2006年04月08日

国民にとって政権交代は目的でなく結果です

民主党の新代表が選出されましたね。

■小沢 一郎(おざわ・いちろう)
昭和17年5月24日生まれ。岩手4区。昭和44年12月、27歳で初当選。自民党中枢の田中派、竹下派に所属し、故田中角栄元首相の「秘蔵っ子」として頭角を現し、47歳で自民党幹事長を務めた。しかし政治改革実現を訴えて離党し、平成5年に新生党を結成、党代表幹事に就任。自民単独政権を崩壊させ、細川連立政権を樹立する立役者に。ほかにも新進党党首、自由党党首、民主党代表代行、同党副代表などを歴任。身長1メートル73、体重73キロ、血液B型。

【産経新聞】より(以下の白地引用もソースはすべて同じ)
http://www.sanspo.com/shakai/top/sha200604/sha2006040801.html

対立候補の菅元代表とは47票差の119票対72票・・・で、これは大差ということになるようです。

私は金曜夜のNHKで知ったのですが、確かにこれまでよりは表情も柔らかめ・・・時代に沿うメディア戦術を意識しているのだな、と感じました。
小沢氏自身も、投票前の政見演説で「民主党も変わらなくちゃいけない。私自身も変わらなくちゃいけない」と言ったらしいですし、ね(笑
ただ、この「変わる」は、あくまで外見・イメージに関してだけのことのようです。
「皆さん(報道陣)への態度をもうちょっと良くとか、ブスッとしてないでもうちょっと笑えとか。変身を心がけたい」

これはこれで良いことだと私は思いました。中身(政策)まで、そうそう気安く変わるようでは、有権者として困惑するほかありませんから。


それよりも私は、政見演説や代表選出後のインタビューでの小沢氏発言が、民主党建て直しのための抽象的な精神論ばかりに傾き、唯一出た具体的な目標(?)が「政権交代」だったことに拭いきれない違和感を抱きました。
「私のようなものが代表に選出され、身に余る光栄」
「全身全霊尽くして一生懸命頑張る」
「(WBCでは)1人1人が個性を発揮して世界一になった。民主党も全員が力を出し切れば、政権交代という金メダルを取れると確信している」
「民主党も変わらなくちゃいけない。私自身も変わらなくちゃいけない」


結局、代表就任前後の小沢氏発言からは、小沢氏がどんな政策を持ち、どういう日本をイメージしているのか・・・を、読み取ることができないのです。
まあこれは、民主党内部の党首選びですから、これでいいのかもしれません(ホント?)。なにしろ、この場合の有権者(選挙人)は民主党に所属する議員さん達です。彼らにとっては、とにかく「党を立て直し(イメージを向上させ)てくれて」「(党員が選挙で当選できるように)精一杯頑張ってくれ」そうな党首が、望ましいわけですからね。

けれども国政選挙の有権者にとっては、まったく事情が異なります。
当たり前のことをあえて書きますが、日本を、国民を、どういう方向へ引っ張ろうとしているのか・・・つまりは政策で、有権者は票を投じるのです。
 Q. 「どういう日本にしたいですか?」
 A. 「政権交代の起こる国にしたいです」
間違ってもそんな政党に票は集まらないでしょう(「政権交代をさせたい」という動機で票を投じる有権者の割合は、今回の民主党首選で河村たかし氏の推薦人に名を連ねた議員さん達の、全民主党議員に占める割合を上回ることはないと思います)。
政権交代は結果であって目的にはなりえないのです。
そこのところを、民主党議員さん達には是非、しっかり覚えておいてもらいたいものですね。

もっとも、民主党内部で、民主党党員の皆さんが政権交代を目標にするという分には、結構なことだと思います。
政権交代を目指し、それが現実味を帯びるほどまで政策を磨いてくれるというのなら、国民にとってこれほど喜ばしいことはありませんから。・・・とまで考えて、私は逆に、「政権交代」くらいしか具体的なことを口にできなかった小沢代表の立場が、理解できるような気がしました。
小沢氏の支持層には、護憲派の旧社民党系から、改憲容認の旧自民党(旧自由党)系の議員までがいます。そして民主党の中にはそのほかにも、前原前代表のような若手グループや、菅氏のような市民派グループまであって・・・。
こういう集団のTOPに選出されようと思えば、下手に政策論など出すわけにはいきません(苦笑
どの党員にとっても耳障りの良い「挙党体制」「政権交代」くらいしか口に出せないのは当然、と言うべきでしょう。

要するに、小沢氏の仕事はすべてが「これから」に掛かっているわけです。自民党以上に右から左まで幅広く個性豊か(笑)な党員達をいかにまとめ、それこそ「挙党体制で」の統一した政策を打ち出せるか、どうか・・・。
小沢氏の指導力が試されるでしょう。


ちなみに、小沢氏は嫌っているらしい「豪腕」という形容ですが、私は悪いイメージとは思いません。実績から見れば、かつて同じ釜の飯を食った仲間に公然と対立候補を送り込んでみせた小泉氏の方が、よほど「豪腕」でしょう。国民一般のレベルでは、かえって小沢氏の「豪腕」ぶりに期待を寄せている人も多かろうと思います。
つまり、「豪腕」がマイナスイメージなのは国民一般レベルではなく、永田町レベルでの話だということです。小泉氏も先の選挙では永田町のお仲間(自民党議員)からは、相当恨まれていましたね。それでも有権者が彼を支持したために、小泉氏は選挙に勝ち、選挙に勝ったことで永田町の不満分子の制圧に成功したのです。
そのあたりのカラクリも是非、小沢氏には正しく認識しておいていただきたいと思います。

なお今回の小沢氏は、事前の根回しによる勝算の目処が立つまで代表立候補の意思を示さず、若手が反発すれば勝ち方にも配慮してみせる(わざわざ選挙を行い、かつ菅氏の待遇も約束する)など、慎重さや丁寧さが目立ちました。
小泉氏との対比で言えば、小沢氏は小泉氏以上に旧来自民党的な選挙戦を戦った・・・と言えるでしょう。

自民党を壊す、ことを公約に党首選を戦い、結果として自民党も救ってみせた小泉氏でしたが、対して
民主党を救う、ことを公約にした小沢氏・・・。さて、今後どのように民主党を変えてくれるのでしょうか。楽しみです。


最後に・・・。小沢氏本人が語ってくれなかったので復習しておきましょう。


主な政治的主張

政党を変遷するその政治的行動を非難される事が多い。しかし政局判断に関しては柔軟に対応することに躊躇はしないが、政治理念、政治哲学に関しては一切の妥協をしない。

・靖国神社への公式参拝
  行く行かないは個人の自由。ただし公約をし、政治信念で行くのならば8月15日に公式参拝を行うべき。

・A級戦犯
  東京裁判は不当な報復裁判。ただし当時の国家指導者は敗戦責任があり、靖国神社から分祀すべき。

・自衛隊の海外派遣
  戦争には前線も後方支援も関係はない。
   ・「集団的自衛権」(イラク戦争型)の行使 ‐ 一部国家による有志連合の参加には反対。
   ・「集団安全保障」(湾岸戦争型)の行使 ‐ 各国が容認した国連軍、多国籍軍の参加には賛成。

・経済政策
  新自由主義的政策に基づく規制撤廃の実施。ただし社会的格差の是正、挫折した経営者、労働者の再起業、再就職の支援制度の拡充が前提。

・在日外国人の地方参政権
  旧植民地政策により日本に移住、戦後そのまま在住した外国人・その家族には歴史的事情を勘案し、限定的に容認。

・労働組合との関係
  未組織労働者や市民層からの支持を増やすことで協調的に労組との関係を維持する。

【Wikipedia】http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B0%8F%E6%B2%A2%E4%B8%80%E9%83%8E


わざわざ政権交代せずとも自民党の中で十分やっていけそうですが(笑)、そこはそれ、彼はやはり「政権交代」を実現したいのでしょうね。

一党による与党独占が続けば当然に政官業の癒着・・・腐敗を招きます。
だから政権交代は確かに望ましい、と私も思います。しかしそのためにはやはり、政策の違いを前面に出すしかない・・・。

小沢氏は、権力闘争臭の漂う「政権交代」より、「政官業の癒着を斬る」ことをスローガンに掲げるべきだと思います。少なくとも国民には、その方がわかりやすく、受けも良いでしょう。


小沢民主党の前途・・・若干の期待を込めつつ冷静に、今後とも見守りたいと思います。

 
posted by 水無月 at 09:17| Comment(0) | TrackBack(4) | 国内(その他) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年04月06日

内部でなにが・・・?(外務省内部報告書漏洩事件)

ちょっと不思議な報道だったので気になりました。


【韓国:中央日報、半島情勢に関する日本の内部文書入手】
(毎日新聞 2006年4月5日 19時39分)
http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20060406k0000m030048000c.html

【ソウル中島哲夫】5日付の韓国紙・中央日報は日本の外務省が作成した朝鮮半島情勢に関する内部報告書を入手したと報じた。内容としては、▽韓国では反日政策が政権支持率を高める効果がある▽盧武鉉(ノムヒョン)大統領は残る任期中、反日強硬論を放棄しないだろう▽盧政権は竹島(韓国名・独島)への閣僚・国会議員の上陸など「過激な示威行為」で韓国の民族主義をあおり、反日強硬政策の効果を維持している−−などの分析が含まれていると同紙は指摘。これらは韓国への否定的な評価であり用語も刺激的だと、批判的に伝えた。

 この報道について潘基文(バンギムン)韓国外交通商相は5日の定例会見で、「もしも事実なら厳重に対応するしかない」と述べ、駐韓日本大使館に真偽確認を要請したことを明らかにした。文書の内容に対しては「韓日関係冷却の責任は日本の誤った歴史認識にあるにもかかわらず、まるで我々が韓日問題を国内政治用に利用しているように解釈しており遺憾だ」などと反発、特に竹島問題に関する記述には「憤怒を禁じえない」と強調した。

 中央日報はこの記事を文書の最初のページ上部の写真とともに5面に掲載。この写真によると、文書は「朝鮮半島をめぐる動き」と題され、「平成18年1月25日 北東アジア課調査班」「取扱注意」などの表記とともに「外部に対して発言される場合には注意願います」と、下線付きのただし書きがある。


私が気にした部分は青字で示した箇所です。

つまり、外務省が作成した内部報告書を、韓国紙である中央日報が入手し報道した、そしてこれに対し韓国政府が反発している、という流れなわけですが。

@ 韓国紙が手に入れた「内部文書」は極秘資料なのかどうか。
 (→ もしそうなら外務省に機密漏洩者がいることになる?)

A ここに報道されている報告書の内容は、私の感覚からすれば、日本のインターネット上などではすでに言い古されているような内容ばかりで、大して新鮮味もない。
 (→ べつに極秘扱いする必要はないのでは?)

B 韓国紙がスッパ抜き、それを、韓国政府が「もしも事実なら・・・」という仮定付きで反応するのは軽すぎないか? 事実かどうかを本気で確かめたければまず韓国紙へ確認するのが筋。日本へ直接確認しても、「確認できない」と返事があればそれで終わってしまう話。韓国側の徒労に終わるだけと思われる。
 (→ 韓国政府の、韓国国民向けポーズに過ぎないのでは?)

