・・・・・・・・・・22件
  潟Vノケン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  潟Vノケン東京支店・・・・・・・・・・・・4件
  潟Tン中央ホーム・・・・・・・・・・・・・3件
  潟nウジング大興・・・・・・・・・・・・・・2件(うち1件の強度=1.0以上)
  東日本住宅梶E・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  潟Vンアイ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  小俣組・潟Vステムプランニンク・・・1件
  岡部産業梶E・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  潟Gルクリエイト・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  潟Oランビル・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  渇ェ部マイカ工業所・・・・・・・・・・・・・1件
  世紀東急工業梶E・・・・・・・・・・・・・・・1件
  不明・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2件(強度=1.0以上)
 ◇ホテル
  京王電鉄梶E・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3件
  椛轟、ビー・エイチ企画・・・・・・・・・・1件(強度=0.47)
  叶V永センター・・・・・・・・・・・・・・・・・1件(強度=1.0以上)
  糾竝闔タ業・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件(強度=1.0以上)
  その他の企業群・・・・・・・・・・・・・・・31件(うち不明9件)
 ◇一戸建て住宅
  その他個人?・・・・・・・・・・・・・・・・・・3件(うち不明3件)



 改竄の判明した82件の内訳。そのC 設計者

  平成設計梶E・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・26件
  潟Xペースワン建築研究所・・・・・・・・・・・7件
  姉歯建築設計事務所梶E・・・・・・・・・・・・・6件
  木村建設梶E・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6件
  叶X田設計事務所・・・・・・・・・・・・・・・・・・6件
  渇コ河辺建築設計事務所・・・・・・・・・・・・5件
  潟Vノケン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  潟Vノケン東京支店・・・・・・・・・・・・・・・・・4件
  潟Gスエスエー建築都市設計事務所・・・4件
  活苡繻囃z企画研究所・・・・・・・・・・・・・・4件
  鰍jSM一級建築士事務所・・・・・・・・・・・3件
  豊國建設(株)一級建築士事務所・・・・・・・2件
  樺村組・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  鰹建築・まちづくり研究所・・・・・・・・・・・1件
  潟Aーキグラム・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  渇ェ田建築設計・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  鞄c口設計・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  世紀東急工業活鼡煙囃z士事務所・・・・1件
  不明・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2件



 改竄の判明した82件の内訳。そのD 施工者

  木村建設梶E・・・・・・・・・・・・・・・・・・23件
  木村建設梶負L川興業梶E・・・・・・・1件
  木村建設梶芙叶i藤建設・・・・・・・・1件
  潟Vノケン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2件
  潟Vノケン東京支店・・・・・・・・・・・・・4件
  太平工業梶E・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3件
  太平工業鞄結梹x店・・・・・・・・・・・・1件
  潟Tン中央ホーム・・・・・・・・・・・・・・3件
  叶井工務店・・・・・・・・・・・・・・・・・・3件
  豊國建設梶E・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3件
  潟qューザー・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2件
  樺村組・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2件
  窪田建設梶E・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2件
  窪田建設梶芙滑ロ山工務所・・・・・・1件
  鰹シ村組・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  鰹シ村組東京本店・・・・・・・・・・・・・・2件
  東鉄工業梶E・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  東鉄工業渇。浜支店・・・・・・・・・・・・1件
  且u多組・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  叶A木組・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  丸運建設梶E・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  川村建設梶E・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  小野里工業梶E・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  兜沒c組・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  奈良建設株・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  都市計画工業梶E・・・・・・・・・・・・・・・1件
  椛田工務店・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  鹿島建設梶E・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  椛蝸ム組・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  潟Aトリウム建設・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  三交ホーム梶楓L國建設開V・・・・1件
  勝村建設梶E・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  大鉄工業梶E・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  世紀東急工業梶E・・・・・・・・・・・・・・・1件
  未定・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3件
  不明・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7件



 改竄の判明した82件の内訳。そのE 建築確認

  イーホームズ・・・・・・・・・・・35件 
  日本ERI ・・・・・・・・・・・・・・・・9件
  UDI確認検査 ・・・・・・・・・・・・2件
  東日本住宅評価センター・・・1件
  ビューロベリタス・・・・・・・・・・1件
  (財)日本建築総合試験所・・・1件
  愛知県・・・・・・・・・・・・・・・・・・4件
  横浜市・・・・・・・・・・・・・・・・・・4件
  長野県・・・・・・・・・・・・・・・・・・2件
  京都府・・・・・・・・・・・・・・・・・・2件
  岡崎市・・・・・・・・・・・・・・・・・・2件
  東京都・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  その他4県9市5区・ ・・・・・・・・1件(計18件)
 (群馬・岐阜・静岡・佐賀県 荒川・渋谷・台東・中央・北区
  前橋・伊勢崎・平塚・川崎・松本・大阪・姫路・和歌山・福岡市)


※ 潟nウジングセンターは潟qューザーの前身であり、潟Vノハラ建築システムは潟Vノケンの前身です。これまでの【資料編】では国土交通省発表の表記に従い、両社(四者)ともをそれぞれ分けて記述していましたが、今回から現社名に統一・合算して記載することにしました。



<2. 非・姉歯氏関与物件>

国土交通省が現在把握し調査済もしくは調査依頼中の物件は以下の通り。()内は国土交通省への報告期限。
http://www.mlit.go.jp/kisha/kisha05/07/071214_2_.html
http://www.mlit.go.jp/kisha/kisha05/07/071212_3_.html
http://www.mlit.go.jp/kisha/kisha05/07/071209_2_.html
http://www.mlit.go.jp/kisha/kisha05/07/071220_3_.html


 @ 姉歯物件・・・・・・・・・・・・209件

 A 木村物件・・・・・・・・・・・・169件(05/12/26)

 B ヒューザー・平成物件・・・90件(05/12/26)

 C 総研物件・・・・・・・・・・・・139件(06/01/10)


※@姉歯物件は姉歯元建築士の関与したもので、前項の通り。A木村物件は木村建設が関与し@でないもの。Bヒューザー・平成物件は、ヒューザーまたは平成設計が関与し、@、Aでないもの。C総研物件は総合経営研究所が関与し@〜Bでないもの。


※関連エントリ

姉歯偽装物件時系列一覧(12/21現在)T
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2005年12月18日

姉歯秀次氏という人

私は基本的に、こうした問題で渦中の人物個人を糾弾することには、ほとんど意味がないと考えています。追求するなら、その背後の社会的な構造や利権関係・・・などを。その方が益が多いでしょう。
それでもなお、あえて感想を書きたくなってしまった・・・のは、困ったことですね(汗

以下は私の個人的な感想であり覚書です。姉歯氏を批判する意図もありません(もちろん、犯罪行為自体は厳しく追求されるべきでしょうが)。そうした前置きつきで、書き残しておきます。



【 人 物 像 】

姉歯氏がどういう人物なのか、ということには、私は当初から興味を抱いていました。言うまでもなく、彼の犯した計算書偽造という行為が、非常に特異な犯罪だからです。私の記憶にある限り、こういうことをしてしまった建築士は彼がはじめてです。
建築業界内部や同じ設計士の立場の人からは、業界の構造的な(利益追求・消費者不在の)風潮や、設計士の中でもとりわけ構造設計士が冷遇されている現状などから、同情的な見方が出ていることも、私は知っています。
姉歯氏はいわば組織化された犯罪構造の最下層で加担させられた、一種の被害者なのだ・・・というイメージ。
生活のため計算書偽造に手を染めた、という彼自身の証言がいっそう同情を誘います。

しかしそのイメージは正確なものなのでしょうか?
もし本当に、「生活のため」内心では嫌だったけれども仕方なく「上からの圧力に負けて」、偽造をしてしまったのだとしたら、ではなぜ彼は、ことが公になり設計士の資格を取りあげられることが確実となった後でまで、嘘をつくのでしょう?

私が彼に関心を持つのは、その精神構造において・・・なのです。



【 姉歯氏の嘘 】

彼の虚言についてはすでに明白になっていますが、念のため、姉歯証言をまとめてみましょう。

(青字以外はmsn毎日新聞より)


11月18日 (報道各社に)
 「早くて低コスト」という業界の雰囲気があった。偽造は独断でやった。国交省が発表した21件以外はやっていない。
 マンション施工業界からのコスト削減のプレッシャーがあった。重大なことをしてしまった、と反省している。計算書の偽造を始めたのは約2年前で、改ざんしたのは21棟だけコストが低くなる書類を作ることで仕事が多く回ってくるかもしれない、という考えもあった。検査機関のチェックが甘く、何度もやってしまった。日経新聞

11月24日 (国交省聴聞会)
 取引先から「鉄筋を減らさないと他の事務所に頼む」と言われ、生活のためにやった。検査が通ってびっくりした。
 (木村建設、ヒューザー、シノケンの三社から)建設コストを下げる設計をするよう指示された。
 (建築確認した民間の検査機関に偽造した構造計算書を初めて提出した時)提出期限が迫り、後で正しい計算書に差し替えるつもりだったが、審査を通ってしまい、びっくりした。今思えば、あの時やめるべきだった。
 (建築確認の審査について)厳しいところと甘いところがあるので、イーホームズにした。
朝日新聞

