2006年09月06日

親王誕生

 
私は素直に嬉しく思いました。
両陛下と秋篠宮ご一家に、心よりお慶び申し上げます。


この件に関しては、思えば本当に色々ありました(汗
私は男系天皇支持者ですが、そのことをネット上のとある場所で
明記したら「予想外でがっかりした」という、まさに予想外の
コメントをいただき、困惑したこともありました。

男系天皇という日本の文化や伝統、または血統を守りたいと
願う気持ちは、男女平等思想(フェミニズム)とは
元来、次元を異にするものだと私は理解しています。
しかしそれを文章で表現し主張することは本当に難しい・・・。
男系主義であることが、男尊女卑思想の持ち主であると
解釈されることは、耐え難い苦痛でもあります。
私は、フェミニズム陣営からのこうした反応にこそ、むしろ
舞台となる国の文化と十分に許容・融合できていないという
意味での、日本におけるフェミニズムの未成熟を感じざるを
得ませんでした・・・。


もうひとつ思い起こすのは、小泉現首相が主導した昨年の
皇室典範改正論の慌しさや、その顛末です。
周知の通り、秋篠宮妃が懐妊なさってからというもの
この動きはぴたりと止まりました。
男子が継ぐのが望ましいが、それが無理なら今上天皇直系で
天皇論としての万世一系は二の次、三の次で・・・というのが
現政権の考え方のようです。
こうした発想は、今上天皇ご一家を利することはありこそすれ
天皇、もしくは天皇制自体にとっては、その存在意義を危うく
する作用しかない、と私は考えています。
天皇の天皇たる所以は日本神話、わけても天照大御神との
結びつきにあります。天皇という存在を守りたいのなら
万世一系と三種の神器を(どれほど馬鹿馬鹿しく幼稚に思えても)
死守するしかありません。
今上天皇ご一家の将来を守るために天皇という稀有な日本文化を
犠牲にしてもよい・・・と考えるのなら、女系容認となるでしょう。
しかし私自身が一番大事に思っているのは、文化としての天皇
ですから、女系容認の立場は取れません。


政争の道具にまで危うく堕ちかけていた天皇家お世継ぎ問題を
ひとりの女性が、わずか一年足らずで有無を言わせぬ決着へと
導きました。
このことも、実に感慨深く思われます。
泣く子と地頭には勝てぬ・・・ではないですが、いったん親王が
お生まれになったからには、この問題は議論自体が不謹慎として
一世代先送りにされることでしょう。
男系論者の私としては結論に異存はありませんが
十分な議論を経ずして結果だけを与えられたこの成り行きに
どこか呆気に取られたような・・・危ういものも感じています。

とりあえずは・・・女性には敵いません、というところでしょうか(苦笑
そういえば、天照大御神も(異論はありますが)女神でした。
天照と天皇の関係は、かつて邪馬台国を治めた女王卑弥呼と
彼女に仕えた弟との関係が原型であろうという説がありますが
私もこれに近いイメージを持っています。



     ◇     ◇     ◇



※ またしても、あまりにも長く更新できずにいて、ごめんなさい(汗
私は元気ですが、相変わらずBLOGまではなかなか手が回りません。
今回は、半世紀後には祝日になっているかもしれないこの日を記念し
慌しく別所にて書き散らした日記文をUPしました。



 
posted by 水無月 at 18:05| Comment(0) | TrackBack(0) |   ◇皇位継承問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年02月01日

皇室典範から皇位継承規定を全廃せよ

 

議員の良識で成立目指す 皇室典範改正案で首相
2006年 2月 1日 (水) 21:53 
共同通信

小泉純一郎首相は1日夜、女性、女系天皇を容認する皇室典範改正案の今国会提出は拙速とする与野党議員の声が強まっていることについて「国会には提出して成立を期すが(賛成、反対両派の)ののしり合いにはならないだろう。そうしないのが国会議員の良識だ」と述べ、多数の理解を得て今国会での成立を図る考えを強調した。

昨年の衆院選で初当選した自民党議員の中にも慎重審議を求める意見があることには「よく議論していけば多くは賛成に回ると思う」と述べた。官邸で記者団の質問に答えた。



小泉氏はあくまで今国会での成立を目指す模様です。
彼にとって、皇室典範改正案は郵政民営化法案と同じような
「法律」または「政治」の問題でしかない。

問題点は多重構造となっている、というのが私の認識です。

まず、@女系容認か、男系維持か の議論があります。
そして次に
A誰がそれを決めうるのか という問題があります。

日本国憲法では、天皇を国家の象徴とする、と定めています。
125代の歴史を持つ天皇家がすでにあり
それを象徴と定めた、という意味でしょう。
日本の象徴として天皇家を誰かが作ったわけではありません。
憲法制定者が天皇家を作ったわけではなく
国民や議員が天皇家を作ったわけでもありません。
天皇家は125代前から、連綿と存在し続けてきたのです。
当然、日本の象徴として相応しくあるように・・・と
天皇家を改造する権利など、誰も持ち得ないはずです。

次代の天皇にどういう人物が相応しいか、ということを
国家で定めること自体が本末転倒ではないでしょうか。

日本は確かに国民主権の国です。
しかし、だからといって、国民が選んだ議員が
天皇家の皇位継承問題を左右できるという発想自体に
私は違和感を禁じ得ません。
男系がいい、愛子様がいい、果ては皇太子妃がどうだこうだ
と、国民がとやかく言うのは、どうなのでしょう?
まして国民の代表としての議員や「有識者」らが
法律の力で、皇位の相続方式を天皇家に強制できるというのは?

天皇家がこれと決めた方を、天皇に頂けばよい、と
私は思います(配偶者も同じく)。
養子も、婿入りも、側室・愛人も・・・ご当人が望むように
なさるのが一番だと思います。
そして天皇家全体の意思の結果としての「天皇」が
日本国の「象徴」に相応しくないというなら
象徴である、とする憲法の方を見直すことだけが
日本の主権者である国民、そして議員にできる最大限のこと
なのだと思います。

国民や議員・・・あるいは憲法や法律・・・の側が
踏み越えてはならない一線を、踏み越えようとしている
それも思慮浅く、かつ無礼無作法極まりない遣り方で。
そのように見えて仕方ありません。
踏み荒らされるのは天皇家の伝統、だけでなく
広く日本人全体の共有する、掛け替えのない精神世界です。
そして一旦踏み荒らされたものは、二度と再生できません。