C そもそも、一国の外務省が他国をどう分析し、それを内部資料でいかに表現しようが、それは当局の自由であろう。公表資料でもないものを勝手に詮索した挙句、「あなた、私のことをこんなふうに思ってるんですか、それって失礼じゃないですか!」なんて・・・あまりにも(呆
 (→ いくらなんでも韓国政府はそこまで「??」ではないだろうから、報道自体が間違っている可能性もある?)

私は瞬時に以上のようなことを考えたのでした。
というわけで次は元ネタです。中央日報。


【盧大統領、レイムダック避けるため「反日」…日外務省資料】
(中央日報 2006.04.05 09:11:47 )
http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=74397&servcode=200§code=200
ハングル版では 2006.04.05 05:02 入力 )

「盧政権は独島を素材としてナショナリズムをあおいでいる」−−。

独島(トクト、日本名竹島)、靖国神社参拝問題などに関する韓国政府の対日外交政策に対する日本政府の内部分析を掲載した報告書を本紙が単独入手した。

外務省の政治情勢分析資料「朝鮮半島をめぐる動き(1月25日付)」は韓国政府の対日政策を国内用にまとめ、独島観光開放を「過激なデモ行為」と表現するなど、否定的に評価している。対外秘資料であるだけに報告書に使われた用語も非常に刺激的だ。

・・・(中略)・・・

これに対して外交通商部当局者は「日本政府は歴史認識問題の重さをよく分かっていないようだ」とし「独島は日本国内の歴史学者の中でも日本の固有領土と主張する人がいないほど、無理な主張であり外交だ」としている。

「いくら内部文書とはいえ、外国の内定まで恣意的に分析するのは遺憾なことだ」とした。

◆日本外務省韓半島政治情勢報告書=日本外務省の韓半島担当部署である北東アジア課が定期的に作成する政治情勢報告書で「取り扱い注意」と分類される対外秘資料だ。6カ国協議と南北関係、北朝鮮政権の動向などが主要内容だ。報告書は首相秘書室と外相を含む外務省主要幹部、韓国、米国、中国など主要国に派遣された公館長たちが閲覧する。



ハングル版をYahooウェブ翻訳ページ(http://honyaku.yahoo.co.jp/url)で読んでみた結果もほぼ同じでした。確かに中央日報は批判的に伝えています。どうやら毎日の誤報ではなかったようですね。
ただし、翻訳ハングル版中央日報には同紙日本語版にはない以下の一文も見えました。
日本語訳 → 彼は "いくら内部文書とはしかし他の国の内政までクルオだ恣意的に分析することは残念な事"と言いながら "切ない"と付け加えた.

日本語記事部分は上記引用中青字で示した部分です。「クルオだ」の意味はハングルの素養ゼロの私にはわかりません(おわかりの方は教えて下さい)が、きっとプログラムによる機械的な翻訳過程で生じた悪戯なのではないかと思います。
しかしそんなことよりも、切ない・・・が消えたのはなぜでしょう? 不思議です(笑


最後に中央日報の続報。この続報までを併せ、毎日新聞は記事にしているようです。以下を読むと、韓国政府が正式に反応しているのも事実だ(なにしろ韓国紙が伝えているのですから)ということがわかります。


【潘外相「憤怒の念禁じ得ない」…日本外務省報告書に厳しく対応】
(中央日報 2006.04.05 16:50:03)
http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=74415&servcode=200§code=200

外交通商部(外交部)の潘基文(パン・キムン)長官は5日、日本外務省が「盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権はレイムダック(任期終了を間近に控え、政治的影響力を失った大統領を比ゆ的にいう語)を避けるため反日強硬姿勢を崩さないだろう」という内容を盛り込んだ内部報告書を作成した、という報道について「万が一事実ならば、厳しく対応せざるをえない」と述べた。

潘長官は、外交部庁舎で行われた定例ブリーフィングで「李赫(イ・ヒョク)外交部アジア太平洋局長がきょう午前、韓国の日本公使を呼んで、事実関係の確認を正式に要請した」とし、こうした立場を示した。

・・・(中略)・・・

これに先んじ青瓦台(チョンワデ、大統領府)は、李炳浣(イ・ビョンワン)秘書室長が出席する一日状況点検会議で、日本外務省の報告書について協議し「事実である場合、厳しく取り組む」との立場を表明した。半面、谷口・外務副報道官は、報告書の存在・内容を尋ねる韓国特派員の質問に「ノーコメント」と答弁した。


該当するハングル版記事を探しましたが、似たような記事は幾つかあるものの、「これに先んじ」・・・以降の部分はハングル版記事には見当たりませんでした。谷口氏が韓国にいるとは考えられないので、これは中央日報の駐日特派員が質問したものでしょうか。


【 ま と め 】


引用ばかりしていたので長くなってしまいましたが、以下に私の感想をまとめておきます。

まず、この「内部報告書」の真贋についてはわかりませんが、仮に本物であったとしても、報道にあるように「『取扱注意』などの表記とともに『外部に対して発言される場合には注意願います』と、下線付きのただし書き」がある程度なら、極秘文書とまではいえないような気がします。
またその内容も、とうてい極秘にする必要を感じないものです。もしこれが日本政府の対外公式文書なら問題でしょうし、政府要人の発言であっても問題視されるのはわかりますが、内部文書であるなら、本来は問題にさえなりえない内容でしょう。

けれども現に韓国政府は反発し、「韓国の日本公使を呼んで、事実関係の確認を正式に要請」するなどの動きをしているようです。韓国国民向けに強気の姿勢を見せた、と解釈することもできるでしょうが、私は「なぜ韓国政府は中央日報報道の真贋を疑わないのか」が気になりました。自国のメディアだから疑わない(信頼している)ということでしょうか?
逆に、中央日報はどのようにして内部報告書を手に入れたのでしょう?
中央日報の第一報は、毎日の報道によれば「5日付」の報道。ウェブ上では、「2006.04.05 05:02 入力」となっています。しかしその記事中で、すでに「これに対して外交通商部当局者は・・・」以下の記述があるのは非常に興味深いですね(日本語判記事から「切ない」が抜けてる箇所です)。

案外、この韓国の「外交通商部当局者」が、日本の内部報告書を手に入れ、中央日報に流したのではないでしょうか?

中央日報はどのような経路でこの内部報告書を入手したか、一切触れていません。
とすれば、一見、記者に聞かれてコメントしたように読めるこの「当局者」が、実は情報の出所である可能性も十分にあるわけです。
そもそも、民間の一報道機関にすぎない中央日報が独力で日本外務省の内部報告書を手に入れたと考えるより、韓国政府が秘密外交活動の結果として入手した(もしくは捏造した? 可能性もゼロではない)文書を意図的に自国メディアへリークした・・・と考えた方が、自然でもあります。
もしかしたら中央日報へ情報を渡す時に、この当局者は「切ない」という、韓国の人には胸に迫ったに違いない心情を、(情報リークの動機として)口にしたのかもしれませんね。
もしそうだとすれば、この「切ない」は永田氏メール騒動で西澤氏が口にした「自己実現」と同じでしょう。つまり、情報の受け取り側を信用させるための、口実・・・。

外交のプロである当局者が、いくら個人的に切なくても、その切なさゆえに、二国間関係を悪化させるに違いないような情報をわざわざ報道機関へ流すとは考えられません。そこには必ず実利を伴った冷徹な計算があったはずです。

現在までの流れを見てみると、今回の内部報告書漏洩事件は、本来は問題にもなり得なかったはずの事件が、いわば「韓国民の心情を傷つけた」罪で外交問題にまで発展していきそうな雲行き・・・なわけです。これってなんだか見覚えのある構図じゃないですか?

私は本来、陰謀論は好みませんが、今回の事件に関しては、煙の出所も韓国紙、カッカと燃えているのも韓国国内・・・というわけで、なんだか韓国政府によるマッチポンプのような気がして仕方ありません。
では、もしこれが韓国政府による意図的リークなら、その狙いはなんでしょう? 「日本外務省の内部報告書」にある通りの、支持率回復策・・・? もしそうなら、まるで漫画のような顛末(オチ)となってしまうわけですが(苦笑

「砂の馬」のつぶやき 時事】(kanteさん)
↑こちらを見ると、単に政権維持のためだけではない、もっと大きな政策転換が韓国内部で起きようとしている・・・のかもしれません。
政権支持率のために自国内の反日感情を煽るくらいなら痴話喧嘩のうちですが、韓国が同族である北朝鮮に引き摺られ、本気で米軍と距離を置きはじめているとしたら・・・。そしてこの大きな流れの中で、反日という現象が引き起こされているのだとしたら・・・?

生き馬の目を抜くような外交の世界ですから、日本側は冷静に情勢を見極め、そして対応策を考えておかねばならないでしょうね。

 
posted by 水無月 at 08:06| Comment(2) | TrackBack(2) | 中国・朝鮮・在日 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年04月02日

なぜ報道されないのか(東シナ海ガス田問題)

なぜ全国紙で報道されないんでしょうかね。


【中国が中間線越え調査 東シナ海、航空機で】

 【ワシントン1日共同】日本と中国が対立している東シナ海のガス田開発に関連し、中国が今年に入り東シナ海の日中中間線を越えて複数回にわたり、目的を明かさないまま航空機を使った調査活動を行ったとして、日本政府が抗議していたことが1日、分かった。資源調査に向けた基礎的なデータ収集を行った可能性があるとみられている。日米関係筋が明らかにした。
 調査実施にあたり、中国は事前に通告した。日本は、調査の目的に関し情報提供を求めたが、そのまま調査を行った。日本は事態を放置すれば、自らの排他的経済水域(EEZ)内での中国の活動を黙認することになりかねないとして抗議に踏み切った。中国は回答していない。

(2006年(平成18年) 4月 2日 北国新聞 
http://flash24.kyodo.co.jp/?MID=HKK&PG=STORY&NGID=intl&NWID=2006040101004110


先に私も書きましたが教科書問題、これでは抗議を受けたことに関して大々的に報道がありました。
一方こちらは、日本政府が抗議をしているのです。しかもその内容は、先方にとっては他国である日本の教科書検定などという、誰がどう見たって不当かつ馬鹿馬鹿しい内政干渉以外の何物でもないようなテーマでなく、日本の排他的経済水域を脅かされる懸念にまで通じるような、つまりは国家主権に関わる問題なのです。

私がこの報道を知った【「砂の馬」のつぶやき 時事】でkanteさんが書かれている通り

「出来れば伏せておきたかったけどアメリカが情報を掴んでいて、
 しかもプレスに発表してしまうので仕方なく報道」


というのが実態だろうと私も思います。
政府が抗議した事実を、政府は国民に知らせていない
国内メディアもそれを積極的に調べ公表しようとしない

これはいったいどういうことなのでしょう・・・ね?

