ネットで調べられることなど高が知れているわけですが、反面、ほかに言及しているところもないようですから、私がここで呟くことも、まったくの無意味というわけではないでしょう。
【 ダイナコートエスタディオ物件 】
ダイナコートエスタディオ物件に興味を抱いたのは、自分で外部ファイル版資料【姉歯偽装物件時系列一覧】を整理する中でした。
以前にもここで書きましたが、最近の国交省の秘密主義にはほとほと困っています。私は姉歯氏の構造計算書偽装開始頃の状況に興味を抱いているのですが、最初期(1998年以前)の物件名が秘せられているのは実に憂慮すべき事態と言わざるを得ません。まあ、よほど隠したいことがある(誰にとって?)のだろうなぁ、とぼんやり想像しているのですが。
というわけで、時系列表示の最初の頃を眺めていたわけですが、物件名が公表されていない1998年建築確認の2件はさて措き、1999年確認の9件です。
この9件の内訳が
ホテル2件
共同住宅7件
( グランドステージ=ヒューザー物件・・・4件
ダイナコートエスタディオ物件・・・・・・・2件
世紀東急工業物件・・・・・・・・・・・・・・・・1件 )
※施工は元受けからの丸投げもあわせればすべて木村建設
であるということ・・・を意識している人は少ないと思いますが、このように強調すると、あれ? と思う方もいるのではないでしょうか。
姉歯氏の偽装行為は、ホテルではなくマンションから始まっている、ということは別の場所でも書きましたが、その中に同じブランド名の「ダイナコートエスタディオ」物件が2件も入っているのです。
ダイナコートエスタディオ・シリーズとグランドステージ・シリーズとの違いは、後者はその後も偽装物件として気の毒なほど再登場するのに対し、前者はこの2件だけで、その後は登場しないことです。
ダイナコートエスタディオ・シリーズは、幸運にもその後は木村建設の施工を免れたのでしょうか? とすれば、その建て主はなかなかの慧眼ということになるのかもしれません。被害を最小限にとどめた、という意味で。
私のダイナコートエスタディオ物件への興味は、そういう方向から始まったのです。
【 不思議なシリーズ 】
しかし興味を抱いてよくよく見ると、すぐに、私は不思議なことに気づきました。
ダイナコートエスタディオ桜丘(現・フェニックス渋谷桜丘)と、ダイナコートエスタディオ千代県庁口(現・ダイナコートエスタディオ県庁前)では、なんと建築主が違うのです(笑
◇ダイナコートエスタディオ桜丘(現・フェニックス渋谷桜丘)
建築主=渇ェ部マイカ工業所 設計=平成設計梶@ 施工=木村建設
◇ダイナコートエスタディオ千代県庁口(現・ダイナコートエスタディオ県庁前)
建築主=岡部産業梶@ 設計=渇ェ田建築設計 施工=木村建設
場所も、一方は東京渋谷(渋谷区確認)、他方は九州の福岡(福岡市確認)です。
両者はたまたま似たような名前だっただけで、そもそもシリーズですらなかったのでしょうか?
しかも、さらに調べてゆくと、この両物件とも、建築確認時の「建築主」とは別の企業が、その後譲り受け、最終的な建築・販売までをしたことがわかってきました。
整理すると、こうなります。
◇ダイナコートエスタディオ桜丘(現・フェニックス渋谷桜丘) 岡部マイカ工業所 → トーシングループへ売却 同物件は、株式会社岡部マイカ工業所が事業主であり、渋谷区役所による建築確認済証・中間検査済証を取得した状態で、弊社が一棟で一括購入し、自社ブランド名で販売いたしました。 ◇ダイナコートエスタディオ千代県庁口(現・ダイナコートエスタディオ県庁前) 岡部産業 → ダイナグループへ建築主変更 |
フェニックス渋谷桜丘の方は、売却されたということがはっきりわかりましたが、ダイナ・・・県庁前の方は、どういう経緯で建築主が変わったのか、ついにわかりませんでした。代表的なのはこんな感じです↓。
【耐震偽造 福岡市のマンションでも確認 木村建設が施工】
元請け設計は北九州市の岡田建築設計。当初建築主の岡部産業(北九州市)は構造計算の偽造はないと市に報告したが、市の調査で疑問が生じ民間検査機関に再計算と耐震強度の調査を依頼していた。
(中略)
マンションは十二階建て九十一戸。建築主と売り主「ダイナ」(福岡市)は分譲価格で全戸買い取るという。一九九九年に市が建築確認し二〇〇〇年九月に完成していた。
(ソースは「熊本日日新聞」のキャッシュ。危うく消える寸前で保存。
http://yohaku.up.seesaa.net/image/aneha_okabe1_gazou.html)
ちなみにダイナ(別の事件で話題になっている「ダイナシティ」とは別企業ですから注意してください)による釈明ページ「姉歯建築設計事務所による構造計算書の偽造とその対応について」(http://www.daina.co.jp/info1206.html)にも、この間の事情は説明されていません。
なぜこの物件は建築主が途中で変わったのでしょうね?