11月下旬 (関係者に)
 多くの仕事をこなすため、頼まれていない物件でも偽造した。病気の妻の入院費が必要だった。

11月28日 (参考人質疑前日)
 関係者が自殺し、怖くて外出できない。このような状態ではお答えできない。

12月7日 (2回目質疑当日)
 精神的重圧を感じるため出席できない。

12月14日 (国会証人喚問)
 (偽装物件は)60件前後だったと思うが、はっきりとは分からない。
 (最初に偽装した物件は)1998年ごろのグランドステージ池上だった。
 構造のプロなら(偽造は)一目瞭然でわかると思う。民間の確認検査機関に出した時点ですぐばれると思っていた
 篠塚元支店長は(法令違反について)十分に認識があったはず
中日新聞



この中で彼は幾つかの相互に矛盾する証言をしており、結果的に後の証言が、先の証言が嘘であったことを明らかにしているわけです。

まずは偽装物件の数。11月18日には「21件以外はない」と明言していましたが、12月14日には「60件前後」にまで増えています。ちなみに、国土交通省が16日現在で偽装と認定しているものは75件です。
次に偽装に手を染めた時期。同じく11月18日には「二年前から」だったものが、12月14日には「1998年ごろ」に変わっています。

もっとも、これは単純に、「まだバレていない偽装は黙っておく」という心理からだったと解釈できます。今回の事件には、ヒューザーの小嶋氏、総合研究所の内河氏など個性豊か(笑)な人物が多数登場していますので、それと比較すると、一見姉歯氏は、悪あがきすることなく己の罪を認めた潔い人物のように映りますが、実際はそうでもないのですね。
彼もまた彼なりに、見え透いた嘘で懸命に保身を図っているのです。

また、このことから逆に、彼が十分な知能を有し(痩せても枯れても一級建築士の資格を有していたのですから当然ですが)、さらには決して心神耗弱状態でもないこともわかります。

最後の嘘は「圧力のもと、独断でやった(11/18)」から「木村建設篠塚氏はこれを認識していたはず(12/14)」への微妙な変化です。



【 姉歯氏の保身欲 】

上記証言集の中で明らかになった嘘はそれだけではありません。彼は最初の偽装について、詳しく説明しています。要約すると以下のようになります。
最初の偽装は1998年のグランドステージ池上であり(12/14証言)、民間検査機関の審査を通ってしまい、びっくりした。今思えば、あの時やめるべきだった(11/24)と思うが、検査機関のチェックが甘く、何度もやってしまった(11/18)。
(そして12/14には再び)民間の確認検査機関に出した時点ですぐばれると思っていた。

「今思えばあの時やめるべきだった」とは、なんとも生々しい話ではありませんか。これが嘘とは俄かに信じられません。
というわけでこの証言を真に受けると、木村建設から圧力を受け計算書偽造をしたものの、内心ではそれが見破られ(結果として経済設計の無謀さが木村側にも明らかにな)ることを半ば期待していた・・・かのような、一級建築士の複雑に屈折した胸中、が浮かび上がってきます。

が、実は1998年のグランドステージ池上の審査をしたのは民間建築機関ではなかったのです。98年7月に建築確認業務を行ったのは大田区でした。(参考=混乱する大田区

つまり、「最初の偽装物件がグランドステージ池上である」(12/14国会証人喚問)か、「最初の偽装を提出したのは民間検査機関である」(11/24国交省聴聞会)か、のどちらかが、であったことになります。

11月24日の国交省聴聞会の時点では、まだ発覚した偽装物件は21件であり、しかもすべて民間検査機関が建築確認をしていました。このことから、彼が11月24日の段階で「自分は圧力に屈して計算書偽造をしてしまったが、民間検査機関が見抜いてくれればよかった(見抜くべきだった)」という架空のストーリーを産み出してしまった気持ちは理解できます。
もちろんその物語には、民間検査機関の無能さを強調するのと引き換えに、姉歯氏自身の人格の高潔さを保証する役割があるのです。

しかし12月14日・・・グランドステージ池上が最初の偽造であると明らかにしたのであれば、彼は「検査の甘い民間検査機関が悪い」という彼の持論を引っ込めておくべきでしたね。民間検査機関の無能さを再度指摘するのでなく、公の検査機関もまた無能であった事実を指摘すべきだったのです。

なぜ姉歯氏がそれをしなかったのか・・・。真実を知るのは彼のみでしょうが
@ 最初の偽装はグランドステージ池上ではなかった(より過去に偽装していた?)

A 公の審査と民の審査では甘さに違いがあり、姉歯氏は民審査の物件はより大胆(大雑把)に偽装していた。ここまでは真実だとすると、最初の偽装=グランドステージ池上では、姉歯氏も偽装発覚を望んでいなかった。バレないように細心の注意を払って偽造計算書を作成した。したがって「(見る者が見れば)一目瞭然」という証言は嘘。

このどちらか、でしょうね。
ちなみに「一目瞭然」という発言に、責任転嫁の図々しさ子供じみた甘えの匂いを嗅ぐのは私だけでしょうか?(苦笑

なお、「保身」ということに関しては、姉歯氏がしきりに、自己の安全が何者かによって脅かされる危険があるとアピールをすること、偽造の動機を「生活のため」「妻の病気のため」などと説明すること、など、いずれも私は保身のためではないかと疑っています。
保身というのは大げさかもしれませんが、非力な自己、を演出し同情を買おうとしているのではないか、と思えてしまうのです。

彼が偽造に走り、そこから抜け出せなくなってしまったのは、もっと別の原因からだったのではないでしょうか。
それは私には歪んだ「一級建築士の誇り」そのものだったように思えます。



【 歪んだ誇り 】

「(見る者が見れば、構造のプロが設計図を見るなら)一目瞭然だ。(中日新聞)」という発言を好意的に受け取れないことは先に述べましたが、私はここにもうひとつ、別のニュアンスも感じました。

それは、「自分が見れば(偽造計算書は)見破ることができる」「自分こそ構造のプロである」という、強烈な自負心です

私自身は、建築などまったくの素人ですから、それが実際に一目瞭然なのかどうか、判断できません。
ただ、「今回のように構造計算書が偽造された場合、検査機関の65%はそれを見抜くのが『難しいと思う』と回答した」というNHKのアンケートや、そのほかの報道などから想像するに、偽装には幾つかのパターンがあり、見抜くのに膨大な調査が必要なものから、設計図を見るだけで即座にわかってしまうものまであった、のではないかと思っています。
実際、アトラス設計の渡辺氏も「すぐ見て偽装に気が付く内容だった」と述べています(読売新聞)。

そして、ここから先は私の想像ですが、姉歯氏の「一目瞭然」発言は、実はこの渡辺氏を念頭に置いてされたもののように思えるのです。
強度偽装をした人間が、見破った人間に対し、「見る者が見ればそんなものは簡単にわかるんだ」と言う。それはまるで、自分の価値を下げることは承知の上で(姉歯氏はもう下がりようもないところまで下がっていますが)、相手の功績を貶めようとする・・・かのような。
これはうがちすぎな見方・・・でしょうか?


ともあれ姉歯氏が、一級建築士の肩書きに特別な思い入れ(誇り)を抱いていたことは確かでしょう。
「始まりはプレッシャーをかけられ、1級建築士の誇りもあり、そういうこと(偽造)はできないと思っていた。病気がちの妻が当時入退院を繰り返していた。9割以上木村建設絡みの仕事を請け負っていたので、仕事を断るということは収入が限りなくゼロになる。そこで葛藤した。本来は絶対にやってはいけないと分かりつつ弱い自分がいた。そういう状況の中でやってしまった。」(12/14国会証人喚問 中日新聞

一級建築士の誇り・・・。
この資格はかなり難関であり、姉歯氏自身も苦学の末に手にしたものだったようです。しかしそれが、取引先からの圧力によって踏みにじられ、計算書偽造という汚濁にまみれてしまった・・・時、きっと彼の中でなにかが起きたのでしょうね。

「構造のプロなら」偽造は「一目瞭然」という発言の中に、私は、本来の輝きを失い、今では腐敗し変質して汚臭を放つばかりとなった「一級建築士の誇り」を見たように思いました。
そしてこの同じ誇りが、過去のいつかの時点で不当な圧力を最初に受けた際、「圧力を拒否して仕事を失った結果、事務所をたたむ」よりは「偽造でもいいから設計の仕事を続け、建築士であり続ける」ことの方を、彼に選ばせたのではないかと想像するのです。

経済的困窮は、計算書偽造をする、という選択肢を姉歯氏の前に示しただけの意味しか持ちません。その道をあえて選択したのは、彼自身の弱さというよりは、むしろ強固なプライドのためだったのではないでしょうか。



【 偽造建築士というアイデンティティ 】

木村建設の圧力を受け、泣く泣く偽造に手を染めた気の毒な一級建築士・・・というイメージは、次のような事実を知ると次第に揺らいできます。

――総合経営研究所のセミナーで講師をやったのか?
「講師をしたのは事実。総研の本社で1時間くらい。(時期は)4、5年以上前かもしれない。」(12/14国会証人喚問 日経新聞

「国土交通省の調べなどでは、姉歯氏の偽造は98年から始まり、01年から急増している。10年ほど前は、知人から譲り受けた中古車に乗っていたが、木村建設の仕事を請け負うようになって高級車に換え、3〜4年前からは高級外車やオートバイを次々と購入するなど、羽振りよく振る舞っていたという。」(毎日新聞

「コンピューターソフトへの入力数値を改竄(かいざん)し、鉄筋の本数を抑えるなど建設コストを圧縮したところ、このマンション業者から次の受注も得られた。これに味をしめる格好で、ほかの業者の受注に対しても、計算書の偽造を繰り返していったという。」(フジサンケイ