隣国と仲良くしたいと望むのは結構なことです。国民レベルでも官僚レベルでも政治家レベルでも。
しかし、自国の主権が(しかも原油1000億バレル以上、天然ガス2000億m3というエネルギー資源をも絡んで)危うくなる場においてまで、なあなあで済ますことなど許されません。国民レベルでも官僚レベルでも政治家レベルでも!

ガス田問題に関しては、一刻も早い試掘が最良の策であろうと思われます。日本政府の毅然とした対応を望みます。

ガス田問題に関してはまとめサイトがありました。 → 【【中国】日中境界海域で資源採掘施設 [05/28] まとめサイト


◇     ◇     ◇


ところで・・・。少し前に「中国は脅威か否か」という問題提起がありましたね。民主党前代表の前原氏がこの件で党内から反発を受けていました。
中国が日本海を越えて軍事的に攻めてくる・・・という想定となると、私も正直「??」と思います。しかし現実に中国の潜水艦や航空機はたびたび日本の領海や空域に入り込んできています。それを「脅威」と捉えるかどうかは、もはや用語上だけの問題のように、私には思えます。

隣国であるというだけで、現実に中国は日本にとって利害敵対国です。たとえばガス田の問題もそうですし、領土問題もあります。それは韓国もロシアも同じです。そしてこうした関係は、隣国との関係が良好であろうと険悪であろうと永遠に変わらない事実なのです。
我々はそういうシビアな認識を持たなければならないと思います。戦後六十年が過ぎ、今日本に求められているのは、政治家も官僚も国民ひとりひとりでもですが、こうしたシビアな認識に耐えられるだけの確固とした自立心、なのではないでしょうか。

暑苦しい愛国心や甘ったるい平和主義などではなく、冷静な事実認識に根ざしたシビアな自立心こそが、本当は最も必要とされているのだと私には思えるのです。


 
posted by 水無月 at 22:38| Comment(2) | TrackBack(1) | 中国・朝鮮・在日 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年04月01日

耐震強度偽装物件まとめ

先のエントリ【非・姉歯物件がいっぱい】に樺山構造研究所の中山明英一級建築士からコメントをいただきました。
このような歴史も浅いBLOGをご覧になり、反応をいただけたこと自体、非常に光栄なことと存じますが、それはともかく、中山氏コメントの真意は「早く最新物件をまとめなさい」ということではないかと想像しましたので、早速・・・(ソースは特に断りのない限り、国土交通省公表資料です http://www.mlit.go.jp/kozogiso/index.html)。


【 2006年3月末日時点での偽装物件 】

◇ 姉歯物件


   全調査対象件数・・・・205件


   調査済・・・・・・・・・・・・205件
     誤りあり・・・・・・・・ 99件
      (うち偽装・・・・・・ 98件)
      (うちミス・・・・・・・ 1件)

     誤りなし・・・・・・・・ 91件
     計画中止等・・・・・ 15件

   調査中・・・・・・・・・・・・ 0件


誤りを含む99件の詳細についてはこちち → 【姉歯偽装物件時系列一覧】 3/31現在)


◇ 非姉歯物件

 ○ 姉歯関連業者(木村建設・平成設計・ヒューザー・総研)が関与した物件

   全調査対象件数・・・・581件


   調査済・・・・・・・・・・・・458件
     誤りあり・・・・・・・・・ 6件
      (うち偽装・・・・・・ 3件)
      (うちミス・・・・・・・ 3件)

     誤りなし・・・・・・・・444件
     計画中止等・・・・・・ 8件

   調査中・・・・・・・・・・・・123件


(判明した偽装・ミスの詳細)

  @ サムシング梶i廃業済)による構造計算書の偽装3件

  A 鞄c中テル也構造計画研究所の関与した誤り1件

  B 鰍モなもと設計の関与した誤り1件

  C 本田建築デザイン事務所(廃業)の関与した誤り1件




 ○ 姉歯関連業者の関与していない物件

  D 浅沼良一二級建築士の関与した偽装5件



非・姉歯物件の詳細についてはこちち → 【非・姉歯物件一覧】 3/31現在)

サムシングと田中テル也構造計画研究所に関してはこちらが詳しいです → 【建築よろず相談



【 非姉歯物件をまとめて思うこと 】

◇ 偽装と誤りの境界は・・・?

偽装とされたのは姉歯氏とサムシング仲盛氏の二名です。姉歯氏は故意の偽装を認めていますが、仲盛氏は私の知る限りでは偽装を否定し、書類提出上の不備、と主張していたはずです(その後の報道をご存知の方はご一報ください)。
一方で田中氏もまた、偽装でなくミスと主張し、こちらはすんなりと認められています。国交省の公式発表では、田中テル也構造計画研究所の関与した「セントレジアス鶴見」は同研究所の設計ミスと日本ERIの審査ミス、二重の誤りによって耐震基準を満たさない、とされています。しかし田中テル也構造計画研究所の設計したものはQu/Qun値が0.64なのですよね・・・。サムシング物件の同値は0.85〜1.0以上です。しかも田中氏は現役の構造専門家・・・のはず。

住人や建築主の立場に立てば、それが故意の偽装であろうとミス(誤り)であろうと、受ける被害に変わりはありません。悪意のないミスだから許せる・・・なんてものではないでしょう。数字ばかりが一人歩きしている感のあるQu/Qun値ですが、やはりこれを目安にするしかないのが現状だと思います。そのQu/Qun値を見ると明らかに、偽装とされる仲盛氏より、田中氏の作品の方が「酷い」のです。
にもかかわらず、「酷い」設計をした構造建築士は「誤り」だからお咎めなし・・・? 報道によれば田中テル也構造計画研究所のほかの設計物件に関しては、国交省の要請で自治体による調査が進んでいるそうですから、今後の調査を待ちたいと思います。

なお、それが偽装であろうとミスであろうと、結果として重大な誤りを見逃した設計元各社にも、他物件に関しての厳正な調査が行われることを希望します。


◇ 誤りと設計思想の境界は・・・?

同じことは熊本県で「誤り」の発覚した、ふなもと設計、本田建築デザイン事務所についても言えます。二件とも「誤り」扱いですが、熊本県公式発表を見ると、「設計者と県の見解が分かれたため、構造評価委員会に工学的な見地からの意見を求めた(ところ、県の見解が正しいとされた)」とあるように、そもそも構造や設計の考え方のレベルでの問題のようです。

今回は県の見解が正しいとされた・・・では、ほかの場合は? となるのは当然の成り行きでしょう。設計が、設計者の考え方(設計思想)によって具体化されてゆくものである、ことはわかります。けれども、その設計思想がこれほど設計者個人に依存し、物件ごとに見解が検証者と真っ向から対立することもありうるような、あやふやなもの・・・だったとは知りませんでした。

なんとも怖い話ですね。
怖い・・・のは、本田建築デザイン事務所構造担当の「ベルメゾン・大津」が、Qu/Qun値=0.54とされているからです。現状では、同値が0.50を切ると一律に建て直しを迫られるわけですから、住人の方にとっては、0.54という数字は首の皮一枚で繋がったような気がするはずです。そういう数字が、設計者の考え方ひとつで出てしまう・・・ということ。これが怖いと思うのです。

本田建築デザイン事務所が特別能力が低かった・・・というのならわかりますが、もしそうでないのなら、この怖さは建築や設計そのものに関わる怖さ、ということになるような気がします。


◇ 偽装がなかった件について・・・

冒頭でも触れたように、私は中山氏本人からコメントをいただいたわけですが、僭越ながら、中山氏のお気持ちは想像できるような気がしました。というのも、私は先のエントリにて「非・姉歯物件」として報道済のものをまとめた中に、同氏と中山構造研究所の実名を挙げていたからです。

しかしながら当エントリ記述(2006年3月末)時点では、国交省でも熊本県でも、中山構造研究所の関与した強度偽装物件は一件も発表されていません。つまり同研究所は(現時点では)無実というわけです。
2006年5月24日、熊本市の発表により、市内の同研究所設計の全件について耐震基準を満たすことが確認されました。報道資料は【非・姉歯物件がいっぱい】※補注1をご覧下さい。(5月31日追記)


樺山構造研究所(中山明英代表)の主張はこちら → 【平成18年2月13日報道発表概要

「偽装が発見された」ことは大々的に報道するメディアも、「偽装がなかった」ことまでは報道してくれません。一度名前が公表されてしまうと、傷ついた名誉を回復するのは困難という実例ですが、当BLOGがささやかでも、名誉回復のための一助になれば・・・と祈っています。

 
posted by 水無月 at 17:05| Comment(8) | TrackBack(1) |   ◇耐震強度偽装問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年03月31日

教科書と隣国

日本の教科書検定に関して近隣諸国から反発があったようですね。

ロシアから(30日)
ロシアも教科書検定を批判 北方4島について

韓国から(30日)
教科書に「竹島は日本領」明記、韓国外相が抗議

中国からも(30日)
【教科書検定】中国政府も強力批判

対する日本側の反応。
小泉首相、「教科書検定、私が口出しする問題でない
この記事によれば、日本政府は教科書問題を、外交問題としては正面から扱わない対応をしているようです。

そして新聞社より早いTV系のニュース。
文科相「我が国の立場で正確な記述」

わが国の教育で使う教科書だから、わが国の立場で正確に記述する、ということ」(小坂大臣)
 小坂大臣は31日の閣議後の会見でこのように述べ、竹島が日本の領土であるとする日本政府の立場を改めて示しました。
 また「検定に合格した教科書を使って、指導要領の狙いに沿った教育が行われることを期待している」とも述べました。(31日11:38)


今回の抗議は領土問題にポイントが絞られているようですから話は簡単です。

日本政府の対応は正しい。

領土問題がまさに起きているのですから、一方の当事国である日本が自国教科書で自国の主張を教えるのは当然の話であり、利害敵対国である中国や韓国やロシアがそれに異議を唱えること自体、変な話です。
日本は近隣諸国の教科書の記述に口を挟んだりはしていません。その対応も、私は妥当だと思います。隣人が変だからといって、こちらまでが変になる必要はありませんから。


ただ、この問題では私は次の記事を知り、考えさせられました。


「日本だけ自国中心?」…韓中日歴史教科書比較 】(2006/01/30)

 「近現代史とは、“自分の国”だけが唯一闘争し、業績を残した歴史なのか」

 韓中日3か国の歴史教科書の記述が相互交流の内容を記すよりは、むしろ徹底して「自国中心」の側に傾いているとの分析が出された。

 韓国教員大の金漢宗(キム・ハンジョン)教授ら7人の近現代史専攻者らが共同で出版した研究シリーズ「韓中日3か国の近代史認識と歴史教育」は、望ましい歴史認識の共有に向け3か国の近代史認識をすべて批判的に検討したもの。
(中略)
 もちろん最も根本的な間違いを犯しているのは日本の教科書だ。しかし、他の国の教科書には全く問題がないのだろうか

 韓国の第7回教育課程上の「韓国の近現代史」教科書の日帝時代について書かれた部分は、各時期の代表的な経済政策を通じ日本の経済侵略とそれに苦しむ韓国人の姿を記述している。