私も、皇室典範改正には賛成します。
皇室典範から、すべての皇位継承に関する規定を削除する
という改正案に(それがもし提出されれば)全面的に賛成します。

天皇家のものは天皇家に。
天皇家の当主を決められるのは天皇家だけです。
天皇家の未来を選ぶことができるのも天皇家だけでしょう。
伝統の瀬戸際にあるデリケートな時だからこそ
日本国民にできるのは、余分な法律からの制限をできるだけ
なくし、自由意志で選択できる環境を整えて差し上げること
だけだと思います。


posted by 水無月 at 23:49| Comment(7) | TrackBack(2) |   ◇皇位継承問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年12月04日

立花隆氏という人

【女性・女系天皇容認で論議呼ぶY染色体論とミトコンドリア(5)】
http://nikkeibp.jp/style/biz/topic/tachibana/media/051130_tennou/index4.html

立花隆氏の書かれたものですが、あまりの内容にひとこと
私もこの場で記述しておこうと思います。

つまり神武天皇がたった二人の子孫だけを残し、その後の世代も各代二人の子孫しか残さなかったとしても、神武天皇の子孫は今、2の100乗人いるということである。2の100乗というのが、どれほどの数になるか、ちょっと想像がつかないだろうから、わかりやすい簡易計算をしてみる。

2、4、8、16・・・の数列さらに引きのばしていくと、32、64、128、256、512、1024になる。これをいいかえると、2の10乗が1024になるということで、これを約1000ということにしてしまうと、2の10乗=10の3乗ということになり、これを使うと、2の100乗が簡単に計算できる。2の100乗=(2の10乗)の10乗=(10の3乗)の10乗=10の30乗だから、1にゼロを30個つけたのと同じ数字ということである。ゼロが12個だと兆だから、1兆の1兆倍のさらに100万倍ということである。これは日本の総人口(1億人とする)の1兆倍の100億倍というとんでもない数字になる。

子孫の半分は女性だろうからそれを半分にする、子孫同士の結婚によるダブリを差し引くなどの、いろんな条件をつけての割り算、引き算をたくさんしていったとしても、神武天皇のY染色体を受け継ぐ人々が、今の日本にゴロゴロいるはずという意味がわかるだろう。


Y染色体は父から息子へのみ、伝わるのです。
間に女性がひとりでも入っていたら伝わらない・・・。
神武天皇の子孫がゴロゴロしているのは事実かもしれませんが
祖父−父−息子−男の孫−・・・という具合に
ただ一度の例外もなく男系で来た子孫・・・というのは
上の仮定で考えるなら、一人しかいないはずです。

同様に

天皇家の祖先そのものである天照大神のミトコンドリアを受け継ぐ天皇家の女性たちこそ、天皇の台座に登るいちばんの資格者だという議論が行われてもおかしくない

http://nikkeibp.jp/style/biz/topic/tachibana/media/051130_tennou/index5.html

アマテラスのミトコンドリアは
その女系子孫にしか伝わらないのです。
今現在、天皇家の血を引く女性が何人、何億人いようと
ずっと女系であった人は、Y染色体と同様
仮定に従えばたったひとりしかいない・・・はず。
それも、家系図などからそれを証明できる人はおそらく
現代日本には、ひとりもいないものと思います。

どうもこの方・・・ミトコンドリア・イブ仮説の意味も仕組みも
全然理解しないまま書いてますね。
関連図書など、一冊でも読んでるのかな・・・?(謎
理解していれば、父方母方取り混ぜて伝わった子孫を
半分に割る・・・なんて乱暴な発想が出てくるはずもない。


皇位継承問題に関して女系・女性天皇容認の論陣を張るのは
男系維持を支持するのと同様、それぞれの自由であり
結構なことだと思いますが、間違った知識を振りかざすのは
見てる方が恥ずかしいです。

まして立花氏・・・脳死などに関する著作もあり
『東大生はバカになったか』などの著作もある方・・・。

私のように無名の人間ですら、ネットで発言する際には
事実と違ったことを書いてやしないかと緊張し、あれこれ
調べるというのに・・・ね。こんなものなの?(苦笑
ネームバリューのある方・・・なら、なおさら
もっとちゃんと勉強してからものを言いましょうよ・・・。

※補記 Y染色体については【皇位継承・・・Y染色体の世代間連続性について】をごらんください。
posted by 水無月 at 01:57| Comment(14) | TrackBack(3) |   ◇皇位継承問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年11月22日

皇位継承・・・Y染色体の世代間連続性について

※(2006年2月18日 補稿しました)

皇位継承問題に関して、男系維持派はしばしばY染色体を持ち出します。
かくいう私もそうですね(笑

先に述べた【皇位継承・・・「双系VS男系」論の底】の中で、私は次のように書いています。

なお私個人・・・に関して言えば、女系天皇が誕生した時点で、天皇制へ寄せる仄かなロマンは潰えるだろうと思います。私の中の天皇制は126代(現皇太子殿下)を持って終焉を迎えるでしょう。文献上の神武天皇・・・そしてさらに神話上のイザナミ尊(のY染色体)へ辿り着くことのない天皇には、古代へと通じる血のロマンを感じることができません。


つまり私が男系維持を希望するのは「血のロマン」を感じるせいであり、それを具体的に表すのがY染色体だというわけです。
(※2006/2/18補記 引用文で「私個人は」と断っている通り、「血のロマン」という話が通用するのはあくまで個人のレベルの話だと思います。本エントリの主題は「Y染色体の世代間連続性」という事実をわかりやすく説明することですが、その世代間連続性にロマンを見出すかどうかは個人個人でご判断いただけばよいことです。
ただし、単なる個人でなく、一国民、一日本人の立場から社会論、天皇論として皇位継承問題を考え、かつ論じる際には、「血のロマン」は「日本の天皇家の伝統」に置き換わるでしょう。天皇家の伝統や、それを支えた祖先の意思があったからこそ、「Y染色体の世代間連続性」という事実から初代天皇のY染色体なるものが予想され、今になって話題になるのですからね。天皇家の伝統がまずあり、Y染色体はあとから導き出されるものなのです。
繰り返しますが、初代天皇のY染色体に個人が「ロマン」を感じようが感じまいが、皇位継承問題の本筋からすればどうでもよいことです。しかし、私が勝手に感じ取った「ロマン」を生み出す母胎となったところの天皇家の伝統、歴史、それを支えた祖先達の意思・・・は、社会論、天皇論、あるいはもっと広く日本国は今後どうあるべきかという国家論の場面でも決して軽視してよいものではないと考えます。天皇家の伝統や文化や歴史をどのように捉え、解釈するか、が、皇位継承問題を考える上でも重要なポイントとなっているはずですから。ちなみに一国民、一日本人としての私の見解は、125代分の伝統を重視すべきである、というもので、当エントリの最後の【まとめ】で述べてあります。
皇位継承問題の本筋からすれば瑣末なものにすぎないY染色体ですが、だからといって「Y染色体の世代間連続性」を説明する当エントリの存在意義がないとは思いません。日本人の中には、私と同様、初代天皇のY染色体という概念に「血のロマン」を感じる方もいるでしょうし、そもそも減数分裂の仕組みを知らない、という方もいるでしょう。私が自ら調べて得た知識をネット上に公開することは、そうした方々の知識欲を満たす一助になれるだろうと思うからです)