姉歯氏自身、「コストが低くなる書類を作ることで仕事が多く回ってくるかもしれない、という考えもあった」「多くの仕事をこなすため、頼まれていない物件でも偽造した」と告白しています(上記既出)。
つまり、最初の頃こそ、良心の呵責や圧力への抵抗を感じたかもしれませんが、いつからか積極的に、「頼まれてもいないのに」偽造した、ということです。その理由は「多くの仕事をこなすため」。そして「生活のため」です。
この「生活のため」が、その言葉から連想するような「最低限の生活」ではなく、「生活の質をより上げるため」であったことも、今では明らかです。

ここからわかるのは、姉歯氏自身が、経済設計のできる構造設計士、すなわち偽造設計士というアイデンティティを受け入れ、すっかり馴染んでいた・・・事実です。


姉歯氏に心の弱さがあるとすれば、それは、偽造設計士としての生活を何年も満喫したあとの今になってなお、それを心の弱さからだと言って片付けてしまえる弱さでしょう。
自分の中の悪を認められない弱さ・・・ということかもしれません。

いずれにせよ姉歯氏の発言からは、頼んでもいない計算書偽造を勝手にされてしまった施主や元受設計者、建築主・・・といった人々の心境へ思いを馳せた痕跡、本来ならそういう方向へ働くはずの想像力、が、微塵も感じられません。
姉歯氏の謝罪の言葉が虚しく聞こえてしまうのはそのためです。少年事件などで時折感じる、絶望的なまでの他者への共感力の欠如、の匂いを、私はうっすらとですが、姉歯氏にも感じました。そしてまた、ここから、子供っぽさや甘えを感じたのです。



【 謎の偽装物件 】

今後の調査で明らかになることを期待していますが、姉歯氏の強度偽装には不思議な点が幾つかあります。

その@
「手計算で調べても発見できなかったくらい巧妙な偽造だった。ただ、この改ざんで建設コストが格段に下がることはなく、偽装の目的がわからない。
(1999年建設「アーバン武蔵小金井」に関する施主「世紀東急工業」のコメント 読売新聞

建築コストが下がらない、すなわち経済設計でなく偽装をし、しかも強度を53%にまで落とした動機・目的とは・・・?


そのA
偽装が判明したにも関わらず強度がQu/Qun値※で1.0以上の物件があること。

  物件名      建築主       設計者(施主)   建築確認年/月

サンホテル鳥栖   糾竝闔タ業   平成設計(木村建設)   01/12
コニファーコート江古田 缶ウジング大興 井上建築企画研(植木組) 03/5
ホテル新永別館 叶V永センター   平成設計(木村建設)   04/11


現在判明しているのはこの三件ですが、強度が1.0以上あるなら、それは悪影響のない偽装ということになります。が、では、なんのための偽装だったのでしょうか?
姉歯氏はどの年にも、偽装物件だけでなく偽装のない設計も行っています。偽装をしない、こともできたはずなのに偽装をしており、しかも強度は下がっていない(=鉄筋は減らしていない)?

それがどういう意味なのか、非常に興味深いですね。


このAと、先述の@、いずれも私は、偽装設計士としての姉歯氏の仕事スタンスと関係があるように思えてなりません。今後これらの謎が解明されることを期待しています。

※Qu/Qun値は私はほとんど理解できていませんが、「保有水平耐力/必要保有水平耐力」の意味だそうです。国土交通省によれば「0.5以下の場合、震度5強で倒壊の恐れ」とか。



【 ま と め 】

このエントリ、思いがけず長くなってしまいました。もっと簡単にまとめたかったのですが(汗
報道資料が豊富にあることと、姉歯氏への私の個人的な興味・・・ゆえですね。

当BLOGは政治BLOGと位置づけていますから、本来はこうしたエントリは守備外なのですが、何度も国土交通省の資料に目を通しているうち、自然と、姉歯氏とはどういう人物なのか・・・という方向へ興味が移ったのです。

けれども、こうして書いてみても、姉歯氏とはよくわからない、掴みどころのない人ですね。ダーティなイメージとも、清廉なイメージとも等間隔で隔たっている・・・。そんな印象です。
その原因のひとつには、冒頭で述べたように彼が必ずしも真実を述べていない、ことが挙げられるでしょう。彼に関して私が確かにそうだろうと確信できるのは、「保身の意図がある」ことと、「(元)一級建築士の(歪んだ)誇り」の二点のみでした。


勝手な想像ですが、こういう掴みどころのない、なかなか真実を述べない人は、心から他人に心を開く、ということはないような気がします。彼は家族にも、どこか心を閉ざしていたのではないでしょうか。
彼自身、妻の病気を何度も口に出していますが、もし本当にその妻を愛しているのであれば、男は普通、妻の病気のため、とはそうそう強調できないように思います。何度もしつこく訊ねられ、ようやくボソリと「実は妻が・・・」と告白する、そういうシチュエーションであれば、その発言を信じる気にもなるのですが・・・ね。
あまり他者のプライバシーに立ち入りたくはないのですが、彼はもしかしたら木村建設の篠塚氏と同じくらい、病身の妻にも嫌気が差していた・・・のかもしれません。

いずれにせよ、その荒れた自宅の外観同様、彼個人の内面も、手入れの行き届いてない状態だった・・・ことは確かでしょう。それが偽装に手を染めてからのことなのか、それとも、そうなる以前からだったのか、は、余人には推し量るすべもありませんが。


最後に・・・。建築設計の実務者567人からの回答。


 あなたは姉歯一級建築士に同情しますか?

      同情する ・・・・・ 7.9%
      同情しない ・・・ 82.9%



※関連エントリ

偽装事件は小さな政府を大きくするか?
耐震強度偽装問題・・・意見・感想編
耐震強度偽装問題・・・資料編(12/16現在)
耐震強度偽装問題・・・資料編(12/6現在)
耐震強度偽装問題・・・資料編(12/2現在)
全裸で自殺・・・の謎 耐震強度偽装問題

posted by 水無月 at 06:32| Comment(15) | TrackBack(2) |   ◇耐震強度偽装問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年12月16日

耐震強度偽装問題・・・資料編(12/16現在)

【 事件の概要 】

<1. 姉歯氏関与物件>

国土交通省の公表資料によれば、12月16日現在で判明している偽装状況は以下の通り。
http://www.mlit.go.jp/kisha/kisha05/07/071216_.html

姉歯建築士の関わった物件は

 平成2年から17年までで計210件。うち

  改竄の判明したもの・・・・75件(平成11年から)
  改竄のなかったもの・・・・76件
  不明等・・・・・・・・・・・・・・・19件
  調査中・・・・・・・・・・・・・・・40件



 改竄の判明した75件の内訳。その@

  東京都・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・21件
  千葉県・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10件
  神奈川県・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11件
  愛知県・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7件
  群馬県・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3件
  長野県・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3件
  静岡県・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4件
  福岡県・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3件
  奈良県・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2件
  京都府・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2件
  佐賀県・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2件
  兵庫県・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2件
  埼玉・岐阜・和歌山・三重県・大阪府・・・1件(計5件)



 改竄の判明した75件の内訳。そのA

  共同住宅・・・・・・・・・・36件
  ホテル・・・・・・・・・・・・36件
  一戸建て住宅・・・・・・・3件



 改竄の判明した75件の内訳。そのB 建築主
 ◇共同住宅
  潟qューザー・・・・・・・・・・・・・・・・・・20件
  潟Vノケン東京支店・・・・・・・・・・・・・4件
  潟Tン中央ホーム・・・・・・・・・・・・・・3件
  潟nウジング大興・・・・・・・・・・・・・・2件(うち1件の強度=1.0以上)
  東日本住宅梶E・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  潟Vンアイ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  小俣組・潟Vステムプランニンク・・・1件
  岡部産業梶E・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  潟Gルクリエイト・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  潟nウジングセンター・・・・・・・・・・・・1件
  潟Vノハラ建設システム・・・・・・・・・・1件
 ◇ホテル
  京王電鉄梶E・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2件
  椛轟、ビー・エイチ企画・・・・・・・・・・1件(強度=調査中)
  叶V永センター・・・・・・・・・・・・・・・・・1件(強度=1.0以上)
  糾竝闔タ業・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件(強度=1.0以上)
  その他の企業群・・・・・・・・・・・・・・・31件(うち不明9件)
 ◇一戸建て住宅
  その他個人?・・・・・・・・・・・・・・・・・・3件(うち不明3件)



 改竄の判明した75件の内訳。そのC 設計者

  平成設計梶E・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・24件
  潟Xペースワン建築研究所・・・・・・・・・・・7件
  姉歯建築設計事務所梶E・・・・・・・・・・・・・6件
  木村建設梶E・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6件
  叶X田設計事務所・・・・・・・・・・・・・・・・・・6件
  潟Vノケン東京支店・・・・・・・・・・・・・・・・・4件
  潟Gスエスエー建築都市設計事務所・・・4件
  活苡繻囃z企画研究所・・・・・・・・・・・・・・4件
  渇コ河辺建築設計事務所・・・・・・・・・・・・4件
  鰍jSM一級建築士事務所・・・・・・・・・・・3件
  豊國建設(株)一級建築士事務所・・・・・・・2件
  樺村組・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  鰹建築・まちづくり研究所・・・・・・・・・・・1件
  潟Aーキグラム・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  渇ェ田建築設計・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  鞄c口設計・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件