 ところが、日本が本国の資本と商品を「輸出」できる「市場」として植民地朝鮮を作ったという記述と、朝鮮の土地を「略奪」し米や資源を「収奪」したという内容が混在している。需要と供給による輸出入という資本主義的経済行為までもすべて「収奪」として画一化する矛盾を内包している、というわけだ。

 また、日本が台湾と満州をどのように支配したかに対する記述が全くなく、周辺の歴史を韓国との関連性の中で見ることができないようにしている、との指摘だ。

 中国は現代史を「中国人民が民族独立と社会進歩を勝ち取るため、反帝・反封建闘争を行った歴史」、すなわち侵略と抵抗の歴史として圧縮している。

 日本軍の占領地域での政策は「野蛮的経済的略奪」と「奴隷教育の実施」に圧縮記述され、収奪と民族抹殺を強調している点で韓国と似ている。

 民族運動に関する部分でも事情は似通っている。春川教育大の金正仁(キム・ジョンイン)教授は、『3か国の民族運動に関する歴史認識の分析』で韓国の教科書が右派と資本主義系列中心の民族運動史を追及し、中国は共産党中心の抗日戦争と社会主義的愛国主義を強調している、と分析する。

 一方、日本は被支配民族の抵抗歴史に対する記述そのものが簡略化されているため、教科書を読んだだけでは「日本は加害者」という明白な歴史的真実をつかみにくい。

 闘争の歴史に対する共有と交流に到達するためには、依然として長き道のりが残されているというわけだ。



やや古い記事でしたが、これが【朝鮮日報】発の報道だったということに、私は感銘を受けたのです。
これは本来、(「根本的な間違いを犯しているのは日本の教科書だ」の部分を除き)日本側のメディアが書いてしかるべき記事でした。

韓国メディアは韓国の主張をし、日本メディアは日本の主張をする・・・のが、本来あるべき姿でしょう。韓国メディアの主張は「根本的な間違いを犯しているのは日本の教科書だ」の部分です。したがって当然、日本人読者である私は、この部分に関しては発信が韓国メディアであることを考慮しつつ受け取りますが、その他の部分に関しては、公正であると思いました。
翻って日本メディアはどうでしょう。「根本的な間違いを犯しているのは近隣諸国だ」と主張することなど、私も最初から期待していませんが、この主張部分を除いた分析部分でさえ、報道されたことがあったでしょうか?

韓国メディアが認める韓国(や中国)の自国中心主義、歴史教育を、日本メディアはなぜ伝えないのでしょう。隣国が自国中心の歴史教育を行っているかどうか、は、日本国内の世論形成にも微妙な影響を与えるはず。つまりそれこそが判断の元になるべき情報として求められている報道のはずなのに・・・ね?

そういう報道を行えば不穏な嫌韓・嫌中派が増えるかも・・・と、心配する向きもあるのかもしれませんが、私に言わせれば、心配御無用です(笑
事実を知らないで形成された好意など、嫌悪感と同様、所詮は幻想にすぎません。もちろん行き過ぎた嫌中・嫌韓も、私の目には幻想としか映っていないのは言うまでもないことです。
そして日本も否応なくそこに組み込まれている国際政治が年々緊迫の度を増してゆく昨今、もはや日本にはいかなる「幻想」も国内に蔓延らせておく余力はなくなってきているのだと思います。

そうした厳しい情勢・・・だからこそ、メディアには真実を伝えて欲しいわけですが。
それが期待薄だから、私はネット情報も頼りにしている・・・というのが現状なのですね。


もうひとつ知った朝鮮日報の報道をついでに。


NYT紙「日本の教科書、韓中よりバランスが取れている」】(2005/04/18 13:54)

 同紙は「教科書制作における綿密な調査と日本の相対的に長い歴史を持つ民主主義史を勘案すると、日本の教科書はおそらく同地域の韓国・中国よりバランスが取れているかもしれない」と主張し
(中略)
「ニューヨークタイムズは韓国と中国も歴史教科書に特定事件を誤って記述したり、省略したりする部分が無いわけではなく、代表的な例として中国の教科書が『米国ではなく中国の抵抗が第2次大戦で日本を敗退させた』と記述している点を挙げた」



米国ではなく中国の抵抗が第2次大戦で日本を敗退させた」・・・こういう歴史認識であってさえ、米国も日本も外交レベルで批判してはいません。
そういうことです。

posted by 水無月 at 15:48| Comment(2) | TrackBack(4) | 中国・朝鮮・在日 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年03月25日

被害者かそれとも・・・(メール問題)

メール問題。
「もう飽きた」との声も聞かれますが、動きがあったようですね。
とりあえずこちら↓。


■永田氏答弁の骨子
 一、メールを持ち込んだ「フリー記者」は西沢孝氏で、出版社役員
 一、氏名を明かしたのは、偽物の情報をつかまされ、友好な信頼関係はないと考えたため
 一、メールの作成者はいまだに分からない
 一、メール提供は西沢氏の自己実現と、私の功績にしてほしいというのが動機だと思う
 一、西沢氏に雑誌購入費42万円を支払ったが、対価であり情報の見返りでない
 一、自分はだまされたと思っている。被害者であると同時に加害者であることは間違いない
 一、政治に国民の信頼を取り戻すことが自分の責任の取り方


以上サンスポ【永田氏がついに情報提供者公表…“いわくつき”のフリー記者】より
http://www.sanspo.com/shakai/top/sha200603/sha2006032501.html


「メール仲介者は、西澤孝氏」と永田議員。
「事実無根だ」と西澤氏(笑
(念のため末尾に報道資料を載せておきます)

(ちなみに、これに関係して錯綜したネット情報については
 【世界の中心でヲチをするノケモノ】(plummetさん)「嘘つき?」
 が的確にまとめてらっしゃいます。参考までに。
 http://d.hatena.ne.jp/plummet/20060324/p2
 「西澤」が本名、「F」は一種の筆名・・・というのが正解だと私も思います)


というわけで本題ですが、バッシングに耐えられず五月雨式に情報を垂れ流す民主党。実に痛いですね、というか痛々しいと言うべきでしたか(苦笑
どちらにせよ幕引きは遠いです。なにしろ西澤氏は否定しているのですから。これはもう、とことん行くところまで行ってもらわねばなりません。証人喚問なんて茶番劇・・・見たいですか? 私は時間の無駄だと思いますがね。謝罪広告も要りません。広告に何千万支払ったか知りませんけど、それで事が済むのは代議士先生の間だけのことであって一般人は到底納得できないと思います。

武部氏次男さんには是非、永田氏を名誉毀損でもなんでもよいから告訴して頂きたいものです。そして永田氏には西澤氏を法廷へ呼んでもらいましょう。武部氏次男さんが告訴しないなら永田氏単独でも西澤氏を告訴すべきです。なんといっても42万円(!)で偽情報を掴まされたわけですからね。
民主党党首前原氏は42万円の情報で「党首討論を楽しみにしててください」とTV視聴者に大見得を切り、民主党は結党以来最大の危機を迎え、国民は最大野党への信頼を失ったわけですか、そうですか。どうもありがとうございます。
こうなったら是非とも永田氏言うところの「自己実現」の舞台を西澤氏に用意してあげたくなりますね。それには国会なんて狭すぎます。白黒キッチリ決着のつく舞台の方が相応しいでしょう。自己実現、結構です。良いじゃないですか。ついでに永田氏にも前原氏にも思う存分自己実現してもらってかまいません。国民の方は42万円の自己実現、最後まで見届けずにはおかないでしょう。


そして時間は前後しますがこちら↓。

産経新聞【メール問題 民主また難題 野田氏「墓場まで持っていくしか…」】(03/24 07:48)

 馬淵氏のホームページにある今月八日付「不易塾日記」によると、同二日夜、馬淵氏が東京・神楽坂のバーに野田氏を呼び出しカウンターでグラスを交わした。馬淵氏が「十分なお役に立てなくて申し訳ありません」と話すと、野田氏は「いやー、いろいろあったけど墓場まで持っていくしかねぇなー」と笑って話したという。

 墓場まで持っていかねばならないメール問題の核心情報とは、どんな内容なのか。問題が収束しない中、火に油を注ぐ野田発言に同党の若手議員の一人は「野田氏も野田氏だが、それをホームページに載せる馬淵氏も同罪だ」と怒り心頭だ。


 馬淵氏は耐震強度偽装事件の追及で注目を集めたホープ。あまりの能天気ぶりに党内の失望感は極限に達している。

http://www.sankei.co.jp/news/060324/sei035.htm


馬淵氏がホープ・・・。そうでしょうか? そうなんですかね??


【まぶちすみおの「不易塾」日記】「前人未到の荒野」(2005.12.20)

自民党による証人喚問拒否をどう突き崩すか!?。

この新たな命題に向かって、徹底的にメディアを使ってのアピー
ルを展開してきたこの二日間なのだが、いよいよ新たなチャレ
ンジを試みた。

ブログとのコラボレート(協働)である。

多くのメールやファックスや電話でもお知らせいただいていた、
ネット上のブログ、「きっこの日記」の作者との共同作業を思
い立ったのである。

国会質疑の中で、激励いただいた方々からの情報によって知っ
たこのブログの作者がどのような方かはまったく存じ上げない。
しかし、新たな大衆の声として、大きな支持を得ていることだ
けは事実である(読め!との連絡ひっきりなし!)。

全国会議員への、証人喚問の是非を問う緊急アンケートの実施
要望!。「理事会が決めた」、「委員会が決めた」とは言わせ
ない、「あなたは、どう思う?」と国会議員の生の声を問う、
ネットからの発信。

果たして、どのような結果になるかはわからない。
が、おそらく憲政史上初めての、「ネット連動型国民運動」で
ある。

もはや、個人の活動領域を超えることになるが、とりあえず今
日、おそばについていた野田国対委員長にもご相談申し上げる。

「素晴らしい!。前人未到の荒野のごとき、大国民運動になる!。」

の言葉をいただいた。
やるしかない。
もはや、止まることはできない。

http://www.election.ne.jp/10679/archives/0002241.html


このブログの作者がどのような方かはまったく存じ上げない」と自ら認めるネット上の人物と、いとも容易くコラボレート(協働)してしまうホープ・・・。
それを「素晴らしい!。前人未到の荒野のごとき、大国民運動になる!」と激励する国対委員長(当時)の野田氏・・・。
メール騒動はどうやら起こるべくして起こったもののようですね。

大国民運動・・・は民主党バッシングとしてめでたく実現したようです。
お望み通り到達した「前人未到の荒野」からの眺めはいかがですか?