しかしどうも、中には遺伝の仕組みを知らずに議論をしている方もいるようです。「XとかYとかはよくわからないけれど」「125代の間にはどうせ様々な血が混じっているのだし」「万世一系なんて意味ないんじゃないの?」という認識の方には、どうやら遺伝の仕組みを理解してもらうのが一番だと思います。

が、はじめは専門家の説明を探し、適当にリンクして解説すればすむ程度の話と思っていたのですが、どうやら見当たらないのですね(汗)。あれこれ検索するより自分で描いたほうが早いと思い、急遽下手な図を用意しました。
なお、私は生物学は高校の授業で習った程度です。減数分裂については、ミトコンドリア・イブ仮説が話題になったころにひと通り理解し、Y染色体の世代間連続性については『アダムの呪い』ブライアン サイクス (著)で、納得しました。その程度の知識しかない私の説明ですから、もしかしたら間違っている箇所もあるかもしれません。誤りにお気づきの方はどうぞご教示くださいませ。



【 血は混ざってもY染色体は混ざらない 】

それでは今から遺伝の仕組みを説明します。まず、下の図をご覧ください。


◇ 【図1 細胞核の中の染色体イメージ】

   dankei_11

人間の細胞はすべて23対46本の染色体を持っています。染色体はもとから染まっているわけではないようですね。細胞核の中身をなにかの染色液で染めた時、くっきり染まって顕微鏡での観察も容易にできるもの・・・それが染色体です。そしてその中に遺伝子が入っています。

染色体46本は普段はバラバラの状態で核の中を浮遊していますが、生殖細胞(精子・卵子)を作るための減数分裂をする際には、独特の動きを見せます。46本が2本ずつ寄り添い、対になるのですね。男女がペアになってワルツを踊るように。ここから、46本は23対であることがわかるのです。

そして23対の染色体は、22対の常染色体と、1対の性染色体に分けることができます。つまり44本の常染色体と2本の性染色体です。これをイメージに表したものが上記の図1です。赤いのが性染色体で青いのが常染色体です(図1ではG1〜22で表しました)。

図1を今後の説明でわかりやすいように整理してみたいと思います。
生殖に関わる減数分裂時、常染色体の動き方は22対で共通しています。しかし性染色体だけが異なる動きをします。そこで、22個の同じ絵を描くかわりに、以下では「×22対」と表すことにします。
一方で性染色体ですが、まず、これが人間の性別決定に関わっていることをご理解ください。
性染色体にはXと呼ばれる長いものと、Yと呼ばれる短いもの、二種類があります。そして一人の個人の各細胞の中にある染色体セットのうちの性染色体が、XとXの組み合わせであれば女性、XとYの組み合わせであれば男性、なのです(なお、稀に遺伝上の性と、肉体上の性、または精神上の性、などが一致していない場合もあります。が、その問題はここでは割愛させてもらいます。本稿のテーマは皇位継承問題ですから)。

すると以下のようになります。

◇ 【図2 性染色体から見た男と女】

    dankei_12

この中では男と女、それぞれの染色体セットのイメージを描きました。今後この男女の間に子供が生まれることを考えますので、そのまま父と母になります。

しかしこの男女の染色体は、実はそれぞれの父母(つまり今から誕生する子供にとっては祖父母)から、それぞれ受け継いだものなのです。父母もまた、もとは、それぞれの父母の精子と卵子が受胎した結果、誕生した子供なのですからね。人間の染色体が23対であるとは、23本を父から、23本を母から、受け継いだということなのです。
これを図に表してみます。


◇ 【図3 父と母の染色体は祖父母から受け継いでいる】

    dankei_13

色で区別してみましたが、おわかりでしょうか?

ではいよいよ赤ちゃん誕生までの減数分裂の様子を辿ってみましょう。


◇【図4 減数分裂から誕生まで】

    dankei_hokou.PNG

(上の図で、わかった! という方は、どうぞ↓の【 まとめ 】まで読み飛ばしてください)

生殖は精子・卵子の製造からはじまります。
最初は通常の体細胞と同じ染色体だったものが、まず、複写されて2倍に増えます。この複写はDNA鎖を解き、単独になったそれぞれの鎖に、例のグアニンにはシトシン・・・という具合に適合する塩基がくっつくことで果たされます。このあたりの詳細な説明は省きます。

こうして2倍になったのですから、核の中には23対×2の46対、92本の染色体がひしめいていることになります。
するとこの46対が、次にはそれぞれの対単位でくっつくのです。23対だったものが倍に増えた状態で、なおかつペアとくっつくのですね。この際にはペアを探すような面白い動きが見られるそうです(が、私はあいにく実際に顕微鏡で見たことはありません)。

そうしてくっついた2対(4本)の間で、次には遺伝情報の交換がなされます。つまり祖父由来の遺伝子と祖母由来の遺伝子とが、その子が体内で精子・卵子を作る段になってはじめて、文字通り交わる(混じりあう)わけです。
これはどうやら物理的に、DNA鎖の一部がちぎれて、相手の同部分と交換される形で起きるようですね(私の理解では)。なんともダイナミック(というか乱暴というか 汗)で、呆れてしまいますが、そういうもののようです。こうした遺伝情報の遣り取りをするメリットは、それぞれのDNA鎖の不備や欠損を補うことができる、ということだそうです。

また同時にこの時、どの部分が交換され、あるいは交換されないか、は完全に偶発的でランダムであるため、結果として交じり合い方は毎回違ったものになります。これが、それぞれ膨大な長さのDNA鎖であるところの46対(または44対)について起こるので、結果的には一人の人間がつくる精子や卵子のどれひとつとして、同じものはない、ことになります。人間の遺伝的個性(両親が同じ兄弟であっても身長が違うなど)はここに由来しています。