それはわかりませんが、ダイナと岡部産業との取引はこれがはじめてではないのかもしれません。ダイナの藤原康弘社長と岡部産業の岡部安三社長が仲良く上下に並ぶページを見つけました(笑
http://www.kyujukyo.or.jp/html/bukai_houkoku.html#kinnyuu
(消えた場合に備えて保存↓
http://yohaku.up.seesaa.net/image/aneha_okabe3_gazou.html)
【九住協】部会報告というこちらのページの「金融・税務部会」の部分ですが、ここを見ると両者(両社)の関係は非常に良好なようです。
ところでダイナ、という社名はダイナコートエスタディオ・シリーズの事業主としてはいかにもぴったりです。しかしダイナの公式HPのどこを見ても、ダイナコート・シリーズに関しての記述はありません(偽装の発見された県庁前物件に関するお詫びページを除く)。
おかしいな・・・と思っていたのですが、偶然、キャッシュを発見しました(笑
【ダイナグループ−会社概要−】キャッシュページ
http://www.google.com/search?q=cache:5IuXIswaxBcJ:www.daina.co.jp/company/result/index.html+%E3%82%A8%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%AA%E6%A1%9C%E5%9D%82&hl=ja
(保存画面 ↓
http://yohaku.up.seesaa.net/image/aneha_okabe4_gazou.html)
このキャッシュページのタイトル、URLや、最下行の住所などを見れば、これがダイナグループのキャッシュであることは明らかでしょう。キャッシュが残っている・・・ということは、つい最近になって消したのでしょうね。なぜでしょう? 不思議です(笑
そしてもうひとつ不思議なこと・・・は、このダイナの会社概要(おそらく実績紹介でしょう)の中に、なぜか「ダイナコート エスタディオ 県庁前」ばかりでなく「フェニックス渋谷桜丘」の名前までがあることです。
あれれ? フェニックス渋谷桜丘は、岡部マイカが建築確認を取り、トーシンに売却した物件じゃなかったでしたっけ? その物件がなぜ、ダイナのHPキャッシュに残っているのでしょう・・・ね? これも不思議です(笑
それはともかく、岡部産業のページにも、ダイナコート・シリーズの紹介がありました。
http://www.okabe-sangyo.com/tsutsui/annai.html
(消えた場合に備えて保存画面↓
http://yohaku.up.seesaa.net/image/aneha_okabe2_gazou.html)
こちらのページにははっきりと、
「 岡部グループ住宅供給実績
■当グループは、絶縁材料製造販売で世界トップクラスの実績を誇る岡部マイカ工業所を中心に、
分譲住宅約7,203戸、テナントビル27棟他、分譲事業35余年の実績です。」
とあり、エスタディオ県庁前を含む14件のエスタディオ物件が挙げられています。
偽装物件として名前の挙がっている「エスタディオ県庁前」を堂々と載せているのはご愛嬌・・・でしょうか(笑
さて、ここまででわかったことは以上です。
◇ 岡部産業は岡部マイカ工業所を中心とする岡部グループの一員だった。
◇ ダイナコート・シリーズはダイナと岡部グループが主体になって進めている。
【 岡部グループとは? 】
本当の事業主体・・・とは、時として表にはなかなか出てこないものです。
このダイナコート・シリーズも、片方はトーシン・グループに売却されて「フェニックス」ブランドに変わっていました。しかしその前身は「ダイナコート」シリーズであり、事業主体はダイナ、もしくは岡部グループなのです。
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岡部マイカ工業所の歴史の古さには感嘆しますが、おそらく岡部産業は岡部マイカの多角経営の一環、不動産部門なのでしょう。1984年設立のダイナとの資本関係などはわかりませんが、岡部産業のダイナコート・シリーズへの関わり方から見ると、かなり密接な関係にあるのは間違いないでしょう。
さて、ところで私は耐震強度偽装問題を追っていたのでした。そろそろ結論をまとめましょう。
同シリーズに建築確認が降りた時、その建築主はどちらも岡部グループでした。
確認時の建築主が、偽装発覚時には違っている・・・。そんなことが二件も続けば、なんだか不可解な気はしますが、それ自体は違法ではないのでしょう。ただ、二件の二社ともが、未だに建築確認時の事情を一切説明しようとしていないのは、どうなのでしょうね?