とりあえず民主党には、一刻も早く永田氏を辞任させ、執行部の指導力を見せてもらいたいものです。
そして西澤氏やメールを巡る疑惑のあれこれにハッキリと片をつけること。しかしこんな問題をいつまでもダラダラ引きずられては国民が迷惑するだけですから、関係者には即刻司法の場に移動してもらいたいですね。野田氏にももちろん、墓場まで待たず今すぐすべてを語ってもらいましょう。

ネット上には根強くきっこ氏と西澤氏、また元オウム信者の松永氏との繋がりを指摘する声があります。話題性も十分ですからネット上の世論が今後も加熱することは避けられそうにありません。
そうであれば、民主党としては自ら「疑惑」を積極的に解明する(解明に協力する)姿勢をこれでもかと鮮明に打ち出すしかないでしょう。
そうでなければ民主党が意図するような、騙された善意の「被害者」になど到底なれませんよ。


被害者・・・でなければなにか。ただの敗残者でしょう。



◇以下報道資料

【<偽メール>4日にも西澤氏の証人喚問 衆院懲罰委】
(毎日新聞) - 3月25日1時13分更新
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060324-00000116-mai-pol

 衆院懲罰委員会(岩國哲人委員長)は24日の理事会で、偽メール問題をめぐり、永田寿康衆院議員(民主党員資格停止中)がメール仲介者として公表した西澤孝氏の証人喚問を来月4日にも行うことで合意した。証人喚問は全会一致が原則で、29日の同委員会で正式に議決する見通しだ。懲罰委が議院証言法に基づく証人喚問を行うのは初めて。理由なく出頭しなかった場合は同法により、1年以下の禁固または10万円以下の罰金が科される。
 民主党は当初、証人喚問に慎重だったが、西澤氏が代理人を通じ「(メール提供は)事実無根だ」と主張。永田、西澤両氏の説明が食い違ったため、喚問に応じる姿勢に転じた。同党の鳩山由紀夫幹事長は24日の記者会見で、喚問を受け入れる理由について「(西澤氏に)正直に質疑に答えていただくよう、証人喚問を求めた」と説明した。
 岩國氏は理事会終了後、記者団に対し「来月6日には結論を出したい」と述べ、証人喚問後、早期に永田氏に対する懲罰内容を決める意向を示した。しかし、自民党の逢沢一郎幹事長代理は24日、懲罰委での質疑について「真相の全面解明にはほど遠い」と指摘。今後の焦点として(1)メールの授受をめぐる永田、西澤両氏の説明の食い違い(2)メール作成者の名前と目的――などを挙げた。【平元英治】
   ◇
 衆院懲罰委が証人喚問を決めた西澤孝氏の代理人、和久田修弁護士は24日、毎日新聞の取材に対し「証人喚問が決定したということで本人と話した。慎重に対応しなければいけないので、今日の段階では具体的なコメントを控えたい。証人喚問を受けるかどうかも含めて検討する」と述べた。


posted by 水無月 at 20:20| Comment(3) | TrackBack(3) | 国内(その他) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年03月16日

受け入れる側の論理

個人的には、以前(3/6)にUPした【松本被告次男入学拒否のニュースで思うこと】(http://yohaku.seesaa.net/article/14272155.html)で「この問題に、私はまだ決着をつけられていません」などと保留にしておいたツケが回ってきたような気がしました。


【 経 緯 】

「アルファブロガー」松永英明氏が元オウム真理教信徒であった過去を自ら認めました。


・過去の経歴の部分については、野田さんの公表されたとおりです。

・現在、私は団体に所属していません。そこから飛び出したという表現がしっくりくるかと思います。

【備忘録ことのはインフォーマル】
http://d.hatena.ne.jp/matsunaga/20060313#1142201603


(管理人注・・・「野田さん」は【ESPIO】の野田敬生氏のこと。
 以下【ESPIO】より引用)

4.「河上イチロー」
 河上イチロー・・・90年代後半に活躍した伝説的なネットワ
ーカーである。筆者と同年代のネット利用者ならその名を知らぬ
者はいないだろう。「河上イチロー」は勿論ペンネームだ。

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4947737026/

 河上氏はかつて "Der Angriff"(ドイツ語で「攻撃」の意)と
いうHP(掲示板群)を主宰していた。長らく何者であるかは誰
にも分からなかった。しかし、後にオウム信徒である(あった)
ことを暴露され、2000年10月、「河上イチロー」という架
空人格はネット上から姿を消した。

・・・(中略)・・・

筆者はある調査を通じて、「松永英明氏=河上イチロー氏」で
あることの客観的で、かつ動かぬ裏付けを取ることに成功した。
 今回の記事で上記4のとおり指摘するのは、決定的な根拠が存
するからに他ならない

【ESPIO ■M.V.Project HONDA Sigekuni Vol.405 02/27/06】
http://espio.air-nifty.com/espio/2006/02/mvproject_honda.html



こうした経緯は、私個人にも少なからぬ衝撃を与えました。とはいえ、私は松永氏も、その主たる活躍の場であり結果であった【絵文禄ことのは】も、「アルファブロガー」という言葉ともども、つい最近まで全く知らなかったのですから、衝撃を受けたといっても、それは
「自分も利用していた『BLOG』あるいは『インターネット』という世界でのすぐ隣人に元オウム信徒がいた」
という事実からもたらされるものです。

私自身がこのニュースに触れた経緯は以下の通りです。
まず耐震強度偽装問題に関心を持つ
→この事件で一種のスクープを飛ばし続けていたらしい【きっこのブログ】の存在を知り、その管理人が誰かという話題がネット上で盛り上がっていることを知る
→【絵文禄ことのは】の松永氏が【「きっこの日記」五年分すべてを通読してわかった。きっこの正体(きっこの日記検証1)】で始まる一連の記事をUPしていたことを知る
→民主党メール問題が起こる
→政治とインターネットとの関わりについて、深浅広狭は様々なれど興味関心あるいは問題意識を抱く
→上記問題意識から巡らせていたアンテナに当ニュースが引っかかった

つまり、私が【きっこのブログ】や【絵文禄ことのは】を知ったきっかけは現実の政治であった、ということです。逆に言えば、それらのサイトが現実の政治に関わらない限り、少なくとも私に関しては、【きっこのブログ】や【絵文禄ことのは】を知ることはなかった、ということ。
私にとってこれは意味を持つ事実です。


【 元オウム信徒を受け入れるには 】

松永氏のニュースに触れた時、私が一番に考えたのは、私が元オウム信徒であったらどうするか・・・ということでした。
それは結局、サリン事件等を団体で起こしたオウム真理教という組織に人生の一時期所属していた人間は、その後どのように社会へ戻ってゆくことが可能か、という問題と同じです。
けれどもその問題を考える前に、私は幾つもの根本的な前提となる問題があることに気づきました。それは例えば以下のようなことです。

・オウムとアーレフを同じものと看做すのか、それとも別物と考えるのか。
・オウムは宗教団体か、それともテロ組織か。

私の理解では、「オウムは宗教団体でありかつテロ組織であった」が、「そこから人的資源や教義等その他諸々を引き継いで存在しているアーレフは、宗教団体としてのみ存在を許されている」、というものです。だからアーレフは現在も(テロ組織化しないよう)公安組織から監視されているのでしょう。

さて、そういう前提で考えてみます。
かつてオウムに在籍したことのある人間はどのように社会へ戻ることができるのか。
私にはふたつの道しか考えられません。

 @ オウム的価値観から完全に離れ(したがってオウムの教義を引き継ぐアーレフからも当然に脱退し)、日本社会の価値観を受け入れこれに従って生きる。
 A 宗教的教義を含めたオウム的価値観から完全に自由になることができないならば、(アーレフに在籍するにせよ脱退するにせよ)オウムへの批判を自己への批判として甘受しつつ生きる。

失われた命が決して元には戻らないように、オウムの罪は事実(歴史)として残り、永久に消えることはありません。
そうした団体にかつて一度でも共鳴してしまった過去を持つ個人としては、罪の象徴=オウムと自己との距離感をどのように取るか、というくらいことくらいしか、もはや取るべき道はないように思うのです。
そしてもちろん、@であるにせよ、Aであるにせよ、オウムの罪と自己との関わりを最大限真摯に、極限まで、突き詰めたあとでなければ、社会への復帰など不可能でしょう。
たとえば、オウム組織のごくごく末端に所属し、教団が反社会的行為等に関わっていたことを全く知らなかった場合であってさえも、そうした組織であると自分が見抜けなかったこと、密かに殺人を計画し指示していた「教祖」の教えに自分が共感を覚えたこと、などを突き詰めなければならないはずです。
そしてそこを突き詰めてゆけば、自身の判断力や思考力への疑義が当然に生じるはずです。
それはつらいことに違いないだろうと思います。かつての自分を否定することにも通じるでしょう。けれどもまた、そうしたつらい、魂から血の吹き出すような反省や自己否定を経たあとでなければ、日本社会は彼らを受け入れることはできないだろうとも、思うのです。オウムはそれほどのことをしでかしてしまった・・・わけですから。


【 松永氏の場合 】

回りくどいですが、私は以上のようなことを考えてからでなければ、松永氏をどのように私自身が判断すればよいのか、考えることができませんでした。
松永氏はかつてオウムに所属し、今は離れたと述べています。松永氏を私が知ったのはつい最近であり、彼の著書やウェブ上での発言を私は大部分知りませんでした。また、私が彼を知ったのは私自身の現実の政治への関心からです。
以上のようなことを考え合わせると、残念ながら、私はまだ松永氏の発言を完全には受け入れることができない、と判断せざるを得ません。つまり、松永氏の現在、そして過去の発言を額面通りに受け取る(信じる)ことは留保したい、という意見です。


私の疑問は、なぜ彼がオウムやアーレフを脱退したにもかかわらず、あえて政治に近づくような発言をした(【きっこの日記】に関する記事をUPした)のか、ということです。
松永氏はオウムやアーレフとの現時点での関わりを否定しています。そうであれば、過去を暴かれることは氏の望むところではなかった・・・はず。世間で話題になっている事柄に関して発言すれば、当然、自身も注目を集め、結果として過去を暴かれる危険も予想できるでしょう。また、本当にオウムやアーレフとの関係を絶ち過去を清算していたのであれば、自身の判断力や思考法には強い疑念を抱いて当然なのですから、政治的な意味を持つ問題に関しては尚更、発言を控えておこうと思うものではないのでしょうか。
松永氏はそのほかにも、民主党や自民党の主催する著名ブロガー懇談会へ出席しています。これもまた、明らかに政治へ近づく行為です。

松永氏自身は以下のように述べています。


・民主党・自民党の懇談会については、完全にブロガーとしての立場ならびに思考で参加させていただきました。私自身、ここまで問題視されることであるという認識はなく、その認識の甘さについては、ご迷惑をおかけした各方面にお詫びせねばなりません。しかし、私は単に「ちょっと違ったところでおもしろい話が聞けて、それを皆さんにお伝えする」というだけの気持ちで参加したものであり、それ以上でもそれ以下でもなかったという事実については申し添えねばなりません。もちろん、そのように認識が甘かったということについては、批判を受けねばならないと考えています。
【備忘録ことのはインフォーマル】「一連の疑惑について」
http://d.hatena.ne.jp/matsunaga/20060313#1142201603