さて、以上は常染色体の話ですが、実は性染色体だけは違った動きをします。
性染色体のX染色体とY染色体だけは、寄り添うところまではするものの、遺伝子交換をすることができないのです。
したがって、女性体内の減数分裂(卵子を作るための)では、ほかと同様にX染色体とX染色体がくっついて情報交換をするのですが、男性体内の減数分裂(精子を作るための)では、X染色体とY染色体はそれを行わないのです。
ほかの染色体が(情熱的な?)遺伝子交換をしている間、X染色体とY染色体は慎み深く身を寄り添わせ、じっと仲間の用事が終わるのを待っています。そして仲間の染色体がすっかり満足しそれぞれのペアから離れる頃、X染色体とY染色体も永久の別れを告げるのです。(※2006/2/18 補記後述)
こうして遺伝子交換をしたあとで、それぞれの染色体は、元が祖父由来だったもの、祖母由来だったものとに分かれ、一度細胞分裂します。
この時できる細胞には(最初に複写されているため)普通の体細胞と同じ23対の染色体が含まれます。ただし、その中身は祖父由来、祖母由来に弁別され、なおかつ(精子の性染色体をのぞいて)遺伝情報を交換したものとなっています。

この細胞がそれぞれ、そのまま二度目の分裂をすることによって、精子、卵子へと成長するのです。


ここまでの説明で、Y染色体が父から息子へ、ほかの遺伝子と交わることなく受け継がれることがおわかりいただけると思います。


※2006/2/18補記 先日、当エントリへのコメントにて、Y染色体とX染色体も交叉(遺伝子交換)をする、というご指摘を頂きましたので、もう少し詳細に説明します。
X染色体とY染色体も、実際には遺伝子交換をします。ただしそれは、常染色体の場合のように、染色体全体において、ランダムに行われるわけではありません。X染色体とY染色体では大きさがまるで違うため、それは不可能なのです(したがって長い間両者は交叉をしないと考えられてきました)。
X染色体とY染色体の交叉は、毎回決まった場所=両染色体の先端部でのみ、行われます。大きいX染色体が小さなY染色体にあわせて曲がり、常染色体のように時間を掛けてではなく、短時間で先端部のみ遺伝子交換をする、と考えられます。
(ハエの減数分裂を観察したブライアン・サイクスの言葉を借りれば「ほかの染色体が親密に絡み合っている一方で、X染色体が先端をくるりと曲げて、ほんの一瞬、この小さな染色体の先端に触れたのだ。ほかの染色体が長い抱擁を交わしているとすれば、こちらは頬にちゅっとキスして程度の触れ合いだった」『アダムの呪い』71P)
遺伝子交換が先端部以外で行われる、ということはこれまで(遺伝病のケースを除けば)報告されていません。したがってY染色体の先端部を除いた部分は、父系遺伝を調べるマーカーとして、母系遺伝の場合のミトコンドリア同様、様々な分野で活用されています。遺伝子交換が行われる先端部分は染色体全体からすれば限られたごく一部であり、またXとYとで遺伝子交換が可能な、つまり性差に関わらない部分である、こともわかっています。
Y遺伝子とは広義にはY染色体に含まれる遺伝子、のことですが、上記のような理由から通常は「Y染色体のうち遺伝子交換が行われない部分に含まれる遺伝子」の意味で用いられています。「遺伝子交換が行われない部分」がY染色体に存在する、ということに大きな意味があるからです。とりわけ父系の世代間連続性が話題となる場面での「Y染色体」あるいは「Y遺伝子」は、X染色体との遺伝子交換をしない部分のY染色体や遺伝子に注目している、ということを、補足説明させていただきます。
以下の【まとめ】でも、そうした意味で「Y染色体」「Y遺伝子」という言葉を用いています。




【 まとめ 】

男系維持派がY染色体にこだわる理由は、ひとえに、上に述べたような遺伝の仕組みからです。
(2006/2/18補記 Y染色体にこだわる理由は遺伝の仕組みからですが、男系にこだわる理由が遺伝の仕組みやY染色体にある、というわけではありません。どうやらこの一文を読み違える方が多いようなので、あえて補足しておきます)
世代を重ねるにつれ、遺伝子は交じり合います。125代も経た後では、1/2の125乗ですから、初代天皇の血など、あってなきが如し・・・のようなものでしょう。
それでもY染色体だけは、一度たりともほかと交わることなく、ここまで受け継がれてきた・・・のです。
翻って、上の【図4】の「父」と「母」を現皇太子殿下・妃殿下と置き換えてみると、内親王愛子様の遺伝子がどうなっているかも視覚的にわかると思います。
とりわけ、愛子様の性染色体に関して言えば、母の雅子様と祖母の美智子様から受け継がれたX染色体の遺伝子を持つだけで、天皇家由来のものなど一塩基も入っていません(もっとも、私は男系女性天皇に反対する立場ではありません。ただ、その次の世代が問題だと考えています)。
男系維持派が、天皇の天皇性とは、と問題にするのは、上記のような背景があってのことなのです。

このように書くと、女系容認派の方々は、もしかしたら次のように言われるかもしれません。
これまでの天皇家の歴史の中で、本当にほかのY染色体は入っていないのか!? と(苦笑
遺伝的側面を強調するなら、このような疑問が出るのはもっともなことです。
仮定の話なら言い放題とばかり、では現存の天皇家由来の男系男子(大昔に天皇家から臣下へ下った公家や武家の跡取り息子達まで加えれば何千、何万人いるかわかりませんが)の遺伝子チェックをしてみよう、とまで言い出す人もいるかもしれません。そこで天皇家由来の男系男子のはずの人々のY染色体遺伝子に多種の系統があったらどうするのか、と。

私は、これに対しては次のように答えたいと思います。
文献上の直系(今上天皇)のY染色体の遺伝子こそが、初代神武天皇の遺伝子なのです、と。
なぜなら、文献上、天皇家はこれまでずっと、男系相続できたからです。
考えてもみてください。すでに過去のものとなってしまった文献上の正統性を覆す証拠など、現代では誰にも提出し得ない・・・でしょう。
たとえ天皇家由来の男系男子Y染色体に多種の系統があったとしても、今上天皇のY染色体以外のものは、その枝分かれしたあとで、ほかのY染色体に置き換わったと考えるだけのことです。

そして文献上、ここまで系図を必死に確保してきた家柄は、日本では天皇家をおいてほかにはありません。
これは誰しも認めるところでしょう。

さらにそして、ですが、では、なぜ天皇家の系図はここまでしっかりと記録されているのでしょうか? それは紛れもなく、代々の天皇家の人々が(おそらく一般の日本人も)男系相続を続けてきた天皇家の系図を保存しよう、保存しなければ、と125代の永きに亘りずっと、願い、努力してきたからではないでしょうか?