 改竄の判明した75件の内訳。そのD 施工者

  木村建設梶E・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・21件
  木村建設梶負L川興業梶E・・・・・・・・・・・1件
  木村建設梶芙叶i藤建設・・・・・・・・・・・・1件
  潟Vノケン東京支店・・・・・・・・・・・・・・・・・4件
  太平工業梶E・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3件
  太平工業鞄結梹x店・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  潟Tン中央ホーム・・・・・・・・・・・・・・・・・・3件
  叶井工務店・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3件
  豊國建設梶E・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3件
  潟qューザー・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2件
  樺村組・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2件
  窪田建設梶E・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2件
  窪田建設梶芙滑ロ山工務所・・・・・・・・・・1件
  鰹シ村組・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  鰹シ村組東京支店・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  東鉄工業梶E・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  東鉄工業渇。浜支店・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  且u多組・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  叶A木組・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  丸運建設梶E・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  川村建設梶E・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  小野里工業梶E・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  兜沒c組・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  潟Vノハラ建設システム・・・・・・・・・・・・・・1件
  奈良建設株・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  都市計画工業梶E・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  椛田工務店・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  鹿島建設梶E・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  椛蝸ム組・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  潟Aトリウム建設・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  三交ホーム梶@豊國建設株式会社JV・・・1件
  勝村建設梶E・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  大鉄工業梶E・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  未定・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3件
  不明・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5件



 改竄の判明した75件の内訳。そのE 建築確認

  イーホームズ・・・・・・・・・・・34件 
  日本ERI ・・・・・・・・・・・・・・・・9件
  UDI確認検査 ・・・・・・・・・・・・2件
  東日本住宅評価センター・・・1件
  ビューロベリタス・・・・・・・・・・1件
  (財)日本建築総合試験所・・・1件
  愛知県・・・・・・・・・・・・・・・・・・4件
  長野県・・・・・・・・・・・・・・・・・・2件
  京都府・・・・・・・・・・・・・・・・・・2件
  岡崎市・・・・・・・・・・・・・・・・・・2件
  横浜市・・・・・・・・・・・・・・・・・・2件
  その他4県8市3区・ ・・・・・・・・1件(計15件)
 (群馬・岐阜・静岡・佐賀県 台東・荒川・北区
  前橋・伊勢崎・平塚・松本・大阪・姫路・和歌山・福岡市)




<2. 非・姉歯氏関与物件>

14日の衆院国土交通委員会で証人喚問された木村建設の篠塚明・元東京支店長の提出した同社・内部資料により、非・姉歯氏関与の偽装物件の存在が疑われています。
http://www.yomiuri.co.jp/feature/fe5500/news/20051216i101.htm

国土交通省は木村建設、ヒューザー、平成設計の関与した全物件の調査を自治体に依頼しており、この結果も随時明らかになってゆくでしょうから、判明次第、それも書き加えてゆきたいと思っています。
http://www.mlit.go.jp/kisha/kisha05/07/071214_2_.html
http://www.mlit.go.jp/kisha/kisha05/07/071212_3_.html
http://www.mlit.go.jp/kisha/kisha05/07/071209_2_.html


国土交通省が現在把握し調査済もしくは調査依頼中の物件は

◇姉歯元建築士が関与したもの・・・・・・・・・・・・・210件
◇非・姉歯で木村建設が関与したもの・・・・・・・・169件
◇非・姉歯 かつ 非・木村建設で
 ヒューザーまたは平成設計が関与したもの・・・・90件



※関連エントリ

姉歯秀次氏という人
偽装事件は小さな政府を大きくするか?
耐震強度偽装問題・・・意見・感想編
耐震強度偽装問題・・・資料編(12/6現在)
耐震強度偽装問題・・・資料編(12/2現在)
全裸で自殺・・・の謎 耐震強度偽装問題
posted by 水無月 at 14:06| Comment(0) | TrackBack(2) |   ◇耐震強度偽装問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年12月09日

偽装事件は小さな政府を大きくするか?

耐震強度偽装問題・・・。連日さまざまな報道がありますね。
ただ資料をまとめるだけでは片手落ちでしょうから、今時点での私の雑感を記録しておきます。
とはいえ、この事件に対する私の関心は、今では主に、建築確認業務を民間検査機関に任せることの是非、に絞られてきています。



【 建築検査 】

建築確認を民間に任せることは、昨今の(小泉氏が強力に進める)「小さな政府」「官から民へ」の政策から言えば当然の流れですが、公による検査と民による検査ではどの程度の違いがあるのでしょうか。もし、建築確認業務が民に開放されていなかったなら、今回の事件は起きなかったのでしょうか。

そこで私は、姉歯建築士の偽装を、国土交通省発表の資料から時系列で調べてみました。
http://www.mlit.go.jp/kisha/kisha05/07/071208_3_.html

平成10年以前には、12/8日現在では、偽装があったことは(公には)確認されていません。

平成件数建築確認機関強度
11年2長野県
福岡市
未公表
12年6岐阜県
愛知県
岡崎市
京都府
大阪市
(財)日本建築総合試験所
未公表
13年10前橋市
伊勢崎市
日本ERI
荒川区
平塚市
長野県
松本市
愛知県
岡崎市
京都府
0.56
0.72
ほか未公表
14年2日本ERI
愛知県
0.73
ほか未公表
15年13群馬県
愛知県
日本ERI
イーホームズ ×10
0.3〜0.37×5
ほか未公表
16年15台東区
日本ERI ×2
イーホームズ ×12
0.26〜0.44×10
1件のみ0.78
ほか未公表
17年11日本ERI ×2
ビューロベリタス
イーホームズ × 8
未公表
不明3UDI確認検査 × 2
イーホームズ
未公表


強度についてはまだ地方自治体が調査している最中であり、未公表物件の方が多いです。しかし大まかに、過去の物件の方がマシで、偽装を重ねるに従い、姉歯氏の偽装が大胆に、なりふり構わぬものへと変化していることがわかると思います。

私がこの資料で言いたいことはひとつです。
姉歯氏が偽装に手を染めた初期、建築検査をしたのはすべて地方自治体(つまり公)の検査機関であった、ということ。
民であるイーホームズが審査を始めたのは平成15年になってから、日本ERIは13年になってから・・・です。
このことから、偽装の最初期にそれを見抜けなかった地方自治体の罪は重い、と指摘しておきます。ここで見抜いていたならば、姉歯氏がエスカレートするのを防げたかもしれませんからね。


現時点の私個人の感想ですが、官より民の検査の方が甘かった、杜撰だった、という傾向は、確かにあるのではないかと疑っています。強度0.3台などという物件を通してしまったイーホームズには、どんな弁解の余地もないでしょう。
ただし、官なら事件が起きなかったか、ということまで考えると、それも疑問に思う・・・というのが、正直なところです。

一方ではこんな例もあります。
【新たに「姉歯マンション」判明、最も古い偽装物件】
http://www.yomiuri.co.jp/feature/fe5500/news/20051208i113.htm
この物件はまだ報道段階であり、上記の表には含まれていませんが、偽装設計が行われたのは平成11年1月以前であり、建築確認をしたのは東京都、耐震強度は53%・・・だそうです。偽装はかなり巧妙だったようですね。

姉歯氏が、民間検査機関の審査する物件では、自治体検査の物件よりも大胆に(荒っぽく)偽装を行った、という可能性はありそうですが、そうすると逆に、公が審査する限り、偽装は巧妙に続き、永久に明るみに出なかった、という可能性もあります。
どちらがマシなのか・・・。判断の分かれるところでしょうね。

今回の事件を契機に、抜本的な対策が取られるならば、それ自体を民営化の成果である、と捉えることもできるでしょうし、それを日本社会や日本政府がなしえないのであれば、「小さな政府」理論は弊害の方が目立つ、という結果になりそうです

もちろん、上記はすべて12月8日時点で公表されている資料に基づく意見ですから、今後の調査結果次第では成り立たなくなる可能性もありますが。



【 住民保護・被害者救済 】

もうひとつ、検査機関民営化の問題点について。
http://homepage2.nifty.com/kekkanzenkokunet/

○最高裁平成17年6月24日決定
 民間確認検査機関による確認に関する事務は,建築主事による確認に関する事務の場合と同様に,地方公共団体の事務であり,その事務の帰属する行政主体は,当該確認に係る建築物について確認をする権限を有する建築主事が置かれた地方公共団体であるとしました。
 その結果,確認検査機関の検査ミスは,イコール地方公共団体のミスということになります。

○横浜地裁平成17年11月30日判決
 上記の最高裁決定の前提となった事件。上記の最高裁決定を引用したうえで,「被告検査機構が行った本件確認処分が原告らとの関係において,国家賠償法上も違法と評価され,その点に故意又は過失があって賠償を要するものであれば,被告横浜市は国家賠償法1条1項の「公共団体」としての賠償責任を負う」と明確に判示しました。
 判決の結論として,横浜市に対する請求は棄却されましたが,その理由は,「被告検査機構に故意・過失が存しない」からであって,「横浜市に故意・過失ががない」からだとしたわけではありません。「確認検査機関の検査ミス=イコール地方公共団体のミス」とした,画期的な判決といえます。


判例によれば、どうやら検査機関のミスは地方自治体が賠償責任を負う、ということらしいですね。
小さな政府の目的には税負担を減らすことも重要な柱としてあったはずですが、せっかく公務員を減らし、検査機関を民営化しても、そこがミスをするたびに公が責任を取って賠償していたのでは、かえって負担が大きくなります。
これは「小さな政府」政策の重大な欠陥でしょう。