とりあえず、元オウム信者は今の日本社会において「終身執行猶予つき終身刑」みたいな状況に置かれているわけです。つまり、何か悪いことをするんじゃないかという目で見られ続け、しかもそれは死の瞬間になって「ああ、この人は何もしなかったね」ということでしか証明できない。言い換えれば、今、私がすべてを証明することなどできやしないので、今までどおり、読者の役に立つ(あるいは知識としておもしろい)話題をブログで提供し、役に立つ本を書き続ける、あるいはその他何か社会の役に立つ事業を行うという方向性を保ち続けて寿命を迎える以外に道はないと思う。この人はもしかしたら何かたくらんでるんじゃないだろうか、と疑われ続けるという状況からは、死ぬまで逃れられないだろう(もちろん、相手によるが、社会一般として)。

【備忘録ことのはインフォーマル】「今の気持ち」
http://d.hatena.ne.jp/matsunaga/20060315#1142387396


以上からは、元オウム信徒として社会から特別視されることの被害者意識は読み取れますが、かつてオウムに所属していた自身の判断力や思考法を疑い、そこから苦しみながら立ち上がった、という精神的苦闘の痕跡は一切窺えません。

精神的苦闘の痕跡が窺えないから、彼が苦闘しなかった・・・とも、言い切れないものと思います。私は松永氏に関してほとんどなにも知りません。彼はもしかしたら、真摯に反省したことを公にする行為へ一種の「恥ずかしさ」を感じるような性格の人かもしれない、からです。

けれどもそのように好意的に考えてもやはり、なぜあえて政治的な意味を持つと受け取れる行為をしたか、という疑問は残ります。
(この疑問は、松永氏がアーレフにとって利益になるようななんらかの目的意識の下に、これまで計画的に発言してきたのではないか、という疑いへと道を開くものでもあります)


【 受け入れる側の論理 】

私は、以前にオウム信徒であった人は、その過去を隠したまま、社会に政治的な影響を与えるかもしれない行為をすべきではない、と思います。
いや、すべきでない、というより、して欲しくない、という方が正確かもしれません。かつてオウムが○○省といった国の機関を模したような内部組織を作り、どうやら本気で国家転覆を企てていたらしいと思われる節があり、事実としてサリン事件等複数の凶悪な犯罪行為を起こしていた、ことからすれば、そうした警戒心を社会の側が持つのも当然と思います。元オウム信徒であった人は、政治的や社会的発言を控えるか、そうでなければ自己の立場を明らかにしてから発言すべきでしょう。例えばアーレフのように。

だから松永氏もまた、政党主催懇談会への出席を辞退するか、もしくは、出席する前に過去を自ら公表すべきでした。さらには【きっこの日記】のようになにかと注目を集めるBLOGに関しては発言しないような注意深さを持つべきでした。
彼が本当にオウムから脱却し日本社会への復帰を望むのであれば、最低でもその程度の誠実さ(日本社会へ対する)を示して欲しかったのです。そしてこの誠実さを示してくれないまま、こういう形で過去が明らかにされてしまった以上、もはや自己の発言が額面通りには受け入れてもらえない、という現状を甘受するほかはない、のではないでしょうか。

松永氏は懇談会へ出席したことに関し、「認識の甘さについては、ご迷惑をおかけした各方面にお詫びせねばなりません」と述べています。
正直、私はこの一文にも引っかかりました。彼の認識は確かに甘かったでしょうが、問題は、その甘さがなにに由来するものか、現在もなお彼が突き詰めて考えているとは思えない、ことです。

その認識の甘さ、つまり認識の(日本社会の側が持つそれとの)乖離、こそ、オウムの犯した犯罪への視線の温度差、にほかなりません。
日本社会へ復帰するとは、このオウムの犯罪に対する日本社会側の認識を、その本人(元信徒であった人)も共有する、ことが不可欠です。この認識の共有が確かになされている、と感じられるまで、社会の側は残念ながら受け入れることはできないでしょう。
けれどもまた、社会の側は、彼らに帰ってきて欲しいと切実に願っているのも事実だと思います。真摯に教団と自己を突き詰めることでなんとかこの乖離を埋め、ひとりでも多くの元信徒の方々に、帰ってきて欲しいと思っています。


 
posted by 水無月 at 14:25| Comment(2) | TrackBack(2) | 国内(その他) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年03月13日

ピアチェックは可能か?

【 ピアチェックって? 】

まず、ピアチェック(またはピアレビュー)ってなんでしょう?

【NPO法人 "建築技術支援協会"PSATS (サーツ)】の
【●NHK教育テレビ12月8日放映「視点論点」
 「耐震偽装/構造的な問題と今後の提言」の草稿 掲載 米田雅子】
 http://www.psats.or.jp/katsudou/shitenronten.html
によれば、それは「プロの構造設計者がチェックする仕組み」だそうです。

耐震強度偽装問題にはさまざまな観点があるでしょうが、結局のところ問題点(解決法)は次の二点に集約できると思います。

  @ 再発防止策
  A 再発した場合の手当て

ピアチェックは、このうちの@への、ひとつの「解」なのでしょう。
私自身も、この問題の根本には、

  設計者のスキル > 検査機関のスキル

という問題点があると感じています。スキルには時間も含みます。検査機関の中には、構造の専門家を置いていたところもあるでしょう。しかし、審査を受け付ける件数に比べ圧倒的に人数が少なかったために、建築確認審査は形骸化し、言わば書類(の有無)をチェックするだけ・・・のような実態になっていたようです。
(例1 たとえばイーホームズ社はこのように述べています。
 「法が求める確認という行為は、法定期限内で、申請図書の全てを点検し、再設計や再計算までの検算をする義務を求めるものではない」)
(例2 ほかにも、確認審査をした自治体が偽装事件発覚後の再検査を自力でできずに民間の検査機関へ依頼した、当初確認検査時に構造計算書のエラー表示を見落としていた、などの事例から検査機関の検査能力が根本的に不足していたことが明らかとなっています)

官と民とを問わず、そもそも検査機関側に検査できるだけのスキルがなければ、設計士の高度な偽造であれ単純なミスであれ、それを見つけ出すことは絶対にできません。

こうしたことを知ると、構造設計を検査できるのは構造設計者だけだということになり、ピアチェックの重要性・必要性が切実に感じられてくるのです。



【 ピアチェックの具体化案 】


まず報道資料から。

【構造計算書、第三者機関で再点検…国交省方針】
http://www.yomiuri.co.jp/feature/fe5500/news/20060222it06.htm
 耐震強度偽装事件で、社会資本整備審議会(国土交通相の諮問機関)の「基本制度部会」は22日、構造計算書改ざんを見抜けなかった現行の建築確認制度を抜本的に見直し、一定規模以上の建物について、新たに設立する第三者機関が構造設計を再点検する「ピアチェック」の義務化などを柱とする再発防止策をまとめた。

 第三者機関は、必要に応じて建築士から事情聴取を行うなど厳格に点検し、審査をパスしない限り建築確認が下りない仕組みとする。国土交通省は早ければ年内の設立を目指し、近く、建築基準法などの改正案を提出する方針だ。

 構想では、新たな第三者機関は、外部の構造設計専門家を起用、耐震強度基準を満たす設計になっているかどうかなどを再点検する。姉歯秀次・元1級建築士(48)は書面の差し替えなどで改ざんしていたことから、現在は書面で提出させている構造計算過程は電子データで提出させ再計算する。場合によっては設計者からの事情聴取も行い構造計算の偽装やミスを防ぐ。

 ピアチェックとは、専門家による二重チェックで、義務付ける対象は、高さ5階程度以上のビルやマンションのほか、病院など公共性の高い建物とすることを検討している。第三者機関は、既存の国交省関連団体をもとに組織する方向だ。

 このほか再発防止策には、▽新築マンション、戸建て住宅の欠陥に備えた保険加入などの義務化▽建物の完成前に自治体などが現場でチェックする「中間検査」の義務化▽強度不足の建物を建てさせた建築士・施工者らに懲役刑を科すなど建築基準法などの罰則強化――などを盛り込んだ。
(2006年2月22日14時35分 読売新聞)



ということなので早速国交省資料で「柱」の部分を見てみます。



【建築物の安全性確保のための建築行政のあり方について 中間報告】
平成18年2月24日発表
http://www.mlit.go.jp/kisha/kisha06/07/070224_4_.html

(前略)

4.建築物の安全性確保のため早急に講ずべき施策
 (1) 構造設計図書の建築確認時の審査方法の厳格化
  @構造設計図書の審査方法の見直し
    構造設計図書の審査は、審査方法を法令上の審査基準として
    定め、次の方法により厳正に行う必要がある。
    1)一定の高さ、一定規模以上の建築物等については、建築主
    事、指定確認検査機関が審査基準に従って入力データの審査、
    構造詳細図と断面リストの照合等を行うとともに、第三者機
    関における構造計算の適合性の審査を義務付ける。第三者機
    関においては、構造の専門家等が構造詳細図及び構造計算書
    を用いて計算方法、計算過程等の審査を行う。
     ただし、国土交通大臣の認定を受けた構造計算プログラム
    を用いて構造計算書等を作成した建築物については、建築確
    認申請時に入力データ(電子情報)を添付させ、構造の専門
    家等により構造計算プログラムの適用範囲内であること、入
    力内容に関する考え方などを審査の上、再入力し、計算過程
    における計算ミス又は偽装の有無についてチェックを行う。
    この場合、構造の専門家による計算過程の審査を簡略化する
    ことができる

    2)その他の建築物については、審査基準に従って、建築主事
    や指定確認検査機関が厳正に審査を行う。
  また、第三者機関のシステム面や運用面のセキュリティの確保を
 図るため、適正な対応策や実施体制について検討する必要がある。

(後略)



う〜ん。これ、良さそう? それともダメそう?? というあたりで長らく考えていたのですが、特に気になるのは上記内の青字で示した部分です。

  ただし、国土交通大臣の認定を受けた構造計算プログラムを用いて構造計算書等を作成した建築物については、 ← 前提条件ですね
  建築確認申請時に入力データ(電子情報)を添付させ、 ← いいね
  構造の専門家等により ← ここがピア(同業者)だ!
  構造計算プログラムの適用範囲内であること、 ← うむ
  入力内容に関する考え方などを審査の上、 ← なるほど
  再入力し、計算過程における計算ミス又は偽装の有無について ← お!
  チェックを行う。  ← 素晴らしい!!
  この場合、  ← ん?
  構造の専門家による計算過程の審査を簡略化することができる。 ← はぁ?