遺伝子の概念が出てきたのはつい最近のことです。けれどもそんな概念などない時代から、天皇家は男系相続を続けてきました。そこには確かに、皇位は男系で相続されるべきもの、という人々の意思があったはずです。

私が男系維持に賛同するのは、それだけの年月を経て降り積もった、無数の人々の意思、その願いと努力の重さに、畏れ(おそれ)を抱くからです。
伝統の重みとは、そうしたものでしょう。

125代に亘って継続されてきた伝統そのものに、私は畏怖の念を抱いています。


女系容認の立場の方々には、男系維持派がY染色体を持ち出す背景にある、伝統への畏怖や敬意、といった思いまでをきちんと受け止めたうえで、議論して欲しいと思うのです。


posted by 水無月 at 02:59| Comment(33) | TrackBack(0) |   ◇皇位継承問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年11月09日

皇位継承・・・その今後

皇位継承問題に関しては二回(一回は資料編なので実質一回)にわたって書きました。
そこで書き漏らしたこと・・・というか、最新動向(というほどでもないですが)を横目に見ながらの、今時点での私の感想を、最後にまとめておこうと思いました。

 意見編 → 【皇位継承・・・「双系VS男系」論の底
 資料編 → 【皇位継承・・・三笠宮殿下のコラム発言要旨
 Y染色体→ 【皇位継承・・・Y染色体の世代間連続性について】 (2005/12/4補記)

「皇室典範に関する有識者会議」(座長=吉川弘之・元東大学長)は七日、第十五回会合を開き、意見集約をしたそうです。
意見編とダブりますが、ここまでの流れを整理すると、憲法の理念、特に男女平等の理念に基づき女性及び女系天皇を容認する有識者会議に対し、三笠宮殿下など皇族方や民間団体「皇室典範問題研究会」(代表=小堀桂一郎東大名誉教授)に代表されるような男系維持派が必死にブレーキを掛けようとしている・・・のが現状と言えるでしょう。
男系維持派は、旧宮家復興などによる傍系継承の道を提唱していますが、有識者会議の結論が変わることはなさそうです。有識者会議での論点は、すでに、女性および女系天皇を認めたうえで、長子優先か男子優先か・・・を決めるところへ移っています。
政府内には、麻生氏(=三笠宮家と縁戚関係にある)や安倍氏など、女系天皇に慎重な意見もあるものの、報道を見る限り、首相の小泉氏は女系天皇容認の姿勢のようですね。

ここまでは現状のまとめです。そして以下が私見。

傍系継承を認めない・・・という方針が変わらないのであれば、皇位は直系へ継承されてゆくことになります。ここで問題となるのが女帝(即位前であれば内親王=皇太子)の配偶者選びです。現皇太子殿下を思い浮かべれば、その配偶者選びがいかに大変か、は誰でも容易に想像できるでしょう。

私は、第一皇位継承権を持つ内親王殿下・・・には、天皇家男系の婿が入ると思います
それが本当に実現するかどうかはわかりませんが、少なくとも、三笠宮殿下のように強力な男系維持論者がいるわけですから、皇族方・・・すなわち親戚縁者からの、男系男子を婿に選べ、というプレッシャーは相当なものになるでしょう。女性天皇(内親王)がどういう夫を選ぶか、までは憲法も皇室典範も関与できませんから、「彼女」が天皇家男系男子を「ご自分の意思で」夫に選ぶ分にはなんの問題もないわけです。また伝統格式など素養の点から見ても、天皇家にゆかりのない一般男子では、そこへ婿入りするのは大変難しいように思えます。

今上天皇ご一家のご意向は外へ漏れてきていませんが、こうした皇族方からのプレッシャー・・・つまり伝統の力と、それを打ち破ろうとする新しい勢力との争いが、これから将来にわたって天皇家内部の中で繰り広げられることになるのではないでしょうか。
その戦いの様子は、有識者会議や国会論議とは違い、国民に向けて公開されることはありません。見えない戦いの決着は、第一皇位継承権を持つ内親王の夫が内定した・・・という報道によってはじめて、我々一般市民の前に明かされることとなるでしょう。

現在有識者会議が検討しているのは、長子優先か、男子優先か・・・の問題です。
有識者会議の結論は長子優先に傾きつつあるようですが、もし長子優先なら、天皇家直系の第一子が女性である代ごとに、同じ戦いが繰り返されることとなるのかもしれません。

家の都合で配偶者が決められるというのは一般市民の感覚からすれば相当にむごいことのように思われますが、もともと選挙権も職業選択の自由もない皇室の方々には、人権など無縁のものです。
そしてまた見方を変えれば、こうした事態とは実は、皇位という家督を誰に譲るか・・・という天皇家の問題が、皇族方を含めた広い意味での天皇家内部に帰ってゆく・・・ことをも意味します。
男系維持が天皇家一族の意思であるならば、法律がどうあろうと、国民がなにを思おうと、天皇家男系男子が次代の天皇の父に選ばれるでしょう。その選択に口を挟むことは誰にもできません。

つまり・・・試されるのは天皇家である・・・とも言えそうです。
これまでのように法律で男系相続と定められていれば、自動的に男系は維持できますが、今後は彼ら自身が努力しなければ維持できなくなる・・・ということでしょう。
時代が課したこの困難に打ち勝てず、女性天皇の配偶者に男系男子を添わせることができなかった時・・・には、彼らの万世一系は崩れ去り、アマテラスがその子孫に与えた葦原の瑞穂の中つ国も、彼らの前から消え去る・・・ことになるのかもしれませんね。
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2005年11月05日

皇位継承・・・「双系VS男系」論の底

皇室典範に関する有識者会議】が開かれるようになってから、ずっとこれに関心を持っています。
将来的にはこの会議の結論を踏まえて(国会の論議を経たのち)皇室典範が改正され、実際に天皇位の継承も行われてゆくことになるはずだからですが、最新の「第14回議事要旨」によれば、女性天皇は当然のこと、女系天皇も容認する結論が出たようですね。

なお、蛇足ながら説明しておくと「女性天皇」とはその性別が女性の天皇であり、「女系」「男系」とは父母どちらから天皇家の血筋を引いているか、の別です。「男系天皇」は父(または父の父・・・と父系のみを遡った結果)が天皇であるところの天皇であり、対して「女系天皇」とは鏡のように対称させて考えるならば母(または母の母・・・と母系のみを遡った結果)が天皇であるところの、天皇となるはずです。が、実際は過去天皇家の歴史上、女性天皇が母方からのみ天皇家の血を引く我が子に皇位を譲った例はないことから、そうした意味での女系天皇は考える必要がありません。
現代日本で話題になっている女系天皇・・・とは、非・男系天皇という意味です。したがって昨今の女系天皇容認論とは双系主義のことであり、双系主義 VS 男系主義・・・の形で、問題提起されている、ということです。