むろん、政府もそれは自覚しており

一義的には売り主が責任を負っており、責任を誠実に実行してもらわないといけない

北側一雄国土交通相(http://sumai.nikkei.co.jp/special/gizo/index.cfm?i=2005120804555s8
としています。また早々とホテルへの被害救済はしない方針を打ち出しています。
野党側も、かかった費用は関係企業に追求するよう求めているようですね。
http://sumai.nikkei.co.jp/special/gizo/index.cfm?i=2005120608592s8

しかしいくら、あとで関連企業に請求するとしても、当の企業が倒産していたのでは絵に描いた餅に終わってしまいます。
業界全体を含めた保険の創設が強く求められます。

国土交通省は2日、マンションや戸建て住宅、ホテルなどの建築物の完成後に欠陥が見つかった場合の建て替えや改築費用を、建築業界全体で負担する新しい保険制度を創設する検討に入った。耐震強度偽装の被害が広がっていることに対応し、設計事務所や建築確認をする検査機関などにも加入を義務づける方向だ。

http://sumai.nikkei.co.jp/special/gizo/index.cfm?i=2005120205271s8


建築業界の不手際の後始末は、建築業界に負ってもらわねばなりません。また、こうした仕組み(一種の連帯責任)によって、建築業界の自浄能力を促すことも期待できるのではないでしょうか。
「小さな政府」政策の欠陥を繕うというだけでなく、建築業界の健全化のためにも、必要な措置だと考えます。

逆に言えば、こうした手当てなしに進める「小さな政府」政策は破綻しており、日本社会全体に混乱を招くだけの結果に終わるように思えます。

※関連エントリ

耐震強度偽装問題・・・意見・感想編
耐震強度偽装問題・・・資料編(12/6現在)
耐震強度偽装問題・・・資料編(12/2現在)
全裸で自殺・・・の謎 耐震強度偽装問題
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2005年12月07日

耐震強度偽装問題・・・資料編(12/6現在)

耐震強度偽装偽造問題に関し、12月2日現在で一度まとめましたが、それから数日のうちに、国土交通省が認めた偽装物件は15件も増えています。はじめは、【資料編】としてまとめたものを修正しようかと考えたのですが、時系列で偽装状況が明らかになっていく様子・・・自体にも資料的価値があるかも知れないと考え、新たなエントリを起こすことにしました。


【 事件の概要 】

国土交通省の公表資料によれば、12月6日現在で判明している偽装状況は以下の通り。
http://www.mlit.go.jp/kisha/kisha05/07/071206_2_.html

姉歯建築士の関わった物件は

 平成8年から17年までで計208件。うち

  改竄の判明したもの・・・・62件(平成11年から)
  改竄のなかったもの・・・・95件
  不明等・・・・・・・・・・・・・・・21件
  調査中・・・・・・・・・・・・・・・30件



 改竄の判明した62件の内訳。その@

  東京都・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16件
  千葉県・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10件
  神奈川県・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8件
  愛知県・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7件
  群馬県・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3件
  長野県・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3件
  静岡県・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3件
  福岡県・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3件
  奈良県・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2件
  京都府・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2件
  埼玉・岐阜・兵庫・佐賀県・大阪府・・・1件(計5件)



 改竄の判明した62件の内訳。そのA

  共同住宅・・・・・・・28件(竣工済(除賃貸)戸数=585戸)
  ホテル・・・・・・・・・31件
  一戸建て住宅・・・・3件



 改竄の判明した62件の内訳。そのB 建築主
 ◇共同住宅
  潟qューザー・・・・・・・・・・・・・・・・・・15件
  潟Vノケン東京支店・・・・・・・・・・・・・4件
  潟Tン中央ホーム・・・・・・・・・・・・・・3件
  東日本住宅梶E・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  潟Vンアイ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2件
  小俣組・潟Vステムプランニンク・・・1件
  岡部産業梶E・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  潟Gルクリエイト・・・・・・・・・・・・・・・・1件
 ◇ホテル
  京王電鉄梶E・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2件
  その他の企業群・・・・・・・・・・・・・・・29件(うち不明7件)
 ◇一戸建て住宅
  その他個人?・・・・・・・・・・・・・・・・・・3件(うち不明3件)



 改竄の判明した62件の内訳。そのC 設計者

  平成設計梶E・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20件
  潟Xペースワン建築研究所・・・・・・・・・・・7件
  姉歯建築設計事務所・・・・・・・・・・・・・・・・6件
  木村建設梶E・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5件
  潟Vノケン東京支店・・・・・・・・・・・・・・・・・4件
  叶X田設計事務所・・・・・・・・・・・・・・・・・・4件
  潟Gスエスエー建築都市設計事務所・・・3件
  鰍jSM一級建築士事務所・・・・・・・・・・・3件
  活苡繻囃z企画研究所・・・・・・・・・・・・・・2件
  豊國建設(株)一級建築士事務所・・・・・・・2件
  樺村組・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  渇コ河辺建築設計事務所・・・・・・・・・・・・1件
  鰹建築・まちづくり研究所・・・・・・・・・・・1件
  潟Aーキグラム・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  渇ェ田建築設計・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  鞄c口設計・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件



 改竄の判明した62件の内訳。そのD 施工者

  木村建設梶E・・・・・・・・・・・・・・・18件
  木村建設梶負L川興業梶E・・・・1件
  潟Vノケン東京支店・・・・・・・・・・4件
  潟Tン中央ホーム・・・・・・・・・・・3件
  叶井工務店・・・・・・・・・・・・・・・3件
  豊國建設梶E・・・・・・・・・・・・・・・・3件
  潟qューザー・・・・・・・・・・・・・・・・2件
  窪田建設梶E・・・・・・・・・・・・・・・・2件
  太平工業梶E・・・・・・・・・・・・・・・・2件
  窪田建設梶芙滑ロ山工務所・・・1件
  且u多組・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  丸運建設梶E・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  川村建設梶E・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  小野里工業梶E・・・・・・・・・・・・・・1件
  太平工業梶E・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  兜沒c組・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  潟Vノハラ建設システム・・・・・・・1件
  東鉄工業梶E・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  奈良建設株・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  都市計画工業梶E・・・・・・・・・・・・1件
  樺村組・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  椛田工務店・・・・・・・・・・・・・・・1件
  鹿島建設梶E・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  椛蝸ム組・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  潟Aトリウム建設・・・・・・・・・・・・・1件
  未定・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3件
  不明・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5件



 改竄の判明した62件の内訳。そのE 建築確認

  イーホームズ・・・・・・・・・・・30件 
  日本ERI ・・・・・・・・・・・・・・・・7件
  UDI確認検査 ・・・・・・・・・・・・2件
  東日本住宅評価センター・・・1件
  ビューロベリタス・・・・・・・・・・1件
  (財)日本建築総合試験所・・・1件
  愛知県・・・・・・・・・・・・・・・・・・4件
  長野県・・・・・・・・・・・・・・・・・・2件
  京都府・・・・・・・・・・・・・・・・・・2件
  岡崎市・・・・・・・・・・・・・・・・・・2件
  その他2県6市2区・ ・・・・・・・・1件(計10件)
 (群馬・岐阜県 前橋・伊勢崎・平塚・松本・大阪・福岡市 台東・荒川区)




※関連エントリ

偽装事件は小さな政府を大きくするか?
耐震強度偽装問題・・・意見・感想編
耐震強度偽装問題・・・資料編(12/2現在)
全裸で自殺・・・の謎 耐震強度偽装問題
posted by 水無月 at 22:06| Comment(0) | TrackBack(1) |   ◇耐震強度偽装問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年12月03日

耐震強度偽装問題・・・意見・感想編

当エントリは【耐震強度偽装問題・・・資料編】の続きです。



 姉歯氏はなぜ偽装に手を染めたか 

今回の偽装事件で一番に疑問を感じたのはここですね。
この「なぜ」にはいくつもの方向・次元から考察することが必要でしょうが、まずは、姉歯秀次1級建築士、個人のレベルから考えたいと思います。
報道によれば姉歯氏自身は、国土交通省の聴聞に次のように答えたそうです。
「建設コストを下げる設計をするよう指示された」
「鉄筋の量を減らせ。できなければ他に発注すると言われました」
「『安全性に問題が生じる』と答えましたが、『できなければ他の業者に代える』と言われました。生活ができなくなるので受け入れました」
「提出期限が迫り、後で正しい計算書に差し替えるつもりでしたが、審査を通ってしまい、びっくりしました」
「今思えば、あのときやめるべきでした」
(以上【朝日新聞】http://www.asahi.com/special/051118/TKY200511240384.html

これを読むと、まるで姉歯氏自身が被害者であるかのよう・・・です。姉歯氏が自己の罪を軽く見せかけるため、外部からの圧力があったことを強調する気持ちは理解できます。また実際、圧力はあったはずです。が、なにより私が驚いたのは、こうした「個人の立場の弱さ」に共感し同情し擁護する雰囲気が、どうやら広く建築士業界全体、あるいは建築業界全体に蔓延しているらしいことです。
「まず、「“売れるマンション”と“よいマンション”が、必ずしもイコールではない」という現実がある。」
「デベロッパーは「売れるマンション」を造ろうとする。消費者が求めるマンション企画を志向する。それそのものは、資本主義経済社会では当然のことともいえる。」
「となれば、しわ寄せが来るのはどうしても消費者の関心の低い部位。そしてまさにそれが、今回問題になり、かつ建物にとって最も重要である「構造」「耐久性」であり、あるいは「可変性」「メンテナンス性」「管理のしやすさ」なのだ。」
(以上は【耐震強度の偽装問題は偶発的事件か、業界の構造問題か?(3)】http://nikkeibp.jp/sj2005/report/43/03.html

このように建築業界の構造的背景を解説する【さくら事務所】代表兼CEOの長嶋修氏はまた、連続エントリの中でこうも述べています。
「マンション販売の当事者たちは、普段どのような思いで仕事をしているか。言葉を選ばず言えば、自分はある意味被害者であると感じている人が多いのではないか。」
なんの被害者か、長嶋氏はどうやら、社会全体の、と言いたいようです。
「つまり、社会問題とは個人の問題・特定企業の責任ではなく、社会全体の問題・責任として捉えるべきだと、私は言いたいのだ。この問題を、すべての業界人は決して相対化してはならない。こういった事件を起こさないために、できたことはたくさんあったのではないだろうか。」
http://nikkeibp.jp/sj2005/report/43/05.html
そしてこの部分のエントリのタイトルはなんと、「事件の真犯人を特定することに意味はない」!!