現在説明(釈明)の文書をHPで公開しているのはダイナとトーシンです。しかし本来は、建築確認時の建築主であった企業こそが、その経緯を説明すべきではないでしょうか。
なぜ、木村建設が施工したのか、現在判明中の95件の中で「ダイナコートエスタディオ県庁前」ただ一件だけの設計をしたとされている岡田建築設計とは、どういう関係なのか・・・など。
ダイナとトーシンが、いくら「我が社の他物件は大丈夫です」と釈明したとしても、その供給元の岡部グループが沈黙していたのでは説得力などありません。私のように疑い深い人間の、ダイナコートエスタディオ・シリーズは本当に大丈夫なのか? という疑惑を増すだけの結果に終わってしまいます(前掲の【ダイナグループ−会社概要−】によれば、ダイナコート・シリーズは西日本を中心に110件以上あるようです)。
姉歯氏の偽装活動の最初期に、ダイナコートエスタディオ物件が二件もあった、という事実。施工は木村建設です。しかしまた、ここへ来て姉歯氏の一番最初の偽装物件は木村建設関与ではなかった、という疑惑も浮上しています。
【最初の偽装はどの建物? 姉歯氏証言の支え「揺れる」】
2006年01月14日17時46分
最初の偽装はどの建物だったのか。姉歯秀次元建築士は東京都大田区のマンションが最初だと国会の証人喚問で話したが、その後、建築確認の日付は川崎市の偽装マンションの方が早いことがわかった。ところが、こちらは木村建設が施工した建物ではない。もし、このマンションが初の偽装だったとすると、「鉄筋を少なくしろ」という木村建設の圧力で不正に手を染めたとする姉歯元建築士の説明は根底から覆ることになる
【朝日新聞】
http://www.asahi.com/special/051118/TKY200601140209.html
木村建設以外でも偽装行為がありうる。平成設計でなくともありうる。ホテルでなく、総研非関与でもありうる、ましてヒューザーでなく、グランドステージ・シリーズでなくともありうる・・・としたら?
私が岡部グループに興味を持つには、もうひとつ理由があります。それは、同グループが九州を地盤にしている、ということです。
以前【耐震偽装の源流は九州かも・・・?】で書きましたが、九州には福岡を中心に、姉歯氏より早く構造計算書偽造をしていたとされる「サムシング」社がありました。このサムシング社も福岡、ダイナコートエスタディオ・シリーズも福岡・・・。なんとも不思議な偶然の一致・・・ではないでしょうか。
幾重にも不思議のベールに包まれているダイナコートエスタディオ・シリーズ・・・。関係各社が積極的に情報を開示し(HPを消したりしないで 笑)、私の疑問を解消してくれることを望んでいます。
むしろ国交省が必要な情報を開示していないこの状況では、ダイナコート物件はヒューザー物件とは違うのだ、ということを、岡部グループは自ら証明しなければならない立場だと思うのですが・・・。
※関連エントリ
外部ファイル版【姉歯偽装物件時系列一覧】
【耐震強度偽装問題・・・資料編(1/10現在)】
【耐震偽装の源流は九州かも・・・?】
【渡辺朋幸氏という人】
【時系列で耐震強度偽装事件を見ると】
【姉歯秀次氏という人】
【偽装事件は小さな政府を大きくするか?】
【耐震強度偽装問題・・・意見・感想編】
【全裸で自殺・・・の謎 耐震強度偽装問題】
【 ◇耐震強度偽装問題の最新記事】