  【 双系主義とは? 】

前掲【皇室典範に関する有識者会議】の「第14回議事要旨」からまとめてみます。

<憲法について>
@憲法象徴制世襲制しか規定していない。

A「世襲だから当然に男系男子」は、理論的には難しい。

B国民が世襲制の天皇についてどう考えるかというと、男系に固執するよりも、親から子へと直系で受け継がれることではないか。

C象徴に性別はないと考えるのが健全

<天皇と憲法の位置関係について>
D女性や女系天皇に違和感を持つ国民もいるだろうが、現行憲法制定時に、象徴と世襲に絞ったことは大きな歴史の変化であり、それはそれで国民は受け入れている

E皇室典範に男系男子と規定する必要はなかったが、伝統に配慮して男系男子とした。それが、今は維持できなくなっているので、憲法に戻って考えるのが妥当。

<女系天皇の正統性について>
F世襲で皇位が継承され、国民の積極的な支持が得られる限り、正統性に疑義が生じる余地はない。

<女系天皇以外の方法について>
G皇室典範を改正しなければ、複数配偶制の否定や少子化の状況の中で、確率的には男系男子の数は極めて少なくなる。(複数配偶制=側室制度の復活は当然認められないという前提)

H旧皇族が復帰してもGの状況は変わらないため不安定なものになる。

I皇籍復帰して皇位を継承することは、国民の理解も得られないだろう。

<今後の手続き>
J今後は国民に受け入れられるよう表現などで工夫しつつ(=表現は変えても論旨は変わらない)、報告書を作成し、国会の議論を俟つ。


これを見ると、双系主義というのは、まず憲法からの解釈で要請され、次に国民の意識に合うかどうかを吟味された結果、出てきたもののようです。
天皇家の伝統は、時代によって変えてもよいもの・・・として振り返る程度の位置づけです。



  【 男系主義とは? 】

別記事【皇位継承・・・三笠宮殿下のコラム発言要旨】で資料を挙げておきましたが、この中の「寛仁さまのコラム要旨」はかなりまとまっていると思います。

要するに、125代続いた伝統をそんなに簡単に変更してよいのか、ということでしょう。
ここで提起されているのは、天皇の天皇性とはなにか、という問題です。
上記の【双系主義】との対比で考えれば、有識者会議が「F世襲で皇位が継承され、国民の積極的な支持が得られる限り、正統性に疑義が生じる余地はない」とするところを、「男系でなければ国民の積極的な支持は得られないだろう」、というわけです。

国民の積極的な支持が得られるかどうか・・・。これは考えてみるとなかなか難しい問題ですね。有識者会議では「世論調査で何割だからどう、という発想をとるべきでないという考え方」だそうです。私などは、世論調査もせずにどうやって国民の総体的な天皇観を知ることができるのか・・・という疑問も抱くわけですが、一方で、世論調査ほどあてにならないものはない、ということも理解できます。

現実的に考えれば、ここで問題になっている「支持」とは、将来仮に女系天皇が誕生したとした場合、それを「天皇と認めない」国民が何割程度いるか・・・ということでしょうね。仮定の話になってしまって恐縮ですが、女系天皇が即位したのちに、天皇家男系の血を引く御方が、そうした人々から担ぎ出され「朕こそは真の天皇なり」と宣言する・・・というようなことも、考えなければなりません。その際に、「朕こそは」の男系自称天皇を支持する国民が何割程度いるか・・・。そこをシビアに見極める必要があるでしょう。
宮内庁に世話をされ、天皇として国事行為も行っている女系天皇と、血筋のみの正統性を有する男系天皇・・・。

私の手元にはなんの資料もありませんから判断することはできません。
・・・が、将来、国家の擁する女系天皇 VS 男系自称天皇、という極度に先鋭化した形で「国民世論が問われる」事態を招く前に、綿密な国民意識調査がなされることを希望します。それが日本のためでしょう・・・。

なお私個人・・・に関して言えば、女系天皇が誕生した時点で、天皇制へ寄せる仄かなロマンは潰えるだろうと思います。私の中の天皇制は126代(現皇太子殿下)を持って終焉を迎えるでしょう。文献上の神武天皇・・・そしてさらに神話上のイザナミ尊(のY染色体)へ辿り着くことのない天皇には、古代へと通じる血のロマンを感じることができません。
ただし私は、現状においても天皇に「陛下」をつけることにさえ抵抗を感じるような心的距離感を持つ者ですから、私のような人間からの憧憬を失っても、天皇制からすれば痛くもかゆくもないでしょうね。しかしまた逆に言えば、そうした心的距離感を持つ者でさえ尊重する天皇の天皇性=男系の血筋を、このような形で失うことは日本にとって大きな損失とも言えるような気がします。

※補記(2005/11/22) Y染色体については【皇位継承・・・Y染色体の世代間連続性について】にまとめました。



  【 男女平等思想と天皇制 】

ここで私個人の立場を説明しておきますが、双系か男系かで二分するなら、私は男系維持派です。
125代続いた奇跡の伝統を自分の生きている時代に絶やすのは惜しい・・・という理由からです。おそらく・・・ですが、もしかしたら、これまでの皇室の歴史の中では当然(!?)、奥方の浮気などもあったかもしれません。それでも系図上、それは隠蔽され、表向きではあくまで神武天皇にまで遡ることができる・・・。それはやはり素晴らしい(かどうかは別にして、世界でも稀な)伝統には違いなく、努力して後世に伝えるべき日本の文化だと思います。

ただし私は、「日本の天皇の聖性はローマ法王並である」とか「天皇家は世界に誇れる家系である」とか「天皇は日本人の心の拠り所である」というような意見には、強い違和感を感じます。
私は自分が日本人であるという自意識を強く抱いていますが、「天皇を戴く国だから」という理由で日本を特別視しているわけではありません。自分が生まれ育った母国だから、私は日本にこだわるのです。その日本に天皇家という伝統があったことは幸運な偶然にすぎません。その偶然に感謝をし、できれば次代へも残したい・・・という意識です。