念のために申し述べておきますが長嶋氏は「もちろん件の当事者・関係者は悪い」「事実が明らかになるにつれ、責任の所在などについては徐々に絞り込まれてくることだろう」「とにかく早急に責任の所在をはっきりとさせ、各種の適切対応がなされるべきだ」と連続エントリの冒頭で書き、最後は「業界人だけでなく、働き手すべてが「使命」と「誇り」と「志」を取り戻そう!」というタイトルのエントリで締めています。
記事全体の趣旨は、社会全体(?)へ向け、これを他人事と思わずに自覚を持って志を高く持とう、と訴えるあたり・・・にあるのでしょう。

しかしそうであることを考慮しても、正直言って違和感は拭えませんでした。
姉歯氏、そして自身も宅地建物取引主任者の資格を持つ長嶋氏に共通しているのは、これが悪質極まりない(場合によっては間接的な殺人にも匹敵する)反社会的犯罪行為だという自覚の無さと、そこから派生する加害者意識の欠如、ひいては被害者意識ではないでしょうか?


日本社会全体が苛烈な自由競争の中で軋んでいることは確かでしょう。しかし犯罪行為に手を染める人は稀です。
自由競争の中で極限までコスト削減を強いられているのは建築業界だけではありません。すべての製造業・サービス業でまったく同じ条件のはずです。しかし国へ提出する審査書類の偽装、しかも安全構造に手をつけること・・・までしてしまった同業者を、それが犯罪であることを忘れたかのように擁護する業界など、どこにもありません。

同じ建築業界から、この偽装を見破り、再三再四関係者に通報することで最終的に事件を表沙汰にした設計事務所(「アトラス設計」の渡辺朋幸社長)※のような人物が出たことは、私のような非・建築業界の人間にとっては唯一の慰めとも言える事実です。

けれども他方、ネット上を色々探しましたが、私は、建築業界と思しき人の発言で、この業界内部からの告発を評価する発言には、ついに出会うことができませんでした。告発を評価するのは普通の(つまり消費者の立場の)人ばかりです。

建築業界全体のモラルが低い・・・。救いようもなく低すぎる。私はそう思わずにいられませんでした。
建築業界はいったいなにに甘えているのでしょうね? 社会のせい・・・とでも言いたげな発言には呆れるばかりです。思春期の少年犯罪ですら、もはやそんな言い訳は通用しない時代だというのに。

  補注※ 下線部分は2005/12/5に誤記を訂正しました。訂正前は
  「横浜市の設計事務所(どうやら「アトラス設計」の川嶋代表らしいですが)
  となっていました。横浜市の設計会社から検証を頼まれたのが東京渋谷区の
  アトラス設計であり、通報したのも、記者会見をして身元を明らかにしたのも
  渡辺氏である、というのが正しい情報です。
  http://mbs.jp/news/part_news/part_news3173878.html



 モラル以外の構造 

私は前項でまず、姉歯建築士のモラルを問題にしました。究極的には、彼個人の胸ひとつで、この事件は未然に防げたはずからです。姉歯氏が自己の仕事や名前にプライドを持って生きていてくれたら、彼はこのような不名誉な設計はしなかった・・・いやできなかったはず。
偽装を持ちかけられたが拒絶した設計事務所もある・・・という事実も、ついでに記録しておきましょう。
「耐震強度偽造問題で、強度不足が判明した北九州市のホテルの構造計算を請け負った広島市の設計事務所が二十九日、発注した木村建設(熊本県八代市)の関連会社から鉄筋コスト削減を要求されたと明らかにした。要求を断った後、姉歯建築設計事務所の構造計算が採用されたという。」
(【中日新聞】
http://www.chunichi.co.jp/00/sya/20051129/eve_____sya_____010.shtml

しかし一方で、【資料編】で明らかにしたように、強度偽装が特定の企業・設計者・施工者・・・に、不自然に偏っている事実も明らかです。
今後の調査で次第に、姉歯氏に強度偽装を持ちかけ、強要したある種の「力」の存在が、明らかにされるでしょう。とすれば、この力が存在した以上、姉歯氏個人が偽装を断っても、別の心弱い建築士が選ばれ、悪事に加担させられる・・・結果に終わっていたかもしれません。

この力・・・とは? 社会のせい、なんて甘っちょろいものでなく、具体的には?
報道などで完全に裏づけが取れているわけではありませんが、ネット上で飛び交っている噂も含め、私が知ったことを、ここに挙げておきます。


総合経営研究所代表取締役所長 内河健所長(73)
「「早く安く」「大変高利回り」というビジネスモデルを作り出し、これまで全国で230以上のホテルを手がけた建築業界の“カリスマコンサルタント”。多くの偽装マンションを手がけた木村建設とも蜜月状態だった。コストを極限まで抑えた「経済設計」の理論的指導者だったが、偽装問題の“黒幕”ともささやかれている。」
(【ZAKZAK】http://www.zakzak.co.jp/top/2005_11/t2005113022.html

この内河氏の「経済設計」理論に、どうやら海外から輸入した特殊な工法が関係していたらしいのですね。これは地震の無い国では有効だが日本では危険・・・だそうで。
そして内河氏のカリスマ性(?)に心酔していたのが木村建設の木村社長。同氏の経営指南で業績が急拡大した経験あり。
おそらく「力」は内河氏 → 木村建設のラインで発動し、その延長線上にヒューザーら建築主や、イーホームズら審査の甘い検査機関、そして姉歯氏という末端加担者がいた(要請された)ように見えますね。今のところ。
木村建設も平成設計も関連しない多くのホテルで姉歯氏の構造設計が採用されたのは、内河氏のコンサルタント業務あってのこと・・・のようです。

恐ろしいのは、内河氏に心酔する建築業者は木村氏だけではなかった・・・らしいこと。
第二第三の木村建設がもし存在するならば、第二第三の姉歯氏がいても不思議ではありません(汗


次に政界方面。

どうやら姉歯氏は創価学会に入信していたようです。
「一家崩壊「姉歯ファミリー」は「創価学会員」だった」(【12月8日発売週刊新潮】http://www.shinchosha.co.jp/shukanshincho/
またヒューザーの小嶋社長にも、創価ルートがあるようで。
現在の国土交通相である北側一雄氏は公明党所属ですが、地震被害などと比べ、今回の偽装被害では国の被害者支援が前向きすぎるのでは? との憶測があるようですね。国の対策については、別項にまとめたいと思います。

そしてもうひとつ、今回の事件ではすでに自民党の伊藤公介氏(元国土庁長官)、公明党の山口那津男氏(参院議員)の名前も挙がっていますが、ほかにも森派に近い大物自民党議員が関与しているという話をネット上で目にしました。真偽は不明ですが、今後の展開に注目しています。



 欠陥マンションはほかにもあるのでは? 

今回の事件では姉歯氏という個人の犯罪が明るみに出たわけですが、関連する情報を集めるうちに、建築業界内部の人からと思われる、非常に気になる発言・・・に、いくつも出会いました。

まずその@
「昨今の出鱈目建築問題で世の中を震撼させておりんすが、こんな問題なぞ昔からあることでことさら大騒ぎにする悶でもオマへん。」
「結論からすれば素人では自衛は無理です。
我々プロでさえ無理です。
構造計算は数ルートに渡って行われるため、パっと見絶対わかりまへん。
柱が細い、梁が小さいなど結果として報じられるに過ぎない。」
(引用は【神父「毒だみ」】「耐震基準のノウハウについて」より)
前項でも述べましたが、第二第三の姉歯氏がいるのではないかという疑惑。

そしてもうひとつ。そのA
「鉄筋なんていくら入れたところで、今のマンションはどれも海砂つかってるから
塩分で10年ぐらいで全部さびちゃって強度20%ぐらいに落ち込むんだよね。
業界では公然の秘密だけど。ようするにマンションなんて買うやつがバカ。」
(引用は【2ちゃんねる】掲示板より)
手抜き工事が公然と行われているのではないかという疑惑。

これでは、国がいくら地震に備えて耐震基準を強化しても虚しい・・・ばかりです。建築業界のモラルが最低水準だという前提で、対策を講じる必要があるでしょう。


私はさらに、阪神大震災の教訓は本当に生かされたのか、という問題を挙げておきます。あの地震では多くの建物が倒壊しましたが、それらのすべてが建築基準を守っていたのでしょうか?