あまりにも「はぁ?」だったので、これをどう解釈するかで、相当考えてしまったわけですが、結局こういうことだと思います。


まず、建築確認申請時に入力データ(電子情報)を添付する。
次に、構造の専門家等
 ・構造計算プログラムの適用範囲内であること
 ・入力内容に関する考え方
などを審査する。
そして
 ・再入力し、計算過程における計算ミス又は偽装の有無についてチェック
の部分は、やらないか、または構造の専門家でない無資格者が行う



想像ですが、おそらく、図面や書類をプロの目で見て、なにかおかしいと感じた場合には再計算までしてみる、そのために念のため電子データも提出させる、そういうことなのだろうと思います。



【 ピアチェックは可能か? 】


実際のところ、前項【ピアチェックの具体化案】のような事態を、私はある程度予想していました。
というのも、単純に考えると、ピアチェックとは要するに、一定階数や一定規模以上といった条件の建築物に関して、日本全体における構造設計者の全作業件数を2倍にする、ことだからです。もちろん、設計本来の作業量と検査の作業量とを比べれば、前者の方が多いはずです。だから作業量(作業時間)自体が単純に倍加するとは言えないかもしれません。しかし相当に増えることだけは確かです。構造の専門家とは私の理解によれば、一級建築士の資格を持ち実務で構造設計に携わっている人、です。
こうした人が何人いるか知りませんが(参考・・・JSCA=日本建築構造技術者協会の正会員は2003年6月現在で3566名)、実務で設計に携わっている人・・・とは当然、日々自分自身の仕事をしているはずなのです。建築事務所へ勤めて実務で設計をしている人が、同業者の設計物をもチェックする、それがピアチェック本来の発想のはずです。自分で設計する人だからこそ、プロならではの目を持つはずだ、と期待しているのですから。
ところで、構造設計の実務者達にその時間的余裕があるのでしょうか・・・ね?(汗

私が一番に感じた疑問はここでした。そもそも、建築確認検査機関の審査が形ばかりのものになっていた原因も、突き詰めれば人手不足・人材不足だったはずです。
同じことになってしまわないでしょうか?

このピアチェックを有効に活用させるためには、最低でもふたつの条件が満たされなければなりません。

 @ 十分な専門家の数(時間も!)の確保
 A ピアチェック部分の検査料増額(専門家への報酬の確保)

Aは単純に経済的な問題ですから、その気になればクリアできると思います。最終的な消費者である住宅購入者や建築主も、制度の必要性を理解できれば納得してくれるはずです(もちろん、そのために社会へ理解を広める努力が国や行政や建築業界側にも求められるわけですが)
しかし@の方は、一朝一夕には解決しません。一級建築士や建築構造士の資格を乱発されても困りますし、これまでほとんど構造に携わっていなかった意匠建築士や引退建築士などが、突然「構造の専門家」の看板を掲げるようなことでも困ります。
となれば、検査は極力効率的になされる必要があるわけです。


また、構造計算プログラムは106種類あるそうですね。この中には当然、あるプログラムではOKでも、別のプログラムではNGである、というようなことが起こりうるでしょう。
チェックする専門家が設計で使用されたプログラムを知らない(利用できない)、という事態も考えられます。その場合にはどうするのでしょう。たとえば予めチェック可能なプログラムを第三者機関へ申告しておき、該当するプログラムの設計だけをそこへ割り振るのでしょうか、それとも割り振りは機械的に行い、もしチェックできない設計だった場合には図面や書類上の設計を目や頭や手計算で審査するに留めるのでしょうか・・・。
そう考えると、「再計算を簡略化」も十分予想できたわけです。(逆に、チェック可能なプログラムだけを引き受ける割り振り制度を考えると、使用者の少ないプログラムを利用した場合、設計者と検査者がごく少数の集団になってしまい、検査を繰り返すうちに顔見知りになってしまう、すなわち第三者とはいえなくなる、という弊害も予想できます)


専門家によるチェック、とひと口に言っても、その実現は極めて困難です。


さて、以上は私の素人考えですが、では当のプロの皆さんはどう主張しているのでしょう?
というわけで、JSCAを見てみました。

【建物の構造性能確保に向けての提言】
 2006 年2月14 日 (社)日本建築構造技術者協会 会長 大越俊男
http://www.jsca.or.jp/vol2/23news_release/2005False/jsca20050214-1.pdf

(前略)
2.構造設計の審査方法の提案

 1)計算プログラム偏重より設計内容の精査が不可欠
  構造計算は構造設計の検証に過ぎない。審査すべきは設計内容であり、計算プログラムの使い方に論点が絞られるのは危険な兆候である。偽造の発見はもとより重要であるが、それだけでは不十分であり、設計内容の精査こそ健全な社会資産である建築物の創造には欠かすことはできない。

 2)大臣認定プログラム制度は廃止すべき
  大臣認定プログラムはコンピュータが一般化した今日、その役目を終えているだけでなく、審査者が過度に依存するという弊害を生んでいるので、廃止を含めた制度見直しを行うべきである。

 3)再計算によらないチェック方法
  JSCA では行政や民間からの依頼を受けて構造設計のチェック作業を行ない成果をあげている。構造設計の審査は、基本的な数値の整合性の確認や略算的な手計算によることで可能であり、必ずしもデジタルデータ提出による再計算を行なう必要はない。

 4)審査マニュアルの策定
  単純な再計算は審査が形式化する危険性を含んでおり、あらゆる審査機関で設計内容の精査ができるシステムを目指すべきである。審査方法はまずこれをベースとする。そのためには構造設計のチェック方法、審査マニュアルの策定が急務であるが、JSCA はそれに全面的に協力し、行政や民間機関の審査員のレベルアップへの協力体制を構築する。

 5)第三者審査の採用
  第三者の審査を行なうことは意義があり、JSCA が主張してきたピアレビューに相当する。
  前項のルートに加え、規模や用途などで区分して特殊な建物を定め、第三者審査を義務付ける。実際の審査は設計実務経験者が行なう必要があるが、JSCA の建築構造士は多くの建物の設計検証を行なった実績が十分にあるため、審査に協力することができる。但し、その前提として、設計者とレビュアーの責任分担や保険との関係を整理することが不可欠である。



JSCAはもともと再計算を推奨しているわけでも、実践しているわけでもないようです。
(とすると、国交省が毎度発表している「Qu/Qun」値の根拠は? となるわけですが)
JSCAの主張は、国交省の中間発表にあった「構造の専門家による計算過程の審査を簡略化することができる」の一文とも矛盾しません。むしろ、国交省の中間発表はJSCAの見解を踏まえているのかもしれませんね。



【 ま と め 】


というわけでまとめです。

国交省の再発防止策で想定されているピアチェックでは再計算はしません

というか、たぶん全件の再計算はできないが、実情だと思います。
JSCA(日本建築構造技術者協会)は再計算無しで大丈夫と主張しています。

本当に大丈夫かどうかは、私には判断できません。


※関連エントリ・・・【耐震強度偽装問題カテゴリー


 
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2006年03月11日

非・姉歯物件がいっぱい

非・姉歯物件をまとめてみました。
(姉歯物件はこちら → 【姉歯偽装物件時系列一覧】 3/9現在)

(以下のすべてが耐震偽装物件というわけではありませんので ご注意ください)

@ サムシングルート(サムシング活鼡煙囃z士事務所の関与した物件)

 ・木村建設が施工したことから発見された。
 ・福岡県福岡市で三件の強度偽装が国交省により確認済。
(仲盛昭二所長=一級建築士は「書類上のミスで偽装ではない」と反論)
 ・サムシングは2002年に倒産。最盛時50人の建築士を抱え
 計12000棟の設計に関わったとされるが、関係書類は散逸し
 構造再計算が不可能な物件も多い。

 →11日、三件のうち二件が別の計算方法では強度を満たすことが判明。
  http://kyushu.yomiuri.co.jp/news/ne_06031104.htm


A 田中ルート(田中テル也構造計画研究所の関与した物件)

 ・木村建設が施工したことから発見された。
 ・物件名:セントレジアス鶴見/建築主:ヒューザー/
 設計者:下河辺建築設計事務所/建築確認:日本ERI/Qu/Qun:0.64
 ・横浜市で一件が「偽装はないが構造計算の誤りと考えられる原因により
 建築基準法の求める耐震基準を満たしていない物件」と国交省で確認済。
 (【建築よろず相談】ではこの見解に疑問を呈している)

 ・田中瑛也氏は日本建築構造技術者協会(JSCA)の会員
 (http://www.jsca.or.jp/vol2/11as_eng/list2005/05tokyo.html


B 熊本県ルート(非姉歯で複数の設計事務所が関与した物件)

 ・木村建設が施工していたところから発見された。
 ・2月8日、熊本県が強度不足の物件として6件を発表。調査で耐震強度を
 満たしていないと判明したのに国への報告を遅らせたことが問題となる。
  →10日、関係する建築士9名全員が偽装を否定。
     中山構造研究所(中山明英一級建築士)は県の計算方法に
     問題がある(=県のレベルが低い)ことを指摘して反論。

  →13日、熊本県が新たに16件を発表。強度不足が疑われる物件は
     計22件となり再度熊本県が検証をすることに。
  →14日、国交省は、22件のうち中山構造研究所設計の7件につき
    「高度な知見を要する」との理由で、国交省が検証することを発表。
  →当エントリ記述時点で、強度不足物件はなし。
     1件は強度が十分であることが確認された。
  →5月24日熊本市の発表により、国側に検証を委託していた6件の
   安全性が確認された。(5月31日追記 末尾の※補注1もご覧下さい)



C 札幌ルート(浅沼良一二級建築士が関与したもの)

 ・札幌市内のマンション建築主が、自社物件の検証を行ったところ
 構造計算書に疑義が生じたため発覚。
 ・浅沼建築士は北海道内で112棟の構造計算に関与、うち33件で
 偽装を認め、5件について札幌市が偽装を確認済。

 ・二級建築士では手掛けられない複雑な物件の計算を行っており
 建築士法違反(無資格業務)の可能性もある。
 ・浅沼建築士は第三者の関与を否定し、耐震強度には自信があると釈明。
 「個人的な解釈で、保有水平耐力の基準そのものに疑問があった」
 「耐震壁を多く採用して建築した物件は耐震性に問題がないと信じてい
 る
。過ちは過ちかもしれないが、考えを理解してほしい

 http://www.yomiuri.co.jp/feature/fe5500/news/20060307i216.htm


D その他 非姉歯かつ非木村物件での強度偽装・強度不足は
 今のところ報告されていない。
 (非姉歯で木村建設・ヒューザー・平成設計・総合経営研究所の
  関与が確認された物件総数584件のうち、調査済は417件。71%)



上記をまとめるにあたっては国交省公表資料と、日本語配信ニュースを参考にしました。

なお、上記はこれまで報道がされたものの中から、非・姉歯物件をまとめたものです。
特にBの熊本ルートでは、偽装に関しても強度不足に関しても、まだ確定したものは一例もない、ということを強調しておきます。国交省が中山構造研究所の主張を認めたことからも、おそらく(少なくとも中山構造研究所では)偽装などの不法行為はなく、むしろ県を上回る高レベルな設計を行っていたのではないかと推測できます。けれども、もしそうであるならば、そうした高レベルな(国の発言によれば「高度な知見を要する」)設計を現場が行っており、それを、検査する側の自治体が理解できていない、という事態そのものに問題があると考えたため、あえて記載しています。(3月11日 10:30補記)