そういう立場から、私は有識者会議の結論を残念に思いました。
有識者会議のメンバーを見ると、岩男壽美子氏がいますね・・・。この方は国連特別総会「女性2000年会議」で首席代表を務めるなど、日本を代表する男女共同参画運動の推進者です。皇位継承のあり方を考える場に、男女平等思想からの干渉が入ったとすれば、実に残念なことだと思います。

伝統や文化(古い因習)と新しい価値観(男女平等など)とのせめぎあいは、現代では至るところで起きています。数年前にも女性知事の土俵入りが話題になりました。「なぜ女性は土俵へ上がれないの?」という疑問への回答が「伝統だから」としか言えないように、究極的には、「なぜ女系天皇がいけないの?」という疑問にも「それが伝統だから」としか、答え得ないように思います。
ただし、天皇家の皇位継承問題は、125代・・・少なく見積もっても1500年程度・・・は続いているという実績から、大相撲の土俵とは比較にならない堅固さや重みを持っている・・・というのが、普通の日本人の感覚ではないかと思います。



  【 国体と天皇制 】

ところで先も触れた【皇位継承・・・三笠宮殿下のコラム発言要旨】ですが、ここには重大なことが述べられています。
(そうでなければわざわざ私が手打ちしたりしません 笑)
引用してみましょう。


 陛下や皇太子さまは、御自分たちの家系の事ですから御自身で、発言される事はおできになりませんから、民主主義の世であるならば、国民一人一人が、わが国を形成する、「民草」の一員として、二六六五年の歴史と伝統に対しきちんと意見を持ち発言をして戴(いただ)かなければ、日本国という、「国体」の変更に向かう事になりますし、いつの日か、「天皇」はいらないという議論に迄発展するでしょう。


私は男系維持派ですから、その方法論としての旧宮家の再興にも、天皇家の養子にも賛成する立場です。もっと言えば、側室制度の復興にも反対はしません。事実上、側室制度の廃止が天皇家直系男子の数を減らした最大の原因と言えるのですから、天皇直系に限り側室制度を復活させてもかまわないと思っています。
そういう意識で、この「三笠宮殿下のコラム発言要旨」を拝見していたわけですが、最後のこの段で、ガックリ・・・というか、急速に心が冷えるのを意識せずにはおられませんでした。

日本国の国体・・・とはまた、ずいぶん古式ゆかしき死語が出てきたことです。
新聞記事によれば戦後生まれ、59歳でいらっしゃるという三笠宮殿下は本気でこのように思っておられるのでしょうか? プライベートな場で身内に語ったおつもりなら、それが本音である可能性も決して低くなさそうです。とすれば、無垢な皇族にそのような真っ赤な嘘を教えた人間の罪は、それが誰なのかは知りませんが、果てしなく重いと言わざるをえません。
三笠宮殿下のコラムの中にはわざわざ「八木秀次」氏の名前が挙げられています。この八木氏の男系維持説には、私も賛同する立場ですが、その一方で、【「新しい歴史教科書をつくる会」会長】という肩書きに一抹の不安も抱いていました。もしや皇族方は、学問としてではなく、まさに現代政治そのものとしての歴史にかかわっているのではないか・・・と。その予感が、まさかこんな形で的中してしまうとは・・・!

残念ながら、先の敗戦により、日本の国体はすでに変更されているのですよ、殿下

日本国は天皇主権から国民主権の国家へと、国体を変更したのです。
これが史実です。(国体についてはこちらをどうぞ)

万世一系は天皇家内部の歴史であり、日本という国家にとってはあくまでも文化・伝統の範疇の問題にしかすぎません。天皇は象徴であって国体ではないのです。
この大前提の下、私は、文化・伝統として天皇家や象徴天皇制を理解し、その上で、男系維持に賛成しています。文化・伝統だからこそ、それを尊重したいと思うのです。

けれども皇族方が「日本の国体は天皇である」と考えておられるとするならば、私は天皇制そのものを許容できなくなるでしょう。国体としての天皇は、それが男系であれ女系であれ、日本には微塵も必要ありません
皇位継承問題に関心を持つ人は、その原点を忘れてはならないと思います。



  【 文化・伝統としての象徴天皇 】

私が、皇位継承問題に関心を持った中での一番の収穫は、天皇を国体として捉えている日本人が現代にもいる・・・事実を知った、ということかもしれませんね。
現代日本の闇は深い・・・。

最初に有識者会議の「女系容認」の動向を耳にした時、私は「125代分の伝統をどう考えているのか」と憤慨したくなったものですが、天皇を国体として考える人々が今も現に存在することを知ってからは、憲法国民に立ち戻ろうとする有識者会議の考え方にも理があることを実感しました。

もっとも、国民のひとりとして、私は男系維持を希望しているわけですから、有識者会議にはやはり国民の意見を重視して欲しいものだと思います。その結果、125代続いた天皇家の歴史を新しい価値観で塗り替えてもよい・・・と思う国民が多数を占めるならば、私はその意見に従おうと思います。
ニッポニア・ニッポンであったところの美しい白鳥(しらとり)・・・トキも絶滅しました。男系天皇もまた、同じ運命を辿るのかもしれません。

ただし政治動向から考えてみると、有識者会議の報告書は国会にて審議されるわけですから、「有識者」よりは世論動向に敏感な、しかも「神の国」発言をした森元首相率いる派閥が最大であるところの自民党が単独過半数を占める議員達の審議によって、実際の皇室典範改正までには方針が変わる可能性も残っています。
この時に、天皇は国体なりのような妄言が出ないことを祈るばかりです。

そしてさらに、天皇家の皇位継承問題を文化・伝統を重んじる立場から、もう一度考えてみると、これは結局、「彼ら」の問題なのだ・・・と、私は思うようになりました。
皇位という家督がある・・・それを誰に継がせるべきか・・・という問題は、本来は、その家に属する人々が決めるべきことなのではないでしょうか。そこへ国家が、象徴だ国体だ・・・と口を挟むから、おかしくなるような気がします。
自由に相談し、決めてくれればよい・・・。浮気の結果の庶系だろうが養子縁組した跡取りであろうが、彼らが親族会議を開いて納得した御方を、国家も国民も、天皇として受け入れたらよいと思います。
そしてその方法なら、女系天皇は決して誕生しないでしょう。

実際には憲法や皇室典範の規定などがあるのは承知しています・・・。が、ということは、逆に象徴天皇制を放棄してしまえば、男系天皇は維持できる・・・のでしょうね。


※補記(2005/11/22) Y染色体については【皇位継承・・・Y染色体の世代間連続性について】にまとめました。
posted by 水無月 at 04:24| Comment(5) | TrackBack(3) |   ◇皇位継承問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年11月04日