 ◇建築基準を守って正規に建てられた建造物が倒壊する
  → 震度確定の証拠となる

 ◇建築基準を守らず建てられた不正建造物が倒壊する
 (→ 倒壊によって不正の証拠が隠滅される)



両者は本来、まったく別の出来事のはずですが、大地震の混乱の中で、いっしょにされてしまってなかったでしょうか? 不正なことをした業者が、地震によって証拠隠滅できたとばかりホッと胸を撫で下ろすようではあまりに救われません。
今後地震が起きた場合には、建物の損壊程度と震度との関係を綿密に調査する、そうした機関なり制度なりが必要です。

そしてもちろん、不正な工事が行われていたと判明した場合には、住民が建設会社・設計者等に損害賠償を請求できるようにしなければなりません。そうしない限り、建築業界のモラルは向上しないでしょう。



 国はなにをすべきか 

1級建築士が、そうと知りながら強度偽装をした今回の事件。喩えるなら、医師免許を持つ医師が、故意に治療を怠った・・・ようなインパクトがあります。

国(一部自治体)の対策は今のところ以下のように動いているようです。


 ◇被害者保護・・・
   被害住民の移転費用、公的住宅の家賃、解体費用の援助など

 ◇国民不安沈静化・・・
   相談窓口を設置、住民の希望するマンションの耐震検査

 ◇再発防止・・・
   検査機関の実態調査と建築基準法改正による罰則厳格化

 ◇今後の被害対策・・・業界負担の保険創設

 ◇刑事告発



前項の通り、私はこれらに「地震後の処理」が付け加わることを希望していますが、それを除けば、国(自治体)の動きはおおむね妥当なのではないかと思っています。

私がひとつだけ気にしているのは、国民の間に不公平感が出ないようにして欲しい・・・ということですね。
偽装マンションを買わされてしまった善意の住人の方々が気の毒なのは言うまでもありませんが、一方には、すでに起きた地震で実際に家屋が倒壊した、あるいはマンションが全半壊した、という方々もいます。
実際に地震で被害を受けてしまった方への援助・保護策とのバランスは重要な観点だと思います。



 偽装事件と小さな政府 

最後に、今回の偽装事件と政治批判とを結びつける動き・・・について、述べておきます。

まず、中立であるべき検査機関に関連業者が出資している事実。
「 本紙が調査したのは、国指定の民間検査機関(四十九機関)のうち、株式会社の四十社。判明しただけで十一社が建設・住宅関連企業の出資を受けていました。」
(【赤旗】調べ 画像引用も http://www.jcp.or.jp/akahata/aik4/2005-11-25/2005112501_01_2.html
kensakikan.jpg

検査機関に関連企業が関係を持つべきではない・・・。その【赤旗】の主張には、私も同感です。
反面、表を見ればわかるように、今回最も検査見逃しの多かったイーホームズは、ここには載っていない・・・のです。出資企業の関係する審査には甘くなるのではないか、という疑惑が出るのは当然ですが、今回の偽装事件に関しては、当てはまりません。
偽装が検査機関の検査をすり抜けてしまった最大の原因は、主に「検査機関の怠慢」「偽装の巧妙さ」の二点に絞られると思います。
中立性が担保されている地方自治体の検査機関でも不正を見抜けなかった・・・事実も、同じことを示唆しています。
従って対策としては、検査機関へのチェック機能を強化する、構造設計プログラムを(偽装できないよう)見直す、などの面から考えるべきでしょう。

そしてもうひとつ、今回最も(今現在判明している限りでは)多くの偽装を見過ごしたイーホームズですが、国土交通省へ一番に報告したのもイーホームズだった、という事実を、私は軽視すべきでないと思います。
同じように横浜の設計会社から指摘を受けた日本ERIは、まるで揉み消しに走るかのような態度を見せたようです(報道によれば)。それに比べれば、過去にポカをしていたとはいえ、自らの誤りに気づいたあとの同社の行為は正当に評価されて良いのではないでしょうか。

私はこのイーホームズの態度にこそ、自社の存続を図ろうと涙ぐましく努力する、あるべき(健全な)資本主義経済の匂いを嗅ぎました。早々と倒産を決めた木村建設、政治家を介して公的資金注入を計ろうとするヒューザーと比べてみてください。
建築業界全体のモラルが低下している・・・と私は思っています。そしてその裏には、長らく公共事業主体でやってきた業界そのものの体質が隠されているのではないかと疑っています。
そうした建築業界の体質を改善し、健全な自浄能力の発露を促すには、この際、とことんまで競争にさらすほかないように思えてきました。

官から民へ・・・の「小さな政府」の理念が、今回の偽装事件の背景にある、と分析する立場もあるようです。その代表が【赤旗】でしょう。
しかし公の建築検査でも偽装は見抜けなかった・・・。それは事実です。
見抜けなかったのは人手不足が原因だから、もっと公務員の数を増やせばいい、という考え方もあるでしょう。けれどもそうして長い間公に権限を与えた続けた結果の官民癒着・・・の数々の実例に、私はもう辟易しています。
一方で、設計書偽装や手抜き工事は民営化以前から連綿としてあった、という疑惑もあります。昔からあった不正を、民営化された独立系の検査機関がはじめて世に訴えた、そう評価することもできるのではないでしょうか。

今回の事件をもって「官から民へ」の弊害である、とする意見には、私は賛同しません。
むしろ逆であろうと思っています。

posted by 水無月 at 11:44| Comment(9) | TrackBack(1) |   ◇耐震強度偽装問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年12月02日

耐震強度偽装問題・・・資料編(12/2現在)

姉歯建築士による耐震強度偽造問題。連日大きく報道されていますね。
はじめは、単にモラルのない(それ自体は驚くべきことですが)一建築士が起こした、いわば個人の犯罪と見えたことや、私自身が建築業界について暗いこと・・・などから、関連する森田氏の不可解な死という非常に興味深い現象はあれども、単に大きな犯罪事件と看做していたのですが、最近になって私は、もう少し丁寧に(主に社会や政治との関連から)事件を整理しておく必要を感じるようになりました。
やや雑記風になりますが、現時点での私の見方や意見を、以下にまとめてみたいと思います。
(森田氏の死については別エントリ【全裸で自殺・・・の謎 耐震強度偽装問題】をご覧ください)

【 事件の概要 】

国土交通省の公表資料によれば、12月2日現在で判明している偽造状況は以下の通り。
http://www.mlit.go.jp/kisha/kisha05/07/071202_.html

姉歯建築士の関わった物件は

 平成8年から17年までで計208件。うち

  改竄の判明したもの・・・・47件(平成11年から)
  改竄のなかったもの・・・103件
  不明等・・・・・・・・・・・・・・・20件
  調査中・・・・・・・・・・・・・・・38件



 改竄の判明した47件の内訳。その@

  東京都・・・・・・・・・・・・・・・・・16件
  千葉県・・・・・・・・・・・・・・・・・10件
  神奈川県・・・・・・・・・・・・・・・・6件
  群馬・長野・静岡県・・・・・・・・3件(計9件)
  奈良県・・・・・・・・・・・・・・・・・・2件
  埼玉・岐阜・愛知・福岡県・・・1件(計4件)



 改竄の判明した47件の内訳。そのA

  共同住宅・・・・・・・25件(分譲済or賃貸住宅戸数=535戸)
  ホテル・・・・・・・・・19件
  一戸建て住宅・・・・3件



 改竄の判明した47件の内訳。そのB 建築主
 ◇共同住宅
  潟qューザー・・・・・・・・・・・・・・15件
  潟Vノケン東京支店・・・・・・・・・4件
  潟Tン中央ホーム・・・・・・・・・・3件
  東日本住宅梶E・・・・・・・・・・・・・1件
  潟Vンアイ・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  不明・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
 ◇ホテル
  京王電鉄梶E・・・・・・・・・・・・・・・2件
  その他の企業群・・・・・・・・・・・17件(うち不明6件)
 ◇一戸建て住宅
  その他個人?・・・・・・・・・・・・・・3件(うち不明3件)



 改竄の判明した47件の内訳。そのC 設計者

  平成設計梶E・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10件
  潟Xペースワン建築研究所・・・・・・・・・・・7件
  姉歯建築設計事務所・・・・・・・・・・・・・・・・6件
  木村建設梶E・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4件
  潟Vノケン東京支店・・・・・・・・・・・・・・・・・4件
  潟Gスエスエー建築都市設計事務所・・・3件
  叶X田設計事務所・・・・・・・・・・・・・・・・・・3件
  渇コ河辺建築設計事務所・・・・・・・・・・・・1件
  活苡繻囃z企画研究所・・・・・・・・・・・・・・1件
  鰍jSM一級建築士事務所・・・・・・・・・・・1件
  樺村組・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  豊國建設(株)一級建築士事務所・・・・・・・1件
  鰹建築・まちづくり研究所・・・・・・・・・・・1件
  不明・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4件