◇       ◇       ◇



以下は私の雑感ですが、まさに泥沼・・・の様相を呈してきていますね。
耐震強度偽装問題の背景にあるのは、どうやら経済設計思想だけではないようです。

とりあえず、構造計算が非常に複雑であること(「高度な知見を要する」)、したがって自治体や民間検査機関では偽装がもし行われていた場合、それを見抜くことなどはじめから不可能であった、ということはわかりました。そもそも建築確認制度自体が、偽装やミスを想定していなかったのでしょう。誤りがあるかも? という前提でそれを「検査」することが目的なのではなく、「建築確認を下ろす」こと自体を目的としていた・・・のでしょうね。

しかし残念ながら、構造設計に関わる一部の建築士たちは、そうした前提にまったく馴染まない存在でした。
JSCAの会員がミスをしていたり(田中設計士の場合)、そもそも資格のない二級建築士が下請けとして設計していた(浅沼設計士の場合)なんて、一般の人には想像もつかない事態です。それが想像できるのは、おそらく業界内部にいた人達だけ・・・でしょう。そうした業界内部の人達の中にも良心的な人は大勢いたに違いないですが、事件前に彼らの声が外へ漏れてくることはありませんでした。実に残念なことです。

そうした中で、建築士の皆さんが運営しているらしい【建築よろず相談】のような存在はとても頼もしいです。
http://www.shou.co.jp/yorozu/naibu/frame-heya.htm
この中では、JSCA所属の田中テル也構造計画研究所設計「セントレジアス鶴見」の問題点を、鋭く指摘しています。私のような素人は報道で「田中研究所と日本ERIとの二重のミス」
http://www.asahi.com/special/051118/TKY200602170339.html
などと説明されれば、そういうものかと思うしかありません。けれども業界事情に詳しい建築士らが「おかしい」と指摘しているのであれば、やはりおかしいのでは? と思えてきます。
逆に言えば、設計士のような人達が積極的に問題点を指摘してくれなければ、一般の人間は疑うことさえできない、という現実があります。専門家の皆さんの誠実で真摯な発言・・・なによりも良心・・・に、期待するばかりです。


専門的といえば「許容応力度等計算」と「限界耐力計算」、二つの計算方法で結果が大きく異なる問題については、国交省がどうやら取り組むようです。
http://www.asahi.com/special/051118/TKY200603090451.html
JSCA(日本建築構造技術者協会)も意見を出してますね。
http://www.jsca.or.jp/vol2/23news_release/2005False/jsca200511.html

このJSCAはまた、一連の耐震強度偽装問題に関しても活発に発言しています。
http://www.jsca.or.jp/vol2/13sp_issue/200601/index.html
http://www.jsca.or.jp/vol2/23news_release/2005False/jsca200511.html
この中で構造設計士の資格新設や待遇改善などにも触れられていることは、JSCAが業界団体であることを考えれば当然とも言えるわけですが、それが本当に事態の打開のために必要なことなら、一般からも理解が得られるものと思います。
そして個人的に興味深かったのは

  ・ 大臣認定プログラム制度は廃止すべきである
  ・ 建築確認時の再計算は意味がない
   =基本的な数値の整合性の確認や略算的な方法で十分

http://www.jsca.or.jp/vol2/23news_release/2005False/jsca20050214-1.pdf
という主張や

  ・ ピアチェックは現実的か

http://www.jsca.or.jp/vol2/13sp_issue/200601/sp_issue0601-2.html
という問題提起でした。
これは重要な指摘だと思います。絵に描いた餅にならないか・・・という意味で。これについては近いうちに別エントリを起こそうと思います。なにしろ長くなりすぎたので(汗

とりあえず、非姉歯物件がぞろぞろ出てきた現状・・・を、ここに記述しておきます。



※補注1(2006年5月31日)
2006年5月25日報道の毎日新聞資料より。
【耐震計算偽造:中山建築士「関係機関は謝罪すべき」 手がけた物件耐震性確認 /熊本】
http://news.livedoor.com/webapp/journal/cid__2003032/detail

 「国側に検証を委託していた6件ともに強度は確認されました」

 熊本市は24日、木村建設(八代市、破産手続き中)が関与し、当初「強度0・43」とされたマンションを含む同市内の6物件が耐震基準を満たしていると発表。それに対し、対象物件を設計した中山構造研究所代表の中山明英・一級建築士(53)は「当然の結果」と憤りをあらわにした。

 市は当初、6物件の耐震強度偽造の有無を確認するため、県建築士事務所協会に構造再計算を依頼。同協会で「偽造なし」と判断された時点で強度は「0・43」など耐震基準を大幅に下回る数値もあった。当時から、市は精査を予定していたが、県が2月に数値と物件名を公表。中山建築士は「発表は間違い」と県や事務所協会に激しく抗議した経過もある。

 中山建築士は市の発表後に会見。最初に再計算をした協会の建築士が匿名とされたことに対して不満をあらわにし「『0・5以下』は、強制退去という社会的影響のある数字。なのに匿名で発表するのは無責任」と声を荒らげた。「不安を与えた施主と入居者に、誠意を持って謝罪すべきだ」とも訴えており、今後同協会や暫定値を発表した県に謝罪を求めるという。

 会見後、市建築指導課職員は中山建築士に日本建築防災協会の調査結果を手渡した。中山建築士は「防災協会は私の考え方を理解してくれた。精査途中の数値が公表されたことなどが混乱の原因だ」などと指摘した。


※関連エントリ・・・【耐震強度偽装問題カテゴリー

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2006年03月06日

松本被告次男入学拒否のニュースで思うこと

気になったニュース。


【松本被告の次男の入学拒否 埼玉の私立中】2006年03月02日20時13分

 オウム真理教元代表・松本智津夫(麻原彰晃)被告(51)=一審死刑、控訴中=の次男が私立中学を受験して合格したが、学校側が入学を拒否していたことが2日分かった。

 入学を拒否したのは埼玉県春日部市の春日部共栄中学校。次男の代理人の弁護士によると、合格発表は1月18日。入学金を支払った後の2月7日、学校側から電話で「松本被告の息子とわかったため、入学を辞退してほしい」と言われたという。

 学校側は2月11日、代理人の弁護士に対し、学校敷地内への次男の立ち入りを禁ずると通告。その後、「2月19日の入学説明会に来なかったから形式的にも入学資格がない。入学金などを返還するため振込先の口座を教えてほしい」と内容証明郵便を送ってきたという。次男の代理人は「仮処分申請や提訴を含めて対応を検討したい」としている。

 松本被告の三女も03年と04年、合格した複数の大学に入学を拒まれた。このうち和光大について、東京地裁は今年2月、「不許可は違法」として損害賠償を命じる判決を出した。三女は別の私立大にも入学を拒否され、学生としての地位保全を求める仮処分を申請。東京地裁がこれを認め、現在はこの大学に通っている。

 〈春日部共栄中の矢口秀樹校長の話〉 中学生は互いに影響しあいながら勉強することが大事。保護者も安心して通わせることを求めている。教団の影響下にないとは言い切れない生徒を入学させれば大きな支障が出る恐れがある。本人に罪はないが、現在の教育環境を守りたい。

asahi.com http://www.asahi.com/edu/news/TKY200603020305.html



実を言えば、私自身がこの記事を見て最初に思い出したのは【ハンセン病患者がホテルに宿泊を断られたケース】でした。とはいえそれはなにも、ハンセン病患者(元患者)がオウム関係者のように恐れられ、差別されている、という意味ではありません。学校長は「保護者の心理」を理由にし、ホテル側も「ほかの宿泊客の理解」を理由にしていた、そこに同じような匂いを嗅いだのです。
オウムということで次に私が思い出したのは、同じオウム(現アーレフ)信徒の【住民票拒否問題】です。そこでもやはり「住民の安心・安全」が転入届拒否の理由になっていますね。

法曹界の判断は一貫しています。松本被告の三女は入学が認められ、自治体の住民票(転入届)不受理は違法行為とされました。おそらく、この次男の件も、司法の場では学校側主張は退けられるでしょう。

人権・・・という問題は、決して簡単ではないのだと思います。
人権を重視する立場の人は、松本被告の子女やアーレフ信徒にも人権を認めるべきでしょう。それは口で述べて終わりというのでなく、もっと身近に、たとえば自分や自分の子供が通う学校に同被告の子女や信徒がいた場合にどうか、自分の隣に教団道場が引っ越して来たらどうか・・・とリアルに想像してみた時に、反対運動もせず差別もせず・・・が確かに実践できると己を信じられるまで、考えてみる必要があるのではないかと思います。
そのように揺るぎなく自己を信じられないのであれば、ハンセン病患者の宿泊を拒否したホテルを責めるのは、なんだか「ズルイ」ような気がするのです。

ハンセン病患者のケースでは、世論は圧倒的にホテル側の無知・無理解(差別)を批判しました。そうして世論の大勢が決まっている中では、ホテル側を批判することは容易でしょう。しかし人権を考える上で本当に重要なのは、今回のように、差別の被害者側が世論の応援を得られない場合、なのだと思います。

私も含め、大抵の日本人は「ズルイ」のではないかと感じています。まあ、ほかの人はともかく、私は自分のズルさを自覚しています。
私が自分をズルイと感じるのは、学校側の言い分もわかってしまうことです。私は、アーレフの転入に反対した地域住民の人々の気持ちも、わかってしまいます。もし、私の子供が通う学校にアーレフの信徒がいて、彼らと息子とが仲良しだったら・・・私は不安に思うと思います。できれば、そういう状況には陥りたくない(=息子と仲良くなって欲しくない)、と率直に思う私自身がいます。それを私は知っています。
松本被告の子女が在籍しているからという理由で子供の受験校を選ぶこと、まではしないと思いますが、子供には入学式の前に、注意するよう言うかもしれません。また「松本被告の子女がいるからこの学校は受験しない(子供に受験させない)」と言う人が、もし万一周囲に実在したとしたら、私はそれを批判することはしないと思います。そういう選択もあるよね・・・と、相槌を打つと思います。
私はそういう人間だということを、私自身は知っています。
だから「学校側の主張は退けられるでしょう」と述べるだけでは済まない「居心地悪さ」を、私自身が感じるのでしょうね。


この問題に、私はまだ決着をつけられていません。
司法の判断がある。それはわかりました。人は親を選ぶことはできないのですから、親を理由に差別されることの理不尽さもわかります。一方で、現状の平穏を乱されたくない、という気持ちも、私にはわかります。
法が不備だ、ということは感じません。オウムが悪い・・・それはもうわかっています。

問題は、法の理念(人権)と、私の皮膚感覚での幸福観とが必ずしも一致していないこと。
そして私の感じる居心地悪さの原因は、両者が相反した場合にどちらを優先させるべきか、私自身が自己の立場を決めかねている・・・ことにあるのだと思います。
理念と、個人の幸福観とが一致しない場合には、後者を優先させればいいのでしょうか? それが大人というものでしょうか。しかしそういう「大人」の集大成としての社会が、個々の差別を許し、大袈裟ですが場合によっては戦争の後押しさえしてしまう・・・こともまた、明らかなような気がします。

難しい問題ですから、今後も折に触れ(BLOGで書くとは限りませんが)、私は考え続けていくと思います。



 
posted by 水無月 at 05:08| Comment(6) | TrackBack(3) | 国内(その他) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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