皇位継承・・・三笠宮殿下のコラム発言要旨

資料

○【女系天皇容認論を懸念
  三笠宮寛仁さま 会報のコラムに私見】(中日新聞=東京新聞系)
http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20051104/mng_____sya_____011.shtml


女系天皇容認論を懸念
三笠宮寛仁さま 会報のコラムに私見

 三笠宮寛仁さま(59)が従来の男系の皇位継承を支持し、女系天皇容認論に疑問をはさむ文章を、自身が会長を務める福祉団体の会報に掲載されていたことが分かった。

 皇室典範に関する有識者会議は、女性・女系天皇を容認した最終報告を月内にもまとめる予定。天皇や皇族は憲法上、国政に関与できないとされるだけに、有識者会議では皇族から意見を聞いておらず、文章は今後論議を呼びそうだ。

 三笠宮さまは、福祉団体「柏朋会」が九月末に発行した「ざ・とど(寛仁さまの愛称)」と題された冊子に、「とどのおしゃべり」というコラムを執筆。文中で「プライヴェート」と断った上で皇室典範の改正に触れ、「世界に類を見ない我が国固有の歴史と伝統を平成の御世で簡単に変更しても良いのか」「神武天皇から例外なく『男系』で今上陛下まで続いて来ているという厳然たる事実」などと記し、男系男子継承の維持を唱えた。

 さらに一九四七(昭和二十二)年に皇籍を離脱した旧皇族の復帰、女性皇族に旧皇族から養子をもらうこと、宮家が途絶えた秩父宮や高松宮の祭祀(さいし)をつぎ宮家を再興すること、などの意見も表明している。

 その上で、典範改正問題について「日本国という『国体』の変更に向かう事になりますし、いつの日か天皇はいらないという議論に発展するでしょう」と述べ、天皇制存続が危ぶまれる事態につながる懸念を表した。



上記記事中の「私見」がWEB上で見当たらなかったため、手元の【中日新聞11月4日付朝刊】より以下にUPしておきます。引用転載した内容は打ち間違いを除き一切手を加えていませんので予め・・・。(これに関する管理人の感想は後日まとめたいと思います →【皇位継承・・・「双系VS男系」論の底】)
ここから(タイトルも)。


【寛仁さまのコラム要旨】

 世間では、「女帝問題」がかまびすしいので私の意見を、『ともさんのひとり言』として聞いて頂きます。本来は首相傘下の審議会に諮られていますので政治問題であり口出しできないのですが、本会報は市販されておらず“身内”の小冊子と理解し“プライヴェート”に語るという体裁を取ります。
 論点は二つです。一つは二六六五年間の世界に類を見ないわが国固有の歴史と伝統を平成の御世でいとも簡単に変更して良いのかどうかです。
 万世一系、一二五代の天子様の皇統が貴重な理由は、神話の時代の初代・神武天皇から連綿として一度の例外も無く、「男系」で今上陛下迄続いて来ているという厳然たる事実です。生物学的に言うと、高崎経済大学の八木秀次助教授の論文を借りれば、神武天皇のY1染色体が継続して現在の皇室全員につながっているという事でもあります。
 歴史上八名十方(御二人が二度践祚=せんそ=されている)の、「女帝」がおられましたが、全員在世中、独身または寡婦(未亡人)でいらして、配偶者を求められておられませんので、「男系」が守られ、「女系」には至っていない訳です。
 二つ目は、現在のままでは、確かに“男子”が居なくなりますが、皇室典範改正をして、かつて歴史上現実にあった幾つかの方法論をまず取り上げてみる事だと思います。順不同ですが、
 @臣籍降下された元皇族の皇籍復帰。
 A現在の女性皇族(内親王)に養子を元皇族(男系)から取る事ができる様に定め、その方に皇位継承権を与える。(差し当たり内廷皇族と直営のみに留める)
 B元皇族に、廃絶になった宮家(例=秩父宮・高松宮)の祭祀(さいし)を継承して戴(いただ)き再興する。(将来の常陸宮家・三笠宮家もこの範疇=はんちゅう=に入る)
 以上の様なさまざまな方法論を駆使してみる事が先決だと思います。
 Cとして、昔の様に、「側室」を置くという手もあります。私は大賛成ですが、国内外共に今の世相からは少々難しいかと思います。
 余談ですが、明治・大正両天皇共に、「御側室」との間のお子様です。「継続は力なり」と言いますが、古代より国民が、「万世一系の天子様」の存在を大切にして来てくれた歴史上の事実とその伝統があるが故に、現在でも大多数の人々は、「日本国の中心」「最も古い家系」「日本人の原型」として、一人一人が何かしら“体感”し、「天子様」を、明解な形であれ、否とに拘(かかわ)らず、敬って下さっているのだと思います。
 陛下や皇太子さまは、御自分たちの家系の事ですから御自身で、発言される事はおできになりませんから、民主主義の世であるならば、国民一人一人が、わが国を形成する、「民草」の一員として、二六六五年の歴史と伝統に対しきちんと意見を持ち発言をして戴(いただ)かなければ、日本国という、「国体」の変更に向かう事になりますし、いつの日か、「天皇」はいらないという議論に迄発展するでしょう。
(一部漢字をかなに直しました)

ここまで。

資料としては以下も挙げておきましょう。

○【2004年10月号 Voice
  徹底討論・女帝は是か非か 皇室典範の改正に向けて】
(日本財団図書館(電子図書館) 私はこう考える【天皇制について】)
 http://nippon.zaidan.info/seikabutsu/2003/01291/contents/306.htm

↑の中で話している人たち・・・は↓の三名。

高森明勅(たかもり あきのり)
 1957年生まれ。
 国学院大学文学部卒業、同大学大学院文学研究科博士課程修了。
 国学院大学講師、日本文化研究所共同研究員を経て、現在、拓殖大学客員教授、「新しい  歴史教科書をつくる会」副会長。

八木秀次(やぎ ひでつぐ)
 1962年生まれ。
 早稲田大学法学部卒業。同大学院政治学研究科博士課程中退。
 現在、高崎経済大学地域政策学部助教授、慶応義塾大学総合政策学部非常勤講師、フジテレビ番組審議委員。「新しい歴史教科書をつくる会」会長。

長谷川 三千子(はせがわ みちこ)
 1946年生まれ。
 東京大学大学院修了。
 現在、埼玉大学教授。



※補記(2005/11/22) Y染色体については【皇位継承・・・Y染色体の世代間連続性について】にまとめました。
posted by 水無月 at 15:54| Comment(2) | TrackBack(3) |   ◇皇位継承問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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