 改竄の判明した47件の内訳。そのD 施工者

  木村建設梶E・・・・・・・・・・・・・13件
  木村建設梶負L川興業梶E・・1件
  潟Vノケン東京支店・・・・・・・・4件
  潟Tン中央ホーム・・・・・・・・・3件
  潟qューザー・・・・・・・・・・・・・・2件
  窪田建設梶E・・・・・・・・・・・・・・2件
  且u多組・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  太平工業梶E・・・・・・・・・・・・・・1件
  丸運建設梶E・・・・・・・・・・・・・・1件
  川村建設梶E・・・・・・・・・・・・・・1件
  小野里工業梶E・・・・・・・・・・・・1件
  太平工業梶E・・・・・・・・・・・・・・1件
  東鉄工業梶E・・・・・・・・・・・・・・1件
  都市計画工業梶E・・・・・・・・・・1件
  樺村組・・・・・・・・・・・・・・・・・1件
  豊國建設梶E・・・・・・・・・・・・・・1件
  未定・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4件
  不明・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8件



 改竄の判明した47件の内訳。そのE 建築確認

  イーホームズ・・・・・・・・・・・29件 
  日本ERI ・・・・・・・・・・・・・・・・4件
  UDI確認検査 ・・・・・・・・・・・・2件
  東日本住宅評価センター・・・1件
  長野県・・・・・・・・・・・・・・・・・・2件
  その他3県4市2区・ ・・・・・・・・1件(計9件)
 (群馬・岐阜・愛知県 前橋・伊勢崎・平塚・松本市 台東・荒川区)



この後意見・感想を書くつもりでしたが時間がなくなりました。続きは後日UPします。
→【耐震強度偽装問題・・・意見・感想編
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2005年11月27日

全裸で自殺・・・の謎 耐震強度偽装問題

今や大問題となってしまった耐震強度偽造問題ですが
ついに死者が出てしまったようですね。

問題の姉歯建築設計事務所に構造計算を発注していた
森田設計事務所の代表であり建築士でもあった森田氏が
鎌倉市の海岸で遺体で見つかったそうです。

ただ、ちょっと気になることが・・・。


鎌倉署の調べでは26日午前11時半ごろ、鎌倉市稲村が崎の鎌倉海浜公園の海岸岩場の海面に、森田さんが浮いているのをサーフィンをしていた会社員(48)が見つけた。森田さんは高さ約17メートルのがけ下に、全裸で白色の肌着とYシャツが左手に巻きついた状態だった。

【サンスポ】http://www.sanspo.com/shakai/top/sha200511/sha2005112701.html
(リンクが切れてる場合はこちら↓保存画面をご覧ください
 http://yohaku.up.seesaa.net/image/sansupo_gazou.html

自殺する時に全裸になるものでしょうか?

水死の場合、長く海中などを浮遊しているうちに
衣服が自然と取れてしまうこともあるようですが
今回は「17メートル」上の崖から飛び降りた・・・という
ことまで明らかになっているわけで
服が脱げるほど漂っていたはずはない・・・。
11月も終わりというこの季節に全裸になって自殺する
というのが、なんとも異様な感じです。

可能性として高いのはサンスポの誤報でしょうね。
私がほかの関連記事を読んだ限りでも
全裸としているのはこのサンスポのみです。
ほかは大体こんな感じ↓。


 調べでは、二十六日午前十一時半ごろ、鎌倉市稲村ガ崎の鎌倉海浜公園のがけ下約二十メートルの海岸波打ち際で、サーフィンをしていた男性会社員(48)が岩場に挟まりうつぶせになっていた森田さんを発見し、同署に届け出た。

 森田さんは、白いワイシャツに黒いズボン姿で同署員が駆け付けた時は既に死亡していた。右足を骨折していたことなどから、がけから飛び降りたとみている。

【東京新聞】http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20051127/mng_____sya_____010.shtml

なぜサンスポだけが全裸としたのかは疑問ですが
この報道に関しては実はもうひとつ、不可解と感じた
点があります。
それは、自殺との断定が早すぎないか・・・ということ。

各紙報道によれば遺体が発見されたのは26日の午前11時半頃です。
そして同日の17時50分にはもう、自殺報道が出ています。

 耐震強度偽造問題で、姉歯建築設計事務所に構造計算を発注し、行方不明になっていた東京都内の設計事務所経営の男性(55)の遺体が26日、神奈川県鎌倉市の海岸で見つかった。県警は自殺とみている。

【徳島新聞】http://www.topics.or.jp/Gnews/news.php?id=FN2005112601004114&gid=F01
(リンクが切れてる場合はこちら↓保存画面をご覧ください
 http://yohaku.up.seesaa.net/image/morita_gazou.html

つまり県警(と警視庁)は、遺体を発見した段階で
ほとんど即座に自殺と判断し、そのように発表したのでしょう。
森田氏の行動の経緯はおおむね以下の通りです。


18日 読売新聞の取材に答える。
 「建設費が安上がりで経済的な設計をしてくれる事務所があると、
 ヒューザーから紹介されたのが始まり」「正当だと思っていたから
 姉歯を下請けに使ったが、森田の名で建築確認を受けている以上、
 責任を感じている」など。

22日 東京都の立ち入り検査。都に対し
 「偽造とは知らなかった」
 「これから仕事はこなくなるだろう」
 「電話恐怖症になっている」などと語る。

24日朝 乗用車で自宅を出た後、行方不明。
 午後9時ごろ家族が警視庁麻布署に捜索願を提出。

 事務所に「収拾がつかなくなった」
 「周囲に迷惑がかかってしまう」などのメモを残す。
 【読売新聞】http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20051126it13.htm

 自宅に「姉歯の関係で処理が追いつかない。ほかの設計事務所に
 迷惑をかけてしまう。もう無理です」というメモを残す。
 【TBS】http://news.tbs.co.jp/headline/tbs_headline3168882.html

25日 神奈川県茅ケ崎市内の駐車場で車が見つかる。

26日 11時半、遺体発見。



落ちた崖の高さが約17メートル(サンスポ)、
17メートル以上(読売新聞)、約20メートル(東京新聞)、
約20〜30メートル(日経新聞)などとまちまちなのも
気になりますが、たぶん、まだ情報が錯綜しているだけ
・・・と見るべきでしょうね。

亡くなった森田氏の行動を並べてみたのは、なぜ
自殺と断定されたのか、を知りたかったからです。
遺書はなく、メモだけ・・・。
そのメモも、自宅(東京都狛江市)からと事務所(世田谷区)
からと複数説が流れているようです。
しかも誰が発見したかも明らかではありません・・・。

探偵ごっこをするつもりはありませんが、ちょっと
ネット上を検索しただけでも、なんだかいろいろ
気になる事件です。
森田氏は本当に自殺なのでしょうか・・・?


気になるといえばこの発言も。

自民党の武部勤幹事長は26日、北海道釧路市で講演し、耐震強度偽造問題に関して「悪者探しに終始すると、マンション業界つぶれますよ、ばたばたと。景気がこれでおかしくなるほどの大きな問題です」と述べた。自らが農相当時に牛海綿状脳症(BSE)問題への対処で批判されたことを引き合いに「対応を気を付けないといけない。寝られないでしょう、大きい地震が来たら自分のマンションがつぶれるという話ばかりされると」とも指摘した。

【サンスポ】URLは上と同じ

「マンション業界つぶれますよ」・・・って、いったい
誰に向けて言っているのでしょう?
なんだか脅迫に思えてしまうのですが(笑

業界が潰れるより、高層マンションが地震で潰れることの
方が重大、と感じるのが普通の感覚だと思います。


     ◇     ◇     ◇


【 ま と め 】 (27日13時補記)


森田氏が自殺でない・・・証拠など、素人の私にはもちろん
提出することはできません。

しかしもし、サンスポの報道が単なる誤報でないとしたら・・・?
「全裸で白色の肌着とYシャツが左手に巻きついた状態」が
「白いワイシャツに黒いズボン姿」など他紙の報道より妙に
具体性があるのも気にかかります。
また
「周囲に迷惑がかかってしまう」
「ほかの設計事務所に迷惑をかけてしまう」というメモも
森田氏が悩んでいた証拠と受け取れる反面
同氏が口を割ることで「迷惑」を受ける人間が大勢いた、こと
をも、示唆しています。

武部幹事長の発言も、同じ趣旨でしょう。
この問題が長引き、徹底的に調査をされると、どうやら
困る人間がいるらしい・・・のですね。
なんだか怪しい臭いがプンプンします(苦笑
なんといっても建築業界・・・ですし。

一方で、右足の骨折(つまり検死結果)から
同氏が崖から飛び降りたことは証明できるとしても
彼が自分の意思で飛び降りたのか、それとも
誰かに突き落とされたのか、を判断するのは
そんなに簡単なことではない・・・はずです。
なにしろ目撃者もなく、遺書も見つかっていないのですからね。
それなのになぜ、県警や警視庁は捜査らしい捜査もしていない
わずか数時間後という早い時期に、自殺と断定してしまうので
しょうか・・・? これも不可解です。


日本では昔から、大きな社会問題が起こると、時として
渦中の方が自ら命を絶ってしまう、ということがあります。
そしてそうなった場合、犠牲者が出たという痛ましさから
そもそもの問題を追求する矛先が、つい、いつのまにか
鈍ってしまう、という傾向があるように思います。

今回の強度偽装問題もそうなってしまいそうで嫌な気分に
なるわけですが、それとはまた別の問題として、そもそも
森田氏は本当に自殺なのかどうか・・・が疑問だということを
私は指摘しておきたいと思います。


※関連エントリ
耐震強度偽装問題・・・資料編
耐震強度偽装問題・・・意見・感想編
posted by 水無月 at 10:35| Comment(4) | TrackBack(2) |   ◇耐震強度偽装問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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